「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」

  The Lord of the Rings - The Return of the King

  その2

 (2004/02/23)


  

善と悪との戦いに次ぐ戦いの果てに

 さて一方、風雲急を告げるそのミナス・ティリス。何とイラク派兵したファラミア=ウェインハムの軍勢は全滅。かろうじてファラミア=ウェインハムだけが戻ってくるが、深手を負ってどう見ても死に体だ。それを見た父デネソール=ノーブルは今頃になって事の重大さに気づくが、もはや後の祭りの「息子の部屋」状態。

 「ああ〜せっかくの色男が『ロミオ・マスト・ダイ』とは、死んで花実が咲くものか」

 今度こそ血筋が絶えたと神経がキレて、訳分かんないこと言いながらご乱心。ピピン=ボイドが虫の息ながらファラミア=ウェインハムが生きていると進言しているのに耳を貸さず、ただただ常軌を逸して荒れ狂うばかり。気分はスッカリ「パニック・ルーム」だ。いよいよ敵軍勢がミナス・ティリスに迫っているのに、とてもじゃないが指揮を執るどころの騒ぎじゃない。仕方なくここでご老公マッケランが立ち上がった。

 「者ども、持ち場に就け〜い!」

 すると、出てくる出てくる圧倒的な敵の軍勢。妙ちきりんな戦車はやってくるわ、形状記憶合金製パンツを履いた「ハルク」みたいな図体のデカい巨人や「アイアン・ジャイアント」はやってくるわ、とにかく数に任せての怪物たちはやってくるわ。そしていよいよ近付いて来るや、敵は一斉に矢を放った。その数何千本とも何万本とも思われる矢の大群は、まるで「HERO/英雄」みたいに空を真っ黒く覆ってから、ミナス・ティリスにドッと襲いかかった。

 「うわ〜っ!」

 ここにはジェット・リーもマギー・チャンもいるわけじゃないから、マメに空を飛んで矢を防ぐ者などいない。たちまち豪雨のように矢が降り注いでくるからたまらない。そんなミナス・ティリスの惨状を見て、敵モンスター軍の総大将は高笑いだ。「ぐわははは! ザマを見ろ人間ども。アッという間にこの国を『ノー・マンズ・ランド』にしてくれるわ!」

 それでもご老公マッケランは力を振り絞って奮い立ち、「アタック・ナンバーハーフ」とか「アタック・ザ・ガス・ステーション!」とか訳の分からないかけ声を張り上げて味方にさらなる奮起を促した。

 それでもアッという間に城門まで迫ってくる敵軍勢。ご老公マッケランが必死の号令をかけるが、それでもあえなく城門は突破されてしまう。「持ちこたえられません! もはや『バーティカル・リミット』です!」

 「ひるむなっ、この『ひかりのまち』を死守しろっ!」

 たちまちミナス・ティリス城内に敵がなだれ込み、戦いは泥沼化の様相を呈してきた。

 そんな折り、あのピピン=ボイドもヨロイに身を固め、戦いに馳せ参じようと勇気を見せる。だがご老公マッケランは彼を止めた。

 「オマエにはまだ早い。奥に隠れていなさい!」

 「僕も戦います! 誰だって最初は『ロッタちゃん はじめてのおつかい』でしょう?」と、珍しく言い返すピピン=ボイドだ。しかもそう言い終わるや否や、ちっこいカラダでご老公マッケランに襲いかかる敵を討ち倒したから天晴れなもの。「どうだ、なりは小さくてもピリリと辛い『ミニミニ大作戦』だぞ!」

 「でかした! これでオマエも一人前の『グラディエーター』じゃぞ!」とか、訳の分かんないやりとり。そんな中でも激しい戦闘は続く。

 一方、サムを追い返して岩山を登っていった八兵衛フロド=ウッドとみのゴラムは、奇妙な洞窟に差し掛かる

 「この『Hole』が通り道でさぁ。ソーラ・バーチいわくの『穴』ってやつで」

 それがワナだと知らぬ八兵衛フロド=ウッドは、みのゴラムの言いなりでまんまと洞窟に入ってしまった。するといつの間にかみのゴラムが姿を消してしまう。しかも岩壁が妙にべちゃべちゃしているではないか。それはまるでクモの糸のよう。

