「トルク」

  Torque

 (2004/10/25)


  

見る前の予想

 のっけから白状させてもらうが、僕はアイス・キューブが大好きである。

 もっとも彼が好きであっても、人気ラッパーとしてのアイス・キューブによるラップ・ミュージックそのものを聞いた事は一度もない。これから聞こうとも思っていない。僕はあくまで映画俳優としてのアイス・キューブが好きなのだ。

 あのふてぶてしい表情や態度、にも関わらず愛嬌たっぷりでクマちゃんみたいなコロコロ体型。出てる映画自体も僕も好みのモノが多い。一見ワルだけど人情味がある…というような役どころで出てくるアイス・キューブは、役者としてかなりイケてると思うよ。

 他にもアイス・TだとかLL・クール・JだとかDMXだとか、ウジャウジャとラッパーの映画出演は後を絶たないが、僕は正直言ってアイス・キューブ以外は誰が誰だか分からない(笑)。分かる気もない。他の奴らは…こう言っちゃファンには申し訳ないが、役者としちゃそのうち淘汰されちゃいそうなヤツらばっかりだ。だがアイス・キューブだけは違う。これからもますます存在感を発揮して、もっともっと味のある役者になるんじゃないだろうか。僕は秘かに役者としての彼を応援しているのだ。

 そんなアイス・キューブの最新作がやって来る。しかもバイク映画と来る。何となく小粒ながらピリッと辛いアクション映画の予感があるではないか。例え細々と公開されても見に行かねばならない。今の僕が最もミーハーに注目している俳優、アイス・キューブを見るためだったらね。

 

あらすじ

 荒野の一本道で並んで停車した二台のイケてるカスタム・カーが、一気に轟音と共にデッドヒートを繰り広げる。命知らずのスピード狂が、今日もその腕を競い合っているのだ。ところがこの二台の遙か後方から、一台のバイクが走ってくる

 アッという間に二台のカスタム・カーを追い抜くバイク!

 抜かれた時の衝撃で、カスタム・カーは煽られてスピン。バイクはそのまま最寄りのガス・ステーションへとやって来る。そこで働く少年は、バイクの男が誰かを知っていた。

 それは伝説の男マーティン・ヘンダーソンだった!

 ところがそんなヘンダーソンの元に、さっき抜かれた二台のカスタム・カーがやって来る。降りて来た二人の男は、追い抜かれた腹いせにケンカをふっかけようと鼻息も荒い。

 「おいおい、四輪乗りってのはどうしてバカしかいないんだ?

 アッという間に二人がのされた事は言うまでもないが、彼らが去るや否や、入れ替わりにバイクの男二人がやって来たのはおだやかではない。

 「何だ、やるか?」

 …とガンを飛ばしたかと思えば、お互いニッコリ。それもそのはず、この二人…ジェイ・ヘルナンデスとウィル・ユン・リーは、ヘンダーソンの昔からのバイク仲間。数少ない心許せる友だったのだ。

 実はヘンダーソン、ある事情があって突然この街から消えていた。久々の仲間同士の再会に、ヘンダーソンとヘルナンデス、そしてユン・リーはご機嫌だ。「走りを覚えているかどうか、一丁飛ばすか!」

 こうして荒野のハイウェイを飛ばしに飛ばす三人。ご機嫌に飛ばしていたのはいいが、この三人いささかハメをはずしすぎたか。沿道をたむろしていたバイク野郎たちをちょいとばっかし刺激してしまう。早速三人に追いついてくる一台のバイク。まるで威嚇してくるように煽りに煽るこのバイクに、ヘルナンデスは堪忍袋の緒を切った。次の瞬間、追いすがって来たバイクは沿道に激しい勢いでひっくり返る。地面に叩き付けられたのは、フレドロ・スターというハンパなバイク野郎だ。

 ところがそんな三人の周りに、今度は先ほど沿道でたむろしていたバイク野郎たちが群がってくる。彼らは「リーバース」という地元のバイク軍団。スターはこの軍団のボス…アイス・キューブの弟だったのだ。たちまち始まるガンの飛ばし合い突っ張り合い。一触即発のちょうどその時…たまたまそこにパトカーが通りかかったため、幸いにも勝負はお流れとなる。

