「地獄の変異」

  The Cave

 (2006/10/23)


  

見る前の予想

 「地獄の変異」である(笑)。

 実はこの映画を知ったのは、ディセント(2005)を見に行った劇場で見た予告編でのこと。配給会社も何考えてんだろうね? 「ディセント」を見に行ってこの映画の予告だよ(笑)。どう考えたってバッタもん感覚ムンムンに見えるではないか。

 お話はどうも洞窟探検モノで…「地獄〜」の方はどうやら洞窟内に湖か川が広がっているらしいが、ともかくその洞窟内に何やら得体の知れない「もの」がいるらしい。そして探検隊は一人また一人と襲われていく…。

 むろんこの手の映画が大好きな僕だからこれも見たいと思ったものの、「ディセント」を見に行ってこの映画の予告編と来ると、やはり出来栄えはかなり落ちるんだろうなと思わざるを得なかった。あるいは、かなりB級臭漂う映画ではないかとの想像も出てくる。笑いつつツッコミを入れながら楽しむ映画ってあたりだろうと、勝手に想像していたわけだ。

 そんなわけで実際の公開が始まっても、まるで僕としてはエキサイトしていなかった。見たいことは見たいが、何しろここんとこ仕事が忙しくてヒマがない。だから見れたらいいな…くらいに、すっかり気持ちが後退していたのだ。上映している映画館も、つい最近こそアレクサンドル・ソクーロフの太陽(2005)で大当たりをとったものの、本来は一週間上映後にビデオ発売決定…みたいな映画ばかり上映する銀座の某映画館だけに、関係者たちの期待の程が何となく想像がつこうというもの。ま、つまりはそんなような映画なんだろうと思っていた。

 ところが映画を見た人の意見を見たら、意外や意外の絶賛ではないか。それも贔屓の引き倒し的なホメ方ではない。どうやら僕が思っている以上に真っ当な作品らしいのだ。

 そうくれば、もうこれは見ない訳にいかない。見なきゃマズイ。元々好きなジャンルの作品ではあるのだ。これを見なければ、映画ファンの名がすたるというものではないか。

 そもそも僕は、こういうのが見たくて映画ファンになったんだからね

 

あらすじ

 冷戦下のルーマニア。人里離れた山中を、秘かに走る一台のトラックがあった。そこに乗り組んでいたのは、見るからにならず者然としたアメリカ人の男たち。彼らはルーマニア人のガイドを連れて、何かを探し求めてこの山中へと現れた。道路が落石で通れなくなるとトラックから降り、さらに目的の場所めざして断崖をよじ登る。こうして彼らが辿り着いたのは、今から数百年以上前に建ったのであろう教会。もはや訪れる人もないその教会に、男たちははやる心を抑えきれずに入っていく。

 「お宝がザクザクだぜ!」

 問題の場所は、その教会の地下室にあった。その真っ暗な床には、何やら奇妙な絵が施されている。翼の生えた悪魔のような姿の生き物…この下に「何か」があると踏んだ男たちは、そこに火薬を仕掛けて爆破した。すると、確かに下に空洞が見えるではないか。だが…みるみるうちに、目の前の床に亀裂が広がっていく。

 ズドド〜ン!

 床が激しく陥没し、男たちは一斉に下の空洞に叩き落とされる。男たちが衝撃と痛みをこらえつつ立ち上がってみると、今度はどこからともなく轟音が聞こえて来た。

 「気を付けろ!」

 どうやら先程の発破が、周囲の山々に崖崩れを引き起こしたらしい。この教会より遙かに高い山々の岸壁から、激しい土砂崩れが押し寄せるではないか。アッという間に教会は土砂で粉砕され、男たちの頭上に開いていた穴は土砂で塞がってしまった。彼らは、いまや自分たちがこの真っ暗な空洞に閉じこめられたことを、イヤでも気づかないわけにいかなかった。先に進める場所といえば、前方に広がる真っ暗な闇。男たちが必死に懐中電灯で照らしても、そこにはどこまでも広がる暗黒と絶えることのない水音だけがあった。いや、それだけではない。

