新作映画1000本ノック 2015年4月

Knocking on Movie Heven's Door


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 「シェフ/三ツ星フードトラック始めました」 「ジュピター」 「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」

 

「シェフ/三ツ星フードトラック始めました

 Chef

Date:2015 / 04 / 27

みるまえ

 この映画はずっと前にチラシを見ていて、その時から気にはなっていた。ジョン・ファブロー脚本・監督・主演…あのご機嫌だった「アイアンマン」(2008)、「アイアンマン2」 (2010)の監督のワンマン映画となると、ちょっと注目してしまう。おまけにその「アイアンマン」でおなじみロバート・ダウニー・ジュニアの他、スカー レット・ヨハンソンやダスティン・ホフマンといった豪華な顔ぶれが集まっているのも話題。しかしなかなか見に行けなくて、そんなことをしているうちに最初 の公開が終わってしまった。その後も劇場を変えて上映は続けられ、つい先日、新宿で細々と上映されていることに気づいて、慌てて劇場に飛び込んだ。すると どうやら終了直前だったみたいで、ラッキーといえばラッキー。果たしてその出来映えやいかに。

ないよう

  まだ、誰も出勤して来ていない、あるレストランの厨房。ひとりのシェフが、仕込みをしながら黙々と料理を作っている。そのシェフの名はカール・キャスパー (ジョン・ファブロー)。やがてキャスパーの長年の相棒であるマーティン(ジョン・レグイザモ)がやって来て、ひとり頑張っているキャスパーに声をかけ る。一通り準備が済んだキャスパーは、そこでマーティンに後を任せて店を出た。店の外の駐車場では、副シェフのトニー(ボビー・カナベール)が前の晩飲み 過ぎてのびている。キャスパーはそんな彼を起こして、クルマで街へ出かけて行った。この日は別れた妻イネズ(ソフィア・ベルガラ)の元に引き取られた幼い 息子パーシー(エムジェイ・アンソニー)との面会日だったのだ。本来なら久々の息子との楽しい時間なのだが、今日のキャスパーは気もそぞろ。それもそのは ず。この日は店に有名な食通ブロガーがやってくる日。小さい店から着々と出世して、ついにロサンゼルスでも有名なレストランのシェフとして引き抜かれた彼 としては、ここが最大の勝負どころだ。やり手ビジネスウーマンである元妻イネズはキャスパーの「打ち込み過ぎ」を心配して、「フードトラックでもやったら どう?」などと言ってくる始末。しかしキャスパーにも料理人のプライドがあり、シェフとして認められたい意地がある。今さら「フードトラック」など言い方 はシャレても所詮は「屋台」だろ? そんな訳で、キャスパーの耳にはイネズの心配は届かない。今日のブロガー相手の料理でも全力投球、フルスイングで臨む 気満々のキャスパーだった。こうして店に戻って来たキャスパーは、厨房の一同を集めて気合いを入れる。今日のこの日のために準備していた、まったく新しい 料理を披露しようというのだ。マーティンやトニー、そしてキャスパーとイイ仲のフロアマネジャーであるモリー(スカーレット・ヨハンソン)も、目をキラキ ラさせて大興奮。ところがそんなところに、一番来てほしくない人物が現れた。ガチガチに保守的なこの店のオーナー、リーバ(ダスティン・ホフマン)だ。何 をどう嗅ぎ付けたのか勘がいいのか、リーバはキャスパーの心中を探るように「今日もいつものメニューでやってくれるよな?」と念を押す。キャスパーは今日 が特別の日であることをリーバに主張するが、リーバにとってはそんな事はどうでもいい。彼にとって人気と伝統あるこの店は、「いつもの味」でウケていると 固く信じているのだ。これじゃ埒が明かないと一同をバラして二人で直談判するが、リーバは一歩も退く気配がない。「ストーンズのコンサートで“サティス ファクション”をやらないなんてあり得ないだろ?」とまで言われれば反駁できない。結局折れるしかなかった。