「アナトミー」

  Anatomie (Anatomy)

 (2002/05/13)


  

 まもなくCM、予告編に引き続き、本編の上映を行います。携帯電話、PHS等をお切りの上、どうか最後までごゆっくりご鑑賞ください。

 

ショッキングムービープロジェクト

 ソニー・ピクチャーズがこの春に送る「迫りくる恐怖の3次元」! それが「ショッキングムービープロジェクト」

 「スクリーム」以来、ホラー映画の主導権を握ったのはヤング・アダルト・スター! そんな今が旬のスターたちが主演する3色アイス(笑)…いや、3つの違った味のホラー・サスペンスを、次々スクリーンにお目にかけます。

 第一弾が「ディープ・インパクト」で注目を集めたハリウッドの次世代スター、リーリー・ソビエスキー主演の「グラスハウス」、第二弾が「ラン・ローラ・ラン」で世界的に知られるフランカ・ポテンテ主演の「アナトミー」、第三弾が、ハリウッドのその他大勢…いや、期待されるニュー・スターたち総出演による「ヴァンパイア・ハンター」。いずれ劣らぬ新しい恐怖にみなさまをお誘いします。

 まずはその第一弾、「グラスハウス」とは?

 両親の不慮の自動車事故により、知人夫婦に引き取られることになった姉弟。そこは、知人夫婦グラス夫妻の住むモダンな豪邸、人呼んで…

「グラ〜スハ〜ウス」

(ここでナレーションに強烈なエコー)。

 それまで絵に描いたような幸福を満喫していた姉リーリー・ソビエスキーと弟トレバー・モーガンは、哀しみに打ちひしがれていた。そんな二人が両親の遺言により、知人であるグラス夫婦に引き取られる。グラス夫婦に扮するのはダイアン・レインとステラン・スカルスゲールト。見るからに親切そうで怪しい二人に連れられて身を寄せたマリブの豪邸は、四方をガラスに取り囲まれたモダンな住まい。ガラス=グラスとグラス夫妻を引っかけたタイトルに抜群のセンスが光る

 だが、姉弟にはそれぞれの個室ではなく一部屋同居が言い渡された。オカシイ。自分が居候だという立場を忘れて、たちまち不信感に凝り固まるソビエスキーちゃん。弟にはテレビゲームが買い与えられて甘やかされていることに、さらに腹を立ててフテくされる彼女は、悪人でなくともこの時点で殺したくなること請け合い。慰めは両親が姉弟に莫大な遺産を遺したこと。それを姉弟に告げる弁護士役に、何と懐かしいブルース・ダーンがヨボヨボになって登場。ソビエスキーちゃんよりよっぽど観客の同情を誘う

 夜中に着替えてブラをはずそうとするソビエスキーちゃんが、何者かのなめ回すような視線を感じるが、その逞しすぎる肉体にはデブ専男しか興味を示さないのではないか? 首なし美少女と言えば怖い映画として聞こえが良いが、何しろ彼女はマジで首がない(笑)。元々端正な顔立ちではあったが、今となってはよく言って平安美人、言い方が悪ければおかめ顔だ。

 この義理の両親が何を言っても気にくわない。学校のクラスメートとも溶け込まない。全部自分が悪いのを棚に上げて、ソビエスキーちゃんはひたすら不安におののく。そのうちダイアン・レインは変な注射を腕にぶっ刺してるわ、スカルスゲールトはヤクザ者に借金返済のことで脅されるわで、彼女の不安は確信へと変わっていくのだった。

 いくら不安を訴えても誰も信じてくれない。もがけばもがくほど真綿で首が締まるような恐怖。ただし、彼女に首があればの話だが。だが何と言っても恐ろしいのはソビエスキーちゃんだ。劇中二度見せる失神シーンで、あのおかめ顔で白目をむく熱演は、まさに新世代ホラーをしょって立つ貫禄充分。そして極め付きはファンにはこたえられない、ソビエスキーちゃんのワインレッドがまぶしい初ビキニ・シーン。その豊かな胸とともに腹も尻も揺れる衝撃映像に、観客の目はそらしたくとも怖いもの見たさでクギ付けだ。

 いくら悪事を企んでも、とうていレイン&スカルスゲールト夫婦ごときには殺せそうもない群を抜いた生命力。それなのに自分よりてんで脆弱な悪人たちを懲らしめようと決意するや、ソビエスキーちゃん全く手加減というものを知らない。もういい加減相手がボロボロになって、とっくの昔に攻守逆転するに至っていても、徹頭徹尾完膚無きまでに叩きのめす。ここに、何よりヒロインこそが恐怖そのものという、まったく新しい恐怖映画が誕生した。

 「X-ファイル」のダニエル・サックハイム監督もヒロイン女優の肉体管理に全くタッチできなかったらしい、衝撃の青春サスペンス…

「グラ〜スハ〜ウス」

(ここで再びナレーションに強烈なエコー)。

 バッタもん恐怖映画シリーズ…いや、「ショッキングムービープロジェクト」第一弾として、堂々スクリーンに登場する!