 キチキチキチキチ…。

 一体あれは何だ? 聞いたことのない奇妙な物音が、暗黒の虚空から聞こえて来る。男たちは不吉な予感を肌で感じながら、前方の虚空を必死に懐中電灯で照らしていた…。

 それから30年経った現在。同じルーマニアのカルパチア山脈。瓦礫に埋まった教会の残骸を、発掘調査している一団があった。その陣頭指揮をしていたニコライ教授(マーセル・ユーレス)は、教会の由来もさることながら、その地下に巨大な空洞が存在することに注目していた。おまけにそこには、かなり大きな水流が存在しているらしい。

 「この調査には、プロの手が必要だな」

 その頃、「プロ」たちはメキシコ沿岸にいた。沈着冷静なジャック(コール・ハウザー)をリーダーとした一団のメンバーは、その弟タイラー(エディ・シブリアン)、長年ジャックと運命を共にしてきた屈強な黒人男トップ(モリス・チェスナット)、さらにブリッグス(リック・ラヴァネロ)、ストロード(キーラン・ダーシー・スミス)、そして紅一点のチャーリー(パイパー・ペラーボ)…というメンツ。洋上に船を停泊させて、アクアラングを担いでの海底洞窟の探索だ。みんなは発見を諦めて船に戻ってきたが、一人タイラーは危険な単独行動で洞窟を発見。確かに結果オーライだったものの、その無謀な行動にジャックはいい顔をしなかった。

 そんなメンバーの元に、ルーマニアのニコライ教授から連絡が入る。前代未聞の巨大洞窟探索の依頼に、ジャックたちチームは大いに奮い立った。

 早速ルーマニアの現場に到着するジャックたち。ニコライ教授と共に彼らを出迎えたのは、美貌の女科学者キャスリン(レナ・ヘディ)だ。早速タイラーがモーションをかけるものの、軽くかわされてしまうからこの女も侮れない。メンバーはこの他に、探検全体をビデオ映像に収める東洋系のカメラマン・アレックス(ダニエル・デイ・キム)が加わる。

 それはともかく…ニコライ教授もキャスリンも、実はかなり気になる点を指摘していた。崩れ去った教会跡と見られる瓦礫を調べてみると、そこには何やら翼の生えた悪魔のようなものが描かれていたようなのだ。文献や言い伝えを総合してみると、この場所にはかつてかの有名なテンプル騎士団がやって来て宝物を隠したとか。ところが洞窟内から悪魔のような化け物が襲って来て、さすがの有名轟くテンプル騎士団もこれには勝てなかったとか…。だがタイラーたちは「単なる迷信かおとぎ話」とこの話を気にも留めていなかった。

 その夜は、早速一同で作戦会議が開かれた。改めて語られたこの洞窟の全貌たるや…何と145キロに及ぶ超巨大なもの。しかも、そのほどんどが地底の川や湖だというから驚く。しかしタイラーはそれよりも別なことに驚いた。いつもなら自分が偵察のための先乗り役なのに、今回はなぜかリーダーで兄貴のジャックがストロードを指名したのだ。ハッキリ言えばジャックはタイラーに先日のお灸を据えたのだが、タイラーとしては納得できないところ。ともかく、早速洞窟内に入ろうということになる。

 最初の縦穴に、降りるための縄ばしごを垂らすニコライ教授。だがジャックたちのチームは誰一人として縄ばしごなど使わず、垂らしたロープでスルスルと降りていく。これが奴らの流儀だ。そしていざ降りてみると…そこには百戦錬磨の彼らでさえ言葉を失ってしまうほどの、見事な鍾乳洞と地底湖が広がっていた。

 早速、先発のストロードが地底湖に潜る。ウォーターバイクでどんどん先に向かうストロードからの通信は、洞窟が急カーブを描いたところでプッツリ途絶えた。あとは、彼がどこか中継キャンプに適した場所を見つけるまで連絡はない。

