「S.W.A.T.

  S.W.A.T.

 (2003/10/13)


  

40過ぎて分かった自分のウィークポイントとは?

 いくつになっても、自分の事を分かるってのは難しいもんだよね

 ある程度の歳になって、僕は自分って人間が少しは分かっているつもりでいた。僕の良くないところだって、それなりに察しているつもりだった。僕の良くない面は、まずは自分勝手なところだろう。そして調子に乗りやすくオダテに弱い。変な頑なさがあって柔軟性に欠けている。思い切った事もする反面、実はかなり気が弱い。いつもビクビクしてチョコマカ立ち回ろうとする…。まぁこんなところが弱点だろうと思っていたわけだ。

 だけどちょっと前に、そんな事は実は取るに足らない事だと思い知った。確かにそれは弱点ではある。だけど、本当に僕の一番マズイ部分じゃないと分かってしまった。

 じゃあ自分の一番問題のある部分は何か?

 それはええカッコしいだということだ。

 あるいはいい人ぶりっこという形で出てくる事もある。要はものすごく見栄を張る男なのだ。自分の大した事のない実体…それ以上に自分を見せたいという気持ちが、どうも人一倍強く働くらしいのだ。そしてこれが災いして、上記したさまざまな自分の悪い面が顔を出してくる。

 こんな事もっと前に気づきそうなものだと思ったけれど、心底気づくにはこれほど時間がかかるものなんだよね。

 長年古くつき合っている友人ともなれば、もう僕の事など知り尽くしているだろうから見栄張っても無駄だ。だが、まだつき合いの浅い知人や女たちに対しては、僕はそれを最大限発揮している。出来もしない事をやろうとするし、言わなきゃいい事を言っている。まるでクジャクの雄が羽根を思いっきり広げるがごとく、自分を実体以上に見せたがる

 それはたぶん、僕が自分に自信がないからなんだろう。

 大した事がないから、自分を大きく見せたがる。回りの知人たちには、自分を「いい人」と見せたい。自分がつき合っている女には、自分を「大した男だ」と思わせたい。特に女に対してはその思いはひとしおだ。

 実は、女の方は元々僕を「大した男」だなんて思ってはいない。それは分かって近づいているはずだ。それなのに、僕は必要以上に自分を大きく見せたがる。

 僕は自分が外見・内面を問わず、冴えない男だと分かりすぎるくらい分かってる。だけど愛する女には何かそれ以上のものを与えたい。「冴えないと思ってたら、実は…」なんて思わせたい。それが僕に無理をさせてしまうのだろう。あげく力尽きて倒れてしまうのが常なんだけども…。

 だって自分の実体以上のものなんて、出せる道理がないではないか。無理にだって限度ってものがある。しかも女だって、僕の実体が最初から分かってないはずがない。そんな僕でいいと接しているはずなのに。誰だって僕にそんな期待なんかしちゃいないんだよね。

 それに気づいた時、僕は途方もなく空しくなった。今までの徒労にドッと疲れた。一体何をやっていたんだ、このオレは…。過ぎた事などやるもんじゃないよ。自分の実体そのものでやればよかったじゃないか。期待以上の事をしようなんて思うもんじゃない。

 だって期待を裏切らないってのは、結構それだけで難しい事なんだからね。

 

凶悪犯罪に立ち向かう新「S.W.A.T.」チーム

 ここはアメリカ有数の犯罪都市ロサンゼルス。今ここで銀行強盗事件が発生。犯人グループは銀行内に人質をとって立て籠もった。包囲した警官隊に対しても、辺り構わず撃ちまくる。こうなるとこいつらの出番と相場は決まっている。

 ロス市警の誇る特殊部隊「S.W.A.T.」。

 まずは銀行周辺に待機して様子を伺う彼ら。そしてヘリコプターからは、同じく「S.W.A.T.」のコリン・ファレル、ジェレミー・レナーのコンビが屋上に降り立った。

 屋上から銀行の屋根裏に侵入するファレルとレナー。そこで待機するよう指令が下る。だが、逃走用のクルマに乗り込んだ犯人が射殺されるや、犯人グループは逆ギレ。人質を銃で脅し、今にも殺そうという構えだ。

 これを見たレナーは単独で内部潜入を決断する。これにはファレルも二の足を踏んだ。「待機しろとの命令だぞ」

 「このままじゃ人質が殺される」

 言って聞かないレナーを一人で行かせる訳にはいかない。仕方なくファレルも銀行内部に入り込んだ。そして人質に銃口を突きつけている犯人に照準を合わせる。

 射撃! だが弾丸は人質に当たってしまった

 それからは一気に勝負をかけるしかない。アッという間に犯人グループを鎮圧。事件は急転直下解決を見ることになった。

 だが人質が被弾した。

 これが上司ラリー・ポインデクスター警部の怒りを買った。二人はスタンド・プレーを叱責され、「S.W.A.T.」からはずされる事になる。それを聞いたレナーは逆上。「こんな所は辞めてやる!」と息巻いた。ファレルは個別でポインデクスター警部に呼ばれ、相棒の責任を明かせば許してやると囁かれる。それでもファレルには相棒を売ることは出来なかった

