新作映画1000本ノック 2012年12月

Knocking on Movie Heven's Door


このページの作品

「ダーケストアワー/消滅」 「エクスペンダブルズ2」 「ロックアウト」 「カリフォルニア・ガール/禁じられた10代」 「推理作家ポー最期の5日間」 「アイアン・スカイ」

 

「ダーケストアワー/消滅」

 The Darkest Hour

Date:2012 / 12 / 31

みるまえ

  またまた宇宙人の侵略モノである。そんなチラシを映画館で見つけたら、SF好きとしては見なくちゃならない。特に今回気になったのは、舞台がモスクワだと いうこと。しかし、決してロシア映画ではない。主人公たちはほとんどアメリカ人らしいし、そもそもアメリカ映画のようなのだが、なぜか舞台がモスクワなの だ。こりゃ何とも不思議な設定だ。そんなことを思いながらチラシをむさぼり読んでいたら、これって「ナイト・ウォッチ」(2004)でロシアから頭角を現し、その後、ハリウッドに渡って「ウォンテッド」(2008)や「リンカーン/秘密の書」(2012)を作ったティムール・ベクマンベトフがプロデュースしているではないか。それで舞台がモスクワになっているのか? こうなってくると、謎が謎を呼んで気になるばかり。公開されるや否や、僕はたまらず劇場に駆けつけたのであった。

ないよう

  モスクワに向かう航空機の中では、二人のアメリカ青年が野望を抱いて語り合っていた。その二人…ショーン(エミール・ハーシュ)とベン(マックス・ミンゲ ラ)は、新しいネット・サービスをロシアの業者に売り込んで、「一発当てよう」と狙っていたわけだ。しかし二人が「捕らぬ狸の皮算用」でほくそ笑んでいる 頃、その航空機が飛行している上空では、誰にも知られずに何やら異変が起きていた…。さて、モスクワに到着した二人は、まず商談相手の企業の会議室へと突 撃。しかし晴れの舞台となる会議室には、一足先にスウェーデン人の「一発屋」スカイラー(ジョエル・キナマン)が乗りこんでいて、二人と全く同じネット・ サービスのプレゼンを行っているではないか。スカイラーの不敵な笑みを見てとった二人は、すぐに何が起きたのかを察知した。要するに「パクられた」のであ る。はるばるロシアまでやって来た意味がなくなった。さすがに意気消沈する二人。特にベンはなかなか立ち直れなかったが、その点オツムが超軽いショーンは 立ち直りも早い。ネットで見つけたモスクワにいるアメリカ娘と仲良くなって、せめてちょっとはオイシイ思いがしたい。こうして彼女たちと連絡をとりつつ、 モスクワで話題のホットなお店へとやって来る。ラッキーなことに、ここで合流した彼女たち…ナタリー(オリヴィア・サールビー)とアン(レイチェル・テイ ラー)と二人は意気投合。楽しい夜になりそうだと思い始めた矢先、そんな二人の気分をブチ壊しにする来客が…。先ほど二人をせせら笑ったチャラ男のスカイ ラーが、エロい美女同伴でやって来たから胸クソが悪くなる。せっかくの酒がマズくなると、思わずしかめツラの二人だった。ところが、異変はそんな時に起 こった。突然、ごった返す店内が停電で真っ暗になる。慌てて外に出ると、停電はどうやらモスクワ全域に起きているようだ。そして真っ暗な夜空から、ゆっく りと光のカタマリが舞い降りてくる。その数はとても数え切れないほどだ。ゆっくりと降りてきた光のカタマリは、下で待ち構えている人間たちのすぐそばまで 来た。たまたまその場にいた警官たちは、武器を持って光に近付いていく。すると…光に触れた警官が、アッという間に粉々に分解されてしまうではないか!  これにはその場で遠巻きに見つめていた人々もビックリ。たちまち押し合いへしあいして逃げ出す始末。しかし、そこかしこに降りていた「光」たちは、人々に 近づいては次々と分解していく。ショーンとベン、ナタリーとアンたちは、必死に逃げる人々の群に押し流されて、元いた店の中に戻ってきてしまった。しかし 「光」たちは、そんな店内にも侵入する。何人もの人々が分解されて、たちまち店内は大パニックだ。あのスカイラーも「光」に襲われるが、連れの女を見捨て て自分だけは助かるという「らしい」対応。慌てふためいたショーンとベンは、ナタリーとアンを連れて店の厨房の奥へと避難。地下室に閉じこもって、「光」 たちをやり過ごそうとする。ところが閉じこもる寸前に激しく扉を叩く者あり。仕方なく入れてやることにしたら、よりによってあのスカイラーが入ってくると いう最悪の結果。ともかくショーンとベン、ナタリーとアンにこのスカイラーも合わせた5人で、この地下室に閉じこもることになる。こうして何日間か閉じこ もっている5人だが、外の物音はコトリともしてこない。飲み食いするモノにも限界があり、いいかげんジッと待っているのも嫌気がさしてきた。こうして5人 はおそるおそる地下室から抜け出し、がらんとした人けのないモスクワの街に出てきたのだが…。

みたあと

  ありがちな宇宙人による地球侵略モノなのだが、とにかくアメリカ映画でアメリカ人が主人公なのに、何でモスクワが舞台なのか…という点が最高に気になる。 これって何か意味があるのか?…と思って見ていたが、結局のところ目新しさ以外は何も意味はない。仮に舞台が東京でもヨハネスブルグでも北京でも、まるっ きり問題はない設定なのだ。そうなっちゃうと、これはやっぱりプロデューサーであるベクマンベトフが、自分がよく知っていて無理も融通もきく「地元」で撮 影させた…と考えるのが妥当なのだろうか。そこらへんで思い出すのが…もうかなり前の作品になってしまうのだが、アメリカのサスペンス映画「ミュート・ ウィットネス」(1995)という作品。アメリカのホラー映画のスタッフが製作費が安いためにモスクワのスタジオで撮影を行っていて、たまたまろうあ者の ヒロインが本当に殺人を撮影する「スナッフ・フィルム」の制作現場を目撃してしまう…というお話。あれからかなり年月は経ったものの、やっぱりロシア制作 だと製作費が安く上がるのではないだろうか。個人的にはこの手のジャンル映画でモスクワが舞台ってのは珍しいので、見た目も新鮮で面白い。赤の広場を人っ 子ひとりいない状態にするなど大がかりな撮影も行っており、この映画の魅力の大きな部分を占める特色となっている。ちなみにこの作品は実際には3Dで制作 されているらしいのだが、日本公開では単なる2D映画となってしまった。これは何とも残念である。

みどころ

  舞台がモスクワ…というユニークな部分をさっ引いて考えると、この映画では「侵略者」の姿がハッキリしない点が面白い。稲光のようなモノが近づいてくると いう得体の知れなさで、見ていてなかなかハラハラさせられる。内容としては不定形でハッキリ正体が分からない「影」が侵略してくる「リセット」 (2010)に似ているが、「リセット」がただただ不条理な状況で進んでいくのに対して、こちらは一応「電磁波」を使って正体を隠している云々という理屈 も通っていて、ヘンに煙に巻くような内容になっていないから、見ていて変な欲求不満にかられることもない。見た目にも「稲光」は迫力もあり、なかなかイイ 感じだ。正直言って低予算のSFホラーだが、一応「スピード・レーサー」 (2008)の主役も張ったエミール・ハーシュが主演ということで、メチャメチャにチープという感じもしない。監督のクリス・ゴラックのお手柄か、はたま たベクマンベトフのおかげかは分からないが、ソコソコ楽しめる出来にはなっているのだ。少なくとも、プロデューサーとして「アポロ18」(2011)や本作みたいな、極めて僕好みの作品(笑)を作ったベクマンベトフの手腕は、大いに評価したいと思う。

こうすれば

  しかし…こういうSFホラーにはありがちなことなのだが、主要登場人物のうち、出てくる女性キャラクターが全員「足を引っ張る」設定というのはいかがなも のだろうか。卑劣感として登場したスカイラーが途中で消えた以降は、とにかく出てくる主要女性キャラ3人が3人とも余計なことをする。そのおかげで犠牲者 も2人ほど出てしまうから後味は最高に悪いのだ。せめて足を引っ張る設定ならば、壮絶に死んで欲しかったよ。というか、死ね!

