「クリムゾン・リバー2/黙示録の天使たち」

  Les Rivieres Pourpres 2 - Les anges de l'apocalypse

  (Crimson Rivers 2: Angels of the Apocalypse)

 (2004/06/14)


  

今回のマクラ

 どうもここのところ、風向きがおかしくて仕方がない。

 風向きって言っても、近くにマンションが建ったおかげで我が家に風害が…ってな話じゃない。イマドキの世の中の風向きってやつが妙なんだよね。

 例のイラクでの人質事件での、「自己責任」って大騒ぎには実に驚いた。そもそも、今までそんな論議は出た事ないんじゃないか。それより何より、国民の物わかりの良さに驚いたけどね。だって「自己責任」を閣僚たちが騒いだだけじゃない。実際に国民が人質や家族に非難囂々だったんだからね。これって健全な世論なんだろうか。

 とにかく、あれって結局は人質が殺された時に、政府が悪く言われないための自己弁護だったのはミエミエだからね。「自己責任」だから殺されても仕方がないって。そんな事を、ロクに「自己責任」を果たさない政府に言われたくないよ。

 先日は先日で、小泉首相の突然の訪朝。これがまた、最初っから日帰りコースとは恐れ入った。この時期に粗製濫造みたいな訪朝計画なんて、どう見ても年金未納騒ぎ隠し、参院選ウケ狙いだというのは明らかだ。

 そんな訪朝直前の折りもおり、訪朝団から日本テレビの取材陣をハズす…と、首相側近の秘書の何とかいうオッサンから電話が来たと言うじゃないか。これって明らかにマスコミへの脅しって事なんだろうね。

 実際にこの訪朝、結果も難しい点が多々あったようだしね。慌ててやったのはいかがなものだろうと思うよ。拉致家族の家族会が怒ったのも当然だ。ところが、またまたそんな家族会に抗議殺到というから驚いたんだけどね。

 そんなリスキーな訪朝をするにあたって、都合の悪いことを言われたくない。政府側としてはそういう事なんだろう。だが都合によってマスコミを選別するって事が、民主主義の国で行われていいんだろうか? そりゃいくら何でも悪ノリだろう。マスコミは大本営発表だけやってりゃいいんだって事なのか?

 大体そもそも自己責任だのマスコミを選別するだの、そんな事を政府側から押しつけがましく言うこと自体がおこがましい。今までの政府だって、そこまではやらなかった。それがマトモな国ってもんじゃないだろうか。

 おまけに、参議院での年金法案を巡るドサクサ紛れの茶番だ。一体何であんなに慌てて事を進めなければならないのか。…と思っていたら、直後に今回の法案の積算根拠となったわが国出生率の数字が、またまた下方修正されて出されたではないか。こういう事だったのね。

 何も後ろ暗いところがなければ、そんな事は言わないはずだしやらないはず。どこかやましいところがあるからガタガタ騒ぐに決まってるんだよね。

 

見る前の予想

 猟奇仕立ての刑事アクション映画クリムゾン・リバーに続編が出来ると聞いて、みなさんはどう思ったろうか。

 まずは前作「クリムゾン・リバー」についての世間の評判は、ネット上の映画ファンの評を見ている限りはあまり芳しくない。謎解きがイマイチだとかアクションやCGで派手に見せ場を盛り上げるのが大味だとか、理由は分かったような分からないようなものばかり。まぁ、大体何が気に入らないのか想像はつく。格調高いミニシアター好きのヨーロッパ映画ファンからすれば、娯楽映画仕立てのフランス映画自体が気に入らないんだろう。いまやハリウッド映画にまで出るジャン・レノ主演ってだけで気に入らないのかもしれない。それより何より、それまでは硬派の作品を発表してきたマチュー・カソヴィッツが、こんな大作の構えの娯楽映画をつくった事が気に入らないに違いない。「堕落した」って事なんだろうか。やれやれ、日本の映画ファン…。

 そんな映画ファンのご意見がほとんど意味を持ってないのは、この映画の大当たりを見ても分かる通り。 僕はこの映画気に入ってたよ。ドキドキの猟奇殺人事件、奇妙な設定の数々、刑事映画ならではの猛烈アクション、CGまで駆使した派手な見せ場、そしてジャン・レノとヴァンサン・カッセルという強烈個性の二人の絶妙な組み合わせ。キライって人がいてもいいけれど、何がそんなに気に入らなかったのか?

