「ミニミニ大作戦」

 (リメイク版)

  The Italian Job

 (2003/07/07)


  

プロに徹した連中がイタリアでのヤマをもう一丁

 ここは水の都ベニス。初老のドナルド・サザーランドが電話を入れた先は、アメリカにいる愛娘シャーリーズ・セロンの家。電話を受けたセロンはビックリ。というのも、父親サザーランドは目下仮釈放中の身だったから。だが、長年の性分は治らない。サザーランドはここベニスでまたぞろデカいヤマを企んでいるのだ。

 もっとも今回のヤマはサザーランドの仕切りではない。サザーランドの若きダチ公マーク・ウォールバーグが今回のリーダーだ。サザーランドはそのぶん気楽に、今回の仕事を最後のヤマとして楽しもうとしていた。

 ウォールバーグとサザーランドはベニスの細長い運河をモーターボートで移動。ツルんでいる仲間は運転ならまかせとけのジェイソン・ステイサム、コンピュータの天才セス・グリーン、爆薬の専門家モス・デフ。彼らはある屋敷の地下水路にゆっくりとボートを進めていった。

 だがさすがベテランのサザーランドは用心深さも人一倍。ちょっとした予定外の出来事も気にする。彼の口癖がこれだ。「怖いのは人間じゃない。人間の中の悪魔だ」

 早速彼らは地下水路の天井に爆薬を仕掛ける。その上の階では、部屋に忍び込んだ男が一人。これも仲間のエドワード・ノートンだ。この男も部屋の天井に爆薬を仕掛け始める。そして、さらにその上の階では…。

 野郎どもに守られて、一個の大きな金庫がでんと鎮座ましましていた。

 ウォールバーグの号令一過、爆薬が点火。ドカンとデカい音を立てて…なんと金庫が床ごと下に落っこちる。そのまた下の階の床も爆薬で穴が開き、金庫は一番下まで落っこちて行くではないか。

 「なんだなんだっ!」

 金庫を守っていた野郎どもが慌てて窓から下を見ると、地下水道から猛烈な勢いでステイサムが運転のモーターボートが飛び出していく。「やられたっ!」

 息せき切った野郎どももモーターボートに飛び乗って、逃げるボートを一目散に追いかける。かくしてベニスの狭い運河を舞台に、凄まじいボート・チェイスが展開する。

 …と、例の地下水路では、例の金庫が水底に水没しているではないか。何と逃げたボートは囮だった。水中にはアクアラングをつけたウォールバーグとサザーランドが隠れ、金庫のカギを秘かにいじり始めた。無事に開いた金庫には、何と3500万ドル相当の金塊がズラリ。こいつを金庫からそっくりいただくと、駆けつけた警察のボートを横目に、ウォールバーグたちはまんまとその場を逃れた。

 やった! 作戦成功だ!

 車で雪山まで逃れた一味は意気揚々。みんな金の使い道で頭が一杯だ。ステイサムはもちろん女をイカす車、グリーンは女の服もぶっ飛ばす大出力のオーディオセット、デフはスペインの上品なお屋敷。そんなみんなに「オマエは何だ?」と聞かれたノートンは、しかし何も浮かばない。とりあえず「みんなと同じ」と言うしかない彼は、オリジナリティーのない奴…とオチョクられる始末だ。それじゃ何の能も取り柄も魅力もないからイベントで女をダマす、最低な早大レイプ・サークル男みたいだぜ。

 サザーランドは後輩ウォールバーグの手口に舌を巻いた。さすがだ、だけどそれに溺れちゃいけない。結局盗人としてこんな歳まで来たサザーランドは、そんな自分に後悔の念を抱いていたのだ。「おまえはいい女を見つけてマトモに暮らせよ」

 そんなこんなで和気あいあいのみんなを乗せた車が、大河に架かる橋に差し掛かった時…いきなり前方を何台かの車で塞がれる。

 ややっ!

 行く手を塞いだ車からは、武装した男たちが降りてきた。これはワナだ!

