「ハリー・ポッターと秘密の部屋」

  HARRY POTTER and the Chamber of Secrets

 (2002/12/02)


この文章はまぎれもなく映画「ハリー・ポッターと秘密の部屋」の感想文ではありますが、良い子のお子さまには不適切な表現がいくつか含まれております(笑)。十分ご注意ください。

 

二年目は最初からケチのつき放題

 あれから一年経ちました。

 ここはロンドンの同じような一戸建て住宅が建ち並ぶベッドタウン。われらがハリー・ポッターことダニエル・ラドクリフの住む家も、この一角にある。だが、「住む」と言っても彼は相変わらず唯一の身寄りである家の主人リチャード・グリフィスと妻フィオナ・ショー、そして出来の悪い息子ハリー・メリングの元に身を寄せる肩身の狭い立場であることに変わりなかった。

 唯一の慰めは魔法学校での友達との思い出だが、休みの間にこれらの友達からはまったく便りがなかった。そのこともポッター=ラドクリフを大いにイジケさせていたのだが。

 この日はグリフィス一家を大事な商談の相手のご夫婦が訪れる日。何一つ間違いがないようにと一家は神経ビリビリ。もちろんポッター=ラドクリフは二階の部屋でおとなしくしていろとのご命令だ。

 ところがそんな時ほど間の悪いことが起きるのが世の常。何と彼の部屋のベッドの上に、目玉ばかりギョロギョロした妙な生き物が立っていたから、さすがの魔法界VIPポッター=ラドクリフも驚いた。

 「ポッター様、私は屋敷しもべ妖精のドビーと申します」

 やけに恭しげなこのドビーという生き物。主人である魔法使いに忠実に仕える存在ではあるが、実は粗末な布きれ一丁しか身につけられない哀れな身。主人である魔法使いに奴隷のようにコキ使われているというのが本当のところ。その身を自由にするにはご主人から着る者を与えられなければならないということだが、どうもこのドビーのご主人にはその気はないらしい。

 「魔法使いというものは、みんなポッター様のように扱ってはくれませぬから…あっ、悪口を言ってしまった。ドビー悪い子悪い子」と言い出すと、いきなり自分の頭をガンガンとタンスに打ち付けだす始末。あげく自分を痛めつけているうちに快感を覚えてきて、「あ、もっと」「そ、そこ」などと悶え狂いだす変な野郎だ。だがポッター=ラドクリフは下の連中に文句を言われないか気が気でない。ここで連中を怒らすと、今後何をされるか分かったもんじゃない。

 で、このドビーの用件はと言うと…何とポッター=ラドクリフに魔法学校に戻って来ないでくれと言うのだ。学校に戻ると良くないことが起きる。だが、その理由は断じて言えない。言えないけれど戻ってくるな…の堂々巡り。実はポッター=ラドクリフ宛の手紙をすべて奪って、彼に魔法学校に戻る気をなくさせようとさえしていたのだ。

 だが現実の世界がこの状態であるポッター=ラドクリフにとっては、魔法学校こそ心のオアシス。「北の家族」は心の居酒屋。ドビーの申し出においそれとうなづく訳もない。

 するとドビーは実力行使に出た。魔法を使って下の部屋で接待されている大事なお客の頭上に、でっかいデコレーション・ケーキを投下したからたまらない。それを止めようとしていたポッター=ラドクリフが逆に疑われてしまう。怒った一家は窓には鉄格子を付けてポッター=ラドクリフを部屋に軟禁状態にした。これで魔法学校には行けなくなった。ポッター=ラドクリフはさすがにへこむ。

 ところがある夜、とんでもない客が訪れた。二階の窓を開けると、自動車が空中に浮かんでいるではないか。車に乗っているのは魔法学校での気のいいマブダチ、ロン・ウィーズリー=ルパート・グリントとその兄弟。力づくで鉄格子をブチ破って、ポッター=ラドクリフを車に乗せて空高く飛び去った。

 たどり着いたのがウィーズリー=グラントの小さいながらも楽しい我が家。前作でもおなじみお母さんジュリー・ウォルターズに初顔合わせのお父さんも出てきて、ポッター=ラドクリフには縁のなかったささやかながらも幸せな団らんを満喫する。今年から魔法学校に入学のウィーズリー=グラントの末の妹ジニーことボニー・ライトは、何とポッター=ラドクリフにホの字などという微笑ましい話も出たりして、ようやくポッター=ラドクリフも楽しい気分になってきた。