 「な、な、な、なんだこれは? 『スパイダーマン』でも住んでいるのか?」

 足下には何としゃれこうべ。「スパイダーマン」どころか、こりゃ「ハンニバル」「ボーン・コレクター」の住みかだったか。どうもマズイ事になった…と思ったがもはや手遅れ。そんな時、穴からゴソゴソ這い出てきたのはフセインか、はたまた…。

 「うわぁ、『スパイダー・パニック!』だぁぁ!」

 この八兵衛フロド=ウッドの言葉は言い得て妙。奥からガサゴソ出てきたのは、特大サイズのクモだった。それも図体の割にやたら「ワイルド・スピード」に敏捷な奴だ。慌てて八兵衛フロド=ウッドは逃げ出した。

 「そういやぁ、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』にも似たような場面があったなぁ。映画界ってネタ切れなのかよ〜!」

 逃げても逃げても巨大クモはどこまでも追ってくる。しかも足下はクモの糸でベタベタ。走りにくいったらありゃしない。そんな時に八兵衛フロド=ウッドは、エルフの女王ガラドリエルことケイト・ブランシェットがくれた、ナショナル・パルックを思い出した。

 「これでもくらえっ!」

 さすがパルックの輝きにクモの動きも止まる。この怪物がひるんだ隙に洞窟を逃げに逃げ、何とかかんとか出口から脱出する八兵衛フロド=ウッド。だがホッとしたのもつかの間。いきなり出てきたみのゴラムが、本性丸出しにして掴みかかって来た。この「珍プレー」に驚いた八兵衛フロド=ウッドは、怒りに燃えて叫ぶ。「この『裏切り者』っ! 道路公団民営化を骨抜きにした作家の猪瀬みたいに見下げ果てた奴めっ」

 「けけけっ、猪瀬なんかと一緒にするな。『裏切り者』でなく『インサイダー』とでも言ってくれっ」とか何とか言い返してくるから、みのゴラムも口が減らない。それでも八兵衛フロド=ウッドが何とかみのゴラムを振り払うと、この指輪の亡者は文字通り「思いっきり」崖下に落っこちていった

 何とか難を逃れた八兵衛フロド=ウッド。こうなってみて初めて、サム=アスティンを無下に扱った事が悔やまれる。「あぁ、なんて事を。今となっては『サマー・オブ・サム』が懐かしい」

 ともかく落ち込んでばかりはいられない。八兵衛フロド=ウッドはトボトボ一人で山道を行く。めざすは最終目的地、モンドールの活火山「滅びの山」だ。だがそんな八兵衛フロド=ウッドに、怪しげな影が迫っている事を本人は気づいていなかった。

 ササササッ!

 事もあろうにあの巨大クモが、巣穴から這い出して八兵衛フロド=ウッドに襲いかかったのだ。不意を突かれた八兵衛フロド=ウッドは、クモの毒針を食らってその場に倒れ込む。まんまとしてやったりの巨大クモは、満足げに八兵衛フロド=ウッドをクモの糸でグルグル巻きにし始める。あわや八兵衛フロド=ウッドもこのままクモの餌食かと思ったその時…。

 「テメエこの野郎!」

 な、何と一人でこの地を立ち去ったかに思われたサム=アスティンが、剣を片手にクモに応戦だ。八兵衛フロド=ウッドにつれなくされても、彼が心配なサム=アスティンは必死で後を追ってきたのだった。およそヒーロー然とはしていないサム=アスティンだが、なけなしの勇気を振り絞って巨大クモに立ち向かう。危なく返り討ちに合いそうになりながらも、サム=アスティンは見事クモの土手っ腹に一太刀浴びせる事が出来た。これで戦意喪失した巨大クモは、スゴスゴと巣穴に戻っていくのだった。