こうして今夜もテーブルに並んだのは毎度おな じみのラインナップ。それでもキャスパーは、出来る範囲内でベストを尽くした。こうして仕事を終えた後、バーで仲間たちと一杯やりながらスマホを覗くキャ スパー。もちろん見つめているのは、更新されたばかりの例の食通ブロガーのブログだ。しかしキャスパーがこのブログを音読していくうち、仲間内の空気がど んどん微妙になっていく。ブロガーいわく、「かつては野心的な料理を食べさせてくれた料理人のキャスパーが、すっかり堕落した」とコキ下ろしていたのだ。 今日の料理が本意でないだけに、どうしても悶々としてしまうキャスパー。しかもブログの内容がツイッターを通じてますます広まっていくに至っては、どうし たって悔しい気持ちは隠せない。次に息子パーシーと顔を合わせた時も、当然のごとくこの話題が出た。そもそもツイッターそのものがよく分かっていないキャ スパーは、パーシーに自分のアカウントを作ってもらう。ところが、これがマズかった。なまじっか分かりもしないのにツイッターに首を突っ込んで、例のブロ ガーにケンカを売るメッセージを送ったからいけない。キャスパーはブロガー個人にメールのようにメッセージを送ったつもりだったが、この罵倒は全世界に向 けて公開されていた。キャスパーのメッセージはとんでもない数の人々の目に留まり、今さら退くに退けない状況になってしまった。店の厨房でもこの一件は話 題になっていたが、マーティンやトニーは「無視しろ」とキャスパーに忠告する。しかし、そうすると意地になってしまうのが男の悪いところ。よせばいいの に、キャスパーはまたしても挑発的なメッセージを送ってしまう。「今夜、店に来い、新作を味合わせてやる!」…ところがそんな折りもおり、またしてもリー バが厨房に現れた。案の定、新作を試したいキャスパーと揉めに揉める。しかしキャスパーも前回妥協してあんな結果になっただけに、今回ばかりは譲れない。 激しいやりとりの末、「言うことを聞けなければ辞めろ」「あぁ、辞めてやる!」という最悪の結果になってしまう。キャスパーは後を追おうとするマーティン をとどめて、ひとりで店を飛び出して行った。そんな事とは知らず、キャスパーと食通ブロガーの「対決」を楽しみにやって来た大勢の客で、店は大にぎわい。 そんな中に、問題のブロガーであるラムジー・ミシェル(オリバー・プラット)もいた。当然、彼は「新作」が食えると思っていたから、目の前に出された旧態 依然の料理の数々に呆れ顔。こりゃあ逃げたな…とばかり皮肉なつぶやきをツイッターで発信し始める。自宅で料理を作りながら何とか気を鎮めようとしていた キャスパーだが、これには居ても立ってもいられない。いきなり店に乗り込んで、ラムジー相手に「ふざけるな、この野郎!」と怒鳴りまくった。しかし、時は スマホ時代。そしてYouTubeの時代。キャスパーご乱心の様子はたちまち全世界を駆け巡った。これが災いしてか、彼にはどのレストランからも引き合い が来ない。見かねたイネズが自分の会社の広報担当者に相談させるが、今さらネットに上がったものはどうにもならない。むしろ広報担当に「炎上マーケティン グ」を勧められる始末で、かなりヘコまざるを得なかったキャスパーだった。そんな彼に、イネズがひとつの提案をした。仕事もなくなったことだし、彼女と パーシーと一緒に故郷マイアミに行かないか…というのだ。最初は「仕事に戻らないと」とか「カネがない」とか躊躇していたキャスパー。しかし、現地で仕事 が忙しいイネズに代わって子守りをして欲しいと頼まれ、最近ちゃんと向き合ってないパーシーと関係を改善するチャンスと言われると、心がグラつかざるを得 ない。結局、久方ぶりに「家族」の旅をすることになるキャスパーだった。故郷のマイアミは、傷心のキャスパーを暖かく迎えてくれた。ミュージシャンである イネズの父親のホットなラテン・ミュージックに興奮して、本場のキューバ・サンドイッチに舌鼓。そのうちキャスパーも、「フードトラック」でこいつを出し ても悪くないかな…と思い始めた。その時になってキャスパーは、イネズがなぜ彼をマイアミに連れて来たか気がついた。「さては、君はオレがその気になると 分かっていたんだな!」…。