 さて新学期には要りようなものもある。新しい教科書も買わねばなるまい。一家みんなで魔法の世界・裏ロンドンへと出かけることになったが、それには暖炉の中に入って目的地の名前を言って魔法の粉を一振りすればオッケー。するとまるで「スター・トレック」の転送みたいに行きたい場所に行けるのだ。ところがポッター=ラドクリフは間違った地名を言ったものだから大変。歌舞伎座と歌舞伎町では雲泥の差。魔法の裏ロンドンでも裏の裏、怪しげな街角に飛ばされてしまった。横町を行く連中も何やら怪しげだ。

 「ちょっとそこのお兄さん、遊んでかない?」「ホンバンDVDあるよ、モザイクなしだよ」「エステだよ、あと一万円出せばイイこと出来るよ」

 これにはちょっとポッター=ラドクリフもグラついた。魔法学校も二年目の男の子なら、イロイロ関心出てくるお年頃だからね。でも、そこに出くわしたのが毛むくじゃらヒゲモジャの大男、魔法学校の庭師ハグリッドことロビー・コルトレーンだ。

 「オメエ、こんなとこで何やってんだ? ここはガキの来るところじゃないぞ

 「そういうハグリッドは何やってんの?」

 そう聞かれて、まさかたまの休日に一本ヌキに来たとは言えないハグリッド=コルトレーンではあった。このへんが大人のツラいところ。ともかく彼はポッター=ラドクリフを目指す本屋まで連れていくと、さっさと風俗店めざして去っていった。この本屋でポッター=ラドクリフはもう一人のダチである女の子ハーマイオニー・グレンジャー=エマ・ワトソンと再会。ウィーズリー=グラントの一家ともここで再会出来た。

 ところでこの本屋、妙にごった返してると思ったら今日は本の著者のサイン会が開かれていたのだ。その著者こそ魔法界のスター的存在、ギルデロイ・ロックハートことケネス・ブラナーだ。テカテカ笑いで愛想振りまく様子に、ウィーズリー=グラントもポッター=ラドクリフもゲンナリだったが、ウィーズリーの母親ウォルターズやハーマイオニー=ワトソンはウットリ。女はこの手の男の上げ底笑顔に弱いからね。女にスマイルを惜しみなく振りまくロックハート=ブラナーは常に営業努力を怠らない。客の中にVIPポッター=ラドクリフを目ざとく見つけると、一緒に写真を写したりして宣伝にこれ努める。

 ところがこの店に来た顔なじみは彼らだけではなかった。ポッター=ラドクリフの天敵、「スリザリン」寮のリーダー的存在のオールバック野郎ドラコ・マルフォイことトム・フェルトンが、父親のルシウス・マルフォイことジェイソン・アイザックスに連れられて来ていたのだ。たちまちにらみ合い、険悪な雰囲気。このルシウス=アイザックスが息子に輪をかけたいけ好かない野郎で、魔法界のお偉いさんか何かは知らないが、ウィーズリー=グラント一家の貧しさをバカにしたかと思えば、返す刀でハーマイオニー=ワトソンの両親が「マグル」こと人間であることをバカにする。魔法界の“純血”であることを鼻にかけるこの父子は、差別意識丸出しでハーマイオニー=ワトソンを「汚れた血」だなんて見下すのだ。イヤだ私まだ“純潔”ヴァージンよっなんて憤慨するハーマイオニー=ワトソンちゃんだが、誰もそんなこと聞いてない。まぁ、今日び喪失年齢はぐっと下がってるらしいからねぇ。ともかくはこの父子のおかげで、実にイヤな気分になったポッター=ラドクリフではあった。

 さてお買い物は済んだ。ポッター=ラドクリフはウィーズリー=グラント一家と例によって例のごとくロンドン駅へ。ここに魔法の列車の出発ホームへつながる、目に見えない秘密の通路があるのだ。ところがご一家の他の人達がその通路に入って行った後で、ポッター=ラドクリフとウィーズリー=グラントが通路に入ろうとしたところ、なぜかそこは閉ざされていて壁にガッチンコ。なぜだ、どうして通れないんだ?

