「バイオハザードII/アポカリプス」

  Resident Evil : Apocalypse

 (2004/09/27)


  

今回のマクラ

 9月25日のプロ野球選手会のストは、何とか回避された。これでオーナー側と選手側はようやく手打ちとなった。まずはめでたいと言うべきだろう。

 そもそも最初からオーナー側がナメた態度などしなければ良かったのだ。そして強引かつウソ八百の連続。最初から何が何でも1リーグにしたいというムチャクチャぶり。とてもじゃないが社会的発言力があり、パワーも持っている人たちの言動とは思えない。これではストもやむなし…というのが大方の「良識」ある意見だと思うよ。

 そしてこれは…昨今のこうした「強引かつウソ八百」がまかり通る風潮に、みんながいいかげん嫌気が差した結果だと思う。

 政治家の国民年金未払い問題はウヤムヤになった。参院選でボロ負けしても「辞める」と宣言していた連中が辞めない。国外に目を転じても、いつの間にか自衛隊は多国籍軍に入れさせられてるし、戦争の大義名分だった大量破壊兵器などどうでもよくなっていた。…そんなアレコレにみんなウンザリしているのに、こういう連中はそのまま開き直って何も変わらない。さすがに世の中の人々は、今度という今度はキレちゃったんじゃないか。今回のプロ野球のストがここまで大衆に支持されたって理由は、おそらくコトが「プロ野球」の問題を超えていたからだと思うよ。お気の毒(と言っても全然同情など湧かないが)ながらプロ野球のオーナー連中は、こういう年金だの参院選だのイラクだのってアレコレで、国民の中に溜まりに溜まった怒りをブチまける格好のターゲットになっちゃったんだと思うんだよね。

 まぁ、それが読めずに調子に乗ったオーナーたちもオーナーたちだから、ここは自業自得と言っておこう。ともかくこれがキッカケとなって、野球以外の他の問題のウミも一気に出て欲しいと願うばかりだ。そもそも今、日本に必要なことは国連の常任理事国になる事じゃないだろう。何か勘違いしてやしないか、あの男は。

 ところで、プロ野球もこれで一件落着…となるかと言うと、僕はちょっと疑っている。

 確かにあんなに大不評をくらって、オーナーたちは面食らったかもしれない。だから慌てて選手会の言い分をのんだと見える。だけど当然ああなると分かってなかったとしたら、オーナーたちは救いがたい愚か者ばかりだとは思うけどね。そんなはずはないはずだ。

 西武の堤なんか、一回同じ事を経験しているから絶対に分かってるだろう。かつて森がライオンズの監督だった時に、とんでもない事があったからね。優勝できなかったシーズンの終わりに森がオーナーである堤に成績を報告に行ったら、この男は言うに事欠いてこう言ったわけ。

 「来シーズンの監督? やりたきゃやれば?

 この発言が公表されるやマスコミ騒然。とにかく大ブーイングの嵐だった。「堤は何様なんだ」という怒りの抗議が西武本社に殺到。電話もパンク状態になったはずだ。堤はこれに懲りてるはずなんだよね。

 だから、今回の不評でビビるくらいなら最初から譲歩しているはず。ここで譲歩したとなると、「何かある」と疑うのが常識ってものだろう。どうも何か企んでいるような気がするよ。

 だから、これで気を緩めちゃいけないと思うよ。今回の騒ぎ…そしてオーナー側の合意ってやつも、何か裏があるかもしれないからね。

 

見る前の予想

 ゲーム映画に傑作なし。これは僕がいろいろ映画を見てきて思っている、偽らざる心境だね。そして大概の映画ファンもそう思っているはずだ。これは間違いじゃないと思うよ。ハッキリ言ってゲームから出来た映画には、ロクなものがないからね。

 それってまずはテレビゲームが映画に酷似したメディアである…ってとこに問題があると思う。

 確かにゲームのビジュアル表現は進歩した。一方で映画もCGなどのデジタル表現を多用し始めた。かくして両者のビジュアルは著しく似て来るのが当たり前。…と、ついついそのまま映像化すればいいと思ってしまうのが運の尽きだ。

