「キングコング/髑髏島の巨神」

  Kong : Skull Island

 (2017/04/24)



見る前の予想

 またしても、「キングコング」である。
 昨今ハリウッドは何でもかんでもリメイクするが、それにしても…である。本作の企画を最初に知ったら、誰しも同じ思いを抱くに違いない。
 今さら何故に「コング」なんだ? 
 そもそも「キングコング」はすでに2度もリメイクされている。その中でも最新のピーター・ジャクソンキング・コング(2005)が公開されたのは、ついこの前のことだ(…といっても12年経っていたのにビックリだが)。いや、もう誰もがお腹いっぱいだろう。今さら何が悲しくてコングなんだ? どうしてまた作らなきゃならないんだ。
 タイトルも凄くて「髑髏島の巨神」(笑)。昔懐かし少年マンガみたいな、「くらやみ城」とかいった昭和臭漂うタイトルである。大昔のジャングル活劇かと思ってしまいそうだ。
 そして「髑髏島」…と来るところからして、従来の「キングコング」物語の前半部分…南海の孤島での冒険が中心となるに違いない。「キングコング」と言えば後半のニューヨークでの大暴れが有名なだけに、これはまた何とも地味な企画でもある。あそこが最大の見せ場じゃないのか。
 また、どう見たってB級感ムンムンの本作に、無駄に豪華キャストが集結しているのも不思議だ。毎度おなじみサミュエル・L・ジャクソンはいいとして、トム・ヒドルストンってこういう映画に向いているとは思えないのだが…。もっと驚いたのはブリー・ラーソンで、あの問題作ルーム(2015)の次がこれ(笑)。しかも、これってオスカー受賞後第1作だよ。そりゃあのマイケル・ケインだって「ハンナとその姉妹」(1986)でオスカー助演賞とった後の受賞後第1作は「ジョーズ'87/復讐篇」(笑)だったから一概に言えないけど、あちらはすでに大御所だったからねぇ。この人、これでこの先ホントに大丈夫なのか?
 ただ、先にも述べたように「髑髏島」が中心となるという作品内容は、僕個人としては悪くない気がする。ディノ・デ・ラウンレンティスによる最初のリメイク版キングコング(1976)では髑髏島はかなり軽視されていたが、元々のオリジナル版「キング・コング(1933)では髑髏島での冒険でかなりの尺をとっており、そこに出て来るさまざまな怪獣も見せ場のひとつだった。だからオリジナル版を意識したピーター・ジャクソンは、再リメイク版でその原点に立ち返って髑髏島場面を大々的に描いていた。
 再々リメイク版である本作はさらにそれを押し進めて髑髏島だけで構成するというのだから、ちょっと面白そうではないか。
 しかも南海の孤島を舞台に複数の怪獣の戦いを描くという内容は、僕が子供の頃に見た東宝怪獣映画「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」(1966) の内容をも連想させる。怪獣映画には疎い僕だが、この映画にだけは僕にも強烈な思い入れがあるのだ。この映画をマンガにしたモノが当時のマンガ雑誌に附録 として付いていて、それがすこぶる面白かったと記憶している。今回の「キングコング」は、この「ゴジラ・エビラ・モスラ南海の大決闘」に通じる面白さがあ りそうなのだ。そう考えてみると、これは見なくちゃいけないだろう。
 そんなこんなしているうちに、本作の上映館数がどんどん先細って来た。しかも3D上映館も激減。こういう作品こそ3Dで見なくちゃいかんだろう。僕は慌てて時間をとって、銀座の上映館に飛び込んだ次第。