 それはともあれ、その「クリムゾン・リバー」に続編登場と聞いて、僕はどう思ったか? さぞや喜んだとお思いだろうか? いやぁ、そりゃあ違う。

 今日びのハリウッドならいざ知らず、続編映画はいろんな意味でレベルが落ちるのが当たり前。ヨーロッパのヒット作の続編では、まずは出来の良さを期待は出来ない。これって完全なエンターテインメント映画だからね。フランス映画でエンターテインメントを全うするのは至難の業だ。前作「クリムゾン・リバー」は希有な成功例だ。まして続編となれば。

 ただ、チラシをむさぼり読んでみたら…これがなかなか興味深いんだよね。

 結局この映画、ジャン・レノ演じる刑事のキャラを継承する以外は、前作と何もかもガラリと様変わり。で、今回ヴァンサン・カッセルに代わってレノの若手相棒を勤めるのは、な、何とブノワ・マジメルではないか。カッセルも贅沢なキャスティングだったが、このマジメルもフランスの若手ホープ。王は踊る」「ピアニストなどお高く止まったミニシアター系映画で着々と伸してきた人だが、そのマジメルとレノとのコンビとは嬉しいではないか。

 しかもしかも、なぜか今回はリュック・ベッソンがかんでいる。

 イマドキ、リュック・ベッソンの名を出されて喜ぶ映画ファンなどいないかもしれないが、実はこの僕は、ベッソン映画を結構買っている。ただし巨額の制作費をかけてハリウッド化し始めた彼の監督作品ではなくて、彼がプロデュースなどを担当した映画が好きだ。どこか安っぽくて教養もコケ脅しも何にもない映画。「TAXI」キス・オブ・ザ・ドラゴンWASABIトランスポーター…などなど、気取りも何もなくて肩に力が入っていない娯楽作ばかりだ。元々はベッソン無関係の「クリムゾン・リバー」の続編にまで、何で彼がシャシャリ出たのか分からないけどね。前作の興行的ヒットとベッソンの持つ娯楽指向がピッタリ合って、「オレにつくらせろ」と名乗り出るに至ったのだろうか? ならばこの「クリムゾン2」も堅苦しい事はヌキ、ソコソコお客を楽しませる映画になってる可能性がある。

 さらなる朗報は、この映画にクリストファー・リーが出ているところ。マジメルの加入と言い、キャスティングは明らかにパワーアップしている。このスターの加入っていう、単純な発想の「増量」がまたイイ(笑)。

 たぶん風格もへったくれもないだろうが、入場料の元は取れるだけ楽しませてくれるに違いない。

 

あらすじ

 それは何とも不吉な雷雨の晩のこと。ロレーヌ地方のど田舎にある古くさい修道院に、新たな僧たちがやって来る。彼らがそれぞれ滞在用に空き部屋に入って行くが、若い僧がある部屋に入った時、神父の表情が一気に青ざめる。それは、彼が選んだのが「13号室」だったから。

 不吉だからやめろ…と言っても若い僧は相手にしない。部屋に落ち着いた若い僧は、早速壁に十字架を打ち付けて固定するが…。

 何と、そこからタラ〜リタラリと血が垂れて来るではないか!

 そうなれば早速パリ警察のクセモノ事件専門刑事、ジャン・レノの出番だ。彼は科学捜査スタッフを引き連れて、この人けのない修道院へとやって来る。ここは古い建物で、キリスト教でも禁欲的なモンタノス派の修道院。かつては長く捨て置かれた時もあるらしい。だが最近、ある人物が買い取って再興した。

 さて、例の部屋にやって来たレノとスタッフ。音波で測定する装置を据え付け、壁の向こう側をスキャンする。すると…そこにはキリストみたいに張り付けになった人物の生き埋め死体が!

 この壁は最近左官屋に塗り直させたということだが、どこの誰にやらせたかは記録が残っていない…。

 その頃ある空港にて、一人の空港税関士が部屋でつまみ食いをしていると、黒マントを頭からスッポリ被った謎の男が、いきなり税関士に襲いかかる。この黒マント男は税関士の両手をクギで壁に打ち付けたあげく、彼を殺してその場を逃走してしまった…。

 そんな事とはツユ知らず、この地に居座る事になったジャン・レノ刑事は、血液型から例の死体の身元を知る。その男フィリップは、かねてからキリスト教の密教に熱中していた。密教と言っても内輪でこぢんまりとやってる新興宗教のようなもの。だが、かぶれにかぶれたあげく、中にはキリストの生まれ変わりと言う者まで現れ、12人の使徒を気取って「最後の晩餐」よろしく写真を撮ったりもしていた。フィリップはその12使徒の一人だったのだ。そして彼らは、この世の終わり…黙示録の再現が起きると怯えていたと言う。

 その頃、地元の若手刑事ブノワ・マジメルは麻薬の売人の張り込み捜査に参加。持ち前の向こう見ずさで事件を解決し、意気揚々と引き揚げようとしていた。

 そんな彼らのクルマにドカンと誰かが体当たり!