 さてその場は事なきを得た三人は、そのままバイク仲間が集まる街の横町へとやって来る。バイク好きが飲み食いする店、バイク用品屋…ここにはバイクに関するすべてが揃っていた。ヘンダーソンはヘルナンデスやユン・リーと別れ、とあるバイク用品の店へと入っていく。

 その店は、モーネイ・マザーという女が一人で切り盛りする店だった。店に入って行ったヘンダーソンとは、明らかに旧知の仲。だが彼女はヘンダーソンを決して歓迎はしていなかった。

 ヘンダーソンとマザーは恋人同士だったのだ。

 だが突然ヘンダーソンは何も言わずに去った。一人残されたマザーの元には、FBI捜査官がやって来た。何とヘンダーソンは麻薬の売人だと言うのだ。そんなこんなでこれまで音信不通のヘンダーソン。今さら戻って来たと言われても、どうして彼女に歓迎など出来よう。ヘンダーソンがアレコレ言っても剣もホロロ。ニコリともしてくれないマザーではあった。

 そんな二人の前に、招かれざる闖入者たちが…!

 地元のバイク仲間の中でもタチの悪さではピカイチ…そんな「ヘリオンズ」の面々が、リーダーのマット・シャルツィを筆頭にやって来たのだ。こいつも何やらヘンダーソンとは訳アリ。戻ってきたと聞いて、早速駆けつけたというわけだ。シャルツィも危なければそのイロであるジェイミー・プレスリーも、口と鼻にピアスを入れたヤバそうな女。こっちは美形のマザーをいたぶりたくてウズウズしてるようだ。

 「例のブツはどうした? さっさとよこしな!」

 実はこのシャルツィ、クスリやら麻薬にも手を出すゴロツキでもあった。地元でも鼻つまみなのは伊達じゃない。あげくの果てにナイフをチラつかせ、ヘンダーソンとマザーを脅しに脅す始末。マザーが拳銃を持ち出したから何とかその場は収まったものの、シャルツィたちはキッチリ捨てぜりふを残してその場を立ち去っていった。「ブツをよこさないと無事では済まんぞ!」

 さてその晩のこと、なぜかシャルツィはアイス・キューブたちと面会していた。要はアイス・キューブのシマでシャルツィのヤクを売るという商談。アイス・キューブの弟フレドロ・スターが橋渡しをして、兄貴とシャルツィの面会の場を設けたわけだ。だがアイス・キューブはヤクには手を出さないのがモットー。シャルツィが何と言おうと首をタテには振らなかった。そういう所は妙に潔癖でクリーンなのがアイス・キューブという男なのだ。

 結局のところ商談は決裂。シャルツィは怒って去っていった。「せっかくの金儲けの話なのに…」と残念がる弟スターを、アイス・キューブは思わずドヤしつけた。スターはフテるが仕方がない。アイス・キューブはさすがにこの愚弟に手を焼き始めていた

 ハードロック・バンドがガンガン演奏している店に、あのヘンダーソンとマザーがやって来る。いい顔をしてくれないマザーを口説きに口説き、何とか話を聞いてもらおうと店に連れてきたヘンダーソンだった。ところが店に入って早々、あのフレドロ・スターとぶつかって小競り合い。またまたアイス・キューブたちまで出てきて睨み合いというアリサマ。またしてもその場は収まったものの、何でこいつといるとモメ事が絶えないのか…と、マザーも溜め息つくしかない。

 一方アイス・キューブも事は弟スターの方が悪いと百も承知。「何でオマエはそうイキがるんだ!」と怒りに怒る。これにはまたまたフテるしかない弟スター。だがそんな一部始終を、あのシャルツィたちが物陰から見ていた。

 「こいつは使えるゼ!」

 ブツクサ言いながら便所でションベン垂れ流していたスターの元に、シャルツィ率いる「ヘリオンズ」の面々がやって来る。こりゃどうも様子が変だ…と気づいた時には遅かった。スターはシャルツィによって首を絞められ、その場で命を落とす事になる。しかもシャルツィは手を洗ってもいなかった(笑)。