 そして、あのノートンが車から降りて、仲間たちに銃を突きつける。裏切った! この野郎、やっぱり早大レイプ・サークル男・和田並みの薄汚ねえゲス野郎だぜ。

 「オマエ、こんな事してタダで済むと思ってんのか?」

 「だからオマエたちを始末するんだよ」

 ノートンの銃が火を吹き、サザーランドを襲った。慌てた他の仲間たちは車を発進するが、橋から転落して水に落ちてしまう。ノートンたちは沈んだ車目がけて銃弾を雨あられと浴びせると、ぽっかり浮かんで来たのはサザーランドの亡骸。おそらくは、もう他の連中も死んでしまったに違いない。

 ところがそうは問屋が卸さなかった

 他の連中は、ベニスでの作戦に使ったアクアラングの酸素で生き延びていた。そして頃合いを見計らって水から上がってきた。

 だがサザーランドはもう助からない。父親同然に接してきたウォールバーグの嘆きは、傍で見ているのもツラいほどだった…。ちくしょう、早大レイプ・サークル男の和田め、テメエ無事に卒業出来ると思うなよ!

 それから一年後、ここはアメリカ・フィラデルフィア。サザーランドの愛娘シャーリーズ・セロンが、何と金庫破りに挑戦…と思いきや、彼女は今やFBIの一員として金庫の安全確認の仕事に就いていた。そんな彼女の愛車は、山椒は小粒でもピリリと辛いミニクーパー。今日も渋滞の道路も何のその、思いっきり車をかっ飛ばして自分のオフィスに戻って来た。そんな彼女に来客が一人。

 それは、あのウォールバーグだった。

 彼女としては父親が命を落とす原因をつくった男。会いたいはずがない。だが、ウォールバーグはある情報を持ってきたのだ。

 何と、あの裏切り者ノートンがロサンゼルスにいる!

 例の金塊をさばいて金をつくっていると、裏家業の知り合いからタレ込みがあったのだ。奴は金塊を持って自宅の屋敷の金庫に保管している。こいつをかっさらわない手はない。

 だが、セロンは堅気の身。ウォールバーグの言葉にも首をタテには振らない。仕方なくウォールバーグは諦めてその場を去った。金庫が破れなければこの計画も無理だ。

 そんなウォールバーグの元に、間もなくあのセロンから連絡が入った。

 「金塊が奪われた時のノートンの顔が見たい」

 ならば話は決まった! ウォールバーグの元にはあの仲間たちが再結集。ベニスの仇をロスで討つ作戦がここにスタートした。

 だが問題は山積。ノートンの屋敷は警戒厳重。中の様子も分からない。盗んだはいいとして、ロスの道路の渋滞を何とする? こりゃ思ったより往生しそうな仕事だ。

 とりあえず、中の様子を探らねばならない。だが仲間たちはみんなノートンに面が割れている。すると…仕方ない。ここは新顔のセロンの出番だ

 まずはデフがノートン邸のインターネットとテレビの回線を遮断。修理を頼んだのを伺って、セロンがネット業者のふりをして潜入だ。彼女の胸にはバッジ型の超小型テレビカメラが取り付けられた。

 屋敷の中に入ったセロンは修理するふりをして、中の様子をカメラで見せていく。そんな彼女に何とノートンが目をつけた。あげくの果てにお約束の口説きにかかるノートン。口説きの台詞は早大レイプ・サークルでバカの一つ覚えのこのフレーズだ。「オレの仕切りのイベントに来ないか?」

 なぁに、女は派手なイベントやらギョーカイをチラつかせればイチコロだぜ…ノートンはこんな文句で女がなびくと大マジ。これにはウンザリするセロンだが、ここはそんな誘いに乗らないわけにいかない。イヤイヤながらデートの約束をとりつけられるセロンであった。ともかくは、そのデートの隙に屋敷に潜入できるというわけだ。

 だが屋敷に入って金塊を運び出すには、建物の通路が狭すぎる。普通の車じゃどうにもならない。そんな時にピンと来たのがセロン。愛車ミニクーパーならどうってことないではないか。

 早速ミニクーパーを金塊運びのためにあと二台揃え、重みに耐えられるように改造することになった。これにはウォールバーグのダチの専門家フランキー・Gが一役買う。

 ロスの渋滞解消にはグリーンのコンピュータ技術がモノを言った。グリーンはロス道路管制センターのコンピュータに侵入。信号を自由自在に扱えることになった。これで好きなところを青信号にして進める。

 ところがその頃、事態は思わぬ展開を見せていた。金塊をひとつづつ金に換えていたノートン。ある夜も両替屋のロシア人の店に出向いたが、この両替屋が金塊の出所に感づいてしまった。こうなりゃこの両替屋もジャマだ。ノートンはロシア人を殺して金も巻き上げ出ていった。