 だが映画とゲームでは根本的な違いがある。ゲームなんてやらない僕でも分かる一番簡単な違いは、ゲームは本人がプレイ出来るが映画はただ見ているだけ…という点だ。せいぜい臨場感しか与えられない。だから単にゲームを映画に移植したとしたら、それって「プレイできなくなる」というマイナス要素しか見る者に与えない。これではゲームやってた奴からは反発されるよね。

 一方で、そういう映画づくりってどこか中途半端になるんだろう。映画ファンにも毛嫌いされた。かくしてゲーム映画には傑作が出来ない。

 ところがこれに唯一の例外が現れた。バイオハザードだ。

 ゲームなどやった事のない僕が言うのも何だが、これは面白かった。ゲームなど知るか。ホラー・アクションとして楽しめたからね。大したもんだと驚いた。

 もっとも、僕は監督の名を見て納得がいったんだよね。ポール・W・S・アンダーソン。大好きな「イベント・ホライゾン」の監督だ。なるほど、この人なら面白い映画づくりに長けている。見せ方も知り尽くしている。出来上がった映画も堂々たるものだ。すっかり手に汗握らされたよ。

 エンディングも、すっかり荒れ果てた街に一人佇むヒロイン…という思わせぶりなもの。こりゃあ続編も期待できそうだとワクワクした。これから荒れ果てた街で何が起きるんだ…と、いろいろ想像が湧いたからね。

 もっとも、「バイオハザード」のエンディングに出てきたような大都市の“その後”については、まったく関係ない28日後…で完璧に描かれ、すっかり堪能する事になったけどね。

 そして僕はあそこまで素晴らしく「28日後…」に“その後”を描かれてしまったら、本家「バイオハザード」続編はやりにくいのではないか…と心配しちゃったりもした。

 すると…そんな僕の心配は現実のものになってしまったのか。ポール・W・S・アンダーソンが「バイオハザード」続編の監督から降りたというではないか。何でも「エイリアンVSプレデター」の監督に携わるため…との事だが、何だか今ひとつ魅力を感じない「エイリアンVSプレデター」なんかに、ポール・アンダーソンは何でまたホイホイと収まっちゃったんだろうか? それより何より、何もあんなに楽しかった「バイオハザード」続編を見捨てなくったっていいじゃないか。

 何だか僕は、この「バイオハザード」続編に、すっかり期待が持てなくなって来たんだよね。

 そして公開が始まると…それなりに評判はいいものの、ホメているのはみんなゲームやってる人ばかり。ホメてる内容も「ゲームと同じ場面が出てくる」「ゲームと同じ人物が出てくる」って…おいおい、それじゃ原作と同じメガネのガキが出てくるってだけで客が入る、映画の「ハリー・ポッター」シリーズと同じって事かよ? 出てりゃ内容なんてどうでもいいっていうヨン様主演映画と同じかよ?

 こりゃあちょっと、映画としちゃあ期待出来ないんとちゃうか?

 

あらすじ

 まずは手早く前作「バイオハザード」のおさらいをば。

 大都会ラクーンシティの地下には巨大企業アンブレラ社の秘密研究所があったが、ここで事故が発生。アンブレラ社では急遽外界とこの研究所を遮断し、中の職員を見殺しにした。ところが軍事機密の細菌兵器T-ウィルスも漏れていたため、事態はさらに深刻化。死んだ職員たちがゾンビと化してウロウロと暴れ出したのだ。ある事情で中に潜入したミラ・ジョボヴィッチやアンブレラ社が派遣した特殊部隊は、このゾンビたちと悪戦苦闘。結局生き残って外に出られたのは、ミラジョボと自称「刑事」のエリック・メビウスだけ。しかもメビウスはカラダに変調をきたして、そのままいずこかへと連れ去られてしまった。ミラジョボもアンブレラ社によって隔離されてしまう…。

 さて、今回のお話はここから始まる

 アンブレラ社はその後、よせばいいのに新たな特殊部隊を研究所内に潜入させた。これがマズかったのは火を見るように明らか。特殊部隊はその場でゾンビたちに皆殺しにされてしまう。こうして、その入口からゾンビたちが街へと溢れ出てしまった。