 そうとは知らぬヘンダーソンとマザーは、二人きりで話をしていた。聞く耳持たないといった態度のマザーではあったが、何とか粘り強く説得するヘンダーソン…。

 実はバイク修理の仕事をしていたヘンダーソンの元に、シャルツィたちが何台かのバイクを持ち込んだのが話の発端だった。どうも様子が変だと気づいたヘンダーソンが調べてみると、バイクに覚醒剤が仕込まれているではないか。コレはマズイ、これを見つけられたら自分のせいになってしまう…そう考えたヘンダーソンは慌ててバイクを隠して、自分もその場から姿を消した。案の定、彼が消えてすぐにFBI捜査官がやって来た…。

 ヘンダーソンはハメられた。そしてシャルツィはバイクのヤクをいまだに探している。ヘンダーソンが戻ってきたのは、モメ事に一挙にカタをつけるため…。シャルツィにはヤクを返し、FBIには売人を渡し、みんなが求めるモノを得てハッピーという結末をつけようと、ヘンダーソンは腹をくくって戻ってきたのだ。

 だが高飛びしている間も、ヘンダーソンは片時もマザーの事を忘れた事はなかった…。そんなヘンダーソンの言葉に、いつしかマザーも頑なな姿勢を崩し始めたのだった。

 ところがその頃、事態はとんでもない方向へと進んでいた。便所で臭い死に方をしたフレドロ・スターについて、あのシャルツィの女であるジェイミー・プレスリーが目撃者として名乗り出て、「ヘンダーソンが殺った」と証言したのだ。もちろんシャルツィの指図によるウソである事は言うまでもない。

 ところがこれをアイス・キューブは真に受けてしまった。いくら愚弟とは言え実の弟。仇を取らない訳はない。怒りに燃えたアイス・キューブは、「リーパーズ」の猛者連中を引き連れてヘンダーソンを血眼に探し始めた。

 さらにはヤクを追いかけていたFBI捜査官アダム・スコットも、何とも絶妙なタイミングでヘンダーソン捜索に参加だ。

 もちろんシャルツィたち「ヘリオンズ」もヤクとヘンダーソンを探しているのは言うまでもない。

 こうしてバイク野郎、FBI、ヤクの売人たちが三つ巴になって、どいつもこいつもヘンダーソンを追い始めた。それに対してヘンダーソンの味方と言えば、二人の仲間と恋人マザーと…そして頼れるバイクだけ。

 果たしてヘンダーソンは無実を晴らして、敵の企みを暴き出す事が出来るのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後は映画を見てから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見た後での感想

 こういう映画を文章で説明するほど空しい事はない。だからストーリー紹介もあれだけにとどめる。ホントはあそこから見せ場が連発なんだけど、それって実物を見なけりゃ話にならないからね。

 こういうスピード野郎たちの荒くれが暴れる話と言えば、誰しもワイルド・スピード(2002)を連想すると思う。チンピラあんちゃんたちが飛ばしまくる話…ってだけの映画だったけど、あれが実に面白かったんだから侮れない。実はこの映画のプロデューサーであるニール・H・モリッツって、まさしく「ワイルド・スピード」も製作した人なんだよね。なるほど、これは分かりやすい。クルマの次はバイクだ…という何とも分かりやすい発想。スピード狂の連中やらツルんでる連中やら、一匹狼のヒーローやらそこに絡む女やら、そして悪漢やらゴロツキやら…ってな世界観は、ほとんど変わらないんだよね

 しかも「ワイルド・スピード」ではクルマにNOSとかいうジェット噴射みたいなのを積んで、いざと言うときにスイッチ一発点火でカッ飛んでたけど、こちらのバイクも同様の秘密兵器を搭載。その場面になるといきなりCGでエンジン内部までカメラが入り込み、爆発ジェット噴射の瞬間をミクロな視点で見せる…というあたりまでソックリだ。

 ただこちらはバイクだから、もっと危なっかしいしナマな感じはある。それに機動性があるから、アクションもバリエーションが利くんだよね

 例えばこちらじゃ、走る列車の屋根の上にバイクが乗っかって、さらには列車内をバイクが爆走…なんて無茶な見せ場もある。ここまで来ると荒唐無稽も極まりないという感じがあるけどね。ともかく緻密さで見せる映画じゃないから、見ていて飽きない事は確かだ。あの手この手も盛り込まれてはいる。