 残されたのはクモ糸に巻かれて「ハムナプトラ/失われた砂漠の都」のミイラ状態の八兵衛フロド=ウッド。だがクモの毒にやられてピクリとも動かない。サム=アスティンは手遅れだったか…と大いに嘆きに嘆く。だがそんな時、どこからか何者かがやって来る物音がする。サム=アスティンは慌てて物陰に隠れるのだった。

 やって来たのは敵軍の斥候たち。ミイラ状態の八兵衛フロド=ウッドを見つけて、戦利品であるかのように連れていってしまう。これにはサム=アスティンもついてないと舌打ちをするしかなかった。唯一いい材料と言えば、敵斥候の言葉から八兵衛フロド=ウッドが仮死状態になっているだけと分かったこと。慌てて八兵衛フロド=ウッドが連れて行かれた敵要塞をめざすサム=アスティンだった。

 その頃、ミナス・ティリスでは味方軍が絶望的な戦いを繰り広げていた。城塞内に突入した敵軍は、ミナス・ティリスの奥へ奥へと徐々に攻め入ってくる。このままでは完全制圧も時間の問題だ。事ここに及んで、必死に戦って来たご老公マッケランもピピン=ボイドも、いよいよ覚悟を決めざるを得ない。

 「もうすぐここも『ブロークダウン・パレス』じゃな。オマエは『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』って映画を見たか?」

 「ええ。天国では海の話をするのが大流行なんですよね?」

 「ああ、あの世も悪くはないぞ。『天国の口、終りの楽園。』と言うからの」

 だが二人がそんな覚悟を決めつつある折りもおり、ついに激戦の真っ直中に待ちに待った援軍がやって来た。

 ローハン国王セオデン=ヒル率いる軍勢だ!

 だが彼らも、予想をはるかに上回る敵の圧倒的軍勢に、事態の容易ならざる事を痛感する。それでも王セオデン=ヒルは、悲愴な覚悟で自軍の兵士たちに奮起を促した。

 「ひるむな、者ども! 敵に『ラストサムライ』の気迫を思い知らせてやれ!」

 「えいえいお〜!」

 この軍勢の中に、もちろん兵士に化けたエオウィン姫=オットーとメリー=モナハンも紛れ込んでいた。一同は敵軍勢に向かって、雄叫びを上げて突っ込んでいく。

 両陣営が正面衝突!

 最初は多勢に無勢とタカをくくっていた敵軍だが、王セオデン=ヒル率いる軍勢の果敢な猛攻撃に意外にも苦戦。これには敵軍も驚いた。王セオデン=ヒル軍の「MUSA/武士」魂に心の準備が出来ていなかったか、まさかこれほどの抵抗とは…と敵軍はイッキに敗走していく。これには王セオデン=ヒルの軍勢も大喜びだ。「どうだ、『ギャング・オブ・ニューヨーク』仕込みの闘志を思い知ったか!」

 ところが喜ぶのはまだ早かった。敵軍は今度巨大な象軍団で応戦してきた。たちまち戦況は再び急展開。もはや戦いの勝敗は一寸先も闇となった。おまけにまたしても空からは「サラマンダー」や「レッド・ドラゴン」が襲いかかってくるという「ジュラシック・パーク III」状態。やはり猛反撃もこれまでか?

 この戦さはもらった…とばかり敵軍の総大将は、余裕でゴンドールの港「パール・ハーバー」で援軍を出迎える。ここに彼らの味方の海賊たちを満載した、海賊船「ゴーストシップ」が入港してきたのだ。「海賊ども遅過ぎるぞ。今からじゃせいぜい人間たちを切り刻んでやるのが関の山だぜ」

 ところが「ゴーストシップ」から降り立ったのは、矢七アラゴルン=モーテンセン、助さんレゴラス=ブルーム、格さんギムリ=デイビスの「水戸黄門」三人衆。やややっ?…と驚く敵総大将は、「ゴーストシップ」から思わぬ軍勢が続々下りて来たのに二度ビックリだ。