 それを知ったロシア人の従兄弟は怒りに怒る。ロシアン・マフィア総出で、殺した奴の身元を割り出そうと必死だ。

 さて、いよいよ犯行当日。デートにいそいそ出かけて行ったノートンの留守宅を狙って、一味が屋敷の前までやって来ると…何と隣家で大パーティーの真っ最中。これでは犯行を気づかれてしまう。ウォールバーグは苦虫噛みつぶしながらも犯行延期を決めた。…と、いうことは、イヤイヤながらセロンは予定のデートに出かけなければならない。ドタキャンは例えタトゥーだって許されない。

 ネチネチ迫るノートンをかわしながら、イベント会場で何とかこらえるセロン。案の定、ノートンは家に来いとウルサイ。金にあかして女をやっちまおうとするセコい手口は、やはり早大レイプ・サークル仕込みの卑劣さだ。オレとねっちりやろうぜ、怖いのかよぉ、悪いようにはしないからよぉ。

 押しまくられたセロンが逃げの一手で放った言葉が悪かった。「怖いのは人間じゃない。人間の中の悪魔なの」

 頭ん中性器のこの男、しかし妙なところではよく頭が回る。「おやぁ、その台詞どこかで聞いたぜ!」 ノートンも、サザーランドに娘がいたことは知っていた。

 しまった! 身元がバレた!

 ヤバイと見てとったウォールバーグら一味は、ゾロゾロとノートンの目の前に登場だ。「おうおう、おいでなすったか。生きてやがったんだな」

 だが、ノートンは強気だ。屋敷は厳重に警備されてる。金庫も完璧。どうやったって盗めねえぜ。その不敵な言い草にいきり立つ仲間たちを先に帰して、ウォールバーグはノートンと直談判だ。だが、ノートンに反省の色などない。なぁウォールバーグよ、世の中は頭のいい奴が勝つんだ、ダマされる奴が悪い、ウブな新入生の女がノコノコとオレたちのイベントに誘われるのが悪いんだ、オレさまのほうが一枚上手なんだよ、自民党の太田誠一だって官房長官の福田だって、オレたちが元気がいいってホメてたぜ…まったく放っておけば言うに事欠いて増長する一方の早大レイプ・サークル男だ。

 「このガキャア!」

 ウォールバーグの怒りの鉄拳がノートンに飛んだ。今に見てろ、このままじゃ親父を殺されたセロンが許さない。レイプ・サークルも世論が許さないんだっ。

 そしてその足でウォールバーグはセロンの部屋へ。死んだサザーランドを思って憂いの表情のセロン。そんな彼女をウォールバーグはしっかり抱きしめた。見ろ早大レイプ・サークルのゲス男ども、女ってのは自力で口説いてナンボなんだよ、金だの酒だのイベントだのギョーカイだのチラつかせてダマすなんざ男の風上にも置けねえ、そんなにやりたきゃ堂々とフーゾクへ行け、テメエのミニミニなイチモツなんぞゴム・ホースにもならねえや。

 だが、ウォールバーグたちの企みはこれでバレた。もう今まで立てた計画は使えない。しかも、ノートンは早速警戒を始めて、金塊を金庫ごと飛行機でメキシコに運び出そうと目論んだ。しかもしかも空港までは頑強な装甲車で運搬という念の入れようだ。

 だがウォールバーグはほくそ笑んだ。「金庫の方からこっちにおいでなさるという訳じゃないか」

 仲間たちもそれで合点がいった。「あのイタリアでのヤマを、もう一丁やるのか?」

 ところがそんな折りもおり、ウォールバーグの元に一本の電話が。例のロシアン・マフィアが両替屋が殺されたのを恨んで、怪しい奴を捜しているというのだ。そして金塊の行方を追っていたウォールバーグのことを嗅ぎつけた。これはヤバイ!

 さぁ、ウォールバーグたちは運び出される金塊をどうやって奪回するのか? 怒り狂ったヤバすぎのロシアン・マフィアはどうするのか? そして一味は無事にサザーランドの仇をとることが出来るのだろうか?