さいごのひとこと

 モスクワ産のおかげで鮮度倍増。

 

「エクスペンダブルズ2」

 The Expendables 2

Date:2012 / 12 / 31

みるまえ

 スターとしては完全にくすぶってしまっていたシルベスター・スタローンが、数年前にいきなり「ロッキー・ザ・ファイナル」 (2008)、「ランボー/最後の戦場」(2008)と過去のシリーズを継続させた新作を発表してきた時には、さすがにビックリさせられたものだ。しかも そのうち前者については現役感バリバリの鮮度もあり、腐っても鯛ではないが、スタローンもいざとなったらこんな底力を持っているんだなと再認識させられ た。しかし、だからといって彼が現役最前線に完全復帰するとは思ってもみなかったし、「ロッキー」「ランボー」とも「最後の花道」ぐらいにしか考えていな かったのも確かだ。だから完全な「新作」であり、しかも豪華な顔ぶれのアクション大作「エクスペンダブルズ」 (2010)を引っ提げてまたまた登場してきた時には、「ロッキー」「ランボー」で復活してきた時よりも数倍驚かされたというのが正直なところだ。しかも 脇をジェイソン・ステイサム、ジェット・リーという現役陣、そしてドルフ・ラングレンみたいな懐かしい顔ぶれ、さらにブルース・ウィリス、アーノルド・ シュワルツェネッガーといった飛び抜けた連中までをワン・シーンの特別出演ながら取り込んでのオールスター・キャストだ。かつて一枚看板で勝負したころを 考えるといささか寂しくもあるが、より現実的対応と見ればファンとしてはオイシイ展開。僕も元々そう堅苦しく映画を見るタイプではないところに、日頃の忙 しさから面倒くさい映画よりは単純な映画が見たいという欲求が勝っていたこともあって、結構ワクワクして見に行ったような気がする。その時の期待ははある 程度満たされたともいえるし、不満が残ったといえるかもしれない。まぁ、単純に豪華な顔ぶれは嬉しかったし、そんな連中が見せる余裕綽々のやりとりは見て いて楽しい。しかし彼らがあまりに「中学生」的な単純さ幼稚さでツルんでいて、なおかつ「オレたちはこれでいいんだ!」と自己完全肯定に終始しているの は、ある意味でキャリアウーマン映画で「恋に仕事にまっしぐらのワタシ、すべてが正しくてカッコイイ!」と自画自賛されるより見ていて気持ち悪いかもしれ ない。過ぎたるは及ばざるがごとし。「男の子」的スピリットでアクション映画を見せる発想はよかったのだが、ついつい自分たちを肯定したくてやりすぎてし まったらしい。そんなわけで、ちょっとガッカリだった「エクスペンダブルズ」だが、それでもスタローンを完全に「現役」に押し戻すには十分なパワーがあっ たようだ。何とこの作品も堂々のシリーズ化。早くも続編が登場というわけだ。そうなると、それなりの顔ぶれだし付き合わないわけにもいかない。今回はウキ ウキイソイソというわけにはいかなかったが、とりあえず劇場へと足を運んだ次第。その感想文のアップがこんな年末間際にまで遅れた理由は…という毎度毎度 の言い訳は、もうこれを読んでいるみなさんも聞きたくはありますまい。

ないよう

  舞台はネパールの市街地。兵士たちがウロつき要塞化したその街並みの中心部に、その本部らしき建物がある。その中の薄暗い一室では、手錠をかけられて椅子 に縛り付けられた男が、頭から袋をかぶせられて兵士たちにいたぶられていた。その一方、この要塞都市の中に3台の軍用車両がいきなり突っ込んでくる。それ らに乗りこんでいるのは、バーニー・ロス(シルベスター・スタローン)、リー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)、イン・ヤン(ジェット・リー)、ガ ンナー・ヤンセン(ドルフ・ラングレン)、トール・ロード(ランディ・クートゥア)、ヘイル・シーザー(テリー・クルーズ)といった、あの「エクスペンダ ブルズ」の面々だ。彼らはバリケード群をブチ壊しながら突進し、兵士たちをバンバンぶち殺していく。やがて例の本部の建物へと突入。中にいる兵士たちを次 々と倒していくと、椅子に縛られていた男を発見した。その男にかぶせられていた袋をはぎ取ると、それはかつて知ったる人物…バーニーたちの商売敵であるト レンチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)ではないか。トレンチはバーニーに救出されるハメになって困惑した様子。実はトレンチは、同じ部屋に縛られて いた中国人の富豪を救出するために雇われてやって来たものの、チョイとヘマをして捕らえられてしまった。そこで今度はエクスベンダブルズが新たに雇われ、 こうしてやって来たというわけだ。バーニーはトレンチを解放すると、商売敵とはいえそこは同業者。「この借りは必ず返す!」との言葉を残してトレンチは消 えた。バーニーたちも中国人富豪を連れて、その建物から脱出。高圧電線を伝って滑るように市街地を抜け出すと、今度はボートで川を突っ走る。追いすがる敵 たちは、遠くから銃で狙って待ち構えていたビリー・"ザ・キッド"・ティモンズ(リアム・ヘムズワース)がやっつけた。このビリーはエクスペンダブルズの 新入りだが、腕の良さと性格のよさで仲間の信頼を勝ち得ていたのだった。こうしてエクスペンダブルズ全員がお馴染みのポンコツ水上飛行機に集合。何とかか んとか危ないところをダム湖から離陸できたのだった。やがて飛行機は中国上空へとやって来る。ここでイン・ヤンが例の中国人富豪と一緒にパラシュートにく くりつけられ、飛行機から投下される。富豪はイン・ヤンがしかるべき所へと送り届けるのだ。果たしてイン・ヤンが、いつかまたエクスペンダブルズに合流す ることはあるのだろうか…。こうしてイン・ヤンを除くエクスペンダブルズご一行は、母国アメリカに戻ってきた。戦っていない時の彼らの日常と来たら、サラ リーマンの休日よりサエない。仕事の時と同じ毎度お馴染みのメンツとツルんで飲んだくれ、ガキ並みの会話にうつつを抜かす他ない。今日も今日とてエクスペ ンダブルズご一行は、場末のバーに集合。リーだけはビッチな彼女を連れての参加だが、奴はそれがいかにヤボなのかをまるで分かっていない。そんなリーに は、さすがのバーニーもお手上げだ。そんなバーニーに、新入りビリーが「話がある」と声をかける。店の外に出て話を聞くと、ビリーは恋人とフランスで暮ら すのでエクスペンダブルズを抜けたいと告げる。新戦力の離脱は何とも惜しいが、マジメに進路を考えての発言にバーニーも受け入れるしかない。とりあえず は、あと一回の仕事で勇退ということになった。ところがその直後、バーニーはCIA諜報部員チャーチ(ブルース・ウィリス)からいきなり呼び出される。そ の用件は、またしてもかなりヤバいミッションの依頼。しかも「大人の事情」から、バーニーたちにはそれを断り切れない。気に入らないことはさらにある。 ミッションの内容とは、アルバニアで撃墜された飛行機の金庫からあるブツを取り戻すというものだが、そのブツが何かという詳細は一切説明がない。おまけに そのブツが収まっている金庫を開けるために、コード解読の専門家を連れて行かねばならないというのだ。どんな奴が来るかは知らないが、足手まといになるこ とは間違いない。チャーチに憎まれ口を叩いたものの、引き受けざるを得ないと腹をくくるバーニー。しかしその後で、チャーチいわくの「コード解読の専門 家」と落ち合ったバーニーは、さらに気分が重くなる。問題の「専門家」はレザー・ファッションに身を固めバイクでコワモテにキメて来たものの、バーニーに 言わせれば「所詮は女」の中国系マギー・チャン(ユー・ナン)。これにはそもそも気が乗らなかったバーニーのやる気が、さらに低下していくのは仕方がな い。こうしてまたまた例の水上飛行機で、アルバニアへと向かうエクスペンダブルズご一行。案の定、例の女マギーが隊員たちの注目の的となるのは言うまでも ない。中でも興味津々なのはガンナーだが、このマギーという女、大の男を軽くいなす度胸はあるようだ。どうもただのタマじゃあるまい。ともかくアルバニア に到着した一行は、濃い霧の中を現地に到着。問題の墜落機もすぐに発見。ブツの回収へと進む。マギーが金庫のコード入力用のボタンを作業できるように、 バーニーとヘイルが必死で閉じようとする扉を引っ張ったりと苦労はあったが、何とか金庫を開けてブツを回収。サッサと引き揚げようと霧の漂う野原を進んで いくと…見張りとして先回りしていたはずのビリーが、見知らぬ男たちに捕らえられているではないか。それは国際的犯罪者で武器商人のジャン・ヴィラン (ジャン=クロード・ヴァン・ダム)と、その右腕へクター(スコット・アドキンス)率いる一団だった…。