 続く第二弾「アナトミー」も近々公開! 第三弾は…もし気が向いたらご覧くださいませ(笑)!

 

クソマジメ女フランカ・ポテンテは医学生

 医学博士をめざす秀才医学生フランカ・ポテンテ嬢は、解剖実習で死体のタマキンつかんでシゴくのも平気な医学のムシ。でもこのベットリしたのがイヤなのよねぇ。男だってあの始末は気がめいるぜ(笑)。今日は医学テストでドイツ2番目の成績をもらってゴキゲンだ。これで医学の名門ハイデルベルク大学の門が彼女の前に開いた。だが、自分に触りまくる先生の触手からは逃れて、朗報だけ聞いてサッサとオサラバ。すると次に部屋に入っていったのは、いかにもムチムチ系の金髪美女。こりゃさぞかし先生喜ぶことだわい。

 ポテンテ嬢は早速、病院に入院中のヨボヨボな祖父の元に急ぐ。かつては有名な医学博士だった祖父は、孫のハイデルベルク大への入学が決まると大いに喜んだ。実はこの祖父も、ハイデルベルクの出身だった。おまえは単なる医者なんかじゃダメだ、最高の医学博士にならんとな。大好きな祖父の喜びように、ポテンテ嬢も感激だ。

 だが帰宅してハイデルベルク大の件を報告すると、自宅でしがない開業医を営む親父リュディガー・フォークラーはちっともいい顔しなかった。そもそも親父フォークラーは祖父のことがあまり好きじゃないようで、ポテンテが仲良くするのも気に入らないようだ。おまけに、うちの医院で手伝うんじゃなかったのかとグチグチと文句ばかり言うんで、さすがにポテンテ嬢もキレた。少しは喜んでくれないの? あたしはこんな貧乏医者稼業なんか真っ平ごめんなの!

 グチばっかたれる親父をシカトして、ポテンテ嬢は颯爽と列車に飛び乗る。めざすは名門ハイデルベルク大だ。

 そんな列車内で知り合ったのは、学校の先生の部屋に入るところを目撃したあの金髪ムチムチ美女アンナ・ロース。ロースの肉みたいなピッチピチ肉体とボインボインなオッパイが目の毒。でも、あたしはそんな色気づいた事はごめん。何しろ学校には勉強に行くんだから

 ところで列車内で出会ったのは彼女だけではなかった。たまたま目をむいて倒れたピアスの若者がいて、ポテンテ嬢が必死に介抱したのだ。このピアス男、何でも心臓に疾患があるとかで、今回も医療関係者に相談に向かう旅の途中だった。ちょっと惹かれるポテンテ嬢であるが、ロース嬢がロース肉でボインボイン攻撃をかますので諦める。いいの、あたしには勉強があるから

 さて、ポテンテ&ロースがやってきたハイデルベルク大。何と彼女たち二人は寮のルームメイトになってしまった。汚い部屋に辟易する間もなく、早速解剖室=アナトミーに来いとのお達しだ。

 ポテンテ、ロース、それに鈍くさい太め娘がアナトミーにやって来ると、そこにはカバーがかけられた死体が何体かあるだけ。人っ子一人いない。どうなってるの?…と戸惑ってると、何と太め娘がビビり始めるではないか。「あの死体、ぴくっと動いたわ」

 まさかと思う間もなくビクンビクンと動く死体。一体どうしたとカバーを取ってみると、何と死体には首がない。きゃあぁぁぁ〜!

 だが頼もしいかなポテンテ嬢、髪真っ赤っかにしてベルリンの街を駆け回った時も勇ましかったが、今回も勇敢に立ち向かう。そもそも彼女は理性が勝ちすぎているほど勝っていた。こんなバカなことがない、何か理由があるはずだ、科学で解決できないことは何もないのよっ!