 慌てたアンブレラ社は、ラクーンシティの各所にいる研究者たちの身柄を確保。車椅子の天才科学者ジャレット・ハリス博士もその一人だ。だがハリス博士は会社の出頭を拒む。それは博士の一人娘ソフィー・ヴァヴァサーが小学校へ出かけてしまったから。だがアンブレラ社の職員たちは、学校にも使いをやっていると言って博士を説得した。

 確かにアンブレラ社は、小学校に使いをやっていた。そして博士ともども避難させようと、クルマで街から出ていこうとしていた。しかし、肝心な時になるといつもポカをやらかすのがアンブレラ社の悪いクセ。今回は彼女を乗せたクルマが往来で大事故を起こしてしまった…。

 やがてラクーンシティはゾンビたちの登場で大混乱だ。

 さてその頃、てんやわんやの警察署内に一人の若くてイケてる女がやって来る。署内はゾンビな連中やら犯罪者やらがゴチャゴチャになって、目も当てられないヤバイ状態になっていた。するとこの女、いきなり銃を持ち出してゾンビな奴らを射殺しまくり!

 「脳を撃つのよ!」

 このイケてる女こそ特殊部隊S.T.A.R.S.のメンバー、ジル・バレンタインことシエンナ・ギロリーだ。

 ついでにバレンタイン=ギロリーは、ケチな罪でつながれていたマイク・エップスも手錠から自由にする。事態の深刻さを熟知していたからだ。「さっさと街から出ていく事ね!」

 さてアンブレラ社はラクーンシティの周囲を閉鎖し、ゾンビたちを完全に封じ込めた。しかし、それは生存者たちをもその場に閉じこめる事につながる。かくして街の唯一の出口となった地点には、多くの市民たちが殺到してごった返す事となった。

 一人ひとりウィルス感染を調べながら「シロ」だった者を受け入れる…という途方もない作業を続けているため、出口に殺到した人波は遅々として減らない。バレンタイン=ギロリーとその相棒警官のラズ・アドチがその場に駆けつけた時には、もはや人々の我慢も限界に達していた。

 だが、そんな人々の中で突然もがき始める男が!

 連れの娘は「心臓発作だ」と言い張るが、この発作はそんなものじゃない。案の定この男は目つきが変わり、いきなりアドチに噛みついた!

 たちまちこの男は撃ち殺されたものの、出口の関門所を管理していたアンブレラ社と日本プロ野球機構から全権委任されているトーマス・クレッチマンは、感染者がこんな場所にまで来ていたと知って驚愕。即座に出口の閉鎖を決定した。

 巨大な金属製の扉がギギギ〜ッと閉まり、人々はパニック状態になる。まさか人々を閉め出しはしまいと信じられない表情だ。だがバレンタイン=ギロリーは、アンブレラ社がマジだと知っている。

 「ここは閉鎖する。来年からの新規参入は認められない。ライブドアだろうが楽天だろうが、絶対に入れないからな!」

 人々は大慌てで騒ぎ出す。中にはシダックスの参入の声も挙がったが、敵はまるっきり聞く耳を持たない。

 調子に乗ったクレッチマンは、さらに続けた。「さっさとここから離れろ! たかが選手だのファンだのがしゃらくさいわ!」

 そして、いきなりその場にいた人々を襲うものすごい千本ノックの嵐。岩のような硬球がビュンビュン飛んでくる中、人々はその場から散り散りバラバラになってしまった。これにはバレンタイン=ギロリーも怒り心頭。ついでにロッテ・マリーンズのバレンタイン監督だって怒ってるゾ。

 ところでそんな日本プロ野球機構とアンブレラ社の暴挙に、一人反旗を翻した人物がいた。それはあのハリス博士だ。娘のヴァヴァサーがまだ街にいるのに見捨てられ、あのクレッチマンに一人で避難しろと命令されて納得がいかない。