あらすじ
 太平洋戦争も日本の敗色が濃くなって来た1944年のこと。南太平洋のある地点で、米空軍機と日本のゼロ戦が一騎打ち。結果、双方とも墜落する羽目となった
 米軍機に乗っていたパイロット(ウィル・ブリテン)は、パラシュートでとある孤島の海岸に降りる。すると、そこに日本軍の兵士(MIYAVI)も降りて 来るではないか。米軍パイロットは彼に目がけて拳銃を撃ちまくるがすぐに弾切れ。対する日本兵は、日本刀を抜いて追いかけて来た。これはマズい。慌てて森 の中に逃げ込む米軍パイロットだが、日本兵もすぐに追いかけて来る。だが米軍パイロットは、森のはずれまで来て突然立ち止まってしまった。
 そこは断崖絶壁行き止まり。もはや日本兵と対峙するしかない。米軍パイロットは、日本兵が振り下ろした刀を真剣白刃取りよろしく両手で掴み、日本兵の手から振り落とした。すると日本兵は短剣を突きつけ、またまた米軍パイロットは絶体絶命。すると…。
 崖っぷちで取っ組み合っていた二人の目の前に、山のような影が立ちはだかって来るではないか。それは、とてつもなく巨大なゴリラの顔だ。
 その巨大なゴリラにじっと凝視され、唖然呆然となる米軍パイロットと日本兵。思わず殺し合いも忘れて目を見張るばかりの二人だったが…。
 それから、長い長い年月が流れた
 1973年3月、ワシントンD.C.。街はデモ隊であふれ、異様な熱気に満ちあふれていた。アメリカ軍のベトナムからの撤退が、ついに決まったのだ。
 そんな熱気の真っただ中にやって来たのは、大男のビル・ランダ(ジョン・グッドマン)とその助手的な科学者ヒューストン・ブルックス(コリー・ホーキン ズ)。彼らはこの街に一種の陳情にやって来たのだが、ブルックスはこのタイミングでここにやって来たことに大いにボヤいていた。だが、ランダは平然たるも の。むしろ、この日をおいて他にはない…と断言するほどだったが…。
 彼らの陳情の相手は、上院議員のウィルス(リチャード・ジェンキンス)。ランダたちは、ウィルスに会った瞬間から露骨に歓迎されていなかった。それもそのはず、こんなタイミングでランダたちが持ち出した話は、南洋の孤島への探検という話。彼らが所属する「モナーク」という組織で、この島を調査したいというのが話の主旨だった。
 その島は今まで数多くの船舶や航空機が行方不明になっていた難所で、そこに島があることすら明らかではなかった。人工衛星からの写真が、今回その存在を確実なものにしたのだった。その島の名は、人呼んで「髑髏島」。ランダたちは、ここに調査に赴く資金と軍による護衛をつけて欲しいというのだ。
 なるほど、軍の協力を引き出すなら、タイミングとしてベトナム撤退の今をおいて他にはない。結局、すぐにでもソ連がこの島の存在に気づくはず…という事実を殺し文句に、ランダはウィルスから見事に満額回答を引き出したのだった…。
 それから間もなく、ベトナム、ダナンの米軍基地。撤退間近で兵士たちの顔も明るいなか、一人冴えない表情を見せているのは、指揮官として現場を仕切って 来たプレストン・パッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)。多くの部下たちの犠牲を払いながら撤退という結末を迎えるに至って、パッカードは胸の内に納得できないものを感じていた
 ところがそんなパッカードとその部隊に、突然、新たな任務が与えられる。それは、南海の孤島への出動というものだった。目的を失ってしまった今のパッカードにとっては、その任務はまさに僥倖。パッカードは嬉々としてこの話に飛びつくのだったが…。
 またも舞台変わって、ここはバンコクの歓楽街。またしてもランダとブルックスが、いかにも場違いな様子でいかがわしい街並みを歩いている。
 彼らは「秘境探検」に必要なスキルを持った男を見つけに来たのだ が、その人物がいるという安酒場を見たブルックスは思わず後ずさり。そもそも、こんな場所にいる奴はロクなもんじゃないと言い放つ。だがこの件について は、ダテに歳をくっていないランダの方が的を射た意見を持っていたかもしれない。いわく…「男の価値を決めるのはどこで酒を飲むか…じゃない。どれだけ飲めるのか、だ!