 一同がいいかげん気を揉んだころ、ようやくストロードからの連絡が復活した。真っ暗闇に浮かぶストロードの顔。彼がたどり着いた岸には、何かモグラのような白っぽい生き物がうごめいていた。その一匹を捕まえたとストロードが言ったとたん、なぜか通信が途絶えたからたまらない。何か起こったのでは?…と戦々恐々となった一同は、早速ストロードがたどり着いた仮のキャンプに急ぐ。

 しかし幸いなことに、一同の心配は杞憂だった。ストロードは無事で、何事も起きていなかった。だが何やら不審な物音が聞こえて来て、それが彼を神経過敏にしていたのだ。

 キチキチキチキチ…。

 ともかくここに前線基地を置き、これから12日間ここで野営だ。とりあえず洞窟をさらに偵察すべく、ストロードとブリッグスが調べに出かけた。するとストロードは、洞窟の奥で例のモグラが何者かに「食い散らかされた」跡を見つけた。不審に思ったストロードが、何者かの気配に気づいた時にはもう遅い!

 逃げようとしたストロードがエンジン始動したウォーターバイクが、乗り手を失って暴走。勢い余って洞窟の壁に激突した。

 ドカ〜〜〜ン!

 いきなりの爆発の衝撃波に、水中で吹っ飛ばされるブリッグス。そして、爆発の余波は洞窟の岩盤を直撃。いきなり落盤を始めるではないか。

 こうなると、さすがに余裕こいてた探険チームも目の色が変わる。命からがら戻ってきたブリッグスの報告から見て、ストロードが容易ならざる事態に巻き込まれたのは明白だ。早速チームの要であるリーダーのジャック、その片腕のトップがストロード救出に向かう。だが狭く伸びた横穴を進んでいたジャックは、身動きもままならぬ状態でとんでもないヤツと遭遇してしまった。

 グワ〜〜〜〜ッ!

 いきなり飛び出してきた「そいつ」に襲われ、危機一髪のジャック。それでも勇猛果敢に立ち向かい、かなりのキズを負ったものの何とかかんとかその場を脱出。トップと共に慌ててキャンプに戻ってきた。しかも土産まである。ジャックを襲った「そいつ」からチョン切った、鋭いツメの生えた指の部分だ。

 美貌の女科学者キャスリンが早速このツメを分析してみると、どうもこの生物は何やら生命力の強い「寄生生命体」に取りつかれているらしい。「そいつ」に食い散らかされたらしいモグラもどきの生き物からも、この「寄生生命体」が検出された。しかも、この生命体は取りついた生き物に内面から徐々に働きかけ、この洞窟の世界に順応できるように変質してしまうらしいのだ。この洞窟の食物連鎖の頂点に立つ「そいつ」…果たしてその正体とは?

 さらに一同は、戦慄すべき事態に気づいた。

 先程の爆発によって、洞窟の入口は完全に塞がってしまった。つまり、もう元来た所には戻れない。ニコライ教授は救援隊を待とうと強行に主張するが、地上の人間が異常に気づくのは探険終了予定の12日後。その時には持参した食料もなくなっている。しかもしかも…異常に気づいたからと言って、一体誰が救出に来てくれるのか。こんな特異な場所に救出に来れるのは、「この道のプロ」しかいない。そして、まさに閉じこめられた彼らこそがその「プロ」だった。つまり、彼らを置いて救出作業にあたれる者はいない。だから、誰も彼らを助けに来てくれる者はいないのだ!