 仕方ない。二人は例の空飛ぶ車に乗って、一路魔法列車を追いかけていった。途中結構危ない橋を渡ったものの、何とか魔法学校へたどり着く二人。ところが車がコントロールが効かずに校庭の大木に激突。この大木も魔法界の生き物だけに怒り狂って、危うく殺されそうになる一幕もあった。この騒動でウィーズリー=グラントの魔法の杖が折れちゃったのも痛い。

 学校に着けば着いたで、いきなり二人は「スリザリン」寮の責任者スネイブ先生ことアラン・リックマンにキツいお叱りを受けることになる。魔法車で白昼飛び回るわ、校庭の大木には激突するわで退学もありえるとの脅かしだ。だが、何とかそこは校長先生ダンブルドアことリチャード・ハリスの取りなしで事なきを得た。

 さて、また学校生活が始まった。驚いたことに今学期は、新しい講師としてあのテカテカ男ロックハート=ブラナーが着任したという。だがその最初の授業はメロメロ。こいつ口ほどにもない男じゃないのか。

 「スリザリン」のドラコ=フェルトンは相変わらず悩みのタネ。何かとポッター=ラドクリフや仲間たちに絡んでくるからゴロつきよりタチが悪い。この日もガン飛ばしてきたかと思えばハーマイオニー=ワトソンを「汚れた血」だとバカにする。これには「いい奴」ウィーズリー=グラントも怒った。

 「てめえ、センズリ千本ノックをくらえっ!」

 だが呪いの魔法をかけようとした肝心の杖が、折れてセロテープでつないだシロモノだったのがマズかった。術は逆にウィーズリー=グラントにかかって、勢いよく自分がブッ倒れる。すると、アレレ?…ウィーズリー=グラントの右手がズボンの中に入っていくではないか。それからのことは…ちょっとここではコケない、もとい、書けない。

 「うわぁ! 止まらないよ、助けてえ」

 仕方なくコキっぱなしのウィーズリー=グラントを、ハグリッド=コルトレーンの小屋に連れていくポッター=ラドクリフとハーマイオニー=ワトソン。だがハグリッド=コルトレーンでも、こいつはどうすることも出来ない。「これ以上出ないとこまで来ないと止まらんな」とか何とか言いながら、こいつらもそんな歳になったかと目を細める。俺のガキの頃はなぁ、一日に5発6発はザラだったぜ…。

 「ひえ〜、冗談じゃないよ〜」と叫ぶウィーズリー=グラントの頬はコケ始め、目の下はクマで真っ黒。その場にハーマイオニー=ワトソンちゃんがいるので、ついついオカズにしてしまうのが嬉しいやら恥ずかしいやら。何事にも向学心旺盛なハーマイオニー=ワトソンちゃんも悪い気がしないし、何より後学のためにとそのアリサマから目が離せない。それにしても次から次へと出ること出ること、イクことイクこと。いやぁ若いって素晴らしい。さすがのポッター=ラドクリフも、この分野だけはVIPの座を脅かされそうだ。

 いやはや余談が過ぎた。そんな事よりさらに恐ろしいのは、ポッター=ラドクリフを幻聴が襲ってきたことだ。「死ねぇ、死ねぇ」…この気色の悪い声はどこから聞こえてくるのか。たまたま夜の校舎をほっつき歩いていたポッター=ラドクリフは、彼を捜し歩いていたウィーズリー改めセンズリーことグラントと、彼のバッキンバッキンに逞しいイチモツにビックリのハーマイオニー=ワトソンの二人とバッタリ。だが気色の悪い声は二人には聞こえない。そんなこんなでアチコチ歩いていたら、床があたり一面水でビショビショ。壁にベッタリと血文字がコイて…いや、書いてあるではないか!

 「秘密の部屋は開かれた。後継者の敵はご用心」

 そしてそこには用務員の飼い猫が、石にされてカチンカチンに固まっていた。そのあたりには、小さいクモがウロチョロ…。

 ところがそんな様子を見た用務員は激高。三人が下手人と決めつけた。またしてもダンブルドア=ハリス校長の取りなしで無事だったものの、ポッター=ラドクリフ今回は散々。

 それにしても「秘密の部屋」って一体何だ? 思いあまったハーマイオニー=ワトソンは、マクゴナガル先生ことマギー・スミスに聞いてみた。すると怯えきった表情ながら、マクゴナガル=スミス先生は教えてくれたのだが…。

 この魔法学校は4人のすぐれた魔法使いが創設した。だが、そのうちの一人がすぐに意見を異にして学校を離れた。それが寮の名にもなっているサラザール・スリザリン。彼は例の純血主義で、「マグル」の血を引く者を学校から追い出そうとしたのだ。そして学校を離れる際に、学内に「秘密の部屋」を設けていた。彼の正統な後継者だけがその「部屋」を開けられる。中には恐ろしい怪物がいて、その怪物が「マグル」の血を引く者を襲うという。だが、その「部屋」がどこにあるのか、誰も知らない…。