 案の定、同期入学の悪ガキ連中が配電盤から高圧電線引っ張ってきて、死体に電極埋め込んで脅かしていたのだ。ケッ! 死体ピクピクさせて何が面白いのよ、あんたがたのアソコでもピクピクさせなっ! ポテンテ嬢は悪ガキどもを軽く一蹴した。

 夜はそんな同期連中とコンパと相成った。ワイワイ騒ぐ中に一人気になる男セバスチャン・ブロンベルグがいた。ポテンテ嬢ちょっとときめいていたが、こいつがドッチラけギャグをかますと一同は思いっきり引いた。トホホ。後でロース嬢に「あんたと彼、いい感じだったじゃない?」と言われても、ポテンテ嬢は勘弁してと相手にしない。

 ところでこの酒場には、あの心臓病のピアス男もいた。彼は例の医療関係者を待っていたのだ。だが、いつまで待っても待ち人は来ない。シビレを切らせて便所に立つと、何者かが彼に襲いかかった!

 気づくとピアス男は真っ裸。例のアナトミーのベッドに寝かされているではないか。気づくと部屋の隅では手術服に身を固めた男二人が何やらしゃべってる。それも解剖のやり方についてダベっているのだ。こりゃヤバい!

 こっそりとメスを手にしたピアス男は、近づいてきた男に妙な注射を打たれるものの、隙を見て切りつける。慌てて逃げだそうと走り出すが、もう一人の男に邪魔される。そんな背後から、切られた男が襲いかかった。刺されて倒れるピアス男。その姿を見て手術服の二人はつぶやく。「もったいないなぁ、死なせちゃって」

 さて話変わって、ここハイデルベルク大の医学部は、ハイレベルな教育と素晴らしい施設に恵まれていた。今日もポテンテ嬢たち医者の卵は、素晴らしい人体標本の数々に目を見張る。本物の死体からつくった、生々しい標本。さすが名門校だけのことはある。

 そしていよいよ解剖の授業だ。アナトミーに集まった生徒たちに一席ぶつのは、キビしさで知られるトラウガット・ブーレ教授。ビシビシしごくぞと言われてビビる生徒たちは、どっちかというとシコシコしごかれたいクチだからゲンナリ。その解剖の教材を見たとたん、今度はポテンテ嬢が二度ビックリだ。

 あのピアス男だ!

 あまりのショックで呆然とするポテンテとロース。だが、そんなポテンテ嬢に非情にも心臓摘出の命令を下すブーレ教授。負けん気の強さでは右に出る者のないポテンテもこれには参った。だが、その怒りを別の方向に向けるとこが彼女らしいんだね。彼の死因には不審な点が多い。あたしが謎を究明して見せるわっ。

 そんな彼女にあのシラケギャグ男ブロンベルグが近づいてくる。男なんて興味ないわっと啖呵を切った手前グラつけない彼女だが、そりゃ男に言い寄られれば悪い気はしないわな。同じ頃、ロース嬢は同期のマッチョ男ベンノ・ファルマンとイチャついていた。ちょっとは彼女も羨ましかったんだね。

 

学内に潜む謎の秘密結社

 それにしても気になるのはピアス男の死因だ。腹にメスの傷があるのもオカシイが、何より血液がゴムみたいになっているのがなおオカシイ。ゴムはイヤなのナマがいいなんて不用心なことは考えない彼女だが、血がゴムなのはいただけない。休みの日にブーレ教授を訪ねて質問しに行くと、もうその件は片づいたとにべもない。業を煮やした彼女が旧友に電話で調査を頼むと、標本がいると言われて答えに窮する。仕方ない、いると言われれば手に入れない訳にいくまい。

 夜中にアナトミーの死体安置室に忍び込んだ彼女は、コッソリとピアス男の臓器の一部を切り取った。そして気がつくと、ピアス男の足に「AAA!」なる字が書いてある。こりゃ何だ? ところがそこに教授のヒゲの助手が現れて大慌て。それでも何とか逃げおおせた彼女は、そこまでは上首尾と思っていたんだね。

 そんなポテンテを待っていた男一人。例のブロンベルグだ。彼はポテンテににじり寄ると、有無を言わせずキス。この奇襲攻撃には彼女も思わずノックアウトだったんだね。

 そんな彼の誘いで湖の畔でデートと洒落こんだポテンテ。だが、彼女の頭にはピアス男の死因しかない。こんなロマンティックな設定にも、ブロンベルグに「AAA!」って何の意味?…なんてかます彼女は、まったく興ざめな女だねぇ。だが、ブロンベルグは意外な知識の持ち主だった。「AAA」とは非合法な医学者たちの同盟「アンチ・ヒポクラテス」のことなのだと言うのだ。