 ただねぇ、「ワイルド・スピード」とこの「トルク」では大きな違いがあるんだよね。

 それは、ロブ・コーエン監督がいないこと(笑)

 「ワイルド・スピード」に限らず、どんな題材でもキッチリと楽しませて見せてくれる職人…あのロブ・コーエンがいないという違いは、かくも大きいものかと痛感させられたよ。

 というのは、見せ場ってただ並べればいいってもんじゃないわけ。アクション演出は派手ならいいってもんじゃないんだよ。ところがこちら「トルク」の監督ジョゼフ・カーンは、どうもそのへんが分かっていない。冒頭の三人で走りに走る場面の絵やらテンポやらは何ともカッコよくていいのだが、見せ場がどんどん複雑化していくにつれて馬脚を見せてくる。何しろアクションの位置関係を描くのが苦手らしいのだ。

 そのヘタさ加減が一番ハッキリ出たのが、ロサンゼルス近郊のハイウェイでのカーアクション。公道でいろいろなクルマが走っているところで、敵味方のバイク、クルマ入り交じっての追いかけが描かれていく。おそらくはかなりCGも使っているんだろうが、言ってみればマトリックス・リローデッド(2003)のハイウェイでのカー・アクション場面を、現実世界を舞台に展開してみたような案配だ。これはスゴイよ。

 で、スゴイことはスゴイから、それなりにあっけに取られて見てしまう。実に盛大で派手だから、それなりにビックリしてしまう。だけど…どうもイマイチ何となくスッキリしない。見たいところを見せてくれない…というか、見たいように見せてくれない…というか、何だか見ていてイライラしてくるんだよね。これってたぶん、今アクションがどのように展開しているのか、追いつ追われつしているクルマやバイク同士…さらにはハイウェイの状態がどうなっているのか、そのへんの位置関係を見せるのがヘタだからではないのだろうか?

 このカーンという監督がミュージックビデオ上がりだから言うんじゃないけど、どうもこういうミュージック・ビデオ関係から出てきた監督ってのは、アクションの位置的関係を描くのがうまくない。派手に見せるのはうまいんだよね。そしてスピーディーに見せるのも得意だ。人間の動体視力の限界に挑戦するように、テンポをスピードアップしたり、大胆なカメラ・アングルを配したり、カット数を異常に増やしたりする。そういう面では確かに特異な才能を発揮するようだ。

 ところがアクション演出ってのは全体の空間把握とか、そこにいる対象と対象とがどのような位置づけにあるのか…こうした部分を描けなければ手に汗握る緊迫感は出ない。そしてこの手の全体像やら関係性ってものを描く事が、どうもビデオ上がりの監督にはうまく出来ないらしいんだよね。

 だから三台のバイクが道をひた走りに走る…って場面はカッコよく撮れる。方向性やら関係性が複雑でないから、どうやったって分かるように見せられるわけ。ところが一旦そこに敵味方入り乱れるような状況が混ざってくると…あるいは道から列車の線路、さらには列車の屋根、さらには列車の中へと二転三転する入り組んだ趣向が入ってくると、たちまちアクションは濁ったようにスッキリしなくなってくる。列車アクションはまだしも良かったが、くだんのハイウェイでの大暴走はまるっきり訳が分からないモヤモヤしたアクションになってしまった。こうなって来るとかなりアクロバティックな事をやらかして見せてくれているのに、まったく有難みがないのだ。特にイマドキはCGで何とでもなるって印象があるから、大変な事を演じて見せているって感じがしない。せめて追う者追われる者、そして全体の位置関係ぐらい分かるようにしろよ。このハイウェイの場面を見てみると、「マトリックス・リローデッド」をケナした人でもウォシャウスキー兄弟ってうまかったなと思う事請け合いだ。全然メンコの数が違うんだよね。