みたあと

 正直に言って、今回も前作とあまり印象に変わりはない。やってることも変わりないし、メンツも基本的に変わりないからだ。こう言ってしまうと、もう感想文を書く意味がなくなってしまう(笑)。仕方ないので、もう少しだけつまらないタワゴトを並べてみようか。

ここからは映画を見てから!

こうすれば

  本作は続編の常として「増量」がなされており、確かにアクション映画好きにとってはジャン=クロード・ヴァン・ダムとチャック・ノリス(こちらはほぼゲス ト出演)の参加は魅力的ではあるが、正直言って「増量」は「増量」でしかない。最初の「これだけのメンツが揃った!」というインパクトは、もう望むべくも ないのだ。また今回は、前作ではワン・シーン出演だったブルース・ウィリスやアーノルド・シュワルツェネッガーという「大物ゲスト」がたくさん出てきて、 おまけにアクションまで参加するというお楽しみもある。しかし、それすらもやっぱり「増量」でしかなく、映画の内容が劇的に変わったり良くなったりするも のではない。映画において「増量」とは価値が高まるというより、「厚化粧」や「厚塗り」でしかないのである。それよりせっかくの「大物ゲスト」がそんなに 安っぽく普通に出てしまっては、有難みも欠けてしまおうというものではないか。これはちょっといかがなものだろうか。やはり超オールスター・キャストが売 り物だった「オーシャンズ11」(2001)がシリーズ化した時もそうだったが、そもそも「あり得ないと思っていた豪華キャスト」が一回実現してしまった時点で「あり得ない」ことではなくなっている。だからその後繰り返しても、それは「当たり前」のことでしかなくなっているのだ。「タワーリング・インフェルノ」 (1974)のスティーブ・マックイーンとポール・ニューマンの共演は、たった一度、一期一会の共演だったからこそ「スゴイ」のである。何度も何度も繰り 返されると、ありがたくも楽しくもなくなってしまうのだ。スタローンはじめ一枚看板では維持できなくなったアクション・スターたちの活路としてはいい発想 だったが、これを「シリーズ化」というのはいろいろと難しいのではないだろうか。僕としてはむしろ、紅一点のコード解読の専門家として「トゥヤーの結婚」 (2006)の中国女優ユー・ナンが出てきたのにビックリ。そういえばこの人、なぜか「スピード・レーサー」 (2008)にも出てきたんだっけ。およそハリウッド大作とは対極に位置するようなこの人が、外国映画に出るとこんなのばっかしというのも何とも奇妙だ。 ともかく、悪役としてのジャン=クロード・ヴァン・ダム登場はともかく、チャック・ノリスに関しては完全に冗談みたいな出演の仕方。おまけにブルース・ ウィリスやアーノルド・シュワルツェネッガーに関しては、「アイル・ビー・バック、アイル・ビー・バックって、オマエそれしか言えないのかよ?」とウィリ スがシュワに突っ込んだりするような漫才的使われ方しかしていない。だから映画のオールスター・キャストというより、見ていて昔の正月にテレビで延々と やっていた「オールスター新春かくし芸大会」に近いモノを感じてしまった(笑)。でも、それってアクション映画の楽しさとは微妙に違うんではないかい?

みどころ

  というわけで随分コキ下ろしちゃった「2」だが、前作より良くなった部分もある。今回はミッキー・ロークがいなくなったおかげで、エクスペンダブルズが彼 のバーにタムロしてウダウダやってる場面がなくなった。いきおいあの気持ち悪い「オレたち男の子!」的なツルみ場面が減ったわけで、変な自己陶酔、自己正 統化が影を潜めた。それだけでも、今回監督を引き受けた「コン・エアー」(1997)、「トゥームレイダー」(2001)のサイモン・ウエスト監督はお手柄だったかもしれない。

さいごのひとこと

 厚化粧は老化を早めるかも。

 

