「ロード・オブ・ザ・リング」

  The Lord of the Rings - The Fellowship of the Ring

 (2002/03/04)


 

もくじ

プロローグ:ペキンパーは孤独を好んだか?

ムネオの野望がつくった利権の指輪

指輪サミットは大混乱

ファストフードとの熾烈な戦い

みんな指輪に目がくらんで

指輪より重要なものとは?

 


プロローグ:ペキンパーは孤独を好んだか?

 僕は新しいものって受け入れるのがいつも遅くて、CDプレーヤーも普及してしばらくしてから買ったんだよね。マックを買ったり電子メールなんて始めたのも遅かった。で、いまやプレイステーション2でみんなが持つようになったDVDに、僕が手を伸ばしたのも最近のことだった。

 今ではお目当てのソフトが発売になるのを今を遅しと待ちかまえるようになったが、実はちょっと前までそんなテイタラクだったんだ。で、その一番最初に買ったDVDの映画ソフトが、実はサム・ペキンパー監督の「ワイルドバンチ」だったんだね。

 これって価格が安かったこともあり、特典映像としてメイキング・フィルムが付いていたというのも魅力だったが、何より作品自体に惚れ込んでもいたんだ。サム・ペキンパー監督は僕の最も好きな監督というわけではないが、好きな作品なら何本もある。その中でも最高に好きな作品がこの「ワイルドバンチ」だったんだね。

 ところでペキンパーと言えばハリウッドではプロデューサーとケンカしたとかトラブル続出でしばらくホサれていたりと、かなり骨のある一匹狼的監督と評判の人だった。映画もそれを彷彿としたところがある。だけど、僕はそれほど「一匹狼」然とした人ではなかったのではないかと実は思ってるんだ。

 確かにとっつきのいい人ではなかったろうと思うよ。でも、人にはポーズってものもある。確かに信念が強いあまり、他人との折り合いが悪かったこともあるだろうが、人間ギライとか孤立を好んでいた人には思えないんだよね。それは作品を見ても何となく感じられるんだ。

 全部の作品を見たわけじゃないが、彼の作品の主人公って確かに「一匹狼」的に見える。だけど、よく見ると他者を避けたり嫌ったりはしていない。「戦争のはらわた」のジェームズ・コバーンだって戦友たちといる時には生き生きしていたよね。だから、いわゆる孤立したり独善にはしったりしていた訳じゃない。

 文字通りの「アウトロー」を描いた「ビリー・ザ・キッド/21才の生涯」でも、実はビリーと宿命のライバルであるパット・ギャレットとの関係がポイントとなっていた。実は人との関わりやらつながりに、とても意識的だったと思うんだよ。そして、それがなぜうまくいかないのか悩んだり、どうしたらいいのか模索していたように思える。

 「ゲッタウェイ」でのスティーブ・マックイーンとアリー・マックグローの中年夫婦の関係なんて、とても意味深じゃないか。夫であるマックイーンを刑務所から出すために警官と寝た妻マックグロー。それがマックイーンにはたまらない。思わずひっぱたいて、もうこれまでと思う。だけど追っ手から逃げまどう道中の中で、どうしたって別れられない、どうしようもなく夫婦なんだと思い知る。それは仲直りとかそんな生やさしいものじゃない。イヤなこともウンザリすることも全部込みで、まるごと引き受けても一緒にやっていくしかないっていう、キレイ事じゃない間柄だ。

 冒頭に出した「ワイルドバンチ」にもそれがある。ウィリアム・ホールデン率いる中年強盗団が、そろそろ時代遅れになりつつも強盗やりながら西部を逃げのびる。こいつら元々欲得づくでツルんだワル同士だから、友情とかチームワークとかそんな甘っちょろいものはお呼びでない。一味の一人ウォーレン・オーツなんか、いつもホールデンにタテつく厄介者だ。それでも強盗には人手がいるからやっていかなくてはならない。

 それが終盤、メキシコの野盗軍団に仲間の一人を捕らわれてしまう。相手は百人二百人はいる大所帯、こちらはたったの四人。どう考えても勝ち目はない。スゴスゴ引っ込むより他はなかったし、そうしても問題はなかったと言えなくもない。

 だが、ついこの前まで行動を共にしてきた仲間が、野盗軍団になぶりものにされているのは見るに耐えない。虫ケラのような強盗風情と言えども意地だってある。一旦引き下がってはみたものの、何とも胸のつかえが降りない彼らなんだね。

 そしてついにリーダー格のウィリアム・ホールデンが一言放つ。

 「レッツ・ゴー(行くか)!」

 すると、それまでさんざタテついていたウォーレン・オーツが、真っ先に答えるじゃないか。

 「ホワイ・ノット(いいとも)!」

 共にやってきたベン・ジョンソン、アーネスト・ボーグナインにも異存はない。かくして四人は手に手に武器をとって、敵のメキシコ野盗軍団が待ちかまえる砦めざして、ゆっくりと歩いていくのだ。…例え、それが勝ち目のない戦さと分かっていても。

 僕はこの場面が一番好きなんだね。DVDで持っていても、毎度毎度映画全編見ている時間はない。そういう時にはここの場面だけ見るんだけど、何度見ても胸がいっぱいになる。それは男の心意気とか信念とかってこともあるんだけど、人と人との連帯ってこういうことじゃないかと思うからなんだね。

 なれ合いとかお仲間ってのは世の中にザラにある。でも、そういうのってのは意外に脆弱なものだ。くっついているのは互いに何となく楽しいとか、たまたま利害が一致しているから…なんてものでしかない。もしそれだけなら、相手にイヤな部分を見たり利害が反してしまったら、つながりはすぐに壊れてしまうだろう。そして、人間同士にはお互いそんな都合の悪いものなんてクサるほどある

 だけど人と人とのつながりって、そんなオイシイことばかりじゃないのが当たり前じゃないのか。

 それでも何でも一緒にやっていかなくてはならないってのが、人間ってもんじゃないのか。

 

 

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