 ポッター=ラドクリフたち三人は、当然この「後継者」があのオールバック野郎ドラコ=フェルトンだと睨んだ。だが確証はない。どうやって調べようかと考えたあげく、ハーマイオニー=ワトソンが思い付いたのが変身。魔法の薬をつくってドラコ=フェルトンの側近のデブ二人に化けて探るというのだ。だが、薬をつくるには一ヶ月はかかるという。

 三人は女子トイレに忍び込んで、魔法の薬製作を開始した。え? 何でこのトイレに他のヤツが入って来ないんだって? ここは幽霊が出ると有名で、誰も入らないトイレ。実際に三人の前には、昔この学校で死んだブスなメガネ娘「トイレの花子さん」ことシャーリー・ヘンダーソンが出たり入ったりしていたが、彼女にはあまり迫力がないので三人は怖くなかった。

 怪事件はまだまだ起きた。恒例の空中サッカーもどき「クィディッチ」の試合で「グリフィンドール」チームの選手として出場したポッター=ラドクリフは、ゲーム用の鉄球に追い回されて九死に一生を得る。一体ポッター=ラドクリフを狙っているのは誰だ?

 だがこの騒動でポッター=ラドクリフは腕を骨折してしまった。治そうと出しゃばったロックハート=ブラナーが、骨をつなぐどころか腕を骨抜きにしたため二重の災難。なんだよ〜、センズリーじゃなかったウィーズリーはバッキンバッキンのカッチカチなのに俺は骨抜きフニャフニャ〜? 中年の中折れも哀しいぜ。ポッター=ラドクリフ今回はまったくいいところがない。

 とりあえず医務室に担ぎ込まれるポッター=ラドクリフだが、そこにまたしてもあの幻聴が聞こえる。そしてまたしても現れた屋敷しもべ妖精のドビー。だから言わんこっちゃない、早くここから帰ってください…と繰り返すドビーだが、こいつちょいと口を滑らせて、こんな事がかつてもあったとバラしてしまう。前にもあった? 「秘密の部屋」が開いたことが…?

 そんなこんなしているうちに、またしても石にされた被害者が現れた。今度は片時もデジカメを手放さず、更衣室だ風呂場だと盗撮を繰り返しているので女子生徒から大ヒンシュクのカメラ小僧だ。

 しかも間の悪いことは次々起きた。全校生徒を前にした魔法の杖フェンシングの模範試合で、宿敵ポッター=ラドクリフとドラコ=フェルトンが一戦交えることになったのだ。だが劣勢になったドラコ=フェルトンは魔法でヘビを出した。そのヘビが生徒の一人に目をつけて飛びかかろうとしたその時…。

 「ヘイ、スネーク、カモン!」

 カマ首もたげるヘビに向かって、怪しげなマジック・ショーよろしく聞き慣れない呪文を口にするポッター=ラドクリフ。自分のカマ首もたげるのは得意のウィーズリー=グラントも、これには大いに驚いた。ヘビはその場にいたスネイブ=リックマン先生によって消滅させられたが、怪しげなヘビ呪文を操るポッター=ラドクリフは全校生徒に白い目で見られ始めた。ポッター=ラドクリフは知らなかったが、魔法使いでもヘビ語をしゃべる者はごくわずか。それも、どうやら邪悪な魔法の使い手に限られるという。この一件で、ポッター=ラドクリフが実は例の「スリザリンの後継者」なのではないかと疑われるハメになったのだ。

 事態が切迫する中、例の変身用の薬が出来た。だが変身するためには相手の体の一部がいる。そこで三人は例のデブ二人組を眠り薬入りお菓子で釣って、彼らの髪の毛をとって変身薬に入れた。ポッター=ラドクリフとウィーズリー=グラントはデブ二人組に、ハーマイオニー=ワトソンは事前に髪の毛を入手した別の女生徒に化けるわけだ。薬の効果はてきめんだった。あっという間にデブ二人組に化けたポッター=ラドクリフとウィーズリー=グラント。だが、ハーマイオニー=ワトソンはなぜかトイレにこもって出てこない。ともかく時間がない。薬の効果は一時間以内なのだ。早速ドラコ=フェルトンの元に向かう二人。

 彼らをデブ二人組と思い込んだドラコ=フェルトンの口は軽かったが、やはり彼もまた「秘密の部屋」については知らなかった。では一体誰が「秘密の部屋」を開いたのか? そして「秘密の部屋」はどこに?