 「どうしてダメなんだ。来年からの参入だって間に合うだろう?」

 「とにかくダメだったらダメだ。来年はもう1チームつぶして1リーグに…おっと、そんな事はどうでもいい。とにかくバッファローズと娘はもう諦めろ!」

 そんな日本プロ野球機構の横暴には耳を貸さず、ハリス博士はその場に踏みとどまった。そしてネットでラクーンシティの保安システムにアクセス…ところが早くも博士のパスワードは無効にされていた。さすがに悪いことなら手際が早い日本プロ野球機構とアンブレラ社。だが、所詮は球団経営に失敗した無能の輩の集団だ。やる事がザルなのは今始まった事ではない。早速ハリス博士はちゃっかりとシステムに侵入。娘の安否を探り出した。すると…娘ヴァヴァサーは小学校の建物に隠れているらしい。では…街には他に生存者はいないのか?

 その頃、あのミラジョボは混乱の街にいた。銃砲店に押し入って銃や弾丸を調達。これで何とか生き延びねばならない。ところが…。

 なぜか突然の苦痛に襲われるミラジョボ!

 いきなりその場にうずくまると、腕に…そしてカラダ全体に、何やら異変が起きているではないか。そう言えばあの時…。

 命からがら地下研究所から脱出したミラジョボとメビウスだが、やっと地上に着いたとたんにアンブレラ社の連中に拉致されてしまった。あの時にすでにカラダに変調をきたしていたメビウスは、ベッドに縛り付けられて連れて行かれてしまった。職員の連中の言葉が今も耳に響く。「こいつ、ネメシス計画に使えるぞ」

 そしてミラジョボも連れて行かれた。麻酔で意識が朦朧となっていく中、彼らはベッドに横たわるミラジョボのカラダに…。

 T-ウィルスを注入していた!

 その事実に思い当たった時、ミラジョボはただ愕然とするしかなかった。果たしてこれから彼女のカラダに、どのような異変が起きるのか?

 一方、あのバレンタイン=ギロリーと相棒のアドチ、そしてなぜか同行する事になったテレビの女レポーターのサンドリーヌ・ホルトは、人けのない教会にいた。ここには前から隠れていた男もいて、ビクビクもので様子を伺っている最中だ。そんな時にも、ホルトは持参したビデオカメラでレポートを続ける。

 「街はすでに廃墟のような状況。球場も土日というのに試合が行われていません。一体この事態の責任は誰にあるのでしょうか…?」

 ところがこの教会…どこか様子が変だ

 早速二階へ上がって調べ始めたバレンタイン=ギロリーは、この教会のとんでもない「住人」と遭遇。一方、下ではこの教会にいる「何か」の気配を感じていた。

 それは…妙に長い舌を持った怪物だ!

 それも三匹もいる。慌てふためいて逃げた男は、たちまちこいつの餌食になった。残ったバレンタイン=ギロリーと相棒のアドチ、女レポーターのホルトは絶体絶命。しかも手持ちの弾丸は尽きた。

 その時!

 ステンドグラスをブチ破って、一台のバイクが突っ込んできた!

 そのバイクからスックと降りたのは、完全武装のミラ・ジョボヴィッチだ。彼女は手慣れた様子で慌てず騒がず、アッという間に怪物を倒した。これにはさすがのバレンタイン=ギロリーもビックリ。

 さて、ラクーンシティにはまだ他にも生存者がいた。例えば…先にバレンタイン=ギロリーに助けてもらったエップスだ。彼はウロウロ歩いているうちに、ある建物に武装した人々が立てこもっているのを見つける。そこは例のS.T.A.R.S.の連中の砦。彼らは何が起きてもここに踏みとどまる覚悟だ。ストが起きてもサイン会などやる事はいくらでもある。しかも彼らには武器も弾薬も豊富にあるし、腕にも自信がある。エップスも彼らの砦に入れてもらい、百万の味方を得たような心強さだ。

 ところが彼らの建物の前に、スックと立ちはだかる一人の人物が!

 なんだなんだ、一体誰だ? 舞台から降りたと見せかけて、陰にかくれて悪だくみのナベツネか? 一番大事な時に逃げ出して自爆テロした無能コミッショナーの根来か? はたまた本国で史上初のストライキが勃発しているのに、いけしゃあしゃあと大リーグの始球式なんかやって喜んでいる恥知らずな総理大臣か?