「ロックアウト」

 Lockout

Date:2012 / 12 / 24

みるまえ

  リュック・ベッソン・プレゼンツ映画である。もうこれだけでどんな映画か分かる奴は分かる。マトモな映画ファンは相手にしなくなる。確実に中学生レベルの バカ映画確定だからだ。しかし、ハッキリ言って僕もくだらないなぁと思ってはいるが、時として「駄菓子」のような楽しさがあるから捨てきれない。今回は、 近未来に凶悪犯の監獄が宇宙ステーションになっていて、そこにたまたま大統領の娘が見学に行った時に暴動が発生。大統領の娘を助け出すために、単身スゴ腕 で一匹狼の捜査官が殴り込むってお話。まぁ正直なところ、それだけ聞いただけでも「ニューヨーク1997」(1981)の焼き直しってことは明らか。おま けに主人公の井匹狼が、不敵でユーモラスな言動をしている設定と聞けば、ますます「ニューヨーク1997」のスネークを連想させる。あるいは、そこに「ダイ・ハード」 (1988)が乗っかってくるかもしれない。よくもまぁ、まるまるパクったもんだ。そんなわけで、この映画の企画にはほとほと呆れかえったものの、主役を あのガイ・ピアースが演じると聞いてちょっと気になったのも確か。ガイ・ピアース、一時期はイギリスの有望株として売り出して、 「メメント」(2000)、「タイムマシン」(2002)、「トゥー・ブラザーズ」(2004)など主演作も相次いだものの、いつの間にか「クセモノ役者」として「英国王のスピーチ」(2010)のように脇に回るようになってしまった。そんな彼がSF娯楽大作の主役、それもアクション映画のヒーロー役とは。これって明らかにリーアム・ニーソンを「96時間」 (2008)に起用して大成功した、「演技派」俳優をアクション・ヒーロー化するというパターンを応用したものだろう。そんなリュック・ベッソンの単純な 発想はミエミエながら、ガイ・ピアースのアクション・ヒーローぶりは確かに気になる。そんなわけで、公開後かなり経ってから劇場に駆けつけたわけだ。

ないよう

 2079 年の近未来。薄暗い取調室で、不敵な面構えのスノー(ガイ・ピアース)が火を付けたタバコをくわえさせてもらい、うまそうに一服。その両手は手錠をかけら れて自由がきかない状態だ。それでも平然とへらず口を叩いて、思い切り顔面にパンチをくらう。そのおかげでくわえたばかりのタバコは折れ曲がってしまった が、スノーはそんなことをさほど気にしていないようだ。犯罪者として捕らえられているスノーは本来はCIA捜査官。そんな彼を尋問しているのは、秘密情報 機関長官のスコット・ラングラル(ピーター・ストーメア)だ。ラングラルは「一体何があったのかを話せ」とスノーに命じる。ナメたことを言っては横にいる 屈強な男のぶん殴られるという繰り返しの中で、スノーは自分が捕らえられるに至った事情について語り始めた。彼が捜査のためにある部屋に入ると、そこには オトリ捜査官のフランク(ミオドラグ・ステヴァノヴィッチ)が撃たれて倒れていた。フランクは国家機密を売ろうとしている諜報員がいるという情報を得て、 捜査を進めていたところだった。ところが、なぜかこの部屋が一斉射撃され、まるでスノーが犯人扱いされるではないか。スノーは問題の「機密」が入ったカバ ンを持って部屋を脱出すると、建物から何とか逃げ出した…。しかしそんなスノーの話を聞いても、ラングラルはまるで信用しようとしない。ラングラルはス ノーがフランクを撃ち殺したのを見た…と、あくまで主張するばかり。部屋から持ち出したカバンはどうしたのかとスノーを問いつめるが、彼はカエルのツラに ションベン的な態度を崩さない。実はスノーはあの日、地下鉄駅まで逃げのびて「情報屋」のメイス(ティム・プレスター)と接触。彼にカバンを渡してから警 官たちに捕まったのだ。あのカバンの中味さえ確保すれば、自分の「無実」は証明できるはず…と固く信じるスノー。しかし彼の言い分を聞く気がまったくない ラングラルに、そんな話をするつもりもない。しかし、入れ替わった取調官ショウ(レニー・ジェームズ)は少しはマシなようで、スノーの言い分を聞く気があ るようだ。そこでスノーは、ショウに、「情報屋」メイスがカバンの在りかを知っていることを打ち明けるのだが…。そんな取り調べが行われている頃、地球か らやって来た1機のスペースシャトルが、巨大宇宙ステーションにドッキングする。実はこの宇宙ステーションは、アメリカが凶悪犯罪者を収容するために建造 した宇宙刑務所「MS-1」だった。そしてスペースシャトルには、アメリカ大統領の娘エミリー(マギー・グレイス)ご一行が乗りこんでいた。実はこのエミ リーは社会活動に熱心で、今回はこのMS-1における囚人の待遇に問題はないのか、人権の面から調べようとやって来たのだ。それというのも、MS-1では 犯罪者を人工冬眠状態で収容しており、その「解凍」時に脳が損傷していることもしばしばだというウワサだ。エミリーはその実態を調査しにやって来たのであ る。そんな彼女を出迎えたのは、この刑務所の所長(マーク・タンカースリー)。エミリーご一行をへりくだった態度で歓迎したが、宇宙ステーション内の武器 携帯は断固として拒んだ。そこで入口で全員武装解除されるが、ただ一人エミリーの側近であるシークレット・サービスだけは秘かに拳銃を中に持ち込んだ。や がて取調室にエミリーが入り、ガラスごしの隣室に囚人のハイデル(ジョセフ・ギルガン)が「解凍」されて連れてこられた。このバイデル、人工冬眠のせいな のか元々からこういう奴なのか、かなりアブない男だ。エミリーの質問にも満足に答えないので、ハイデルの横で見張っていたシークレット・サービスが大声で どやしつけた。しかし、こういう男を甘く見てはいけない。手癖の悪さでは右に出る者がいないハイデル、ちゃっかりシークレット・サービスが隠し持っていた 拳銃を手中に収め、いきなりガラス越しにブッ放すではないか。たちまち取調室は阿鼻叫喚。取調室にいた見張りの警官はアッという間に倒され、自由になった ハイデルは刑務所のエンジニアたちを脅し、凶悪犯たちを次々「解凍」させてしまった。最も始末が悪かったのが、このハイデルの兄アレックス(ヴィンセン ト・リーガン)が悪いうえに頭も切れる男だったこと。このアレックスが暴動のリーダーとなり、 MS-1の中は大混乱。看守たちも次々にやられて、収拾がつかなくなった。当然のことながらエミリーたちも捕らえられ、囚人たちの人質となってしまう…。 その頃、スノーはMS-1送り決定となり、今にも人工冬眠処理をされるところだった。そこに飛び込んできたMS-1の反乱と大統領令嬢人質の知らせ。大統 領の娘を救出するためには、それなりの腕利きを潜入させなければならない。ここで一計を案じたショウは、ラングラルにスノーを潜入させることを言いくるめ る。スノーはと言えば、そんなところにわざわざ行きたくもないので最初はブツクサ言っていたが、ショウにコッソリとMS-1に「情報屋」メイスが収容され ていると聞かされれば話は別だ。こうして大統領の娘エミリー奪還の密命を帯びて、スノーはMS-1に潜入することになったわけだが…。

みたあと

  それにしても、これほど前にどこかで見たような内容の映画も珍しいかもしれない。やっぱり「ニューヨーク1997」だったし、主人公が減らず口を叩きなが らタバコを手放さないって設定は「ダイ・ハード」だった。そもそも「ロックアウト」ってタイトルからして、今までそんなタイトルの映画は腐るほどあったよ うだし、見た後だってすぐに他の映画の中に埋没必至なシロモノだ。本当にビックリするほど手垢がつきまくったような印象の映画なのだ。これって元のストー リーや脚本はリュック・ベッソンだとのことだから、どうせテキトーにチャッチャカ書いたのだろうと想像はつく。まぁ、ただ映画に多くを望まなければ、これ はこれで楽しめる設定でもあるのだ。元々、SFアクションはキライなジャンルじゃないから、ソコソコ楽しめるだろうと思ったわけだ。そして冒頭からいきな り出てきたガイ・ピアースのタフガイぶりが、予想通りになかなかのハマりっぷり。不敵なツラ構えと減らず口が、なかなか板についているのだ。こりゃあ結構 楽しめるんじゃないだろうか。

ここからは映画を見てから!