 慌ててクルマを飛び降りると、そこにはまるでキリストみたいな姿の男が一人。傷ついているようでもあり、かなり怯えてもいる。見ると肩には銃で撃たれたキズが…。マジメルは怯える「キリスト」が気絶するや否や、彼を病院へと送った。

 さてレノ刑事の方はと言えば、例の12使徒の一人を訪ねて地下深くを訪ねるところ。このロレーヌ地方には第二次大戦前、ドイツ軍の侵略に備えた巨大かつ長大な地下要塞「マジノ要塞線」が張り巡らせるように建設されていた。問題の12使徒の一人トマという男は石工として、この地下要塞の維持管理の工事に雇われていたのだ。だがレノ刑事が訪ねて行くと、彼は仕事に来なくなったと言う。イヤな予感を感じたレノが地下要塞のあちこちを見て回ると、それまで見慣れなかった封鎖場所があるではないか。ええい、ままよ。そこの板をひっぺがし始めるレノ刑事。するとどうだ…。

 案の定、石工のトマが死体となって発見されるではないか!

 さて今度はマジメル刑事の方は…と言うと、病院に収容された「キリスト」を見舞ったところ、誰やら僧侶らしき男が訪ねてきたと言うではないか。第六感が働いて病室に駆け寄ってみると、今にも怪しげな黒マント男が「キリスト」に手をかけ、部屋を出ようとしていたところ。間一髪で「キリスト」を救ったマジメルは、怪しげな黒マント男を追う。するとこの黒マント、何とガラス扉に体当たりしてブチ壊し、脱兎のごとく走り出すではないか!

 その走りっぷりがスゴイ。ピョンピョンと大ジャンプをキメにキメ、人の家の窓をブチ破ってお茶の間に乱入しては、また窓をブチ破って逃走。ヒラリヒラリと障害物を乗り越えては全速力で走っていく。追うマジメルは若さがあるとは言っても、生身のカラダじゃここまでムチャは出来ない。それでも何とか街はずれの廃墟に追い詰めるが、この黒マント男は不死身の身のこなしで去っていてしまった。

 あれは一体何者なんだ?

 くたびれ果てたマジメルが病院に戻ると、またしても「キリスト」に面会客だと言う。またか! 銃を構えてマジメルが病室へと向かって行くと…。

 それは「最後の晩餐」写真の「キリスト」が発見されたという知らせで駆けつけた、ジャン・レノ刑事だった。そしてマジメルもそんなレノ刑事を見て顔をほころばせる。何と偶然にもレノ刑事は、マジメルの警察学校での教官だったのだ。

 さて少々ムチャな捜査ならレノ刑事の十八番。彼は「キリスト」に自白剤を注入し、何やら聞き出そうと躍起だ。だが「キリスト」ときたら、やれ「封印」だ「最後の審判」だ「黙示録」だ…と、言うことがまことに要領を得ない。かくして本庁から宗教関係の専門家の女刑事カミーユ・ナッタが呼ばれる事になる。だがナッタの言葉はチンプンカンプンで、レノ刑事もマジメルもまるで分かってない。ただ分かっているのは、12使徒を真似た連中が次々と殺され、手を下しているのは僧侶のような黒マントの男たちと言うことだけだ。

 そのうち殺された12使徒たちが、みな実際の12使徒と同じ名前、同じ職業である事が分かってくる。殺された空港税関士もそうだった。ならば、何とか割り出して先回り出来るのでは?

 12使徒の中でも漁師という職業が難問だったが、それは近くの湖で漁をして暮らす男たちである事が判明。ただちに彼らの家に駆けつけるレノ刑事、マジメル、ナッタだったが一足遅かった。すでにバラバラ死体にされた直後だ。ところが犯人の黒マントも現場にいた。三人の刑事相手に大立ち回りを演じたあげく、付近の森へと駆け込む黒マント。

 さらにクルマで深追いしようとしたレノだが、突然、機銃掃射を受けて立ち往生!