 

徹頭徹尾、渋いロー・テク魂が横溢する作品

 1969年の「ミニミニ大作戦」のリメイク作品…と言ったって、この作品を一体何人の人が知っているだろう? 確かに知る人ぞ知る作品だが、一般的知名度という点では同じようにリメイクされた「猿の惑星」だとか「オペラハット」(=「Mr.ディーズ」)などと比べると明らかに低い。かく言う僕も小学生高学年の頃にテレビで見ただけだから、もう細部についてはスッカリ忘れてる。こういう作品が引っ張り出されることからして、ハリウッドの企画の枯渇ぶりが伺われるが、実際のところ今のハリウッド映画の企画で、かつての作品のリメイクあるいはシリーズ、外国映画のリメイク、テレビ作品の映画化…などをさっ引いたらどれほどのオリジナル企画が残るだろう? これは本当に深刻な問題だと思うべきだよね。

 で、今回のこの作品、オリジナル版との比較はすべくもないので省略するが、オールスターで見せるチームワークが売りの犯罪ものってところからして、あの「オーシャンズ11」(これまたリメイク映画だ)がパッと脳裏に浮かぶ。実は今回の「ミニミニ大作戦」、おそらくは企画の原点はこの「オーシャンズ11」にあり…と、僕はにらんでいるんだけどね。片やジョージ・クルーニー主演、片やその相棒株だったマーク・ウォルバーグ主演ってのも、決して偶然じゃないかもしれないね。プロデューサーの頭には「オーシャンズ11」が常にあったんじゃないか? アレに似た企画でもう一発行こう!

 そして「オーシャンズ11」とこの「ミニミニ」を比較すると、今回の作品の魅力が透けて見えてくるんだね。

 「オーシャンズ11」は、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、ジュリア・ロバーツ…とまぁ、キンキラとキラ星のごときスーパースターが「タワーリング・インフェルノ」なみにゾロゾロ。対するこちら「ミニミニ」は、マーク・ウォルバーグ、エドワード・ノートン、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・ステイサム、セス・グリーン。ちょっと地味と言っては地味。映画好きでなくても誰もが知ってるスターがゾロゾロの「オーシャンズ」組と比べれば、一見華やかさには欠ける。だが、渋くてクセ者の俳優ばかりを揃えているのは確か。映画好きの嗅覚からどっちが面白そうに感じるかと言えば…そりゃあ言わずもがななんじゃないか?

 題名も「ミニミニ大作戦」と来る。今日び映画の邦題はカッコよくないと女に嫌われる。女に嫌われれば男も来ない。今時「オーシャンと11人の仲間」じゃ、例え頭は少々悪くてもカッコだけはうるさい若い女が来ないのだ。だから「オーシャンズ11」とくる。こりゃ元々の原題だけどね。

 それに習えば、今回の作品も「イタリアン・ジョブ」と来なければならないはず。あるいは、原題でもない変な英語題名をデッチ挙げてカタカナ題名にするだろう。

 それなのに、なぜまた今時「ミニミニ大作戦」?

 かつての作品の記憶は多くの映画ファンの脳裏にはない。だから同じタイトルにするメリットは何もない。おまけにこの今時恐ろしいほどヤボなタイトル。

 だがこのタイトル、実は如実にこの映画のスタイルを伝えているから面白い。それは「オーシャンズ11」にはない、「ミニミニ大作戦」であるがゆえの面白さだ。

 とにかく、この映画って徹底的にロー・テクなのだ。

 冒頭、ベニスでの見せ場…運河狭しとモーターボートが追いかける愚鈍なまでのロー・テク見せ場。ひょっとして部分的にCGを使ってるのかもしれないが、基本的にはカメラの前で実際に行ったに違いないアクションの数々が、今時の映画を見慣れた観客の目には新鮮に映る。確かにこれをコンピュータの助けなしにやったら、ニュースで伝えられたようにベニスの街をぶっ壊しちゃうかもな…と思わせる見せ場だ。同様に、クライマックスのロスの道路を交通遮断しての大規模見せ場も、ホントにやらかしたに違いないし、ホントにやらかしてなければあの可笑しさは出てこない。そういう意味で、「マトリックス・リローデッド」のカーアクションの対極にあるのが、この「ミニミニ大作戦」であることは間違いない。これはどっちがいい悪いって事じゃないんだけどね。得てしてこういう比較になると、コンピュータよりロー・テクな方がいいって話になる。でも、それってほとんど意味がない。そう言っておいた方が“本格派”っぽいし“通”っぽいってだけの事だからね。僕はそういう事はあんまり言いたくはないな。でも、この映画の魅力がそこにあるのは確かだ