 「か、海賊は海賊でも…『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』だぁ!」

 そう。例の死者たちの軍勢が、矢七アラゴルン=モーテンセンの呼びかけに応じて戦場へとやって来たのだ。死者軍団たるや圧倒的多数にして無敵、おまけに死なないとくるタチの悪さ。たちまち敵モンスター軍団は毛散らかされて戦況は一変だ。 矢七アラゴルン=モーテンセン、助さんレゴラス=ブルーム、格さんギムリ=デイビスも戦場狭しと大活躍。

 王セオデン=ヒルの軍勢もひるまない。猛攻の甲斐あってか巨像軍団も次々倒れる。もちろんエオウィン姫=オットーも「チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル」で大奮戦だ。だが敵もさる者。敵の中でも最も手強い闇の騎士「ターミネーター3」が、巨竜「キス・オブ・ザ・ドラゴン」に乗って人間軍に襲いかかってきた。そして「ターミネーター3」が狙ったのは、人間軍のリーダーである王セオデン=ヒル!

 「キス・オブ・ザ・ドラゴン」に強烈なキスを見舞われた王セオデン=ヒルがもんどり打って倒れると、闇の騎士「ターミネーター3」は巨竜を着陸させてとどめを刺そうとする。そうはさせじと立ちはだかったのは、あの兵士に化けたエオウィン姫=オットーだ。だが老練な「ターミネーター3」は手強い。たちまちエオウィン姫=オットーは劣勢に回る。「ふふん、人間の男などにはこのオレは倒せまい

 ところが闇の騎士「ターミネーター3」は、自らの背後からあのメリー=モナハンが迫っているのに気づかなかった。彼は手に持った短剣「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」を狙い定めて、闇の騎士に思いっきりカマを掘る。

 「アヘ〜〜〜!」

 「思い知ったか、この怒りの1インチ! これでオマエも『スパイキッズ3-D:ゲームオーバー』だっ」

 さらに下半身の踏ん張りがドッと抜けた闇の騎士「ターミネーター3」の前に、カブトを脱いだ「キューティ・ブロンド」エオウィン姫=オットーが立ちはだかる。

 「き、きさま、もしや『ボーイズ・ドント・クライ』か?」と、闇の騎士「ターミネーター3」が言い終わるか終わらないうちに、エオウィン姫=オットーの剣は「ターミネーター3」のナニをスッパリ切り落とした。

 「ハヒ〜〜〜〜!」

 「私は“男”じゃないの。『猟奇的な彼女』よ。ぶっ殺されたい?」

 ぶっ殺されたくなくとも問答無用。それならわざわざ聞く事もないかとは思うが、ともかくこれぞ闇の騎士にとっては文字通りの「ファム・ファタール」。こうしてエオウィン姫=オットーは、見事に「ターミネーター3」を片付けた。だが王セオデン=ヒルはもはや虫の息。エオウィン姫=オットーの見守る前で、静かに息を引き取るのだった。

 一方ミナス・ティリス内部では、デネソール=ノーブルのご乱心が続いていた。死んだと思い込んだ息子ファラミア=ウェインハムと共に、薪を積んだ上で自らに火を放って焼身自殺をしようとしていたのだ。そこへ乗り込んだのはご老公マッケランとピピン=ボイド。間一髪、危ういところでファラミア=ウェインハムだけは助けたが、デネソール=ノーブルは全身に火が回ってしまう。

 「ア〜ヂ〜ヂ〜ア〜ヂ〜」

 「おぉっ懐かしいねぇ。そう言えばこの5年と言えば郷ひろみのこの歌があったな」とご老公マッケラン。

 「そりゃ昔の話ですよご隠居。今はヒロミ・ゴーですよ。もっとも最近ヒット曲ないけど」とピピン=ボイド。

 二人がそんなくだらない話をしている傍らで、全身火だるまのデネソール=ノーブルは熱さのあまりドタバタ走り回る。あげくミナス・ティリスのてっぺんから転落してしまうが、バカ話に夢中なご老公マッケランとピピン=ボイドはまったく気にしていなかった

