決してくたばらないのか
単なるくたばりぞこないか
「ダイ・ハード」シリーズが辿ったダイ・ハード状態

Die Hard, Harder, Hardest

含・「ダイ・ハード4.0」感想文
featuring : Review of "Live Free or Die Hard"

 
 

かなりの部分で前作を踏襲した続編
「ダイ・ハード2」

 

 

 そんな訳で日本における第一作「ダイ・ハード」は、玄人受けし映画ファン受けする内容ではあったが、大衆的な大成功を勝ち取ることはできなかった。関係者の予想を裏切り「ソコソコ」ヒットにとどまったようなわけだ。

 ところが続く第2弾「ダイ・ハード2」(1990)は大きく事情が変わった。

 妙な話だが、日本ではAV機器の進歩と比べて、映画館の充実がイマイチ遅れていた。この当時、いまだシネコンは現在のように地方や大都市郊外に整備されてはいなかったはず。だから日本の大半の映画ファンは、「ダイ・ハード」の面白さを劇場ではなくDVDやビデオで体験した。そんな人々が、一作目の好評でつくられた「2」のスクリーンへと殺到したのだ。劇場公開作品としては、「ダイ・ハード」シリーズはこの「2」から大成功を収めたと言っていい。

 今度もまたしてもクリスマス…ただし雪の降るワシントン・ダレス空港が舞台。ナゾの武装集団が空港のコントロールを掌握。上空で数多くの航空機が、着陸出来ずに待機を強いられることになる。ところが、そんなダレス空港にまたしてもマクレーンがいた。実は彼の妻が、そんな待機中の飛行機の機上の人となっていたのだ。こうしてマクレーンの孤軍奮闘の戦いが始まる。

 基本的に今回は前作のフォーマットを踏襲。同じクリスマスであり、妻が人質にされ、あのイヤミなジャーナリストから…顔見せながら太っちょ警官レジナルド・ベルジョンソンまで再登場。味方側になるはずの警察や空港関係者が、揃いも揃って無能で主人公の足を引っ張ることしかしないのも前作同様だ。

 ただし太っちょ警官ベルジョンソン再登場に関しては、いささか無理矢理感がない訳でもない。一応、前作の感動を持続するためにも、このキャラクターは置いておかなきゃあ…ということなんだろう。

 実際のところ、あれほどまでに素晴らしい出来栄えの作品…しかもスペクタキュラーなアクション映画とくれば、その続編はヘンにスケールアップしたあげく、大味になって大失敗するというのがお約束。この作品にも、そんな危険性をかなり感じていた僕だ。

 だが、そんな懸念はある程度払拭されたと言っていいだろう。人によっていろいろ異論はあるかと思うが、僕はこの続編、一応は成功作だと思っている。僕が「ダイ・ハード」で好ましいと思った点が大部分残っており、その続編に期待するものをある程度見せてくれたからだ。主人公は今回もグチをこぼし、自らの非力を嘆く。決して無敵のヒーローではない。そして体力知力の限りを尽くして戦う。

 しかしながら、前作から失われてしまったモノも少なからずあった。まずはハイテク高層ビルという閉ざされた空間から大空港とその周辺というオープンな空間へと舞台が変わったことで…あの閉ざされた感じがかなり希薄になってきた

 そしてこの作品はあまたあるアクション映画の続編よりは大味さを免れているとはいえ、それでもやはりスケールアップの弊害から逃げ切ることはできなかった。そのため、主人公の不死身ぶりが荒唐無稽スレスレになってきたのは否めない。マクレーンが飛行機のコクピットに逃げ込むと敵が手榴弾を投入、あわや間一髪で脱出装置で逃れるくだりやら、離陸寸前の航空機から転落したマクレーンが、その飛行機の主翼からこぼれた燃料に火を付けて敵を爆破するくだりなど、前作と比べてかなりマンガっぽい設定が続出してきた。

 しかもこの作品、ちょっとイヤな部分がある。犯人が自分たちの力を誇示するため、航空機一機をわざわざ滑走路に墜落させる場面があるのだ。飛行機には女性や子供も乗っている場面がチラリと出てくるから、後味の悪さもかなりなモノ。悪党集団の「悪さ」を表現するための場面と分かってはいても、何となく「無駄な殺し」と思えてくるから困ってしまうのだ。

 実はこの「2」は、当時まだまだ売り出し中だったレニー・ハーリンの出世作となった作品。そしてハーリンと言えば、この後で乱発した「カットスロート・アイランド」(1995)、「ロング・キス・グッドナイト」(1996)などの大味大作群を見れば分かる通り、無駄で空疎な破壊と殺戮が大好きな男。この時はまだ駆け出しということもあり、また「ダイ・ハード」第1作のフォーマットに抑えつけられて好き勝手には出来なかったものの、すでにその「悪いクセ」は出ていたように思う。

 そして逃走する敵の飛行機を破壊するための燃料への引火が、結果的に他旅客機の着陸に役立つ…というのは、いささかご都合主義に見えなくもない。僕は「こりゃうまいことやったな」と喜んでしまったが、大体ちょっとこぼしたくらいで燃料ってそんなにいつまでも燃えているものなんだろうか?

 それでもラストにマクレーンが女房と抱き合って立ち去り、そこに例のクリスマス・ソングが流れると、見ていて何とも言えない幸福感に包まれた。一見こんなスペクタクル・アクションの幕切れには似合わなそうなこのクリスマス・ソングの「粋」さ加減こそ、「ダイ・ハード」シリーズの魅力の一つではないかと思うが、いかがだろうか?

 あと余談ではあるが、コロンビアの麻薬王の役で懐かしいフランコ・ネロが登場してきたのは、個人的にちょっと嬉しかった。本国じゃどうだか知らないが、アメリカ映画としてはナバロンの嵐(1978)以来の出演。どっこいまだ生きていたんだと久々の再会を喜んだ僕だが、もうこの時点からも10数年経つ。フランコ・ネロもその後はどうしていることやら。

 ともかく大ヒット映画の続編で、前作があれだけの素晴らしさ。前作は当時で早くも「古典」の風格を持つ作品となっていたのだ。当然期待も最大限に膨らみきっている中で、「2」をあれだけやったら及第点ではないか

 そう思ったのは僕だけじゃないようで、やはり第3弾の企画がすぐに立ち上がって来ることになるわけだ。

 


Die Hard 2 : Die Harder

(1990年・アメリカ)

ゴードン・カンパニー、シルバー・ピクチャーズ、20世紀フォックス映画 制作

監督:レニー・ハーリン

製作:ローレンス・ゴードン、ジョエル・シルヴァー、チャールズ・ゴードン

製作総指揮:マイケル・レヴィ

脚本:ダグ・リチャードソン、スティーヴン・E・デ・スーザ

出演:ブルース・ウィリス、ボニー・ベデリア、ウィリアム・サドラー、ジョン・エイモス、フランコ・ネロ、アート・エヴァンス、デニス・フランツ、ウィリアム・アザートン、レジナルド・ベルジョンソン

2007年7月8日・ビデオにて鑑賞

 

 

 次ページへつづく

 To Be Continued...

 

  


 

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