こうすれば

  娯楽映画を楽しむには、やっぱり主要登場人物のキャラクターが大切だ。いくらすごいスペクタクルが楽しめても、いくら派手なアクションが展開しても、出て くるキャラがつまらないと十二分に楽しめない。今回の映画では主人公のガイ・ピアースのタフガイぶりはなかなかイイ感じ。だから僕も安心してスクリーンを 眺めていようと思ったのだが…思わぬ伏兵に足をすくわれることになろうとは。実はこの作品、ガイ・ピアースが主役なのは間違いないが、ずっと彼と行動を共 にする主要登場人物が一人いる。それがピアースが救出しなくてはならなくなる大統領令嬢役のマギー・グレイス。これが何ともタチの悪いキャラクターなの だ。究極のセレブの娘という地位があるからそんなことやってられるということにも気付かず、お付きの者を連れてノコノコと宇宙刑務所へとやって来ただけで も世間知らずな小娘感がスゴイ。結果的にこいつのせいで囚人たちが目覚めて暴動が発生。刑務所長や看守たちだけでなく自分のお付きの者たちも殺されたの に、まるで悪びれていないという根性の悪さ。特に彼女についてきたシークレット・サービスは、酸素が欠乏してきた時に彼女を生き延びさせるため自殺してく れたのにも関わらず、この小娘はまったく感謝もなければ関心もなさそうだ。いやぁ、ハッキリ言って気分が悪い。演じているマギー・グレイスは「96時間」 でリーアム・ニーソンの娘を演じた女優さんで、再びリュック・ベッソン映画の救出されるヒロイン役ということになる。しかし、二度も起用するほど良い女優 かね。どうせリュック・ベッソンの「お手つき」じゃないの?…と意地悪も言ってみたくなる。この大統領令嬢だけでなく、そもそもシークレット・サービスも わざわざ銃を刑務所内に持ち込まなければこんな事にならないわけで、あまりにズサンというか自業自得というか。それより何より拳銃一丁盗まれただけのこと でアッという間に刑務所全体が占拠されてしまうなんて、どれだけセキュリティーがいいかげんなんだか。これで凶悪犯罪者たちを収容する難攻不落の砦…とは チャンチャラおかしい。このあたりがいいかげんでユルいから、映画全体も安っぽくなるのだ。これは元々のリュック・ベッソンの脚本も悪いだろうが、監督を したアイルランド出身のスティーブン・レザーとジェームズ・マザーのコンビは脚本にも関与しているのだから責任がないとは言わせない。もっと困っちゃうの は悪役の設定で、賢いワルの兄貴と愚かでケチな悪党の弟…という構図は悪くないが、賢くて大物のワルのはずの兄貴があんな結末になるとは情けない。おまけ に、後に残ったキチガイの弟も宇宙ステーションと運命を共にするだけで、最後はどうなったのか…ギッタンギッタンに自滅するとか痛い目に遭って死ぬとか、 ちゃんと描かれないのは手落ちではないか。主人公を苦しめた最大のワルは、最後は大見得を切りつつ堂々たる退場ぶりを見せなきゃ、観客としてはカタルシス がない。「ダイ・ハード」ラストのアラン・リックマンの派手な退場ぶりを思い出していただきたい。今回の作品には、娯楽作品に欠かせない素晴らしい悪役と その素晴らしい死にっぷりが決定的に欠けている。だからイマイチ盛り上がらないし、最後もスカッとしない。これはちょっと娯楽アクションとしてはダメなん じゃないだろうか。

みどころ

 そんな中での収穫は、結局はガイ・ピアースということになるだろう。この人って結構ちゃんと主役もやれるのだから、あまりクセモノ役者然として脇に回ってばかりじゃもったいない。この感想文の冒頭でもちょっと語ったが、最近では「ハート・ロッカー」(2008)にちょっと出てきてすぐ退場しちゃう役とか、「ハングリー・ラビット」(2011)のクセの強すぎる悪役とか、「プロメテウス」(2012)の超老け役とか、演技力があるのは分かるのだが、スターとしてはいかがなものかと思わされる役ばかりだったから、今回のストレートな役柄は久々に嬉しかった。なかなか不敵なキャラが似合っていて、もっとアクション映画に出て欲しいと思ったよ。

さいごのひとこと

 主役はいいけど相手役と悪役に恵まれず残念。

 

「カリフォルニア・ガール/禁じられた10代」

 Dirty Girl

Date:2012 / 12 / 10

みるまえ

 この映画の存在は、チラシで知ったと思うがもうハッキリと覚えていない。とにかく悲しいほど話題にならなかった作品だが、まずは主演がジュノー・テンプルだということに目がいった。「ミスター・ノーバディ」(2009)を見た人なら、主人公の義理の妹にして「運命の女」となる彼女のことを忘れられないだろう。彼女のキャラが大人に成長してダイアン・クルーガーになった時は、ちょっとガッカリしてしまった記憶がある。そのくらい、あの映画の彼女は輝いていたのだ。さらに、「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」 (2011)では若くて賢いアンヌ王妃を演じて、これまたフレッシュ。ますます若手の有望株として期待が持てた。そんな彼女の単独主演となれば、見ないわ けにはいかないだろう。おまけに脇を固めるのがミラ・ジョボビッチとウィリアム・H・メイシーというちょっとした豪華キャストなのもお得感がある。それな のに不思議なほどショボい公開規模というのが気になるが、まずは劇場に駆けつけた。実際には一ヶ月以上前に見た作品なのだが、ここまで感想文アップが遅れ たのは単に僕の怠慢のためである。