 それは…どう見ても出来損ないのフランケンシュタインの怪物のよう。だがゾンビではない。それが全身武装してノシノシと歩いて来るではないか

 その頃…ここはアンブレラ社の特設対策本部。あのクレッチマンはじめ日本プロ野球機構のスタッフが、一部始終をモニターで見ていた。「おうおう、まだ近鉄ファンがいやがった…じゃなかった、生存者がいやがった!」

 そう、こいつはアンブレラ社が投入した「生きている究極の人間兵器」だ!

 ゾンビではないから、ちゃんと意識を持って行動する。ただしその行動はアンブレラ社が完全にコントロールする。そして撃たれても刺されても、ゾンビと同じでこいつは無敵だ。これぞ究極の人間兵器。これを開発するために、T-ウィルスは必要だった

 しかもアンブレラ社は、日本プロ野球参入をも目論んでいた。その切り札となるのが、この究極の人間兵器。彼らはこいつらで新しいチームをつくって、日本の球界制覇を目論んでいたのだ。その名も「アンブレラ・バイオハザーズ」(笑)。能力は抜群だし何しろ死なない。年棒アップも要求しない。こいつらの成績を超えられる人間の選手もいないから、人間の年棒だって抑えられる。何よりオーナーの言うがまま、どうにでもなる奴隷だというのが気に入った。ここに「巨人対アンブレラ」の黄金カードで、もう一回ジャイアンツ人気を復活させようと目論むナベツネとアンブレラ社の野望が合致。ついでに大金投じて他球団から取ってきたものの使い物にならないジャイアンツの大物ロートル選手は、一回飼い殺しにしたあげく全部ゾンビにして再生すればいい。そこまで汚い事を考えていたのかナベツネ! もちろんナベツネだけではそんな大それた事は思いつくまい。そこには長野オリンピックを汚れたカネで札びら切って買った悪党・ツツミの野望も渦巻いていたに違いない。どこまで汚いんだオマエらは! なるほどそのためには、ライブドアや楽天やシダックスに参入されては都合が悪いわけだ。

 アンブレラ社では、この究極の人間兵器の開発を「ネメシス計画」と呼んでいた。だが、今なぜこの街にこいつがいるのだ? おそらくアンブレラ社が何らかの目的で解き放ったのに違いない。だが、なぜだ?

 ともかく今この「ネメシス」の人間兵器は、偶然にもS.T.A.R.S.の生存者たちとハチ合わせした。これにはクレッチマンがもモニター画面を見つめながら、こみ上げる喜びを隠しきれない。それは…たった今クレッチマンがとんでもない事を思いついたからに他ならない。この偶然を利用して、「ネメシス」兵器の実戦使用をテストする事が出来るぞ!

 「よ〜し、予定変更。攻撃目標はS.T.A.R.S.の連中だ!」

 そんなクレッチマンの命令が下るや否や、何を思ったか「ネメシス」は肩から下げたバッグから、ボールとバットを取り出すではないか。

 いきなり千本ノックだ!

 それも目にも留まらぬ早さで次から次へと打ちまくる。これには砦のガラスは粉々。S.T.A.R.S.の精鋭たちも、次から次へとたまらずノックとも思えぬ鋭いタマに倒れていく…。

 さてその頃、ミラジョボとバレンタイン=ギロリーたちは一緒に移動しているところ。強い女の最強ツー・トップで鬼に金棒だ。やっぱりこうなるとプロ野球もJリーグでの成功例も参考にせねばなるまい。

 ところが彼らが移動するそばから、近くの公衆電話がベルを鳴らす。最初は単なる偶然かと思ったが、行く先々で鳴るとなると偶然とは言えない。さすがにおかしい…とミラジョボは思わず受話器を取った。

 「やっと出たな…。話を聞け。私はハリス博士…アンブレラ社の社員だ」

 何とハリス博士は、ラクーンシティの保安システムにアクセスして、市内に張り巡らされたモニター映像を監視していた。そこで見つけた「生存者」とコンタクトを取っていたのだ。博士は自分の要求を聞いてくれれば、街からの脱出を手助けすると言って来た。