 キチキチキチキチ…。

 そして、確かにここには同居人として甚だありがたくない「何か」がいる。「そいつ」らが、一同のためにじっと待ってくれるとは到底思えない。

 結論はあえて言うまでもない。ここで待ってはいられない。ともかく先に向かって、どこか出られる場所を探すしかないのだ。最後までニコライ教授は反対していた者の、他の誰一人としてここでジッと待つ気などなかった。

 早速立ち上がったのは、リーダーのジャックだ。彼は先程の戦いで深手を負っていたものの、治療のおかげか何とか痛みに耐え、ここぞとばかりリーダーシップを発揮しようとしていた。

 キチキチキチキチ…。

 だが、そんなジャックが…何とも不自然で異様なアブラ汗をかいていることを、まだその時点では誰もが気づいてはいなかった…。

 

見た後での感想

 言っちゃ何だが「地獄の変異」である。出ている連中も何ともギャラの安そうな顔ぶればかり。誰がどう見たってB級映画にしか見えないだろう。いや、ヘタしたらC級か(笑)。

 だがこの映画、そんな色眼鏡で見るとソンをすることになる。実は、意外にもしっかりつくってある作品なのだ。いや、近来のアメリカ映画の中でもかなりちゃんとつくっている作品じゃないだろうか。

 冒頭でルーマニアの辺鄙な教会が出てくるあたり、たちまちこの映画は僕のハートを鷲掴みだ。この感想文の冒頭で語ったように、最初はこの映画をまるっきり侮っていた僕が慌てて見に行ったそのわけは、ある映画ファンの人の助言があったから。それも、まさに僕にとってのツボの作品を挙げられたからだ。

 その名はザ・キープ(1983)!

 奇しくも「ディセント」の感想文でも引き合いに出した作品だが、これが何と今をときめくマイケル・マンの監督作品。公開当時はほとんど黙殺扱いだったこの映画、実は僕は個人的にものすごく気に入っているのだ。お話はまるで長い映画をズタズタにカットしたみたいに分かりにくい点もあるが、それでも映画全編に漂うムードは非凡なものがある。何より舞台は第二次大戦中のルーマニアの山村だ。

 そして、その「ザ・キープ」に出てきたユニークな形状の教会の建物が…ちゃんと今回の「地獄の変異」にも出てくるのだ。あれはルーマニアの古い教会に共通する形状なのだろうか? ともかく、もうそれだけで僕は嬉しくなってしまった。

 さらにテンプル騎士団まで引き合いに出してくる、お話の大風呂敷の広げ方! このあたりダ・ヴィンチ・コード(2006)もビックリな設定だが、こういう脚本上の味付けの仕方が何とも絶妙なのだ。別にテンプル騎士団でなきゃいけない訳ではないが、テンプル騎士団というイコンがチラつくことで、お話に何とも言えないアヤシイ臭いが立ちこめる。このハッタリ加減がいいのだ。

 そして、実際に出てくる洞窟場面の素晴らしさたるや!

 この映画、ルーマニアとメキシコで撮影された…とエンディング・クレジットに出てくるが、メキシコって洞窟ロケを行ったんじゃないだろうか。巨大な洞窟が見事だが、これらがスタジオ内のセットとは思えない場面も多々あるのだ。おそらくかなりの分量のロケ映像を交えているのではないか。

 例えばつい最近の洞窟映画「ディセント」も洞窟内の見せ方が巧みだったが、あれはほとんどスタジオのセット撮影だったらしい。「ディセント」はある程度限られた範囲のお話だから、それでも何とかなったのだ。

 その点、今回の「地獄の変異」の場合はこれだけ広大な洞窟が舞台だから、全部セットで作り込むのは少々キツイ。そこで、ロケとセットをそれぞれうまく混ぜ合わせて、巨大な洞窟と地底湖を見事に創造しているようなのだ。こうした訳で映画全編の舞台となる洞窟…これが何より最大の見どころだ。

 引き合いついでにもう一度引き合いに出せば、「ディセント」のセットによる洞窟も確かに見事ではあったが、正直言って「地獄の変異」の方が圧倒的にスゴイ。これは正直言ってマジメな意見だ。

 巨大な洞窟の美しさが段違いだし(例えロケであっても)、そのバラエティに富んだ造形にも楽しまされる。広々とした地底湖、狭い急勾配の洞窟を行く川下り、そしていきなり水が落下する滝、遙かに仰ぎ見るような大岩壁、凍り付いた氷壁、さらにメタンの火が燃える炎の洞窟まで…さまざまな趣向の洞窟がこれでもかこれでもかと出てくる。これがロケだとしたら、こんなに都合良くいろいろな洞窟を見つけられるだろうか…とか、何よりそんな場所に入って撮影なんか出来るだろうか…などと大いに疑問だし、これがセットだとしたら「たかがB級映画」にも関わらずあまりの大がかりさに、ちょっと驚かされてしまう。実際のところ、この映画ってちょっとした大作に見えるのだ