 暗く猥雑な雰囲気でムンムンする酒場の中を、ビリヤード台に近づいて行く。そこに絡んで来たチンピラをバッタバッタとなぎ倒す、めっぽう強い男がいるではないか。まさに目指す人物がその男。その名はジェームズ・コンラッド(トム・ヒドルストン)。元イギリス特殊空挺部隊の隊員で、今では傭兵としてやさぐれた暮らしを送っていた。
 だが、サバイバル技術にかけては彼の右に出る者はいない。おまけにランダから大金のギャラを提示されても、それを5倍にしろと顔色ひとつ変えずに主張する度胸もあった…。
 同じ頃、南洋の孤島を目指す奇妙な一団に目をつけて、やたら興奮している一人の人物がいた。それは、女性フォト・ジャーナリストのメイソン・ウィーバー(ブリー・ラーソン)。彼女はそこに怪しげな「秘密」の臭いを嗅ぎ付け、何とか潜入しようと東奔西走。コネというコネを総動員したあげく、女だてらにイカツい「メイソン」という名前も味方して、何とかこの一行に潜り込むことに成功した…。
 こうして奇妙で雑多な一行を乗せた巨大な貨物船は、一路「髑髏島」へと向かう。船内で開かれた打合せでは、メンバーが一堂に会しての説明と意見交換が行われた。
 まず「髑髏島」は、常に激しい大嵐に周囲を囲まれている…と説明される。その分厚い嵐の雲ゆえに、これまで島の存在が明らかではなかったのだ。そして、この嵐ゆえに船での島への接岸は不可能。そこで、米軍自慢のヘリコプター部隊を投入。悪天候でも何でもモノともせずに活躍した米軍ヘリに参加メンバーが分乗し、島の周囲を取り巻く嵐のエリアを超えて島に向かおうという計画だ。そして彼らが上陸して調査を行った後、三日後に島の北端に迎えがやって来るという訳である。
 その話の中でコンラッドが気になったのは、島に到達した後にヘリから「サイズミック・チャージ」なるモノを投下するというくだり。もっともらしい名前をつけているが、早い話が爆弾である。ランダとブルックスが「調査のため」などとお茶を濁しているのも、コンラッドとしては不安が残る点だった。今まで数々の修羅場を潜って来たコンラッドには、そこに微妙なキナ臭さを感じていたのだ。
 だが、すぐに船は嵐のすぐそばまで接近。分厚い雲の中はまったく見えないが、歴戦の勇士揃いのパッカード率いる米軍兵士たちはそれにひるむタマではない。コンラッドとメイソン、ランダとブルックスらも乗り込んで、ヘリの一団は勇猛果敢に雲の中へと突っ込んで行った。
 暴風と雷で激しく揺さぶられながら、ヘリの一団は敢然と前方へ突き進む。やがて真っ暗な雲を抜けると…ウソのような青空の下、豊かな自然に満ちた島々が眼下に広がるではないか。
 これぞ、問題の髑髏島である。
 眼下に広がるのは手つかずでむき出しの自然。メイソンはその美しさに夢中でシャッターを切る。浮かない顔をしていたコンラッドでさえ、気分が高揚した。
 そして嵐さえ抜ければ、兵士たちにとって島のジャングルもベトナムのジャングルも変わらない。ヘリに取り付けたスピーカーから、大音響でCCRのロック・ミュージックを流してご機嫌。ついでに手慣れた調子で、例の「サイズミック・チャージ」をポイポイとヘリから投下する。たちまち島のあちこちで激しい爆発が起きて、兵士たちはますますいい気分だ。
 まさしく水を得た魚のようにヘリを飛ばしていた兵士たちだったが…先頭で飛んでいたヘリの前方に、何かが猛スピードで急接近!
 それは、引っこ抜かれた大木だった。
 あまりに突然だったので避けることもできず、大木は真っ正面から直撃。ヘリはアッと言う間に墜落してしまう。何が起きたのか分からず呆然とする一同の前に出現したのは…。
 山々などよりも遥かに高く、遥かに巨大。今まで見た事もない存在。いや、見た事はある。だが、こんなデカいヤツは想像もしていなかった。ツワモノであるパッカードでさえ肝を冷やした「そいつ」の正体は…。
 黒々とそびえ立つように立ちはだかる、特大サイズのゴリラだった…!