みたあと

  アメコミ映画氾濫のハリウッドでも、僕は「アイアンマン」のユーモアと暖かさが好きだった。だからそんな作品を作ったジョン・ファブローがこぢんまりと 作った本作を、大いに期待した訳だ。豪華キャストが並んでいるのも、そんな彼を応援するつもりで出演してくれたからだろう。食い物屋を題材にした映画にハ ズレが少ないということもあって、実はすごく見たかった映画なのだ。太ってデカいファブローの体型もシェフにピッタリ。彼が撮った「アイアンマン」2作が 娯楽映画としてキッチリ作られていたことも含めて、僕としては本作に期待しかなかった。唯一引っかかるといえば、「三ツ星フードトラック始めました」とい うバカな女が読みそうな雑誌の見出しみたいなサブ・タイトル。それ以外は、ひとかけらの不安も持っていなかった僕なのだ。

みどころ

  開巻いきなり、見事な包丁さばきを見せるファブロー。これは佳作傑作の予感。仕事熱心ながらちょっと自信過剰にもなっている主人公、主人公と息子の関係、 主人公が店を辞めなきゃならなくなるいきさつ…など、娯楽映画としての定石も押さえつつ語り口は快調。特に主人公が店を辞めるくだりは、つい最近自分自身 が勤め先を辞めざるを得なかったことを連想して、個人的に勝手に感無量。現在、自分がやりたかった8年越しの企画を思う存分やらせてもらっているので、こ の主人公の気持ちはよく分かる。さらに…こりゃあジョン・ファブローの思い入れも入ってるんだろうなぁ…と痛感した。「アイアンマン」がお仕着せのやる気 が出ない仕事…って訳じゃないだろうけど、やはり自分の企画でやる仕事とは訳が違う。映画の中盤でフードトラックを始めるくだりで息子のパーシーが焦げた サンドを「どうせタダだから」と客に出そうとすると、主人公が断固としてこれを止めるくだりが出てくるが、このあたりにも仕事に妥協したくない主人公の気 持ちが出ている。僕は見ていて完全に主人公に共感してしまった。映画は中盤、主人公がフードトラックを手に入れてからガラリと調子が変わり、ロサンゼルス を目指してのロード・ムービーへと変貌。それにノリのいいラテン・ミュージックと美味そうな食べ物がふんだんに盛り込まれているから、見ている側の幸福 感ったらない。ジョン・レグイザモの気のいい相棒ぶりも合わせて、娯楽映画の楽しさに溢れているのだ。こりゃあやっぱりかなりの傑作じゃないのか?

ここからは映画を見てから!

こうすれば

 ところが終盤、フードトラックがロサンゼルスに着いてしまうと、映画はちょっとおかしな方向に向 いていく。まず、例の食通ブロガーと和解したあげく、この男の出資で店を構えることになる。それはそれでめでたし…だとは思うが、結局また店に雇われるっ てのはどうなんだろう? 自主独立で気ままにやりたいようにやるフードトラックの方が、彼の気質に向いててよかったんじゃないの? それまでのフードト ラックでの珍道中が至福の時間だったので、なおさらそう見えてしまう。おまけに息子に仕事を手伝ってもらう…なんて言ってぬか喜びさせておきながら、そっ ちはどうなるのだ? 主人公はゴキゲンで大変結構だが、そういうところがどうもシックリ来ない。そういえばジョン・レグイザモの相棒についても…わざわざ 高級店を辞めて主人公の元に馳せ参じてくるし、フードトラックで骨身惜しまず一緒に働いてくれるし…と徹頭徹尾主人公にとって都合のいい人物であり続ける あたり、後から考えてみると少々気になってくる。そんなに都合のいい人間が世の中にいるだろうか? ついでに言うと、ダスティン・ホフマンやスカーレッ ト・ヨハンソンといった豪華キャストも、ほぼ使い捨ての状態になっているのが気になる。アレだけ豪華なスターを使っているだけに、終盤で再登場して何らか のかたちで活かされなきゃ変だ。これは完全に誤算だったのではないか。特にヨハンソンは主人公の恋人として設定され、これといった落ち度もない「いい女」 として描かれているので、後半に映画からフェイドアウトしてしまうのが解せない。そういう点も含めて、映画全般にわかって細やかな配慮が欠けている気がす るのだ。結局、脚本・監督・主演…とワンマン映画でやりたいようにやった弊害が出て、自分に甘い部分が出てしまったのではないか。ジョン・レグイザモ演じ る相棒や幼い息子、さらにはスカーレット・ヨハンソン演じる恋人への配慮に乏しい設定を考えると、どうしてもジョン・ファブロー自身の隠された傲慢さが出 てしまった気がしてならない。単に「詰めが甘い」だけでなく、ハッキリ言ってちょっと無神経なのだ。よく出来た娯楽映画というものは最後の最後まで細やか な心配りをして、広げた風呂敷を最後ひとつひとつキッチリ結んでいくように作られるものだ。この作品には、残念ながらそうした配慮に欠けている。作品の出 来という点でも他者への配慮という点でも、「甘え」が見えてしまって興ざめなのである。

さいごのひとこと

 いい材料使ってるのにもったいない出来。

 
 