 「じゃあ最後の“!”は何の意味?」

 「そりゃあおめえ、“モーニング娘。”の最後のマルみたいなもんじゃねえか?」

 実はさっきまでゴマキ激似AV嬢エロビデオを見ていた彼の頭は、実はもうアレで一杯。勢い込んだブロンベルグにポテンテ嬢も押し倒されて、いよいよ…となると彼女の理性が勝ちすぎの悪い癖が顔を出す。夕日、静かな湖畔、誰もいない茂み。「なんだか、いかにもって感じなんだよねぇ」…それを言っちゃあオシマイよ。せっかく女が喜びそうなお膳立てしてやったのに、何だその言いぐさは! 二人は気まずく別れるしかなかった。

 さて、ポテンテ嬢の旧友からの調査結果は衝撃的なものだった。例の血液のゴム化はプロミダールという薬品の注入によるもの。そして、その薬品はハイデルベルク大が誇るあの実物人体標本をつくるためのものだったのだ!

 それから学業ほったらかしで彼女が調べたことには、「アンチ・ヒポクラテス」同盟は16世紀から存在していた。それは治療を目的とする医学ではなく、純粋に研究のための医学を目指す団体で、フリーメイソンとも結託していた秘密結社だった。アンダーグラウンドに生体実験を繰り返す忌まわしい団体。ナチ政権下で最盛期を誇っていたが、実は現在まで存在する闇の存在。そして、その本拠はこのハイデルベルク大だと言うのだ。だが、彼女はよせばいいのにこの知識を自慢して、ロース嬢なり学友たちにしゃべりまくる。この女、本当に頭いいのだろうか?

 そんな頃、ロース嬢はというと、いつの間にか別の男、メガネをかけたホルガー・スペックハーンに乗り換えていた。今夜もこのスペックハーンを連れていそいそおデート。あげくの果てに勢い一発やっかってことになって、事もあろうにあのアナトミーで一戦交えようというアリサマだ。

 その頃部屋に戻ってきたポテンテ嬢は、ベッドが血塗れなのでビックリ。あたしは横漏れバッチリ安心なのを使ってるから無事なはずだ。これはあの「アンチ・ヒポクラテス」の裏切り者への儀式とそっくりではないか。さすがに怯えるポテンテ嬢の元に、忍び込む怪しげな人影。えいやっと飛びかかると、それはロース嬢に捨てられたマッチョ男ファルマンではないか。彼はロース嬢にフラれた哀しみに、大いにグチりにやって来たのだ。夜中にグチりにグチるファルマンに、ポテンテ嬢も見捨てられずにおつき合い。そんな時にたまたまブロンベルグが仲直りにやってくるから間が悪い。夜中に部屋に男女が二人きり。おまけにポテンテ、血に汚れた服を脱いでいたんだから誤解を招く。去っていったブロンベルグの後ろ姿に、思わずトホホのポテンテ嬢であった。

 一方アナトミーで合戦中のロースとスペックハーン。ところが突然スペックハーンがガックリきた。あらら、もう昇天? 案の定、手にはベットリ…血だっ! スペックハーンは血塗れ。驚くロース嬢の前には、あのマッチョ男ファルマンが立っていた。そしていきなり謎の注射。ぶっといアレの注射は得意なロース嬢だが、モノホンの注射はヤバイ。慌ててロース嬢は逃げ出すが、たちまち身動きがとれなくなっていく。そう、もちろん注射の中身は例のプロミダールだ。ワハハハ、もがけもがけこの売女めが!

 ロースが学内から姿を消し、さすがに不用心なポテンテも怯え始めた。そんな彼女に脅しをかけるファルマン。こうなるともう冗談かマジか分からない。警察に相談に行っても相手にされない。おまけに学校の施設内でファルマンに追いかけられるハメになる。逃げて逃げて、施設内の奥深くに潜り込んだポテンテ嬢。気がついてみると、何とあのブーレ教授の研究室に迷い込んでいた。見ると、そこにもあの「AAA!」の紋章が!

 そこにブーレ教授本人が現れた。

 怯えるな、心配するなと告げる教授に、よせばいいのに事態を訴えるポテンテ嬢。大体これは犯罪じゃないんですかっ?