見た後での感想

 いや〜、面白かった!
 問答無用。もうこれで終わりにしてもいい。
 実は本作の最良の部分は、前述したストーリー紹介ですでに言及している。このストーリー紹介はまだホンの序の口の部分で止めているが、すでにこの段階で本作のコンセプトが言い尽くされているのだ。
 さすがにこれで感想を終わらせちゃあまりに無責任なので続けると、早い話が…髑髏島を米軍ヘリが飛んで行く「絵」が素晴らしい。あの有名なキングコングを、ベトナム戦争に絡めて描いた点が何より秀逸なのである。それがすべてと言い切ってもいいくらいだ。
 ロック・ミュージックを流しながら、髑髏島の上空を飛ぶ米軍ヘリ…という場面を見た瞬間に、僕は本作が大成功であることを確信していたのだった。

ベトナム戦争を絡めた本作の妙味

 実は「キングコング・ミーツ・ベトナム戦争」の発想は、さほど目新しいものではない。
 ディノ・デ・ラウレンティスが手がけた1976年の最初のリメイク版で、コングはニューヨークの世界貿易センター・ビル(!)によじ登り、アメリカ軍のヘリからの猛攻撃を受ける。そこには
すでに、ベトナム戦争の影響が垣間見えていた。コングはベトコンのように、悲痛な戦いの末に殺されるのである。コングをニューヨークに連れて来るのがアメリカの資本主義なら、コングを殺すのは米軍。完全にアメリカの犠牲者として描いている点が、何かというと娯楽映画で「病んだアメリカ」を告発するデ・ラウレンティスらしいスタンスだった。
 だが、今回はそれをさらにパージョン・アップ。ベトナムそのものを連想させるジャングルに満ちた髑髏島を舞台にすることで、より強力にしているところがミソである。
 だからと言って、これは必ずしもコング「外伝」「スピンオフ」的発想ではない。
 冒頭にも述べたように…「コング」というとニューヨークでの騒動や「美女と野獣」的趣向…というイメージは必ずしも間違いじゃないが、オリジナル「キン グ・コング」では髑髏島の部分も大きな見せ場になっていた。そこに出て来る数々の怪獣が、秘境探検の興味を醸し出させていたのである。ピーター・ジャクソ ン版「コング」はその点を拡大して、「本卦還り」させた作品なのだ。
 だから、今回の「コング」も決して「亜流」ではなくむしろ「本道」。島にウジャウジャいる怪獣との戦いに主眼をおいた本作こそ、むしろ1933年版に立ち返った作品というべきなのである。ブリー・ラーソンがコングとわずかながらも心の交流をするあたり、ちゃんと最低限オリジナル版のキモを押さえている。このあたりも「分かっている」リメイクなのだ。
 そして「ベトナム戦争」的要素としては、ヘリからガンガンとロックを流して爆弾を投下するあたりとか、カラダに迷彩を施した原住民の出現だとか、船で川 を進んで行くあたりとか、そもそもジャングルに銃を持った米兵がうろついている時点で…見ているこちらとしてはどうしても「地獄の黙示録」(1979)あたりを連想せざるを得ない。コングを倒すために川にナパームをまいて火をつけるくだりも、どう考えたって「それ」だろう。
 サミュエル・L・ジャクソン演じるパッカードが部下を殺されたことからコングに復讐を誓い、それが不本意な撤退を余儀なくされたベトナム戦争のリターン・マッチと化していくあたりもうまい設定だ。元々が調子こいたヨソ者の彼らが勝手に爆弾を落としたのが始まりだから、逆恨みもいいとこ。それがアメリカの介入で泥沼化したベトナム戦争自体の構図と、見事に二重写しになっていくあたりが見事なのだ。
 そうなってくると、コングはさしずめ「黙示録」のマーロン・ブランドみたいな存在にも見えてくる。原住民の守り神みたいな位置づけだから、確かにそうだろう。晩年のブランドは神がかった役ばかりやっていたし、やたらに巨体というのもコングとイイ勝負だ(笑)。いや、これはあくまで冗談
 閑話休題。誤解していただきたくないのは、本作はあくまでよく出来た娯楽映画でそれ以上でも以下でもないということ。別に社会派オリバー・ストーン映画 (笑)を目指しているわけではない。それでもよく出来た娯楽映画というものは、しばしばジャーナリスティックな側面が自然と出て来てしまうものなのだ。本 作もまさに、そんなエッジの尖った映画になっているのである。
 そういう意味で、コング退治に執念を燃やしていたパッカードや、自らを犠牲にして獰猛な怪獣を仕留めようとするベテラン兵士のコールが、どちらも笑ってしまうほど呆気ない最後を遂げるあたりは象徴的だ。妄執にかられたパッカードと仲間を助けようとするコールでは怪獣に対峙する姿勢は180度異なるが、そのどちらもやたら大見得を切って怪獣に向かっている点では同じ。そんな両者がバッサリと切って捨てられるとなると、これは「戦場におけるヒロイズム」…みたいなものを一切否定するということを意味しないだろうか。そこには、一種の批評精神みたいなモノすら感じられるのである。