 そこはそれ、ルーマニア・ロケやメキシコ・ロケであるが故の物価安で、撮影全体が安上がりに出来たのかもしれぬ。だがそれにしても、この映画の意外なまでの「リッチさ」はハンパではない。それは単に「カネがかかっていそう」という事だけではない。映画に注ぎ込まれた工夫と知恵の豊かさが感じられるのだ。これには正直言って驚いてしまった。

 さまざまにバラエティに富んだ趣向の洞窟内で、あの手この手の見せ場が繰り出される。洞窟内のスキューバあり絶壁のロッククライミングあり、狭い水路を一気に流れ下ったスリルの後はだだっ広い湖にプカプカと無防備に浮かぶハラハラドキドキあり。この脚本の欲張りさ加減は尋常ではない。確かに役者たちの顔ぶれはかなり安いが、そんな事は見ているうちに気にならなくなってくる。というか、それすら「誰がやられるか分からない」というサスペンス増強のためにとられた作戦のように思えてくる。

 何しろ洞窟探検チームの紅一点パイパー・ペラーボが唯一顔の売れてる役者で、コヨーテ・アグリー(2000)主演の後は鳴かず飛ばず状態の彼女が、ここではまるでスター扱いのキャスト序列になっているから驚く。それでも彼女がこの唯一の主演作を思わせるヘソ出し姿で奮闘する姿には、ちょっと懐かしくて泣けて来た(笑)。まさにアッパレ。

 

 

 

 

 

 

 

念のため映画を見た後で

 

 

 

 

 

 

 

見た後の付け足し

 公開時期が公開時期だし題材が題材だから、どうしたって「ディセント」と比較されちゃう「地獄の変異」。何分にも「地獄の変異」なだけに(笑)、映画ファンが受ける印象は何とも分が悪い。どう見たって安物映画にしか思われないのだ。

 そもそも「地獄の変異」は、あの羽根が生えてる怪物が出てくる時点でハンデがある。何だかんだ言っても「ディセント」は、一応「正統派」映画ファンの許容範囲に何とか収まっているのだろう。だからあちらはミニシアターで上映してくれる。その点こっちは…上映中に地下鉄の通過する音も騒々しい、ビデオ即発売映画の専門館(笑)

 だが実物を見てもらえば分かる通り、この映画は安物映画などでは決してない。B級モンスター映画は失笑・苦笑も楽しみのうちだが、この映画はクスリとも笑わせてくれない。安っぽさを感じさせない。マトリックス・リローデッド」「同レボリューションズ(どちらも2003)の第2班監督を務めたという監督ブルース・ハントの演出とマイケル・スタインバーグ、ティーガン・ウェストによる脚本は、最初からマジもマジ。直球勝負でビュンビュンと放ってくる感じだ。そしてアッと驚かせてくれるシャレた趣向もある。なかなかやってくれるのだ。最近ここまでサービス精神が旺盛なアメリカ映画ってなかなかないよ。

 そんな作り手のサービス精神は、まるでシッポまでアンコの詰まった鯛焼きのようにラストまで持続する。ちょっと粋なエンディングには、思わず「うまくやったな」とニヤリとさせられること請け合いだ。

 そしてふと思い出してみれば、ルーマニアってそもそもヴァンパイア伝説で有名なお国柄ではないか。ちゃんとそのへんまで目配せしているあたりが憎い。僕はすっかり嬉しくなってしまったよ。

 そしてテンプル騎士団で始まりヴァンパイア伝説で締めくくるこの洒落っけこそ、この映画が娯楽映画として一級品である証明だと思えたのだ。

 

 

 

 

 

 

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