 何と森の中の地面から、いきなり機銃台がせり出してくるではないか。そこから浴びせるように弾丸の雨あられ。さすがにここに至ってレノ刑事は、例の「マジノ要塞線」が臭いとにらむ。

 さて、そんなこんなで常に黒マント軍団に先手を取られ、12使徒を一人ひとり失ってしまうレノ刑事たち。そんな劣勢に焦り狂いながらも、ナッタはこの事件の裏にあるブツが絡んでいるのでは…と思い当たる。それは、大昔にバチカンから盗まれた財宝だ。

 そして事件の発端ともなった修道院に、一人の長身の老人がやって来る。その老人は、何とドイツの宗教・歴史・文化担当大臣クリストファー・リーだった。

 一体この修道院、そして「マジノ要塞線」を巡って、いかなる陰謀が巻き起ころうとしているのだろうか?

 

見た後での感想

 いやぁ、やっぱり楽しかったよ!

 おどろおどろしい舞台設定やら人物設定を絡ませ、いかにもな猟奇殺人が巻き起こる。ま、早い話が横溝正史による金田一耕助シリーズのヨーロッパ版みたいなお話だ。そこに中心に据えられるのは、タフガイのジャン・レノと若手刑事とのすっとぼけたやりとり。結構ユーモラスなのが、また楽しい。今回はブノワ・マジメルにバトンタッチされて、この人って「王が踊る」「ピアニスト」みたいな文芸作が多いので大丈夫かと思ったが、なんのなんの…アクションも頑張ってくれてる。前作のヴァンサン・カッセルが導入部で激しいカンフー・アクションを見せてくれたように、今回も本筋と関係ない登場場面で、麻薬の売人相手にいきなりハードに大暴れだ。これで嬉しくなった。もっとも思い出してみたら、彼ってスズメバチでもアクション頑張ってたんだよね。だったらこれはお手の物のはず。結構この手の作品が好きなんじゃないか?

 スーパー・パワーの黒マント男が出没するくだりは、見ている側も「???」で手に汗握る。あいつの正体は一体?…と、ますます興味が湧くところだ。さらに奇妙な対独戦略用地下要塞は出てくる。キリストと12使徒を模した連中は出てくる。ドンドン大風呂敷を広げていくので、この話って一体どうなっちゃうんだろうとワクワクしちゃったよ。このあたりはベッソンを評価してあげたいね。

 しかも終盤は埋蔵されている財宝探しの話になって、まるで「レイダース/失われたアーク」も真っ青な展開になる。そこからもう一つ大がかりな見せ場に展開していくから、見ている僕らはずっと楽しめるんだよね。ま、少なくとも映画の中盤までは絶対楽しめる(笑)。

 監督のオリヴィエ・ダアンって初めて聞く名だけど、なかなか頑張ってたんじゃないか。黒マント男がピョンピョンとジャンプしてブノワ・マジメルと障害物競走を行うくだり(笑)なども、見ているこっちが嬉しくなるような念の入れ方だった。終盤の地下での銃撃シーンで、文字通り火花が散るような処理を見せているのも印象的だ。なかなかスタイリッシュでカッコよかった。

 この人ってそれまでは娯楽映画ってあまりやってなかったようで、公開が迫ってるイザベル・ユペール主演「いつか、きっと」なんて映画を撮ってたらしいからね。一体どういう風の吹き回しなんだろう。 もっともこれは前作マチュー・カソヴィッツという、畑違いだけど実績のある監督を起用したことを踏襲したものだと思う。

 今回、ベッソンのクレジットは脚本だけだが、彼の会社ヨーロッパ・コープの製作となっているから大いに口を出したに決まってる。それでもいつものベッソン印作品よりは、ベッソンのお抱え運転手もどきの奴が撮った…みたいな印象が乏しい。それはこのダアンって男が畑違いとはいえ、すでにある程度の実績を持った監督だったからかもしれないね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからは映画を見てから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見た後の付け足し