 かくしてファレルは武器管理係という閑職へ格下げ。おまけに相棒だったレナーには「裏切った」と誤解され、最後っ屁のごとく罵倒を浴びる。これにはさすがに忸怩たる思いのファレルだった。

 それから月日が流れて…。

 ファレルは持っていきどころのない思いを抱きながら、それでも自らをクサらせずに訓練だけは怠らなかった。武器管理係は警官たちが使う武器を維持管理し、その手入れまでやらされる裏方稼業。それでもいつかはチャンスが…と、何とか耐えているファレルだった。

 そんな彼の同棲中の恋人は、ヨリによってこんな時に部屋を出ていこうとする。女というものは男が一番いて欲しい時を見計らって去っていくものなのか。泣き面にハチのファレルだったが、今の彼には女が出ていくのを止めようもなかった。

 そんなある日、武器管理係の窓口に一人の男が現れる。その男を見たとたん、ファレルの同僚は憧れにも似た表情で直立不動だ。

 その男…サミュエル・L・ジャクソン。

 かつて「S.W.A.T.」の指揮官として勇名を馳せた立志伝中の人物。だがここ数年は、例のポインデクスター警部に睨まれ一線を退いていた。それが凶悪犯罪の急増に業を煮やした署長の決断で、一躍現場に復帰することになったのだ。

 ジャクソンが武器管理係にやって来たのは、愛用の自動小銃を手入れしてもらうため。だがそこでファレルの銃を見る目の確かさを知る。復帰するなり、いきなりジャクソンの目に強烈に焼き付いたファレルだった。

 そんなジャクソンは、いきなりファレルを連れ出し自分の車の運転を任せる。一体ジャクソンは何をしようというのか?

 ジャクソンとファレルがやって来たのは、とある住宅街。そこでは警官LL・クール・Jが犯罪者を追跡中だった。無事に犯人を捕獲したクール・Jに、ジャクソンは単刀直入に言った。「安い報酬で厳しい任務に就く気はないか?」

 それはジャクソン流の、「S.W.A.T.」加入への勧誘だった。

 さらにジャクソンは、ファレルと共に病院へと足を運ぶ。そこには犯人逮捕時に負傷した警官が、治療を受けに来ていたのだ。そして凄腕と評判のその警官は小柄な女…しかし面構えはただ者ではない、ミシェル・ロドリゲスだった。

 こうして自分なりの「S.W.A.T.」メンバーを一本釣りしていくジャクソン。ある日、ジャクソンはファレルに告げる。「あと一人だけ欠員がある。誰か優秀な人材はいないか?

 それはファレルが待ちに待った、ジャクソンの「S.W.A.T.」勧誘の言葉だった。

 すでに決めていたメンバー、ブライアン・ヴァン・ホルトとジョッシュ・チャールズが練習中の射撃場に、ファレルを連れていくジャクソン。ここでファレルの腕試しだ。ヴァン・ホルトやチャールズは「たかが武器保安係」とバカにしていたが、案の定確かな腕を見せつけるファレル。ジャクソンの目に狂いはなかった。

 こうして集められたファレル、ロドリゲス、クール・J、ヴァン・ホルト、そしてチャールズの新「S.W.A.T.」メンバーたち。だが練習初日は、ファレルと彼が相棒を裏切ったと誤解するヴァン・ホルト、チャールズとの間に小競り合いが起きるなど、一触即発の幕開け。一体このメンバーでこれから先どうなる事やら。

 だが連日の厳しい訓練の中、メンバーたちはそんなわだかまりをいつしか捨て去っていた。そして見る見る逞しさを増していく。

 こうしてメンバーは着実に鍛え抜かれていったが、ここで最後の難関が立ちはだかった。上司ポインデクスター警部がまたもジャマをしたのだ。特に他のメンバーはともかく、ファレルの起用には大反対。だがジャクソンはここを強気で押し切った。「オレが責任を持つ!」

 かくしてジャクソンの新「S.W.A.T.」チームの命運が懸かった最終テストの日。演習場に駐機された廃旅客機を使って、ハイジャック事件解決の演習を行う事となった。隙あらばつぶそうと手ぐすね引いているポインデクスター警部の見守る中、難関を次々クリアしていく新「S.W.A.T.」チームの隊員たち。結果は新記録達成の素早さで事件解決だ。これにはポインデクスター警部もグウの音も出ない。

