観客は判ってくれない
あるいはスタローンとロッキーが受けた重たい400発

The 400 Blows against ROCKY

含・「ロッキー・ザ・ファイナル」感想文
featuring : Review of "Rocky Balboa"


 

よせばいいのに、また手を出して

 

 いいかげん落ちぶれ果てたシルベスター・スタローンが、事もあろうに「ロッキー」の新作をつくっていると聞いたのは、いつのことだろうか。

 当時、ハリソン・フォードの「インディ・ジョーンズ4」とか似たような計画の話をやたら聞いていたので、ともかく「オマエもか?」というウンザリした気分になったことを覚えている。ハッキリ言って、まったく期待の持てない企画としか思えなかった。おそらくこのニュースを聞いた誰もが、同様の思いを抱いたのではないか。

 理由は明白だ。すでに「ロッキー」シリーズの最後の作品「ロッキー5」が製作されてから17年が経過していた。しかもこれって「最後のドラマ」ってサブ・タイトルじゃなかったか。そしてマズイことに、この「5」の出来栄えは、あまり芳しいものとは言えなかった。実はそれ以前にもシリーズの質はかなり低下していたのだが、まだカラ元気みたいな勢いだけはあった。それがこの作品では、まるで覇気というモノが感じられなかったのだ。つまりはトドメを刺されちゃった観があった。

 それは即、スタローンというスターの勢いが止まったことを意味していた。実際ここ数年のスタローンは作品数も激減していたし、何よりその「勢い」がなかった。これは「ロッキー」みたいな作品にとっては致命的と言わざるを得ない。

 おまけに今回は、60歳のロッキーがカムバックするだって…?

 一作目は確かに見ていてグッと来る、アメリカ映画ならではの佳作だった。それがだんだん馬鹿力だけが取り柄みたいな映画に成り下がっていったのが、「ロッキー」シリーズの5作品ということになるだろう。それだけでもウンザリなのに、ここへ来てわざわざダメ押しみたいな愚作をつくるなんて、とても正気の沙汰とは思えない。60歳のロッキーって発想そのものがバカげている。マトモな映画になりっこない。

 やがて劇場に予告編がかかり始めると、その予感はさらに強くなってきた。

 何と…こりゃひどい、今度はエイドリアンを殺しちゃうとは! ミッキー、アポロと来て今度はエイドリアン。これじゃ「太陽にほえろ!」の七曲署の殉職刑事みたいだ。どんどん身内を殺してロッキーの戦いのモチベーションにしようなんて、あまりに安易な発想ではないか。こんな事しか思いつかないのか、スタローン。

 まぁ、ロクな作品になりっこない。僕はこの時点で、「ロッキー」の新作が駄作に終わることを半ば既成事実のように確信していたのだ。

 ところが実際にアメリカで公開されると、それほど悪くないらしい…という評判が聞こえて来たから驚いた。いや、悪くないどころか評判がすこぶるいいから二度ビックリ。一体何がどう間違ったのかしらないが、スタローンじゃ近来にない成功作になったようなのだ。

 こうなると現金なもので、何が何でもこの作品を目撃したくなってきたから不思議だ。これは絶対に見逃せない。

 そもそも、スタローンはなぜ今回賭けに勝ったのか? それを知るには、スタローンと「ロッキー」シリーズのこれまでの軌跡を探らねばならないのだ。

 

 

 次ページへつづく

 To Be Continued...

 

  


 

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