 ただ、この映画をワクワク面白くさせているのがベッソン脚本なら、トホホとさせているのもベッソンなんだよね(笑)。

 確かに盛り上げてはいる。アレコレといろいろな要素をブチ込んでいるのはさすがだ。「マジノ要塞線」なんて面白い設定を取り上げたのはお手柄だと思う。言うことナシ。

 …と言いたいのは山々だが、やっぱりこの脚本って、所詮は「お話を面白くさせるためのお話」なんだよね。

 早い話がこの映画って、クリストファー・リーがまだ若い頃にドイツ兵としてフランス占領に加わって、その時にバチカンの財宝を発見したことが発端なはずだ。それは修道院と「マジノ要塞線」が繋がったあたりに埋蔵されていた。だが、クリストファー・リーがこれをいつか取りに戻ろうと念じているうちに、この修道院を安価で手に入れたキリスト教の密教集団に見つかってしまう。しかも埋蔵場所のカギまで持って行かれる。そこでリーは、これらを奪うべく一芝居打つというわけなんだけどね。

 だけど、いくらキリストかぶれな連中だからって、そんな「黙示録」ごっこなんて面倒くさい事をする意味があったのだろうか(笑)? あんな事をやれば、もっと頑なになったのではないか。ただ一人ひとりを追い詰めてカギを探した方が賢くはなかったか? 

 あんな凝った殺しなんかしたから目立っちゃって、陰謀を刑事に感づかれる事にもなったんだしね。結局は映画を面白くするための無理やりな設定である事がミエミエ。このあたりが、ベッソンの限界と言えば限界なんだよね。

 さらに、いくら宗教の専門家だからと言って、女刑事ナッタがいきなり大昔奪われたバチカン財宝の話を持ち出したのも分からない。これって字幕だからで、本当はセリフでは自然に処理されていたんだろうか? いやぁ、そうじゃないと思うよ。とにかく唐突にバチカンの財宝の話が出てきたんだからね。意味が分からないよ。

 そもそも黒マント男たちがやたら元気な理由が、アンフェタミンなる薬の服用によるものってのはガクッとくるやら笑っちゃうやら。だってあの黒マント、別にアンフェタミンを飲む必要なんてないよね。あの時はたまたまマジメルに追われたから派手な事になったけれど、本来だったらあんな事にはなるはずじゃなかった。だったら何でわざわざそんなモノ飲んで出かけたのか、まるで意味が分からないのだ。

 そういやこの黒マント男、あれだけ敏捷に走れるならばさぞかしマジメルを引き離せるかと思いきや、何度も何度も追いつかれそうになるのはどうしたことか。こいつよっぽど無駄な動きばかりしてるんじゃないか(笑)?

 もっとおかしいのは、そんな黒マント元気の正体がアンフェタミンだと知ったレノ刑事とマジメルが、これをなぜかひと瓶づつポケットに忍ばせること。こりゃあきっと後で使う場面が出てくるな…と思いきや、案の定最後に絶体絶命な局面を迎え、レノ刑事とマジメルがアンフェタミンをそれぞれ開けてグイッとやるんだよね。リポビタンDのテレビCFでやってる「ファイト〜!いっぱぁ〜つ!」みたいに(笑)。こりゃマジで笑っちゃったよ。

 そういや黒マントとマジメルの障害物競走場面にしたって、黒マントがまるでスーパー・マリオみたいに歩ヨンピョン飛び跳ねててお茶目と言えばお茶目。もうあの時点で笑っちゃうんだけどね。

 でも、そんな笑っちゃうような部分までがバカバカしくも楽しめると言えば、ちょっと贔屓し過ぎだろうか? 僕は本当にクスクス笑いながら嬉しくなったんだよね。

 そして、なぜか無意味に豪華なキャスト(笑)。今回はとんでもない場面でジョニー・アリディーがゲスト出演だ。でも、僕には最初あまりに凝ったメイクで分からなかったよ。ついこの前「列車に乗った男」で見たばかりだと言うのに。これって、前作でドミニク・サンダが思わぬカメオ出演してたのを受けてのことかな?

 で、御大クリストファー・リーはドイツの大臣役! これが実質上の悪役の親玉って事なんだけど、この大臣って設定は大丈夫なんだろうか? しかもこの人物、何やら怪しげな団体を使ってヨーロッパ征服でもしかねない勢いだったよね。ドイツ政府から抗議が来ないかと心配になったよ。

 ま、それでも文句を言わない動じないってのが、何も後ろ暗いところがない大人の対応ってところなんだろう。自分が悪い事をしていると分かっていたら、こうはいかない。どこかの政府みたいにガタガタ騒ぐってのは、きっとどこかやましいところがあるんだろうからね。

 

 

 

 

 to : Review 2004

 

 to : Classics Index

  

 to : HOME