 デブの変身が解けかかった二人がトイレに戻ってみると、ハーマイオニー=ワトソンはとんでもない姿になっていた。彼女はてっきり髪の毛だと思っていたものは、実はとんでもないとこの別の毛。したがって彼女の顔は…いや、そんなことここには書けない(笑)。ただそれを見たウィーズリー=グラントが、たちまち自分のカマ首をもたげたことだけは言っておこう。何で別のとこの毛だと顔が…になってしまうのか、これはオカシイと気づいた人もここは黙って読むように。今回のハリポタは徹底的に下ネタでいく(笑)。

 そんな三人に新たな手がかりを与えたのは、何と「トイレの花子さん」だった。彼女が潜む便器に、何者かが日記帳を投げ込んだと言うのだ。だがその日記帳には何も書いてない。ただ「トム・リドル」なる名前が書いてあるだけだ。

 ポッター=ラドクリフがそこに字を書いてみると、不思議なことにすぐに字が消えてしまう。そして代わりに別の字がクッキリ浮かび上がってきた。「こんにちわ、ハリー・ポッター。僕はトム・リドルです」

 早速ポッター=ラドクリフは、この日記帳に「秘密の部屋」のことを聞いてみた。すると、50年前に何か事件が起きたようなのだ。ポッター=ラドクリフは何が起きたのか具体的に聞き出そうとするが、日記帳はそれに答える代わりに、不思議な力で彼をその50年前に連れていった。

 50年前の魔法学校。まだダンブルドア=ハリス先生が校長でなかった頃のこと、学内では生徒が次々と死んでいく事件が起きていた。それも「マグル」の血を引く者たちだ。日記帳の主トム・リドルことクリスチャン・コールソンは、この事態について何かを知っている様子。彼は物陰で誰かを問いつめていた。それはあの庭師ハグリッド=コルトレーンの若き日だった。彼はどうも曰くありげなクモを飼っていたらしい。

 では、ポッター=ラドクリフら三人組が仲良しのハグリッド=コルトレーンが、「秘密の部屋」を開いたのか?

 とてもそんなことを当人には聞けない。悶々とするポッター=ラドクリフだが、今度はハーマイオニー=ワトソンがなぜか鏡を握りしめたまま、何者かに石にされてしまう。もう、こうしてはいられない。夜間外出禁止のおふれが出る中、ポッター=ラドクリフとウィーズリー=グラントは、透明マントを羽織ってハグリッド=コルトレーンの小屋まで出かけていった。

 突然の訪問に驚くハグリッド=コルトレーンだが、訪ねられたのが「秘密の部屋」についてだったことで二度ビックリ。しかし、そこにまた別の訪問客が! 慌てて部屋の中で透明マントを被って姿を消すポッター=ラドクリフとウィーズリー=グラント。果たしてやって来た客は、ダンブルドア=ハリス校長と魔法省のお役人だった。何とこのお役人が言うには、ハグリッド=コルトレーンが今回の一件で疑われているとか。さすがのダンブルドア=ハリス校長もそれを阻むことが出来ず、ハグリッド=コルトレーンはアズカバンの牢獄へと送られることになったのだ。

 そして、そこにさらに新たな客が! 今度やって来たのはあのドラコ=フェルトンの父ルシウス=アイザックス。何と彼は理事全員を説得して、ダンブルドア=ハリス校長を退任に追い込んだと言うのだ。ええっ、ハリス校長がいなくなったら「ハリス学園」はどうなるんだと石田国松も大慌て。「ハリス〜のかっぜ〜」って、このギャグは40過ぎじゃないと分からない(笑)。

 ハグリッド=コルトレーンは逮捕され、他の者も小屋を出ていった。こうしてはいられない。ハグリッド=コルトレーンは連れて行かれる前に、ポッター=ラドクリフたちに「クモの後を追え」と言い残していた。見ると、小屋から小さいクモが無数に這い出していき、何と恐ろしい魔物がいるという呪われた森に向かって行くではないか。夜中に禁断の呪われた森、しかも大嫌いなクモ…とスッカリ腰が退けるウィーズリー=グラントだったが、事は学校存亡の危機。ポッター=ラドクリフは彼のケツをけ飛ばしながら、ウジャウジャと群がるクモの後をひたすら追った。その果てには?