ないよう

 1987 年、ここはオクラホマ州のとある田舎町。女子高生のダニエル(ジュノー・テンプル)は、男なんていくらでも手玉にとれると思っていた。今日も今日とて昼休 みに学校の駐車場に停めたクルマの中で、クラスメートの男の子と一戦交える。周囲からは札付きのアバズレと見られているが、そんなことは気にしない。そも そも周囲なんて眼中にない。ただちょいとばかり教室でおイタが過ぎたため、教師に睨まれたのが運の尽き。校長室に呼ばれたあげく、問題児ばかりが集められ た特別クラスに入れられることに。ウンザリしながらその特別クラスに顔を出すと、まぁ何ともパッとしない妙ちきりんな奴ばかり集まっている。そんな特別ク ラスでは、生徒たちに「人間関係」を教えるために独特なプログラムを組にレポートを発表するというもの。それを聞いただけでゲッソリのダニエルだが、もっ とイヤになるのは新入りでビッチ臭プンプンの彼女に他の連中もドン引きしていること。結局、この特別クラスの中でも一人浮いている内気で小太りなクラーク (ジェレミー・ドジャー)とペアを組まされるハメとなる。これはダニエんでいた。それは、生徒たち同士で「夫婦」になってそれぞれ小麦粉の袋を「子供」と して育て、定期的ルとしても最大の屈辱だ。おまけに以前のように色仕掛けで男の子たちを落とそうにも、ここまで尻軽視されるようになってしまうとマトモに とりあう奴もいない。おまけに後ろからは例の「夫婦」レポートの宿題をやらなきゃ…などと言って例のクラークが着いてくるアリサマだから、いいかげん物笑 いの種だ。そんな調子で発表することになった最初の「夫婦」レポートは、だから散々な結果になってしまう。他の「夫婦」たちが結構仲良くやっていて、小麦 粉の袋をそれなりに可愛らしく飾り立てたりしているのに、彼らと来たらただ袋に目や鼻を描いただけ。当然のことながら先生に怒られたダニエルは、クラーク とみっちり「宿題」をやるハメになる。そんなわけでダニエルは、不本意ながら自宅にクラークを上げることにした。そんなダニエルの家は母子家庭。母親の スー・アン(ミラ・ジョボビッチ)は若くして未婚の母となり、ダニエルを今まで一人で育ててきた。だが、ヘンテコな宗教にハマっていてアレコレと口うるさ く、ダニエルとしては煙たくて仕方がない。おまけにその宗教絡みでレイ(ウィリアム・H・メイシー)という男と恋仲になったから始末に負えない。こいつが 早くもスー・アンとの結婚を前提に亭主ヅラ父親ヅラして道徳臭を押し付けてくるから、ダニエルとしては我慢ならないのだった。一方、家庭に問題アリという ことでは、クラークも人後に落ちない。彼は男にも女にも関心アリの「バイ・セクシュアル」なのだが、そんな彼をマッチョ主義の父親は理解できない。母のペ ギー(メアリー・スティーンバーゲン)はそんな息子を理解しようとしているのだが、高圧的な夫を前に為す術もない。正直言ってハミ出し者という点ではどっ ちもどっちなダニエルとクラークは、徐々にお互いを理解するようになる。そんなある日、ダニエルはクラークに自分の父親について語った。実はダニエルの母 親スー・アンは、まだ高校生の時に学校の職員だった男と結ばれたのだった。そんなまだ見ぬ父親のことをダニエルから聞いたクラークは、その男が今どこにい るのかを突き止めて教えた。どうやら彼女の父親は、今はロサンゼルスに住んでいるらしい。そう聞くや否やダニエルは、父親のもとに行きたいとクラークにせ がむ。母親の再婚話が目前となっている彼女にとっては、もはや尻に火がついているも同然。すぐにこの家を逃げ出したいと思うのも無理はない。しかしクラー クは、突然家出なんてとんでもない。おまけにダニエルはクラークの家のクルマを出してくれと言ってきたが、クルマは父親がピカピカに磨き上げている自慢の シロモノ。そんなことをしたら、それこそ父親に殺されかねない。いくらダニエルのたっての願いでも、とてもじゃないが聞けないと拒絶して家に帰るのだっ た。ところがクラークが帰宅すると、状況は一変していた。クラークの留守中に、彼の部屋から男のヌード・ポスターが発見されてしまったのだ。当然、父親は 逆上。その剣幕に動転したクラークは、とっさに父自慢のクルマに飛び乗って逃げ出した。こうなりゃついで…とばかりに、ダニエルの家にやって来るクラー ク。大喜びのダニエルを乗せて、クルマは一路ロサンゼルスへと走り出した…。

みたあと

  まず、最初に言っておかねばならないのは、タイトルの「カリフォルニア・ガール」ってのは題名に偽りありってこと。ヒロインのダニエルは「カリフォルニ ア・ガール」ではない。彼女はオクラホマ州の住人で、逃避行の果てにめざす場所がカリフォルニアのロサンゼルスというわけだ。そして映画が始まってすぐ に、何となくこの映画がどこか時代遅れな雰囲気だと気付く。やがてヒロインが校長室に呼ばれると、そこにはレーガン大統領の写真が飾ってあるではないか。 そこで僕はやっと、この映画がレーガン政権下の1980年代を舞台にしていることに気付いた。そういえば、映画の冒頭からちょっと古いポップスが流れてい るなと思ってはいたが、どれも1980年代のヒット曲だったか。なるほど、それで「時代遅れ」っぽい気がしたのか…と思ってはみたものの、果たしてこの 「古さ」はそれだけのせいなのだろうか…。

ここからは映画を見てから!

こうすれば

  こないだのブッシュ政権下の時と同等か、あるいはもっと保守化していたレーガン政権下のアメリカを舞台にしているということは、この映画に何らかのテーマ か問題提起をしようとする意図があったように思われる。そんな時代はこの映画のビッチなヒロインやその相棒であるバイセクシュアルのクラークにとっては、 かなり生きにくい時代であったことは明らか。だから、そこに何らかの意味合いが持たせてあるもの…と見ている側では思ってしまう。しかし実物の映画を見て いる限りでは、特にそんな感じには受け取れない。映画の終盤ではヒロインもクラークも完全に敗北しちゃっていて、それぞれの親の思い通りにさせられてい る。ヒロインはすっかり大人しく「去勢」され、クラークは軍隊に入れられているのだ。ところがラストでそんな二人は再会して、「どっこいまだまだハジける ぜ!」と笑顔で意気揚々となる幕切れ。ただし、特にそこから反骨精神を発揮させていく気配はない。そもそも、親の思い通りになっている状況を否定している ようでもないのだ。だから何を描きたいのか意味がよく分からないし、何だかスッキリしないエンディングとなっている。そもそもこの映画は語り口が時々混乱 するところがあって、二人の逃避行が始まってすぐに、クラークが役者志望の男に色目を使ってクルマに同乗させるという展開になったりする。この時のヒロイ ンに冷たい態度を見せるクラークの豹変ぶりなど、見ている側としてはなかなか共感しづらい。正直言って感じが悪いのだ。大体、この映画ではガンガン当時の ヒット曲を流して時代色を出そうとしているが、シークエンスが変わるたびに新たな曲を頭から流していくので、何だかラジオで音楽流しているみたいな芸のな さ。一見やっていることは「アメリカン・グラフィティ」(1973)などと同じように見えるが、選曲方針と曲の流し方に致命的にセンスがないのだ。何とな く「古さ」を感じてしまったのは、おそらくそのためだろう。さらにヒロインをビッチな娘にしたり、相棒のクラークをバイセクシュアルにしたりして新味を出 したつもりだろうが、結局やっていることが一昔前(いや、もっと古臭く手垢がつきまくった)青春映画のルーティンみたいなものだから、野暮ったく見えるの である。こんな映画にミラ・ジョボビッチ、ウィリアム・H・メイシーに何と懐かしやメアリー・スティーンバーゲンまで出てきたのにはビックリだが、せっか くの豪華な顔合わせももったいない使われ方しかしない。そもそも、どうしてこんな脚本で、これほどの顔ぶれが集められたのか不思議だ。そんなこんなも含め て、監督・脚本のエイブ・シルヴィアに決定的にセンスがないのが仇となってしまった。だから、せっかく「逸材」のジュノー・テンプルを主役に持ってきてい るのに宝の持ち腐れ。ただしロサンゼルスで実の父親と再会する一幕だけは、さすがに彼女の実力発揮で圧巻。ヒロインの健気な気持ちが観客のハートをわしづ かみだ。それだけに、せっかくの主演作はもっといい出来栄えになって欲しかった。まことに残念だ。