「ジュピター

 Jupiter Ascending

Date:2015 / 04 / 27

みるまえ

 ウォシャウスキー兄弟…もとい、姉弟の新作がこんなに早くやってくるとは。前作「クラウドアトラス」 (2013)がスゴい映画だったので、こんなに早く新作が見れるのは個人的に嬉しい。しかし「あの」ウォシャウスキー姉弟の新作なのに、全然話題にもなっ てなければ前評判も聞こえて来ないのが気になる。その新作は、いかにも宇宙SFらしい「ジュピター」!…正直このタイトルを聞いただけでドン引きなんだけ ども…(笑)。ウォシャウスキー姉弟と言えば、あの「マトリックス」(1999)でハリウッド映画に革新的映像をもたらした映画作家ではないか。そしてその後も…出来はイマイチだったものの「スピード・レーサー」 (2008)もその映像や企画そのものはユニークだった。次の「クラウドアトラス」も、ハリウッドの商業大作なのにいろいろ野心的な仕掛けで見せる映画 だった。つまり、ウォシャウスキー姉弟の映画は…成功するしないはともかくとして、常に「攻撃的」姿勢の映画だったはずだ。ところが本作は、タイトルから して「ジュピター」…(笑)。何だか、まったくやる気が感じられないタイトルだ。しかも、ポスターとかチラシを見ると、でっかい木星や宇宙空間を背景に、 光線銃らしきモノを持ったヒーローとヒロインと宇宙船が…。こんなポスター、今までも死ぬほど見て来たような気がする。道理でまったく話題になっていない 訳だ。よくあるスペースオペラ映画の典型パターンにしか見えない。これじゃ他の新作の中に完全に埋没しちゃうに決まってる。せっかくあのウォシャウスキー 姉弟が3DでSF超大作を作ったのに、たぶん大コケは免れずすぐに終わってしまう。そんな訳で3D映画ファン、SF映画ファンの僕としては、他の映画に脇 目も振らず慌てて劇場に飛び込んだ次第。

ないよう

  事の発端は20年以上前、ロシアはサンクトペテルブルグにさかのぼる。寒空の下、望遠鏡で星を観察するイギリス青年マクシミリアン・ジョーンズ(ジェーム ズ・ダーシー)とロシア娘のアレクサ(マリア・ドイル・ケネディ)が知り合い、恋に落ちたのがすべての始まりだった。間もなく、アレクサのお腹には二人の 愛の結晶が宿る。マクシミリアンは、なぜかその子を「ジュピター」と名付けたがっていた。そんな折りもおり、二人の暮らす部屋に強盗が押し入る。強盗はカ ネを奪うだけでなく望遠鏡まで持って行こうとするので、マクシミリアンが抵抗する。それが災いして、マクシミリアンは強盗に撃たれて絶命してしまうのだっ た。それから間もなく、アレクサはアメリカを目指す船の上にいた。やがて彼女は、荒れ狂う洋上で赤ん坊を出産。生まれた女の赤ん坊を、亡き夫の遺志に従っ て「ジュピター」と名付けた。「ジュピター」…それはとても強運な名前のはずだった…。しかし、いまや美しい娘に成長したジュピター(ミラ・クニス)の暮 らしは、まったくもって冴えないモノ。憧れのアメリカ、シカゴに住んではいるが、その暮らし向きはとても「いい」とは言えない。母や一緒に移民した縁者と 同居して暮らしながら、ホテルやお屋敷の掃除をして稼ぐ貧乏生活だ。朝早く起きては身を粉にして働き、夜遅く帰宅したらもう寝るだけの暮らし。一体どこが 「強運」なのだ。ジュピターが「こんな生活イヤ」とボヤくのも、まったく無理はない話だった…。ところで、そんなジュピターやロシア移民一家とは別の「よ そ者」が、同じシカゴに秘かに出没していた。彼らの「よそ者」ぶりは徹底していて、その出で立ちからしてまるで違う。それもそのはず、彼らは地球の者では なかった。ファルケ(スペンサー・ワイルディング)、レッツォ(ペ・ドゥナ)、アイビス(デヴィッド・アヤラ)の彼ら3人は、いわば宇宙の「賞金稼ぎ」と でもいうべき存在。彼らはこのシカゴに「何者か」を探しにやって来たのだが、その「何者か」を探しているのは彼らだけではなかった…。夜のシカゴの街に現 れたその男の名は、ケイン・ワイズ(チャニング・テイタム)。彼はとある事務所に入り込み、一人の女の個人データを探し当てていた。ところがそこに、例の 3人が襲いかかってくる。光線銃で攻撃を仕掛ける3人に対して、ケインはバリアーの盾と光線銃で応戦。ローラースケートのように滑空できるシューズで、辛 くもその場を逃げ切った…。そんなことになっているとは知らず、ツライ生活に疲れているジュピター。アメリカに移民して来た親戚連中大勢で食卓を囲んでい る時、家長的な位置づけの伯父ワシリー・ボロトニコフ(ジェレミー・スウィフト)にカネの無心をしてみるが、まさに剣もホロロ。正直言ってジュピターは一 族の中でも浮いている存在のようだ。そんな彼女がカネを欲しがったのは、望遠鏡を買いたかったから。さすが父親譲り…と言いたいところだが、先立つモノが ないんじゃ仕方がない。ところがジュピターの気持ちを知ってか知らずか、従兄のウラジ(キック・ガリー)が「儲け話」を持ちかけて来た。それは「人工授精 を行う病院で卵子を提供する」というちょっとアレな商売だ。いつもだったらウラジの胡散臭さも相まって速攻断ったであろうジュピターだったが、弱り目に祟 り目。デカいカネがつかめるなら…とこの話についつい乗ってしまった…。舞台代わって…ここは誰も見たことがない大都市。建物のデザインから道路のかたち から未来都市みたいな斬新さで、どう見ても地球のものとは思われない。しかしこの都市が特異なのは、そうした形状だけではなかった。この都市には人っ子一 人いない。乗り物もなければ、音もしないし何ひとつ動いていない。完全に死んだ世界なのだ。ところがそこに、ユニークな出で立ちの人物が現れる。まず、宇 宙を支配するアブラサクス王朝の皇帝バレム・アブラサクス(エディ・レッドメイン)。どうやらどこか神経質そうで偏執狂的な性格を見せるバレムという男 が、繁栄していたこの世界を絶滅させてしまったらしい。さらにその妹のカリーク(タペンス・ミドルトン)と弟タイタス(ダグラス・ブース)もその場に現れ るが、こちらはこちらでバレムと対照的に享楽型の性格。贅沢三昧の妹弟をバレムは露骨に軽蔑していたし、妹弟の方でもバレムを皮肉っぽく見ていたのは言う までもない。おまけにタイタスは、兄の皇帝バレムが持つ「地球」の利権を欲しがっていた。何と、地球はバレムの「もの」だというのだが…。一方、地球で は…同居人とアパートにいたジュピターの元に、小柄で頭の大きな典型的「宇宙人」タイプの生き物が襲ってくる。慌ててスマホで彼らを撮影したジュピターだ が…一瞬の空白の後、意識を取り戻したジュピターと同居人は、なぜかすでに「宇宙人」のことなど忘れていた。さらに、従兄ウラジの斡旋で産婦人科医院に やって来たジュピターは、手術室で医師や看護師によってベッドに括り付けられる。様子が変だと思った時にはもう遅い。医師や看護師だと思っていた連中は、 あの「宇宙人」だったのだ。なす術もなく、腕のチューブから毒を入れられようとしていたジュピター。絶体絶命…のちょうどその時、何者かが手術室のドアを ぶち破って飛び込んで来た。空中を滑空するシューズで飛び回り、光線銃で「宇宙人」たちを次々と仕留めるこの男こそ…この前「賞金稼ぎ」たちと一戦を交え ていたケイン・ワイズではないか!