 だが教授は慌てず騒がず、医学の発展には必要なことと動じない。目的のための犠牲って言えばコラテラル・ダメージじゃないか。シュワなら黙って見てないわっ。辻元清美には失望したけど田中真紀子や小泉総理の秘書疑惑だって許せないポテンテが一気呵成にまくしたてる中、教授は衝撃的な事実を告げるのだった。

 だが、君の祖父だってやってたことなんだよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからは映画を見てから

 

 

 

 

 

 

 

 

勉強ばかりでなくエッチもしろよ(笑)

 冒頭のショッキングムービープロジェクトってのは、この春ソニー・ピクチャーズが三本束にして公開した怖い映画シリーズのこと。だけど、いずれもソニーの配給ってこと以外は共通点がない。わざわざお台場(後で新宿でも拡大されたけど、最初はここしかやってなかったんだよね。)まで出かけて見た「グラスハウス」はトホホな出来だったけど、この「アナトミー」はちょっと怖かった。

 これってドイツでナンバーワン・ヒットになった医学サスペンスなんだよね。この手のジャンルとしちゃ、昔「コーマ」って面白いアメリカ映画があった。まだフヤける前のマイケル・クライトンが監督(!)した映画なんだが、何だかそれ思い出しちゃったよ。あれも真相究明に戦う主人公は女(ジュヌビエーブ・ブジョルド)だったっけ。

 「グリーン・デスティニー」やら「初恋のきた道」をアジアでつくったコロンビア映画が、今度はドイツにダッチ・コロンビア・フィルム・プロダクシオンを設立しての第一弾とか。そのヒロインに世界的に知られるようになったフランカ・ポテンテ嬢を持ってきたのも必然か。

 そのポテンテ嬢、さぞや「ラン・ローラ・ラン」の後は華々しく活躍か…と思っていたけど、日本に来たのは「アム・アイ・ビューティフル」でこれは僕はちょっとイマイチ。ハリウッド進出と鳴り物入りだった「ブロウ」もいい役だったけど、前面に出たのはビッチなペネロペ・クルスときたんで、僕は残念に思ってたんだね。だから、こうやって頑張っているのは嬉しいな。

 脚本・監督のステファン・ルツォヴィツキーってのは第2作がアカデミー外国語映画賞にノミネートされたほどの男らしい。このあたりの人選も、アメリカ資本コロンビアらしいとこなんだろうね。今回かなり頑張ってサスペンスを盛り上げている。

 医学ホラー、しかもあまり規制がうるさくなさそうなヨーロッパ映画とあって、かなり気色悪い場面が連発するかと僕はかなり身構えていた。実際、映画が始まってまもなく、生きている人間が目を覚ますとアナトミーで解剖されている真っ最中というイヤ〜なシーンが出てくる。これがアメリカ映画なら、その事実だけ観客に印象づければアッサリ場面転換するところなんだろうけど、これを延々長々とやるから僕は参っちゃったよね。痛いのってダメなんだよ。男だから血にも弱い(笑)。このあたりの感覚は、やっぱりドイツ人ってことなのかねぇ。

 こりゃどうなることかとビクビクもんで見てたけど、その後はそれほど刺激的な描写は少なく、一応安心して見てられたのが救いだね。サスペンスだけに専念できて(笑)。

 正直言ってヒロインの言動にはいささか疑問の余地もあるし、「アンチ・ヒポクラテス」同盟の存在を確信して騒いでいる割にはちょっと不用心だ。ノコノコとヤバいアナトミーに夜中に出かけていくあたりもアホに感じちゃう。事態が深刻化して、「アンチ・ヒポクラテス」同盟が事件を引き起こした学生の処分を決めたのに、その後教授が殺されて学生がやりたい放題やってても何も起こらないのはもっと奇妙だね。ラストは事件が明るみになっても「アンチ・ヒポクラテス」同盟は健在だったってことを意味してるんだろうけど、その怖さが観客に伝わってくるというより、他の医学生にすら事件が明るみになったのにどうして同盟が無傷でいられるのか分からないってのが正直なところ。そういう意味ではルツォヴィツキーの脚本は相当荒っぽいと言ったらヤボだろうか?

 ただルツォヴィツキーは、これをポテンテ扮するヒロインの成長物語にしたかったんではないかという気もするんだね。勉強一本槍で男にも目もくれない。やたら理が勝ちすぎて可愛げがない。自分じゃ真っ当なつもりなんだろうが面白味が感じられない。そういうのって結局、研究のための医学をめざした「アンチ・ヒポクラテス」同盟の、ヒューマニズムに欠けた姿勢と同じじゃないか。そう気づいたヒロインの目覚めの物語と見れば、それなりの感興もある。マジメ一筋でいささかヤボくさい女の子に、あの「ラン・ローラ・ラン」のポテンテが意外にハマってるのが見どころと言える。

 だって、映画のエンディングを見れば結論は明白じゃないか。お堅いばかりが能じゃない。勉強もいいけど、ちゃんとエッチもしろって言ってるんだからね(笑)。

  

 

 

 

 

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