 森の奥深くに現れたのは、この無数のクモの親玉「アラゴグ」なる巨大グモ。しかもこいつは言葉をしゃべる。だが、こいつも「秘密の部屋」の黒幕ではなかった。ハグリッド=コルトレーンにエサをもらっていたものの、生徒を殺したり石にしたりはしなかった。こいついわくは、「秘密の部屋」にいるのは巨大なヘビ「バジリスク」だと言う。そこまで聞けばもうこいつに用はなかったが、こいつの方では二人に用があった。ハグリッド=コルトレーンにはエサをもらっていたが、二人には何の義理もない。ここで会ったが百年目。せっかくのイキのいいご馳走をいただこうという魂胆だ。見ると二人の周囲には巨大グモがウジャウジャ。

 絶体絶命!

 そこに、学校にやって来た時に乗ってきた空飛ぶ車がやって来た。地獄に仏。物凄いスピードで殺到するクモ軍団を蹴散らしながら、二人は何とかかんとか森から脱出。危ういところを何を逃れた。

 何とか学校に戻った二人を待っていたのは、またしても衝撃的な事件。何とウィーズリーの妹でポッター=ラドクリフにゾッコンのジニー=ボニー・ライトが何者かに連れ去られたと言うのだ。大変だ、何とかしなければ。こうなりゃ一人でも味方がいた方がいい。そこで二人は「邪悪な魔法ならお任せ」とか「秘密の部屋の場所なら知ってる」などとうぞぶいていたロックハート=ブラナーを連れて行くことにした。だが、二人が彼の部屋を訪れると、何と臆病風に吹かれたロックハート=ブラナーは荷物をまとめて逃げ出そうとしている最中。そこをちょいと脅した二人は、彼を連れて「秘密の部屋」探索に出かけた。

 手がかりはハーマイオニー=ワトソンが握りしめていたメモ。そこには「パイプ」と書かれていた。ところがウィーズリー=グラントは「バイブ?」…ってな調子で、こいつの頭にはシモの話しか浮かんでこない。「違う、パイプだ!」とポッター=ラドクリフが訂正しても、まだ「パイプカット」とか訳のわからないことばかり言っている。これにはポッター=ラドクリフも頭を抱えた。だが頭を抱えたおかげで考えがひらめいたから、世の中何があるか分からない。

 そうか、巨大ヘビ「バジリスク」はパイプを伝って学内に出没していたのか。パイプのあるところはどこだ? ポッター=ラドクリフ、ウィーズリー=グラントとロックハート=ブラナーは、あのいわくありの女子トイレへと向かった。そこであの「トイレの花子さん」を問いつめてみると、彼女も一連の犠牲者だと言うではないか。彼女は巨大な目を見て命を奪われたという。今回の犠牲者の猫、カメラ小僧、ハーマイオニー=ワトソンが死ななかったのはなぜだ? それは怪物の目を直接見ずに、猫は床にこぼれていた水、カメラ小僧はファインダー、ハーマイオニー=ワトソンは鏡…と、間接的に見たせいで石になるだけにとどまっていたのではないか?

 では、問題の「秘密の部屋」の入口はこのトイレにある。ポッター=ラドクリフが洗面所をいじくっていたら、いきなり仕掛けが動き出して巨大な管の入口が現れた。

 この入口を降りて、「秘密の部屋」を向かう三人

 さぁ、「秘密の部屋」には何が潜んでいるのか? 巨大ヘビ「バジリスク」とはいかなる化け物なのか? そしてポッター=ラドクリフとウィーズリー=グラントは、ハーマイオニー=ワトソンをはじめ、石にされた者たちの呪いを解くことが出来るのだろうか?

 

小説と映画というメディアの特性の違いを無視?