 さて、ミナス・ティリスの攻防戦がこうして人間軍の勝利に終わる頃、八兵衛フロド=ウッドはモンドールの敵軍の砦に運ばれていた。運んだ斥候兵たちは八兵衛フロド=ウッドを運び込むとホッと一息。

 「さぁて戸締まり戸締まり、ちゃんと『ロック・ストック・アンド・トゥー・スモーキング・バレルズ』しなきゃ」とか言っていながら、扉にカギをかけるのをコロッと忘れてしまう。だが八兵衛フロド=ウッドは今頃になって意識を取り戻したものの、固く縛られてしまって身動きが出来ない。

 すると、そこに現れたのはあのサム=アスティン。彼は孤軍奮闘で斥候兵たちを倒し、八兵衛フロド=ウッドを見事助け出した。

 「許しておくれ、サム。僕が悪かった」

 「そない事どうでもええやないですか。早う行きまひょ」

 なぜか男気を発揮する時になると、自然と関西弁が口を突いて出るサム=アスティンだった。

 一方、戦いを終えて一息ついたご老公マッケラン以下の面々。今や八兵衛フロド=ウッドとサム=アスティンの指輪を捨てる国連査察団の一行が、モンドールあたりに差し掛かっているのは察しがついた。だが問題の活火山「滅びの山」までたどり着くには、敵軍「モンスターズ・インク」がウジャウジャいる原野を横切らなくてはならないはず。これはいくら何でも無茶だ。

 「『モンスターズ・インク』の目を何かにそらさなくてはいけませんな」と矢七アラゴルン=モーテンセンは名案をひねり出した。味方軍が「モンスターズ・インク」たちのいる黒門「JSA」の前まで出かけて行けば、奴らをおびき出せるかもしれない。その隙に八兵衛フロド=ウッドとサム=アスティンが指輪を捨てに「滅びの山」までたどり着いてくれれば…。それはまたしても多勢に無勢の勝ち目のない戦い。だが八兵衛フロド=ウッドとサム=アスティンを助けるための陽動作戦としてはやらない訳にいかない。

 かくして戦いを終えたばかりのご老公マッケランと矢七アラゴルン=モーテンセンが率いる軍勢は、一路黒門「JSA」に向かう。

 そんなこんなでたどり着いたのは、何人も先を進むに任せぬ地獄の一丁目。目の前に立ちはだかる巨大な黒門「JSA」は、彼ら軍勢を「ここから先には行かせじ」とばかり余人を寄せ付けぬ威容を見せつけていた。

 「よ〜し、一丁奴らをおびき出してやれ」とご老公マッケラン、矢七アラゴルン=モーテンセン、助さんレゴラス=ブルーム、格さんギムリ=デイビスは黒門「JSA」の前までやって来る。

 「おらおら、どうした。『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』とくらぁ。捕まえられるものならここまで来い!」と、一同は黒門「JSA」の前で挑発を繰り返す。すると巨大な黒門が、ギギギギ〜ッと開き始めた。中から出てくるのはこれまたものすごい数の「モンスターズ・インク」軍団。

 「や、や、や、やべぇ〜」

 「モンスターズ・インク」軍団はその数に任せて、たちまち味方軍を取り囲んでしまう。今となっては退くに退けない状況になってしまった

 勝ち目のない相手と知ってはいても、その物凄い数を目の当たりにすると腰が退けそうになる矢七アラゴルン=モーテンセン。それでも彼はここは退けじと勇気を振り絞って向き直る。

 「よ〜し助さん格さん。このへんでまた例のやつ一発いきますか?