みたあと

  お話はこの後、ワイズがジュピターを助け出し、彼女を追っ手から守り抜く展開となる。実はジュピターはアブラサクス王朝の人間で、亡き女王と瓜二つ。そし て、地球の所有権を持つ王位継承者だと分かる。だから、現皇帝バレムはその命を狙っていた。さらにアブラサクス王朝に莫大な富を得ているのには秘密があっ て…という設定。ジュピターと彼女を狙うバレム、彼女を守ろうとするケイン・ワイズとの間で激しい戦いが続き、ジュピターとケイン・ワイズは恋に落ちる… というお約束の設定。もうハッキリ書いちゃっていいと思うが、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」 (2014)感想文の時も述べたように、今まで掃いて捨てるほど制作された宇宙SFアドベンチャー映画…いわゆるスペース・オペラ映画の「典型」みたいな 作品になっているのである。「典型」と言えば聞こえがいいが、実際のところは「もうすでに見ちゃった」ような既視感バリバリの作品ということ。「スター・ ウォーズ」(1977)の大成功以来、イヤというほど類似作品…例えばかつて「ブリット」(1968)のピーター・イエーツが撮った「銀河伝説クルール」 (1983)とか、マーク・ハミルがかなり老け込んで主演した「風の惑星/スリップストリーム」(1989)などといった作品が作られたが、そういう類い の作品と同じ臭いがする。SF映画好きの僕は決してキライじゃないが、あの「マトリックス」の監督チームの新作としてはどうなんだろう。

ここからは映画を見てから!