 まぁ、それはともかく…あれこれ楽しい趣向を満載の「ミニミニ大作戦」。今回は上記したようにアクションてんこ盛りで見せてくれるが、実は本作の一番の見ものはそんなところにない。

 芸達者な面々を揃えた豪華なキャストによるチームワークの妙に、最大の見どころがあるんだね。「オーシャンズ11」と比べると華やかではないが、ストレートに芝居をやらせればそれぞれ独自の味わいを放つ連中が、肩の力をあえて抜いて余裕で見せる。そもそも何となくこいつら楽しそう、仲良さそうにやってるでしょう? そんな彼らの気持ちの良いチームワークを、見ているだけで楽しくなる。

 考えてみるとこの映画を撮った監督のF・ゲイリー・グレイって、その前の映画はケビン・スペイシーとサミュエル・L・ジャクソンの主演した「交渉人」だったっけね。あれは手に汗にぎるサスペンス・アクションではあったけど、見せ場の迫力や緊迫感というよりは対決する二人の男のやりとりの妙で見せる映画だった。だから、今回もどんなに派手な見せ場を盛り込んでも、面白さの中心は役者どうしのやりとりに持ってきてるみたいなんだよね。

 特にシャーリーズ・セロンは、今までの彼女の中で一番カッコよく見せ場も多い。かなりオイシイ役だ。ドナルド・サザーランドはまたしてもチョイ役だが、今回は主役たちの動機づけになる重要な役どころ。何よりそのカリスマ性と楽しげな表情が、「スペース・カウボーイ」や近作「ハッピー・フューネラル」で見せた余裕の芝居を彷彿とさせ、小さい役でもファンとしては嬉しい。ジェイソン・ステイサムはバカ映画とは言え「トランスポーター」で一枚看板張った直後だから、やっぱりどことなくメンコの数が一枚増えた感じだ。余裕が出てきたね。

 そして、そんな抜群のチームワークを気持ち良く見せてもらえたのも、中心にマーク・ウォルバーグが座ってるからだと思うんだよね。

 ウォルバーグってついこの間出てきたばかりの若造って感じだったし、ちょっと前まではジョージ・クルーニーのパシリみたいだった(笑)。それがいつの間にかドサクサ紛れに一線の主役級。こりゃどうした事だろうね?

 だけど彼って内面から「いい奴」って感じがにじみ出る。ちょっと押し出し弱そうなところが、かえって彼の場合いい。だからワンマンじゃなくって、こんな多士済々の連中と一緒になって、うまくリードしていける雰囲気がするのだ。これは他のスターではなかなか難しいよ。

 アクションは派手だけどあくまでロー・テク。そして見せ場は豊富だけど、見せ場より役者のアンサンブルで見せる。集まった役者はスターではあるが、華やかさよりも味で見せる芸達者な連中ばかり。そんないい役者たちが、揃いも揃って力まずに余裕で見せる。しかも、そんなキャストの中心に座るのは、押し出しは強くないけど人の良さそうな男…マーク・ウォルバーグ。

 娯楽映画ってのは普通“どうだ!”とばかりに「これみよがし」に派手派手に盛り上げるのが常道だ。ましてハリウッド映画ならなおさら。それなのに、この「ミニミニ」はことごとく逆行している。押しつけがましくない。映画全体がロー・テクしてる。そして、だからこそ新鮮で面白い。

 でも、考えてみるとそんなロー・テク魂は、この映画の元々のコンセプトからしてあるんだよね。デカくてカッチョいいクルマが爆走してこそのカー・アクションってのがアメリカ映画の基本だが、この映画では山椒は小粒でもピリリと辛い、ミニクーパーが大暴れ。見てくれじゃないよ、小粒な方がキレがいいよってことだ。で、そんな考え方が映画の隅々にまで行き渡ってるんだよね。

 つまりは、題材と表現と狙いがすべて見事に必然性を持って一致している。これはなかなかどうして、お気楽にやってるようで緻密に考え抜かれた映画づくりじゃないか。

 ならばこの映画にあえて「ミニミニ大作戦」って邦題をつけた配給会社の人って、すごく分かってたのかもしれないね。いやホントは、センスがあるのかもしれない。まったくの偶然じゃなくって(笑)。

 

 

 

 

 

 to : Review 2003

 

 to : Classics Index

  

 to : HOME