 その条件とは…博士の娘の救出だ。

 ハリス博士の娘ヴァヴァサーは、いまだに小学校の建物にとどまっている。何とか見つけだして奪還して欲しい…それが博士の頼みだった。

 ミラジョボから電話の内容を説明されたバレンタイン=ギロリーと相棒のアドチ、女レポーターのホルトだが、イマイチ反応はニブい。何もこれからわざわざ小学校なんぞに行って、危ないマネをするこたぁない。何とか隠れて助けが来るのを待って…。

 だがミラジョボが次に明かした事実は、その場にいる全員を凍り付かせた。「奴らは明朝早々に、この街全体を消毒するつもりよ

 「消毒?」

 「戦略核ミサイルで街ごと証拠隠滅するの」

 それが奴ら…アンブレラ社と日本プロ野球機構なら「やりかねない」事というのは、イヤというほど分かっている一同だった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後は映画を見てから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見た後での感想

 ここでは、僕が見る前に持っていた不安が実際にはどうだったのか…から語ってみよう。まず、今回はゲームのファンしかピンとこないのか?

 さぁ、どうなんだろう。

 普通に考えれば、そんな事はないはずだ。今回出てくるジル・バレンタインという強いヒロインがいるけど、これって実はゲームでの主人公らしいね。で、彼女がらみのエピソードにゲームと同じシチュエーションがあるらしい。でも、だから映画だけを見ている者には分からないとか面白くないとか…そういった事はないと思ったよ。

 それと言うのも…ちゃんと製作と脚本にポール・W・S・アンダーソンの名があるではないか。特に脚本にアンダーソンが関わったのなら、キッチリ面白くつくってくれるはずだ。

 今回、いわゆるゾンビ映画の怖さは前半だけに絞っている。結局それでは前作と同じって事なんだろうか、ある程度のところでサッと切り上げてしまう。そして中盤から「ネメシス」の人間兵器が登場して、本格的バトル・アクションへと変貌していくわけ。まぁ、早い話がリドリー・スコットの「エイリアン」一作目からジェームズ・キャメロンの「エイリアン2」への方向転換みたいな事を、この一作の中でやってしまおうという趣向だ。今度は戦争なのだ。

 まぁ、元々ヒロインが戦うバトル・アクションということ、基本的にはSFホラーであること…から、ポール・W・S・アンダーソンが当初から「エイリアン」シリーズを意識していたのは明らかだろう。だから、あれだけ完成されてしまっていた「エイリアン」の世界を思い切り方向転換させて力業で続編を成功させた「エイリアン2」のことを、今回「バイオハザード」続編制作にあたってアンダーソンが意識しない訳もないのだ。

 案の定、物語の途中で「少女救出」という設定が出てくる。これなんか「エイリアン2」の直接影響の証拠みたいなものだ。しかもヒロインのミラジョボは、今回体内にT-ウィルスを注入されている。このあたりは「エイリアン3」から「エイリアン4」あたりを彷彿とさせる趣向だ。どう考えてもアンダーソンはこのシリーズを大いなるSFホラー・シリーズの先達としてリスペクトしているんだよね。

 で、中盤から物語は一気にバトル・アクションになる。アンダーソンはここでちょっとした工夫をやってのけている。前述したゲーム・キャラのジル・バレンタインをここに投入し、作品自体を補強しているのだ。これで映画とゲームとでバラバラで展開していたものを連動させる事が出来るし、映画としては続編ならではの「増量」も図れる「一石二鳥」だ。なかなか巧みな作戦だよねぇ。女二人で暴れるから、派手さも二倍。アクションも二倍となるという計算だ。

 もちろんミラ・ジョボヴィッチは今回も一生懸命アクションしてる。ますます色気の方はなくなってきちゃったが、頑張ってるのはすごく伝わって来る。今回新規登場のジル・バレンタイン役シエンナ・ギロリーもなかなかエッチで強い。

 だから、この映画はソコソコ楽しめる。決して退屈するような映画ではない。普通に見ていられる作品だ。必ずしも前作を知らなくても、訳が分からないってほど話が複雑でもない。