さいごのひとこと

 次はもっとマシな主演作に出て欲しい。

 

「推理作家ポー最期の5日間」

 The Raven

Date:2012 / 12 / 10

みるまえ

 あの有名な作家エドガー・アラン・ポーが、実は自らの作品を思わせるような事件に巻き込まれていた…ってお話らしい。それだけ聞くと、「リンカーン/秘密の書」(2012)みたいな実在人物が架空の物語の中で大暴れする「暴れん坊将軍」タイプのお話かと思う。そういや先日見たコッポラの退屈な新作「ヴァージニア」(2011)にもポーが出てきた。今、ポーが「来ている」のだろうか? 今回はポーをジョン・キューザックが演じていて、写真を見る限りではなかなか感じを出している。ジョン・キューザックも好きだしこの題材も気になるし…で、本編を見に行く気になったわけだが…。

ないよう

 1849 年10月7日、ボルティモア。早朝の公園のベンチに、一人の男が座っている。その男の名はエドガー・アラン・ポー(ジョン・キューザック)。彼は何か達観 したかのような表情で、その目は虚空を見つめていた…。それに先立つ数日前のこと、深夜のボルティモアの街を馬車が突っ走る。中に乗っていたのは数人の警 官たち。彼らはあるアパートに到着したが、その時、アパートの一室から女性の悲鳴があがった。慌てて扉を開けようとするが内側からカギがかけられている。 それでも何とかむりやり破って中に入った警官たちは、すでに事態が手遅れであることを思い知らされた。床には首をかき切られた中年女性が血まみれで倒れて おり、犯人らしき人物は影も形もなかった。警官たちは当然、犯人が窓から逃走したと思ったが、窓は完全に固定されて閉じられている状態だ。しかも扉は先ほ ど警官たち自身がイヤというほど手こずっていたように、内側からカギがかけられていた。それでは犯人はどこへ? 戸惑っている警官たちをあざ笑うように、 煙突からもう一人の女の死体がずり落ちてきたのは、それから間もなくのことだった…。その頃、同じボルティモアの酒場に、ご機嫌な様子のポーが現れる。彼 は久々に文芸評論の原稿が売れたとご満悦で、酒をくれとマスターに声をかける。しかし、肝心の金はない。それでもめげないポーは、人の酒に手を付けるわ大 暴れするわで大ヒンシュク。結局、荒っぽく酒場から放り出されるというテイタラクだ。さて、舞台は再び例の凶行の現場に戻る。そこに新たにやって来たの は、切れ者のエメット・フィールズ刑事(ルーク・エヴァンス)。彼は閉ざされていると見えた窓に、隠されたカギが仕掛けられているのに気付く。それと同時 に、このトリックに見覚えがあることにも気付いた。それはエドガー・アラン・ポーの推理小説のトリックだった…。その頃、ポーは例のあの調子で早朝の街を ほっつき歩き、なぜかやって来た馬車を止めて中に乗りこんでしまう。それはハミルトン陸軍大尉(ブレンダン・グリーソン)の馬車だった。そこにはハミルト ンと一緒に娘のエミリー(アリス・イヴ)も乗っていたのだが、ポーのお目当てはこのエミリー。彼はエミリーにずっと言い寄っていて、それを好ましく思って いないハミルトンに毛嫌いされていたのだ。それにもめげずにズケズケとエミリーに迫るポーだが、例によってますますヒンシュクを買ったのは言うまでもな い。結局またしても馬車から叩き出されるポーではあった。ところが、今度はそんなポーを警察が拉致。例のフィールズ刑事のもとに引っ張り出されたポーは、 自分に殺人犯の疑いがかけられていることを知る。だが最もポーを恐れさせたのは、彼のトリックを使った模倣犯が現れたということだった。そんなこんなで、 否応なしに捜査に協力させられることになるポー。その出番はすぐにやって来た。一人の太った男が、鋭利な刃を持った巨大な振り子に胴体を真っ二つにされて 殺されたのだ。現場にフィールズ刑事と駆けつけたポーは、その様子を見て絶句するしかない。そもそも殺されたのは、ポーをさんざんコキ下ろしていた文芸批 評家だった。そしてまたしても、ポーの小説から拝借した殺し方だったのだ…。

みたあと

  自分の作品を思わせるような猟奇的な連続殺人を捜査する「名探偵」として、エドガー・アラン・ポーを持ってくるというアイディアは、なかなか悪くない。そ れってコナン・ドイルその人がタイムマシンを発明していて、事件に巻き込まれて現代にやって来るハメになる…という、マルコム・マクドウェルとメアリー・ スティーンバーゲン主演、ニコラス・メイヤー監督の「タイム・アフター・タイム」(1979)の発想とほぼ同じだ。気になるのはジョン・キューザックのエ ドガー・アラン・ポーだが、最近では「2012」(2009)、「シャンハイ」(2010)など男っぽい役どころで主役をバンバン張っているし、どこか知的で反骨精神みたいなモノも漂っている彼だから、結構悪くないような気がする。そんなことを思いながら見ていた僕だったのだが…。

ここからは映画を見てから!

こうすれば

  まずは何から言えばいいだろう。ジョン・キューザックのポーは見た目も雰囲気つかんでいるし、確かに彼本来の知的なムードや反骨精神が活かされている感じ がしたのだが…いかんせん、映画に出てきてからしばらくの間のポーが感じ悪すぎる。人に迷惑かけ放題。そのくせイヤミ言い放題。変わり者っぽく見せたいの は分かるのだが、あまりのグダグダ感に見ていてイヤになるレベル。別に絡まなくたっていいところで人に絡んで、さらに人の心証を悪くしているというアホさ 加減なのだ。本当に見ていてイライラさせられた。実際のポーもかなりイヤな奴だったらしいので、リアリティを出すための工夫だったのだろうが、見ている こっちとしては共感しづらい主人公では困ってしまう。今改めて考えてみると、好感度抜群のジョン・キューザックを起用したのは、イヤな感じの主人公を少し でもマシに見せるためだったのか。とにかく周囲との間に余計な摩擦を生じさせていくので、どんどん自分から居心地悪くしているようにしか見えないのだ。さ らにマズイのはポーの恋人であるエミリーで、演じるアリス・イヴの品のなさはどうだ。画面に出てきた瞬間に違和感バリバリ。申しわけないんだが、この女優 を起用した時点で作り手のセンスのなさは確定。ヒロインとしては品がないのももちろん、キューザック演じるポーとの相性の悪さもハンパない。だから正直 言って、このヒロインの身に危機が迫ろうとポーの命が危なくなろうと、見ているこっちはどうでもいいって気持ちになってしまう。これはいくら何でも致命的 なキズだろう。最愛の恋人を「人質」にとられっているのにポーが意外と焦ってないところもいいかげんだ。監督のジェームズ・マクティーグは「Vフォー・ヴェンデッタ」(2005)を撮った人だが、今回は別人のようなダメ監督ぶり。とにかく主要登場人物が死のうがどうなろうが構わなくなるんじゃ、サスペンスもクソもない。根本的にそれじゃマズいだろう。

さいごのひとこと

 ヒロイン見てガッカリするのは珍しい。

 