こうすれば

  実際、企画がイマイチなだけでなく、映画の出来具合もかなりお寒いモノがある。例えば映画が後半に入ってくると、観客をハラハラさせる趣向が連打されるの だが、それがどれもこれも同じような一本調子の語り口。ジュピターがタイタスと結婚させられそうになる〜ケインが救出に駆けつける、ジュピターがバレムに 王位継承権を譲り渡しそうになる〜ケインが救出に駆けつける、木星の大赤斑の崩壊から逃れるために宇宙船で外にワープしようとする〜ケインが宇宙船に戻ろ うとする…と、同じような見せ場の趣向が繰り返されるので、「またかよ」とウンザリさせられてしまうのだ。しかもジュピターがなぜアブラサクス王朝の継承 者として地球に生まれたのか、何度考えても分からない。どこをどう見たっていいかげんな話ではないか。何よりこの話をショボくさせているのは、どうしても 地球の引力圏から逃れきれていないこと。そもそも地球のお話から始まる展開だし、敵の本拠地は木星にあるし…ということからして仕方ない面もあるが、それ だけじゃない。例えばジュピターが王位継承権を巡って役所のあちこちの部署をたらい回しにされる場面など、黒澤明の「生きる」(1952)で陳情に来た主 婦たちが役所でたらい回しにされる場面とほぼ同様の描き方。確かにコッケイなユーモアは感じるのだが、同時にこのお話を現実的でシミったれたものにもして いる。オレがSF映画に期待しているのは、こういうモノじゃねえんだよ。例えば「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」も地球の引力圏を断ち切れていない 話だが、アレは懐メロポップスをテコにして必然性を持った設定に作り上げている。こちらはただスペース・オペラの典型を何の工夫もなく並べただけで、しか も地球の軒先から離れていかない「向こう三軒両隣」の狭苦しいお話。カネもかかっているし壮大なスケールの話の割に、どうしてもショボい感じが拭えないの だ。そもそも先に述べたように、スペース・オペラ作品として「どこにでもある」ようなお話ってところが致命的。「スピード・レーサー」にしても「クラウド アトラス」にしても、「マトリックス」以降のウォシャウスキー姉弟の作品は作品的、商業的に成功するしないはともかく、「野心的」な企画であったことは間 違いない。それがこんな「凡庸」としかいいようのない作品を…しかも「マトリックス」の監督チームならではの大型予算とテクノロジーを投じて作ってしまう というのは、さすがにいかがなものかと思ってしまう。さらに、それがあくまで地球の引力圏から逃れられなくてショボい…となると、凡百のハリウッド製ス ペース・オペラ映画というより、「スター・ウォーズ」に便乗して日本で作った東宝の「惑星大戦争」(1977)、東映の「宇宙からのメッセージ」 (1978)の方が近いのではないだろうか。せっかく巨額のカネと特殊効果を盛り込んでいるのに、一向にスケール感が出て来ないのだ。今回の作品を一言で いうと、「ウォシャウスキー姉弟、ついにやっちまった」…という感じしかしないのである。

さいごのひとこと

 ペ・ドゥナは気に入られてるみたいだけどねぇ。

 
 

「イミテーション・ゲーム
 /エニグマと天才数学者の秘密」

 The Imitation Game

Date:2015 / 04 / 13

みるまえ

  今年のオスカー・レースの強豪のひとつと見られていたのが、この作品。またしてもカンパチ旦那…ベネディクト・カンバーバッチの主演作である。オスカー作 品賞? 主演男優賞? 黙って見てりゃ調子に乗りやがって、オマエまだまだ早いんだよ。ちょっとお茶の間でウケたからって図々しい奴だ。オモテ立って言う と海外ドラマ好きが口からツバ飛ばしながら「シャーロック」の素晴らしさを並べ立てるので普段は黙っているが、正直こいつのゴリ推しにはウンザリしてい る。「スター・トレック/イントゥ・ダークネス」(2013)、「8月の家族たち」(2013)、さらには「ホビット/竜に奪われた王国」 (2013)では竜の声の吹き替えまで! こう言っちゃ何だが、竜の吹き替えまでこいつにしなきゃダメなのかねぇ。それほど竜に適役だったのか(笑)?  まぁ、元々が「シャーロック」でも偉そうキャラらしく、竜も相当に偉そうだった。「スター・トレック」でも偉そうだった。「8月〜」だけはちょっと異色の 役どころだったが、これも「いつも偉そう」だから…の面白みなのか。とにかくこいつは出てくると偉そうだし、こいつをホメてる奴らまでなぜか偉そうだか ら、正直目障りというのが本音だった。そんな偉そうなカンパチ旦那が「天才数学者」(笑)。オマエこういう役しかやる気ねえのかよ? こいつ絶対にソバ屋 の役とかやる気なさそうだよな。どんだけ上から目線なんだよ。ただ、単純に映画としては、物語に興味があった。第二次大戦中、ナチの暗号解読に駆り出され た天才的な数学者のお話。それがどうやら、後半は受難のお話になるらしい。この主人公も何かワケありっぽいし、何となく「ビューティフル・マインド」(2001)みたいな映画って感じもする。信頼できる映画好きの人からのオススメもあり、興味はいやが上にも増すばかり。そんなわけで…最近では珍しく、公開から割と早めに劇場に駆けつけたワケだ。