 こうして新「S.W.A.T.」誕生を祝って和気あいあいの一同。ところがファレルとロドリゲスがふらりと立ち寄った酒場に、あの警察を辞めたレナーがくすぶっているとは…。

 見ればレナーはいかがわしい連中とツルんでいるらしい。そして今でもファレルが裏切ったと誤解し、自分を追い出したロス市警を逆恨みしていたのだ。イヤな予感に襲われるファレル。

 ともかくジャクソンの新「S.W.A.T.」チームは無事に船出した。そしてたちまち捜査の第一線に躍り出て、次々と難事件を解決していく。

 ところがその頃、後々ロスを震撼させる男が国際空港から堂々と不法入国していた。男の名はオリヴィエ・マルティネス。国際的犯罪組織のボスで、今回も身内の誕生祝いと称してパーティーに駆けつけながら、目障りな当のパーティー主賓をケロリと片づける。ところがその足で空港に向かおうとしたところを、たまたま逃走用のクルマのテールランプが消えていただけで捕まってしまった。

 やがてインターポールの国際手配のデータから、この男の恐るべき経歴が発覚する。だが分かった時にはたまたまバスで他の囚人たちと市内を護送中だった。別の事件を終えた「S.W.A.T.」隊員たちは、そのバスからマルティネスの身柄を確保しようと駆けつけた。

 ところが一足先に、警官に化けた手下たちが囚人バスを停め、マルティネスを奪還しようとしているではないか。

 たちまち始まるロス市内での大銃撃戦。

 何とかマルティネスを確保してロス市警の留置場へと連れ帰るが、今度は国際的重罪犯であるマルティネスを州刑務所まで護送しなくてはならない。

 そんなマルティネスはロス市警本部に連れ帰られる際に、テレビカメラに不敵な発言を残した。

 「オレを逃がせば一億ドル!」

 このニュースはただちにロス全域に放送され、あらゆる犯罪者たちがこれに浮き足だった。だが、そんな不穏な動きをロス市警はまったくキャッチしていない。

 まずは市警本部屋上にヘリを着陸させ、空路でマルティネスを護送する算段だ。ところが、どこからともなく銃弾が飛んできてヘリを直撃。ヘリは市警本部前の路上へと墜落した。

 これはヤバイ!

 ジャクソンは一旦護送計画を立て直してから出直そうと進言するが、メンツがかかったポインデクスター警部は言うことを聞かない。かくしてすぐに陸路での護送作戦が決行された

 だがやっぱり懸念していた事が起きた。護送していたクルマや護衛のパトカーの前に後ろに、トラックが現れて道路を遮断。身動きできなくなった護送車たちに、周囲のビルから容赦ない攻撃が浴びせられた。みんな一億ドルに目がくらんだ連中ばかり。だが間一髪セーフでマルティネス奪還犯たちは鎮圧された。というのも、この護送はオトリだったから

 その頃マルティネスはジャクソン率いる「S.W.A.T.」チームにガッチリ固められ、地下道を歩いていたのだ。

 だが、おそらく一億ドルに目がくらんだ連中は次の手を考えてくるに決まっている。そして彼らはまだこの時点では気づいていなかった。

 あの「S.W.A.T.」をクビになったレナーが、復讐の念に燃えてマルティネス奪還に動いていたことを…。

 

近来希に見る「スゴくない」アクション映画

 この「S.W.A.T.」って実はテレビシリーズの映画版だって事を、僕はまったく知らなかったんだね。そういや昔「特別狙撃隊SWAT」とかいうのがあったような気もするなぁ…と、まぁそんな程度の覚えしかないんだけどね。別に凄く面白いドラマだったとも思えないんだけど。だからこれは、またしてもハリウッド企画枯渇の末の産物ではあるんだろうね。こうも知名度が低いドラマまで、映画化の対象になるんだから驚く。もっともアメリカ本国ではそれなりに人気はあったんだろうけどね。

 今回の映画化にあたっては、何しろそのキャストのメンツがすべてだと言っていい。リーダーがサミュエル・L・ジャクソンってのは正解だ。見ていて安心できる頼もしさ。この人は変幻自在の役柄の幅の広さが売り物だが、単純なこの手のヒーローをやらせたって見事なものだ。曲者役者がやってみました…って危なげが全くない。ホントに何をやらせても破綻がないし、役者としての華も魅力もある。こういう人は他には皆無なんじゃないかな。