 このへんが所詮はミュージック・ビデオ…と言っちゃ何だが、やっぱりヘタクソなんだよなぁ。

 まぁ、お話のくだらなさはこの際どうでもいい。人間像が掘り下げられたようなドラマなんて誰も期待していないからね(笑)。冒頭、主人公は「四輪乗りってのはどうしてバカしかいないんだ?」…などと暴言を吐いているが、この映画を見ると二輪乗りだって…主人公を含めて四輪とイイ勝負のバカばっかり(笑)。何かと言うとガン飛ばし合ってるし、やらなくてもいい小競り合いを繰り返す。アイス・キューブも弟を殺された時には、怪しい女の証言にコロッとダマされる。後で「あいつが殺したなんて信じられない」…なんてガキみたいな事を言ってるから二度笑ってしまう。いいかげんな脚本だからね。

 だからせめてアクションだけは楽しみたい。そういう意味でこの映画のアクション描写は…観客にものスゴイものを見せようという意気込みは感じるだけに、かなりもったいないと思うんだよね。

 それの最たるものが…ヘリコプターのエンジンを搭載したというY2Kなるマシーンでの追っかけシーンだ。逃げる悪漢を追いつめるべく、主人公がこのロケットみたいなマシーンでカッ飛んでいく場面。何しろ時速320キロでぶっ飛ばすという前人未踏のスピード感を出そうというものだから、全編CGを駆使して描いている。周りの視野もおぼろげで、チャカチャカと動いて何がどう見えているのかもよく分からないほどだ。

 だけど…こうなっちゃうと意外と面白くない

 スピード感自体があまり感じられなくなっちゃっている事もあるし、何しろ観客が一緒にバイクに乗っているドライブ感が乏しい。すべてがCGによる作り物に見えるから、手に汗握る感じがしない。何がどうなったって危険なんかない、テレビゲームでもやってる…ようにしか見えない。ハッキリ言ってスピードを体感出来ないんだよね。

 未知のスピード感を味あわせようとやった事なんだろうけど、こうなっちゃうと何だか「ロジャー・ラビット」(1988)とか「スペース・ジャム」(1996)みたいにアニメの世界に実写俳優が貼り込まれたような感じ。実は「スパイキッズ3-D」(2003)あたりの方がスピード感あったかも…って気がしちゃうんだよね。これは完全に誤算だったんじゃないか?

 見たこともないバイク映画をつくりたい、バイクのもの凄いスピード感を体感させたい…その志やよし。ただし、それをやるには観客がどうしたらアクションを把握できるのか…を勉強し直してからやるべきだと思う。

 映画としては退屈させずにいろいろ面白く見せてくれただけに、なおさら惜しいと思っちゃうんだよね。

 

見た後の付け足し

 この映画って何から何まで「ワイルド・スピード」を意識してるようなのには呆れるほど。白人の若い男が主役のヒーローなんだけどパッとしない役者で、むしろ脇に回ったワルっぽいヤツの方が魅力的ってとこまで同じだ。言うまでもなく「ワイルド・スピード」のそれはヴィン・ディーゼル。そしてこの「トルク」では、脇でワルの魅力を放っているのがアイス・キューブというわけ。

 口を「ヘ」の字に曲げてふてぶてしい態度を見せているのもお約束。そして見かけよりワルでもないあたりも、ファンが彼に期待している通りのアイス・キューブだ。ゴースト・オブ・マーズ(2001)でショットガン片手にヒロインを迎えにくるアイス・キューブそのもの。幕切れ間際には反目していた主人公とガッチリ握手、これで仲良くなったかと思いきや…「二度とオレのシマに来るんじゃねえぞ!」と一喝。ラストのラストまで憎まれ口きいてるあたり、僕はまたまたすっかり嬉しくなってしまったよ。

 それに引き替え…今回初お目見えのマーティン・ヘンダーソンっていう主役の男と来たら…無精ヒゲでスゴんではいるけど何となくひ弱だしねぇ。ザ・リング(2002)に出ていたらしいんだけど、全然存在感なし。思い起こしてみれば、ナオミ・ワッツの元亭主の役がこの男か? あれも確か身勝手で頼りない男の役だったっけ。「トルク」でのこの男と恋人の再会シーンなんざ、何だかテレビのラッキー・ストライクのCMをパロディしてるみたいな、なりきれてないコワモテぶりが笑っちゃう。頭も悪そうだしねぇ(笑)。

 でも、それもすべてアイス・キューブを引き立てるためと思えば納得できるか(笑)? 

 

 

 

 

 

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