ないよう

 1951 年、マンチェスター。強盗が入ったとの通報を受けて、ある家に警官がやってくる。明らかに室内は荒らされているが、その家の主は「何も盗られていない」と 言い張るばかり。その主とは数学者のアラン・チューリング(ベネディクト・カンバーバッチ)。その様子に、駆けつけた刑事のロバート・ノック刑事(ロ リー・キニア)は解せないものを感じる…。それから間もなくのこと、ノック刑事は警察の取り調べ室でチューリングと対峙することになる。そのノック刑事 に、チューリングは疲れた口調ながら意外にも強気の発言を始めるのだった。「これから私の話を聞く気があるか? 途中で批判せず最後まで聞き通す覚悟があ るか?」…そのチューリングの話はそれから10年以上前のある日にさかのぼる…。1939年、ヨーロッパはナチスの脅威にさらされていた。イギリスもドイ ツに参戦。全土は臨戦態勢となり、子供たちが郊外に疎開するため、駅は親子連れでごった返していた。そんなある日のこと、とある建物の中に、ひとりの男が 入って行く。男は例のチューリング。そして建物には「ブレッチリー無線機器製造所」の看板が掛っていたが、それにしては兵隊が警備するなど物々しい雰囲気 だ。チューリングは建物の中に通されたが、それから始まったのは一種の面接だった。面接官となったのは、海軍のデニストン中佐(チャールズ・ダンス)。早 速、面接が始まったが、のっけから会話は噛み合ない。まずチューリングという男はまるでユーモアを解さないばかりか、妙に相手の神経を逆なでするようなこ とばかり言う。「私は世界一の数学者だ」などと真顔で言うから始末に負えない。特にデニストン中佐は英国最高の知性と言われる人々を面接し、次々と落とし て来たのだ。こんな変人に構ってられないと、部屋から追い出そうとしたその時…、「エニグマ!」とチューリングが発した一言に、ハッとして手を止めてしま う。「エニグマ」…それは、ナチスドイツが誇る鉄壁の暗号機のことだった。ここでは暗号の「あ」の字も言わずに面接をしていたのに、ケンブリッジ大学の特 別研究員でしかないチューリングが何故に「エニグマ」と知っていたのか? しかしチューリングは、ここで求められている人材の種類とスキルから見て、その 仕事が「暗号解読」であることを察知したのだった。この男が不愉快ではあるが非凡な男であることを見てとったデニストン中佐は、チューリングを作戦の構成 員として迎え入れる。チューリングと顔を合わせたメンバーは、チェスの英国チャンピオンで伊達男のヒュー(マシュー・グード)はじめ、ジョン(アレン・ リーチ)、ピーター(マシュー・ビアード)など、いずれ劣らぬスキルの持ち主5人。そこに暗号解読作戦の指揮官であるデニストン中佐と、英国秘密情報部 MI-6からミンギス(マーク・ストロング)が立ち会った。こうした錚々たる連中が集まっての秘密任務とは、案の定、ナチスドイツの暗号解読。イギリス軍 は例の「エニグマ」装置を一台入手していたが、それがあったからといって暗号解読は出来ない。暗号を読み取るための「設定」が分からないと、この装置が あっても解読できないのだ。しかも暗号は、毎日0時になると切り替えられてしまう。わずか24時間で、膨大な数の組み合わせとなる「設定」を発見しなけれ ばならないのだ。これはハッキリ言って、人間に出来ることではない。彼らに託された任務は、人間の能力を超えていた。しかしチューリングは、これを不可能 とは思っていなかった。それどころか、集められた他のメンバーを「不要」と言い切ってしまう。作戦チーム立ち上げと同時に不穏なムードが漂ってしまうよう なことを、平気で言ってしまうようなのがチューリングという男だった。ズバリと言えば「空気が読めない」。そもそも、人とうまくやっていこうという気持ち がない。そんな彼の人格は、昨日今日でき上がったわけではない。寄宿学校に通っていた少年期のチューリング(アレックス・ロウサー)は、すでに現在のよう な性格を持ち合わせていた。当然のように周囲の悪ガキどもと折り合いがつかず、連日イジメ抜かれる日々。少年期のチューリングは、ただただ耐える術だけを 身につけるようになっていく。そんなチューリングを陰日なたに守っていたのが、クラスメートのクリストファー(ジャック・バノン)だった。頭脳明晰で男ら しいクリストファーは、何度もチューリングの苦境を助ける。そして他者とうまくやっていけない彼の、良き理解者としてつき合ってくれるのだった。そのうち チューリングには、クリストファーに対して他者に感じられなかったような感情を抱くようになっていく…。一方、暗号解読チームでも、完全に他者から浮いた カタチで打ち込んでいるチューリング。徐々に同僚からも煙たがられるようになったチューリングは、しかしそんなことなどどこ吹く風。おまけに人間の力では 「設定」を導き出すのは無理…と、何やら奇妙な装置の設計を始めた。だが、そんなモノを作るカネなど出せる訳がない…とデニストン中佐は却下。すると チューリングは、予想の遥か上をいく行動に出た。何と上司の上司…チャーチル首相に手紙で直訴。これが受け入れられてお墨付きを得ることになるのだから、 まったく手に負えない。おまけに同僚のうち二人を「不要」とクビにしてしまうから、ヒューたちから煙たがられるどころではなくなってしまう。それでもまっ たく意に介さない、人の気持ちが理解できないチューリングだった。そんな彼は新たな補充要員を採用すべく、新聞に広告を掲載する。それはチューリングでも 手こずるパズルを、短時間に解けることが応募条件だった。こうしてそろそろドイツ軍からの空襲も頻繁になって来たロンドンで、「パズル自慢」の連中が集 まってくる。チューリングはそんな連中に、さらに難解なパズルを「採用試験」として用意していた。すると、そこに集合時間にわずかに遅れて、うら若い女性 が飛び込んでくる。チューリングは入口で兵士と揉めている彼女を「特例」として試験に参加させるが、驚いたことに彼女はアッという間にパズルを解いてしま うではないか。それがチューリングと、非凡な才能を持つジョーン・クラーク(キーラ・ナイトレイ)との出会いだった…。