「アイアン・スカイ」

 Iron Sky

Date:2012 / 12 / 10

みるまえ

  ナチスの残党が月の裏側に潜んでいて、ある日、一斉に地球に総攻撃をかける…。こんな内容の映画が出来ると聞いたら、そりゃあ見たくなるのが人情。おまけ に僕はSF映画に弱くて、ナチが出てくる映画が好きと来る(笑)。ナチと来れば究極の「悪」。「悪」が強ければ強いほど、映画は面白くなるに決まってい る。おまけにナチは制服などビジュアルは抜群にカッコイイし、その周辺に漂う変態性もなかなか。どこから切ってもオイシイ悪役なのである。それにしても 「棚からぼた餅」ならぬ「月からナチス」(笑)。そのワン・アイディアだけで僕は見たくなった。おまけに月と来れば、「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」(2011)やら「アポロ18」(2011)など、月を巡る「衝撃の真相」映画が相次いでいる。これは絶対見なくちゃ…と話を聞いた当初から決心。初日に劇場へと駆けつけた次第。

ないよう

  近い将来、ここは地球の衛星である月。地球から宇宙船がやって来て、月の軌道上で着陸船を切り離す。着陸船は月面に着陸すると、早速、宇宙飛行士が降りて くる。こうして船外活動を開始した宇宙飛行士だが、前方に何かを発見して、思わず唖然呆然。そこには巨大な工場か軍事施設というべき構造物が建設されてい て、今も活発に稼働中だったのだ。しかし彼が呆然としていられたのは、そう長い間ではなかった。ふと気付いてみると彼の横には黒いヘルメットをつけた宇宙 服の男たちが立っていた。黒ヘル宇宙服のうち一人は、宇宙飛行士の頭に拳銃を突き付けて一撃で仕留める。さらに黒ヘル軍団は、もう一人の宇宙飛行士にもに じり寄っていくではないか。想定外の展開に怯えきるもう一人の宇宙飛行士。結局、こちらの宇宙飛行士は身柄を拘束されて、黒ヘル軍団の運転するサイドカー に乗せられて、いずこかに連れ去られていく。何とこの黒ヘル軍団たちは、月面にちゃんとした高速道路まで建設していたのだ。そしてその道路が延びている先 には、巨大な要塞のような月面都市が建設されていた。それも、ただの都市ではない。それを上空から見れば主が誰か一目で分かるように、「カギ十字」型に作 られた巨大都市だったのだ…!

みたあと

  ここまでが映画のほんのサワリのサワリ。この後、宇宙飛行士は「カギ十字」型のナチの本拠地に連れて行かれる。ところが宇宙飛行士のヘルメットをはずして みると、それが黒人男のジェームズ・ワシントン(クリフトファー・カービー)だったのでナチたちは騒然。まさか優秀なアーリア人種以外が宇宙飛行士になる なんて、彼の持っていたiPhoneの機能に驚愕したナチたちは、その機能を使ってかねてから計画していた地球侵攻計画を実行に移すことにする。その頃、 ワシントンはイカれた科学者のせいで「白人」に変えられ、オレがオレがの将校クラウス(ゲッツ・オットー)とその婚約者で地球学者のレナーテ(ユリア・ ディーツェ)とともに、iPhone入手のための第一派として地球へと戻ることになる。ところがクラウスとレナーテは、ひょんなことから極右の女性アメリ カ大統領(ステファニー・ポール)とその広報官ヴィヴィアン(ペータ・サージェント)と知り合う。人気挽回をめざしていた大統領と実はナチ残党の中で新総 統コーツフライシュ(ウド・キア)から主導権を奪おうと秘かに狙っていたクラウスは、お互いの利害が一致。クラウスは大統領の宣伝活動に一役買うことに なって…というお話。では、なぜ先ほどはあんな短いところでストーリーを切ったかというと、ネット上に完成前からアップされていたこの映画の最初の4分間 が、ちょうどあのあたりで切れていたから。この映画のエッセンスというか最も魅力的な部分が、この4分間というわけだ。この映画、基本的にはフィンランド 映画ということもあってか低予算らしく、製作費の一部はネットで呼びかけてファンから集めたりしたらしい。その際に使われたのが、例のネットにアップされ ていたという4分間のムービーだったわけだ。こういう映画を喜ぶ類の人間は、僕に限らず結構いるんだねぇ。そういう意味では、映画の出来以前の時点で大成 功と言えなくもない。これだけでもティモ・ヴオレンソラという監督は「仕掛け人」としてなかなかのツワモノ。まさに「企画の勝利」というべき作品になって いる。月面のナチ秘密基地のデザインも、レトロ・モダンというか「スカイ・キャプテン/ワールド・オブ・トゥモロー」(2004)みたいな微妙な世界観があって、なかなか悪くない。やっぱり「企画の勝利」だわなあ。

ここからは映画を見てから!

こうすれば

  ならば作品としてもメチャクチャ面白いはず…と言いたいところなのだが、「企画」「アイディア」だけで映画ができれば苦労はない。確かに面白いし僕も大い に楽しんだのだが、見る前に想像したほどには面白くないのである。やはり見る前に期待値がかなり上がってしまったために、ハードルが上がりすぎてしまったのだろうか。確かに「月からナチス」がやって来る話であることに間違いはないのだが、作品の主眼がそ こから微妙にズレていっちゃうあたりが少々残念な感じなのだ。実はこの映画の作り手は、ナチよりも大国アメリカを叩くのにご執心。まるでサラ・ペイリンみたい な極右の女大統領が出てきて、徹底的にからかわれる。それはそれで面白いかもしれないけれど、そっちがメインになってきちゃうのは想定してなかった。あく まで「月からナチス」で一本スジ通して欲しかったというのが僕の本音だ。実はナチよりアメリカの方がタチ悪いじゃん…という言い分も分からないでもないし 着眼点も悪くはないのだが、「月からナチス」という抜群のコンセプトが薄まった観があって僕としては残念なのだ。そしてアメリカに対するからかい方も、小 国フィンランドの方々にとっては溜飲が下がるのかもしれないが、この程度の「アメリカ批判」だと少々月並みな感じがする。ネット上では「すごい風刺」など と持ち上げている向きもあるようだが、それはちょっと言い過ぎだろう。だからラストに世界大戦争になるあたりのブラックユーモアも、今ひとつ効いていない でもったいないのだ。おまけにそのおかげで、せっかくの「月からナチス」というおいしいネタが生煮えになってしまった。それなら、大したことない平凡なア メリカ批判なんかよそでやって欲しかったというのが正直なところだ。低予算の割に特撮頑張っているとか、ちゃんと本格的にウド・キアを持ってきているとこ ろとか嬉しくなる点も多々あるのだが、話が本題に入ってからの失速が祟ってしまった。やっぱり「ナチ」で押し通して欲しかったなぁ。結局、この映画は「企 画の勝利」。まるで飲み屋でのバカ話みたいなもので、思いつきとして話すぶんには抜群に面白かったのだが、実際に映画にしてみるとそこまでは話をもたせき れなかったのだろう。実は例の最初の4分間が、この映画の最高に面白かった部分ってあたりが残念なところだ。そうは言っても僕は大いに楽しんだし、なかなか楽しいんだけどね。

さいごのひとこと

 期待よりはちょっぴり月ナミな映画だったかな。

 

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