 「またですか?」

 「またですよ。完結編ですから大サービスで」

 「何だか『桃太郎侍』とかのキメゼリフみたいになってきたな」

 「とにかくいきますか!」

 助さんブルーム、格さんリス・デイビスの目がまたまたギラギラっと輝いた。「せ〜〜〜〜の!」

 「レッツ・ゴー!」と、目を輝かせて矢七モーテンセンが言った。

 「ホワイ・ノット!」と、今回はレゴラス=ブルームがセリフを盗ってニヤリ。

 「ありゃっ? こりゃ一本取られたわ〜」と、ギムリ=デイビスが苦笑い。レゴラス=ブルームは「最後ぐらいは言わせろっつーの」と負けじと言い返す。

 「みなの者、今こそ我らの手で『アメリカン・ヒストリーX』を書き変えるのだ!」

 こうして黒門「JSA」を前にして、最後の決戦の火ぶたが切られた! ご老公マッケラン、矢七アラゴルン=モーテンセン率いる軍勢と「モンスターズ・インク」軍がもつれ合っての大乱戦。

 その頃、八兵衛フロド=ウッドとサム=アスティンは、目の前の「モンスターズ・インク」の軍勢がサ〜ッと退いていくのを目の当たりにしていた。今がチャンスだ! 二人はそそくさと荒野を横切り、一路「滅びの山」を目指す。だがそんな時も油断はならない。「モンスターズ・インク」のシンボル・タワーが、中つ国全体を睨んでいるのだ。そのタワーのてっぺんにはモンスターのマイク(声の出演:ビリー・クリスタル)が乗っかって、周囲に睨みを効かせている。これに睨まれたら危ない。実際のところ指輪にかなり侵されてきた八兵衛フロド=ウッドは、このマイクの視線を感じるたびにクラクラする始末だ。

 黒門「JSA」の前で奮戦が続く一方、「滅びの山」を登り始めた八兵衛フロド=ウッドとサム=アスティンは、その急傾斜にクタクタになっていた。何せこれまでの「裸足の1500マイル」は足腰にこたえた。さらに火山の熱気も襲いかかってきた。そこへ来て指輪の副作用でヘロヘロの八兵衛フロド=ウッドは、もはや意識も「メメント」状態。この際「ペパーミント・キャンディー」でも何でもいいから、甘いモノの一つも欲しいところだ。案の定、精も根も尽き果てた八兵衛フロド=ウッドは、岩山にへたり込んでしまう。

 「もうダメだ〜。茶店で団子でも食いてえよ〜」

 そんな八兵衛フロド=ウッドの姿を見たサム=アスティン。彼はじっと長い旅を共にしてきた相棒を見つめると、重い足腰を奮い立たせてつぶやいた。するとここが見せ場だとばかり、荒野のどこからともなく大向こうからの声がかかるではないか。「よっ、サム屋っ!」「待ってましたっ!」

 みなさま長らくお待たせいたしました。「滅びの山」だろうとどこだろうと人情味溢れる大阪道頓堀に一変する、ホビットのサムの見せ場のお時間がやってまいりました!

 「八兵衛はん…」と、サムは万感の思いを込めて、倒れ込んだ八兵衛フロド=ウッドに語りかける。

 「わてにはあんさんの重荷はどうにも背負えまへん。そやけど、あんさんを背負うことなら出来まっせ。もう少しの、あともう少しの辛抱や。指輪の重荷、もうあと少しだけ我慢しておくんなはれ」

 そうつぶやくと、サム=アスティンは八兵衛フロド=ウッドをしっかと背負い、「滅びの山」を一歩一歩登り始めた。

 「寛美ッ!」「中つ国一ッ!」

 万雷の拍手が巻き起こる、ここは大阪道頓堀から舞台中継でお届けいたしました。

 とか何とか言っているうち、八兵衛フロド=ウッドとサム=アスティンは何とか火口のそばにたどり着く。やっと…やっと着いた。見下ろすと火口の底には、「ザ・コア」が覗いて灼熱の溶岩が真っ赤に煮えたぎっている。

 「さぁ、八兵衛はん。早う捨てなはれ。捨てて早うラクになりなはれ」

 だが火口を見下ろしながらも、八兵衛フロド=ウッドはなかなか指輪を捨てようとはしない。それどころか指輪をしげしげと見つめているではないか。そう、今や八兵衛フロド=ウッドの「ビューティフル・マインド」は指輪に汚され、あのみのゴラム同然に「スティル・クレイジー」に成り下がろうとしていた。そしてサム=アスティンに向き直って、事もあろうにこう言い放つのだった。

 「イヤだ、この指輪は僕のものだ!