 「ハリー・ポッター」シリーズの二作目は、もういろいろな設定や人物を説明する必要がないのでテキパキと話が進むと思いきや、前作ハリー・ポッターと賢者の石よりも長い2時間40分余。どうしてこうなるのか分からないな。正直言ってファミリー・ピクチャーとしては長すぎる上映時間だ。これには見る前からビビってしまった。

 それでなくても前作はどうも原作まんまらしいとの評判が高い。アレでも原作をあちこち割愛していると言う声もあるが、それは原作ファンのないものねだりと言うものだろう。もちろん原作の人気ゆえの映画化だし、原作ファンからすればその世界をまんま映画化してもらいたいのだろうが、それはこの場合どうなんだろう? これって何だかんだ言っても映画だからねぇ。

 お話を何でもかんでも入れれば忠実な映画化というわけでもないと思うんだよ。要は原作から取り出すエッセンスの取捨選択のやり方次第だと思うんだけどね。割愛の仕方によっては原作の世界を壊さず、それなりの映画としてコンパクトにまとめられるはずだと思うんだけど。それが映画製作者の知恵というものだろう。前作も原作者がかなり口を出したということだが、どうも今回もそれが災いしたんじゃないだろうか。何と言っても、原作者って言ったって映画には素人だからねぇ。

 今回のこの映画、決してつまらない出来ではない。見せ場も豊富で飽きさせない。いくら何でも、この映画をまるっきり退屈だと言うのは無茶だろう。クモがウジャウジャ出てくるあたりとか、最後の怪物出現のヤマ場とか、映画らしい盛大な見せ場も盛りだくさんだ。このあたりの見せ場をあげつらって、「ニューズウィーク」誌などは「B級怪獣映画だ」とケナしているようだね。でも、そもそもゲテモノSF映画に映画ならではの楽しみを見出している僕などは、「だから面白いじゃないか!」と思ってしまう。B級怪獣映画のどこが悪いんだ? まぁ、「ニューズウィーク」の映画評などいつも朝日新聞の映画評なみに分かってないクソな内容だから、ここでどうこう言う手合いのものでもあるまい。こういうヒット映画、大ベストセラーの映画化っていうと、それだけでケナす輩もワンサカいる。だけど僕はそうした連中には必ずしも与しない。この映画が娯楽映画としてそれなりに面白くつくっていることは認めないと、坊主憎けりゃ袈裟まで…的な変な話になるよ。

 ただねぇ、やっぱり上記したような長さと内容には疑問が残ってしまうんだよね。説明的なものは前作でしたからしなくていい。しかも前より長尺になっている。なのに、なぜかそれでも舌足らず、説明不足で訳の分からない部分が残るんだよ。アレってどうしてこうなったの?コレってどこで説明されたの?…って、見えない部分が多すぎる。ひょっとしたら駆け足で説明されたのかもしれないが、ストーリーを追っていくうちに見えなくなっちゃうくらい微弱な部分が多い気がする。これって他の映画ではあまりない事だから、余計そう思うんだよ。字幕に問題アリとか長すぎるとか言われた「ロード・オブ・ザ・リング」だって、ここまでじゃなかったと思うんだよ。

 だから上記した今回のストーリー紹介の部分も曖昧だったり間違った部分が多々あると思う。これは必ずしも僕の言い訳じゃないと思うよ。原作未読でこの映画の話をちゃんと隅々まで把握出来る人って、そんなにいないと思うんだね。僕も何とかかんとか記憶を辿って再現して、あの程度なんだから。

 だからもっと原作に忠実に…な〜んて言うのもナンセンス。2時間40分もかけて説明できないなんてオカシイ。僕はこれ、小説と映画というメディアの特性の違いを無視したことによる失敗だと思うんだよね。省略すべき点、強調すべき点のメリハリがイマイチついていないことによる、消化不良が原因だと思うんだよ。

 もちろん、それは僕みたいにストーリー再録しようとして初めて気づくことかもしれない。そんなこと気にせずスッ飛ばして見れば見れる映画だからね。娯楽映画としては一定の面白さはあると言ったのはそんな訳だ。だから、それは些細なことかもしれない。それにしたって、もうちょっと締めるとこは締めてつくるべきだったんじゃないか? もちろん、原作を読んでいる人だけが見ればいい…な〜んてヨタは、この際よしにしてくれよ

 さて、いろいろ言いがかりをつけさせていただいた本作、いいと思った点もたくさんあるよ。これは原作の持ち味かもしれないが、前作でイケイケだった主人公たちが今回はいちいち苦境に立たされるのは決して悪い設定じゃない。とにかく今回主人公たち三人は、映画の出だしからケチのつきどおし。やってもいない濡れ衣まで着せられそうになって、サスペンスがいや増す展開ってのはなかなかいい。