 

 

 

 


 

 

こ こからは映画を見てから!

 

 

 

 

 

 


純粋に怪獣映画としても秀逸

 ただ…だからと言って本作を「反戦映画」であると声高に賞賛する気はない。それはさすがにヤボというものだろう。何度も繰り返すが、本作は純粋に怪獣映画、アドベンチャー映画としてよく出来ている。最大の美点はそこである。
 まず、もったいつけないで速攻にコングが出て来るのがいい。さらに、次から次へと異形の怪獣たちが襲ってくるのも楽しい。その襲い方も趣向を凝らしているので、飽きがこないのだ。
 豪華なキャスティングもお飾りではなくちゃんと機能していて、さすがにサミュエル・L・ジャクソンジョン・グッドマンジョン・C・ライリーあたりは芸達者ぶりを発揮。まったく無駄と思っていたブリー・ラーソンも、コングと心を通わせる役担当であり、なおかつ本作が「戦争映画」仕様なのでキレイキレイな人では務まらないという意味でなかなか頑張っている。
 そんな主要キャストの中で唯一「???」と思わされたのは、一応主役であるトム・ヒドルストン。終始画面で浮いていて、特に大活躍もする訳じゃないのでなぜヒドルストンなのか?…と疑問に感じてしまう。主役にしては、前面に立って何かをする訳でもない。そしてマイティ・ソー(2011)やクリムゾン・ピーク(2015)で見せた高貴な生まれの傲慢さ…みたいな持ち味と、あまりにも異なる役柄なので違和感があるのだ。
 しかし…よくよく考えてみると、本作での彼の役どころはまさにその違和感…「ヨソ者」である点がミソ。本作では、彼が「ヨソ者」だからこそ冷静に状況が見えるというカタチをとっている。他人の土地をテメエ勝手にかき回す米兵たち…そんな彼らを冷ややかに見つめる傍観者として、明らかに「ヨソ者」な英国臭漂うヒドルストンが必要だったということなのだろう。その意味では納得のキャスティングではある。
 しかし、本作が撮影されたロケ地の中にベトナムも入っていた…というのはいろいろな意味で興味深い。やはり作り手は、もうひとつの「ベトナム戦争映画」としてこれを撮りたかったのだろうと思われるからだ。特にヘリが最初に髑髏島に近づいて行くあたりに見える小さな島々は、有名なハロン湾で撮影されたものだと思われる。そんなベトナム撮影場面をはじめとして、風景の美しさも本作の魅力のひとつだ。
 それにしても、ほぼ新人だというジョーダン・ボート=ロバーツ監督には本当に感心した。最初はどう考えても凡庸な企画にしか思えない「キングコング」リメイクを、ここまで持ってきた手腕はかなりなものだ。この人の次回作が楽しみである。
 そして最後の最後に「アレ」が出て来たのは…何だかこのワーナー・ブラザース=レジェンダリー・ピクチャーズの「怪獣映画」路線も、マーベルやらDCコミックス映画みたいに数珠つなぎになっていくってことなんだろうか。まぁ、本作は問答無用に面白かったからいいんだけどねぇ…。
 それに気づいたら、それまで大喜びしていた僕も少々複雑な気持ちになってしまったのだが…。



 

 

 

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