 「八兵衛はん!」

 その瞬間、八兵衛フロド=ウッドは指輪をはめて、「インビジブル」な透明人間になってしまう。ひとたび「インビジブル」になったら、女風呂のぞいたり着替えをのぞいたり、人間ロクな事をしないというのはどこの世界でも同じ事だ。ところが慌てて駆け寄ろうとしたサム=アスティンを突き飛ばして、何者かがそんな「インビジブル」八兵衛に掴みかかった。

 何と、「思いっきり」みのゴラムだ。奴は死んではいなかった!

 みのゴラムは透明の八兵衛フロド=ウッドにしがみつき、ここぞと当たりを付けてガブッと噛みついた。その瞬間、八兵衛フロド=ウッドは悲鳴を上げて姿を現す。みのゴラムは八兵衛フロド=ウッドの指を噛みちぎり、指輪を我が物としたのだ。「指輪、ゆびわ、ユビワ〜。これで視聴率は思いのままだぜぇ」

 「この野郎、指輪は僕のものだぞっ」

 痛みに顔をしかめながらもみのゴラムに飛びかかる八兵衛フロド=ウッド。かくして火口の危なっかしい崖っぷちで、両者はつかみ合いの大喧嘩だ。そして言わんこっちゃない。両者はそのまま火口に落ちてしまう。

 「プロ野球〜〜好プレ〜珍プレ〜〜〜〜!」

 みのゴラムは指輪を持って人気番組でのイイ思いを抱いたまま、アブラぎったオヤジ顔に不気味な笑みを浮かべて火口に落下していく。だがこの浅ましい生き物が溶岩の中に落ちた時には、指輪は手から離れて近くの溶岩の表面に浮かんだ。

 「うぎゃぁぁ〜熱い〜熱い〜、夏でも涼しいナショナル・エアコン『楽園をください』〜!」

 ジュ〜〜〜〜〜!

 みのゴラムは無念の形相で、徐々に溶岩に溶けていく。では、八兵衛フロド=ウッドは?

 何と彼は崖の途中に引っ掛かり、何とか両手でしがみついている状態だった。慌てて崖に駆け寄ったサム=アスティンが、必死に八兵衛フロド=ウッドに手を伸ばす。「早う、早うこの手を掴みなはれ!」

 何とかかんとか八兵衛フロド=ウッドの手を掴んだサム=アスティンは、必死に彼の体を引き揚げた。その時、溶岩の表面に漂っていた指輪が溶けだして、物凄い光を放ち始める。

 ゴゴゴゴゴゴ〜〜〜〜〜ッ!

 いきなり火山の活動が活発化し、あたりの岩盤が崩れ始めた。必死に火口付近から離れる八兵衛フロド=ウッドとサム=アスティンを追いかけるように、火口から溶岩が勢いよく噴き出し始める。

 この異変は、遠く離れた黒門「JSA」で戦っていたご老公マッケラン、矢七アラゴルン=モーテンセンたちの目にも飛び込んできた。あたりには地鳴りが起き出し、「モンスターズ・インク」軍団にも動揺が走る。するとたちまち地割れが大地を引き裂き、「モンスターズ・インク」たちはみな亀裂の中に飲み込まれてしまった。

 「ご隠居、あいつらやりましたね!