 ただし、万事計算通り作戦通りにいってくれないのが世の常。特に前作と比べてみると、今回は少々出来上がりに難がないわけではないのだ…。

 

見た後の付け足し

 今回、何だかんだ言ってもそれなりの制作費と人材を得てつくってるはずの「バイオハザード II」なのに、お話も研究所内だけから街全体に広がっているのに…実は何となく映画のスケール自体はショボくなってる気がする。

 特にそれが顕著に出ている部分として僕が挙げたいのが、終盤の一場面。アンブレラ社の連中に捕らえられたミラジョボが、彼らが見ている前で「ネメシス」人間兵器と素手で戦わねばならなくなるという場面だ。

 これがねぇ…ちょっとショボいんだよね(笑)。

 昔、テレビの短い帯番組で「ウルトラファイト」という番組があった。円谷プロが「ウルトラマン」とか「ウルトラセブン」などで使った怪獣の着ぐるみを使ってつくったシリーズで、月曜から金曜の夕方あたりやっていたんだよね。あれって何分間ぐらいの番組だったかね? とにかく短い番組だった。

 というのは、これってドラマじゃない。だから普通の俳優も出てこないしドラマもない。ただ怪獣同士、あるいはウルトラマンやセブンと怪獣が戦うだけの…怪獣格闘技番組とでも言えばいいのかね(笑)。

 しかもミニチュア・セットも作ってない。ウルトラマンも怪獣も、普通の原っぱとか遊園地とかそんな所でレスリングや相撲みたいに取っ組み合っていた。そこに実況アナみたいなナレーションがつく。ただ、それだけの番組だ。

 まぁ、空いた時間を埋めるための番組みたいなものだったし(…いや、これはホントにそうかどうかは分からないよ。違う…と怒られても困る。僕は見た印象で言っているだけだ)、実際にすでに使った着ぐるみを使っての「廃物利用」的なニュアンスでやってたように思える。だから無駄な制作費もかけられなかったのかもしれない。仕方なかったんだろうね。

 怪獣がススキの生えた原っぱみたいなところで取っ組み合う「ウルトラファイト」…それは子供心にもどこか貧寒としてショボい印象があった。見た後もの悲しくなっちゃうんだよね。

 今回の「バイオハザード II」のミラジョボVS「ネメシス」の戦いも、それと一脈通じるものがある。何しろミラジョボが、でっかい着ぐるみ着た奴とそのまま取っ組み合いしているんだからね。これは見ていて少々キツいよ。いい大人がやる事じゃないようにも見える。そして、どこか大まかだ。

 そんなショボさと大味感が、映画を象徴しているのではないか。

 監督のアレクサンダー・ウィットという人は、何でもさまざまなヒット作でセカンド・ユニットの監督をやってきた人だとか。ならばアクション演出はお手のもの。ますます今回の映画にピタリの人材だと思えるよね。作品にコクみたいなものを期待したらツラいが、元々この作品はそんな映画じゃない。大いにハラハラしてドキドキすればいいはずだ。

 だがそれなのに、一作目みたいにはうまくいってない

 ミラジョボがオールマイティーな運動能力を身につけたら、それと反比例して面白さが失せていった。そういう事なんだろうか? 怪物化したミラジョボと「ネメシス」の怪物との戦いってのはゲームの趣向なのかどうか知らないが、それを映画で見せられてもどうか。生身の人間に多数のゾンビが襲いかかってくるのを、どうやって防ぎ、どうやって倒すかがこの映画の面白さだった気がするからねぇ。それとも、このあたりゲームと映画の超えがたい溝があるのだろうか?

 さらに言うと、せっかくダブル・ヒロインで見事なアクションを見せているのに、それを全身フルサイズの長回しでは見せてくれない。やたらアップ、やたら短いカットでチャカチャカつないでいくから、アクションの位置関係やら運動量が伝わりにくい。これももったいないんじゃないか?

 続編として新たな鮮度を求めたのは間違っていなかった。それでも、やはり前作の面白さを維持するのは難しかったのかねぇ?

 

 

 

 

 

 to : Review 2004

 

 to : Classics Index

  

 to : HOME