 イギリス…ってよりアイルランド出身らしいが、コリン・ファレルも最近やけに売れまくってる俳優だ。僕は彼の出世作「タイガーランド」は見ていないが、スピルバーグ作品「マイノリティー・リポート」では粘っこい仇役を演じて印象に残った。これまた未見ながら「デアデビル」でも悪役を演じて目立っていたらしい。ここでは珍しく一本気なストレート・ヒーローを演じているが、これまた曲者役者の臭みを見せずに気持ちよさそうに演じている。この人、ホントに人気が出るかもしれないね。いや、これだけ売れてるならもう人気が出てるのか。

 ミシェル・ロドリゲスも売れまくってる一人で、またしても出世作「ガールファイト」は未見(そんなのばっかしで僕も情けないが)だがその面構えは気になっていた。その後は「ワイルド・スピード」「バイオハザード」…と着実に点を稼いできた。夏の話題作「ブルー・クラッシュ」にも出ているんだってね。最初はフテくされたようなツラとヤバい雰囲気でもっぱら重宝されていたが、毎度毎度の同系統のキャラクター起用だから、面白い個性ながらワンパターンで飽きられちゃうんじゃないかとちょっと心配になっていた。確かにこの人っていろいろな役につぶしがきくタイプじゃないもんねぇ。だけど、こういう個性の人って珍しい。この手の役っていうと「この人」って事になってるんだろう。それに最初こそヤバさだけが売り物の感じだったけど、「バイオハザード」そしてこの「S.W.A.T.」と、同系統の役ではあっても観客の共感度は少しづつ増してきた気もする。あのフテったツラにも愛嬌が出てきたようだしね。いずれガラッと様変わりしたこの人を見る機会も出来るんだろうか?

 そしてLL・クール・J。「ディープ・ブルー」で楽しげに演じていた彼。ここでも同じように楽しそうに演じていて、これはこれでいいんじゃないか(笑)。何だか投げやりな言い方で申し訳ないが、いかにもアメリカ映画の彩りとして、重宝されそうな気がする。

 そしてヨーロッパから来た犯罪王の役がオリヴィエ・マルティネスってのがいい。「運命の女」でも見せていたいかがわしさ、人をナメきったツラ構え、リチャード・ギアを逆ギレさせたムカつく個性がここでも全開。単純アクション映画はこれでいいのだ。

 そう。これは近来希に見るほど単純極まりないアクション映画だ。

 ハッキリ言って味もコクもない。見ていて何の驚きもない。見る前の印象と見た後の感想が、恐ろしいほど一致した映画だ。曲者役者を揃えていながら、その役どころさえストレート。まったくひねりも何もない。

 しかもすごい物量や見せ場が盛りだくさんって事もない。最近は息つぐヒマないスピーディーなアクション映画もたくさんあるが、そんなものでもない。もちろんCGでコテコテに創り上げた、ビックリするようなビジュアルもない。平凡と言えば、近年これほど平凡な映画もあるまい

 そして、この映画はそれがいい。

 監督のクラーク・ジョンソンなる人物、元々はテレビ俳優でそこからテレビ番組を監督して…というキャリアの人。こう言っては失礼だが、この作品はこの人のキャリアから伺える通りの映画だ。何もスゴイ事はしていない。ガッチリとまとめる事に終始している。

 それがこの映画のいいところだ。

 その代わり…と言っては何だが、押さえるべきところはちゃんと押さえている。特に「S.W.A.T.」チームの練習にたっぷり時間を割いているのが好感が持てる。いかに「S.W.A.T.」とはプロ集団で、その技能は常日頃からの鍛錬の賜物なのか、それを無骨なまでの実直さで丹念に描いている。そこがいいのだ。それさえあれば、あとはツラ構えがよくて頼りになる俳優がいれば、それでいい。これはそんな映画なのだ。

 映画前半のジャクソンによる「S.W.A.T.」メンバー集めのくだりなどは、黒澤明の「七人の侍」ばりで楽しい。「七人の侍」ほど仰々しくはないけどね。でもそういう作品が脳裏に浮かぶあたりから連想されるように、この映画には西部劇からのアメリカ娯楽アクション映画の基本が生きている。別にオマージュとかそんな事ではないよ。アメリカの映画人が普通につくったら自然に出てしまうような、そんな身に染みついたアメリカ映画風味がにじみ出ているのだ。

 そんなさりげなさが、近年ことさらに「スゴイ映画」ばかり見せられている僕らにはかえって心地よい。ジャクソンの頼もしさ、ファレルのストレートさ、ロドリゲスの不敵さ、クール・Jの陽気さも、お約束なんだけど、それでいい。安心して見ていられる。スゴイ映画ばかりじゃなくてもいいじゃないか。たまにはこんな映画も見てみたいよ。期待通りの事を期待通りにやっている映画をね。

 だって期待を裏切らないってのは、結構それだけで難しい事なんだからね。

 

 

 

 

 

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