 「うむ、やりおった」

 やがて「モンスターズ・インク」のシンボル・タワーがゆっくりと崩れ始める。てっぺんにいたモンスターのマイク(声の出演:ビリー・クリスタル)は、でっかい目玉を「アイズ・ワイド・シャット」してタワーと共に崩れ落ちながら声を張り上げた。「今年のオスカー授賞式の司会をよろしくぅ〜!」

 「タワーが崩れていきますよ」

 「うむ。タワー・レコードも倒産したからのう」

 だが喜んでばかりもいられなかった。「滅びの山」の噴火のアリサマは、黒門「JSA」で見ても尋常ならざるものだった。火花と溶岩を激しく噴き出し火山弾を四方に飛ばすその様相では、とても八兵衛フロド=ウッドとサム=アスティンが無事とは思えない。

 だが二人は生きていた。四方を溶岩流に囲まれながら、何とか岩場に逃れて生きていた。だがもはやここから帰るすべはない。

 「ホビット庄で『あの頃ペニー・レインと』仲良くしていた頃が懐かしい。オレ、あの子と結婚するつもりでした」と、さすがにサム=アスティンは沈んだ表情でつぶやく。

 「あれっ? オマエ、好きなのは太めポッチャリ体型の『愛しのローズマリー』じゃなかったの?」と八兵衛フロド=ウッド。

 「もうハッキリ言って女なら何でもいいんですけどね」と、ヤケクソ気味にサム=アスティンは答える。

 「僕はオマエと一緒に死ねれば『至福のとき』だよ」などと八兵衛フロド=ウッドはご機嫌で言うが、サム=アスティンの気持ちなどこいつが分かるはずもない。こんな状況で野郎と一緒に死にたい奴なんているはずもないのだ。もう死ぬと分かれば、恥も外聞もなく女とあんな事もこんな事も…。

 だが、すっかり生還を諦めてフテ寝していた二人の元に、まもなく救援隊のヘリが駆けつけた…。

 

 そう。彼らは戻った。「旅の仲間たち」の懐かしい顔ぶれは再び一同に会した。

 やがてあのミナス・ティリス内の宮殿で、矢七アラゴルン=モーテンセンの戴冠式が行われる事になった。国の民やら来賓やらが詰めかけて、まるで盆と正月が一緒に来たような「八月のクリスマス」状態の華やかな祭典だ。

 ご老公マッケランは、矢七アラゴルン=モーテンセンの頭上に輝かしい冠を乗せた。「王の御代が『フォーエバー・フィーバー』であらん事を!」

 すると王となったアラゴルン=モーテンセンの前に、本日のスペシャル・ゲストが現れる。それはあの「ノッティング・ヒルの恋人」ならぬ裂け谷の恋人、アルウェン姫ことリブ・タイラーだった。思わず姫に駆け寄ると、熱い口づけを交わす王アラゴルン=モーテンセン。それはまるで「25年目のキス」のごとく久しぶりに交わす口づけだった。

 「ほほお、次は『モンスーン・ウェディング』じゃのう! わっはっは!」

 さてこれを見てさぞかしあのエオウィン姫=オットーは落ち込んでいるかと思いきや、実に手回しが早いことにチャッカリ隣りにファラミア=ウェインハムをはべらせているではないか。何と気持ちの切り替えが早い事よ。これにはさすがの王アラゴルン=モーテンセンもゲッソリだ。「ケッ、こいつ結局オトコなら誰でも良かったのかよ」

 ともあれめでたし。そんな王アラゴルン=モーテンセンは、指輪を捨てる大任を見事果たした八兵衛フロド=ウッドとサム=アスティン、それにピピン=ボイドとメリー=モナハンの前にやって来た。堂々たる王の風格を見せる矢七アラゴルン=モーテンセンに、思わず恭しく頭を垂れるホビット4人衆。だがアラゴルン=モーテンセンは静かにこう告げた。

 「オマエたちは私に頭を垂れる事はないのだ」

 そしていきなり王自らが、このホビット4人衆に頭を垂れた。するとその場にいた満場の人々すべてが、このホビットたちに向かって頭を垂れるではないか。居心地悪そうにしているホビットたちではあったが、この一連の戦いにおいて、最も偉大な功労者は彼らだった。そう、「エブリバディ・フェイマス!」。それは例えどんな小さき者たちにも、偉大なる輝きがあることを証明した瞬間だった。

 かくしてすべての者たちに、等しく平和が訪れたのだが…。

 

 

つづく

 

 

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