みたあと

  正直、カンバーバッチのエラそーな態度が鼻についていた(笑)ので、当初はまったく見る気がなかった。映画好きの知人からのオススメがあったので見たいと いう気にはなったものの、「でも、カンバーバッチだからなぁ」…というイヤ〜な予感ばかりは拭えない。ところが、映画が始まってからはちょっと違った。見 る前から分かっていたことではあるが、本作の背景となっている年代がちょうど僕が今つくっている本の題材の年代…1940年前後…と重なっていたのだ。こ うなるとどうしたって気になる。映画が始まって早々、1951年、1939年、そして主人公の少年時代…が錯綜する構成がなかなか巧み。もちろんお話の中 心は1939年に始まる戦中の物語なのだが、いきなり1951年に警察沙汰になって苦境に追い込まれる主人公が「どうしてそうなったのか?」…を探ってい くミステリアスな構成になっているのがミソなのだ。そんな訳で、映画が始まってからはグイグイと引き込まれていった次第。

ここからは映画を見てから!

みどころ

 当然、今回注目されるのがカンバーバッチの主演だが、毎度エラそーな彼に ピッタリの役柄(笑)。やること成すこと人の神経逆なで…ってあたり、カンバーバッチの個性がバッチリ活かされていて素晴らしい。ファンの皆様、これはホ メ言葉なのでお間違いなきよう(笑)。今回はそんなカンバーバッチに、近年の英国映画界でゴリ推しされている大味大スター(笑)のキーラ・ナイトレイ主 演…という布陣。実は、そのあたりも最初あまり見る気にならなかった一因だった。そんなナイトレイはというと、今回もこれまたいかにも「大スター様の登 場」という感じでスクリーンに姿を見せるので、正直ドン引きしていた。あの「ハリウッド・スター」ナイトレイが実は天才的な才能の持ち主…と来るので、 こっちとしてはいささか冷ややかな態度で眺める気分になってしまったのだ。しかし、今回のナイトレイにはちょっと持っていかれた。特に意外な面白さを発揮 したのが、主人公カンバーバッチが彼女に別れ話を持ち出した時。ナイトレイの反論に主人公は唖然呆然。彼が思っていた以上に彼女が変わり者であると知っ て、いつものマイペースが出せなくなってしまうくだりが何とも笑える。これだけでなく、例えばナイトレイにアドバイスされて主人公がとってつけたように同 僚に差し入れを持ってくるくだり…など、ナイトレイがらみの場面は笑える要素が満載。そんなユーモアこそが、最後は悲壮な幕切れとなる本作の隠し味として うまく機能しているのだ。その他にも、主人公がこしらえるコンピュータの先祖みたいな装置の大げささ(アレは本当のモノよりも相当派手に作ってあるのでは ないだろうか)が、見ている者を視覚的にワクワクさせてくれる。あの装置がガシャッ、ガシャッ…と音を立てながら動いている様子は、かなり壮観だ。そして 個人的には、カンバーバッチ演じる主人公の「世慣れなさ」に共感を持った。僕はあの主人公のようには天才ではないし、同時にあそこまで常識と社交性がない 訳ではない。しかし、人との関わり方ではずっと悩まされて来たから、彼が置かれた立場のシビアさが多少は分かる。ネットでは多くの人たちが「人間の多様性 を尊重すべきだ」とか「他人の個性や違いを認めよう」などと、本作の感想としてもっともらしいことを並べている。しかし残念ながら、こんなことを言ってい る連中ほど「人と違う奴」を吊るし上げるものだ。そういう意味で、見ていて大いに身につまされた。偉業を成し遂げようが何だろうが、世間は「個人」を認め やしないのである。さらにラスト・シーンも秀逸。みんなで研究所の書類をたき火で燃やす幕切れは、「青春のお祭り」が終わったような寂寥感があり、何とも 感慨深いのである。

さいごのひとこと

 イギリスがコンピュータ大国になれなかった自業自得なお話。

 

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