 キャストもなかなか興味深い。前作からしてリチャード・ハリス、マギー・スミス、アラン・リックマン、イアン・ハート、ジョン・クリース、ジュリー・ウォルターズなどなど、イギリスの名うての名優を取りそろえた豪華さだった。今回はここからイアン・ハートが抜けたが、代わりに加入したのがケネス・ブラナーにジェイソン・アイザックスってのは嬉しかったね。ケネス・ブラナーってシェイクスピア役者としての名声にも関わらず、映画では「ワイルド・ワイルド・ウェスト」なんてバカな役も嬉々として演じて好感が持てるんだが、今回のテカテカな役もこの人ならでは。これには嬉しくなった。派手好きで調子が良くて適度にズルくて、情けないけど憎めない…って、この人の意外にミーハーなハリウッド指向を考えると適役好演じゃないかな。最後の最後までバカに徹していてアッパレな限りだ。ジェイソン・アイザックスも「パトリオット」で見せた近年希にみる完璧な悪役ぶりを引っさげて頑張ってる。このシリーズって今後もイギリス名優のショー・ケース的なキャスティングを続けるんだろうか。この点は素直に認めてあげたいね。

 また、校長役のリチャード・ハリスがこの作品を遺作にして亡くなったことを知っているから、見ている方としても万感胸に迫るものがある。そう見ると今回のしわがれ声も「もう具合が悪かったのかな」と気になってくる。後任にはいろいろ取りざたされているようだが、ともかくはこうした世界的ヒット映画でその映画人生を全う出来たことを喜びたいと思う。冥福を祈りたい。

 ただねぇ、僕は前作のヘソとして「みぞの鏡」のくだりが結構気に入っているんだよね。それを考えると、今回主人公が葛藤する要素って何もない。ただひたすら謎と事件が起こって、それに向かって猪突猛進で解決していく。そのせいか、前作も脇のロン・ウィーズリーやハーマイオニー・グレンジャーほどキャラが立たなかったハリー・ポッターが、今回ますますその個性を失っているのが気になるんだよね。アレってただ本のポッターと外見的特徴がそっくりってだけになっちゃってるんじゃないか? そのあたりも、上記した小説と映画って違うって問題点と絡んできちゃうと思うんだよ。小説の主人公と同じような外見イメージの子が、小説と同じ事を言ったりやったりする。それって小説を読んでいる人にはいろいろ浮かんでも来るんだろうが、映画見ている人にはサッパリだと思うんだよね。僕はハリー・ポッターって子がどんな子か、イマイチ分からないんだよ。だから積極的に応援しようとも思わない。ロン・ウィーズリーなら分かるよ。ハーマイオニーだって分かる。だけど肝心の主役がパッとしないんだよね。

 それと、これも原作・映画の話になっちゃうのかもしれないが、主人公が危機を打開するたびに何か偶然性に頼っている印象があるんだよね。それはもちろん娯楽映画だからご都合主義大いに結構! だけど、最低限の理由付けやら伏線はあっていいと思う。今回はそれが希薄だったり、劇中でほのめかされているのかもしれないが見る者に印象づけられていないように思うんだよ。これって前作のヤマ場でも言えることだよね。なぜポッターが勝ったのか分からない。今回の敵を倒す方法も例によって行き当たりバッタリな印象だし、そこに至るあちこちでそれが散見される。これはちょっと気になるんだよね。もっと詳しく細かくやれなんて言ってない。例えば校長が飼っている不死鳥。あれの涙が癒しの涙だって説明が、ちゃんと後段で活かされているじゃないか。それと同じように出来なかったのか。それとも、そういう微細な点はすべて原作では書き込まれているんだろうか? だとしたら、それこそ主客転倒だと思う。言わなくてもいいエピソードはどんどんバッサリやっても、そういう伏線やディティールは描いて欲しかった。

 このあたり、果たして監督クリス・コロンバス、脚本スティーブ・クローブス、原作者のいずれの責任なのか。監督交代してアルフォンソ・キュアロンが担当する次作に、それが判明するのかもしれないね。この人って「天国の口、終りの楽園。」の監督と言えば「ええっ?」と思っちゃうだろうけど、前に「小公女」の映画化「リトル・プリンセス」で児童文学の映画化にも成功していた。僕はこの第三作、結構期待しているんだよね。

 それにしても主人公のキャラが立たないこと、作品としてのヘソが見えないこと…これはとっても惜しいと思う。同じような問題点を抱えていた前作も、今回よりはそのへんが描けていたと思うからね。その意味では一歩後退しちゃったと言えるんじゃないだろうか? これだけのスケールでっかいネタ、これだけの人材を擁しての作品づくりじゃないか。このへんを解消しないと実にもったいないと思うんだけどねぇ。

 

 

 

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