「ナン・ナーク」

  Nang-Nak

 (2001/06/11)


 こんばんわ。日ごと暑さを増す初夏の夜長を、みなさまいかがお過ごしですか? 映画館主・Fです。今宵も寝苦しい夜をきりりと冷やす、「世界怪談アワー」のお時間がやってまいりました(笑)。

 ところでみなさん、幽霊にもお国柄があるってご存じですか? アメリカ映画「ホーンティング」とか「ポルターガイスト」に出てくる幽霊たちは、何だか物量とエネルギーが勝負って感じで、バカでかくてガソリンは食うけど、どことなく大味なキャデラックみたいな感じってしませんか? いかにも肉食ってるぞ〜って感じのアメリカ人好みの幽霊と言えば、何となく分かっていただけるかもしれませんね。

 世界中の幽霊映画を見尽くしたわけではありませんので偉そうなことは言えませんが、やっぱりやたら騒々しくて派手に人を脅かすことしか考えてないアメリカンな幽霊たちと違って、我々の住む東洋の幽霊たちには、それなりの慎み深さというか哀れみがあるように思います。

 そう言うと思い出されるのが、怪談ではありませんがわが日本の誇る溝口健二監督の有名な「雨月物語」。戦乱の世に、止める嫁さん田中絹代を振りきって、お金儲けに目がくらんで都にノコノコ出かけた森雅之。この男が、イイトコの女・京マチ子の屋敷に入り浸ってどっぷり愛欲に溺れてから、この女が実はお化けだったと気づくくだりの話をしてるんじゃございません。散々な目にあって逃げ出し、何とか懐かしの我が家に帰ってみると、愛する女房田中絹代はずっと帰りを待っててくれた。しかし…というあたりの、何とも哀しい哀しい幽霊のことを申し上げたかった。

 そういや香港のヒット作「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」も、かなり面白おかしく描かれてはいますが、あれはあれで哀しい哀しい女の幽霊だったと思いませんか? あの話も、実はあちらでは何度も映画になってる話らしいですねぇ。

 実はここ東洋で、今一度哀しい女の幽霊の物語が映画になったんですよ。それも珍しやタイの映画。あちらじゃ「タイタニック」を超える大ヒットだそうで。「タイタニック」と言えば、ケイト・ウィンスレットじゃムチムチと血色良すぎて幽霊になりませんね(笑)。えっ?そうでもないって?…ふむふむ、なるほど。ま、それはともかく…(笑)。

 今夜はこの作品「ナン・ナーク」で、じっくり背骨の随まで冷えてお休みください。では映画の後、またお会いしましょうね(笑)。

 

 昔むかし、場所はタイはバンコク郊外プラカノン地区の小さな村でのこと、何とも仲睦まじく暮す一組の夫婦がおりました。その夫の名はマーク(ウィナイ・グライブット)、妻の名はナーク(インティラー・ジェルンプラ)。何だかヤン坊マー坊天気予報みたいなふざけた名前の夫婦ではありますが、妻のナークは身ごもって、いよいよ幸せいっぱいとなるはずの二人ではありました。ところから折りから巻き起こった戦乱が、この平和な村にも暗い影を落とし始めたのでございます。夫のマークに徴兵の命令が…。川べりの小さいながらも楽しいわが家で、いついつまでもイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャしながら暮そうと思っていたのに、あ〜ぁ無情にもマークを連れ去るボートはやってくる。玄関で抱きあっていつまでも別れを惜しんでいても、旅立ちの時はやってくる。船はマークを「地獄の黙示録」のように戦場へと運んでいきます。そこでどこからか流れてくるのがドアーズの「ジ・エンド」では、まったくシャレになりません。船は行く行く波紋が残る。まだその顔に幼ささえ残る新妻のナークは、マークを乗せたボートの後をその名を呼びながらいつまでも見つめていたのでした。

 さて、マークが借り出された戦場はと言えば、それはそれは酷いものでした。「スターリングラード」では生き残ったジュード・ロウも、ここタイの戦争なら助かろうはずもない惨さです。ましてジュード・ロウと違ってマークには射撃の腕もありませんでしたから、生き残ったのが奇蹟なほど。でも彼は生き延びてはいたものの、かなりな深手を受けておりました。しかも一緒に従軍した親友の死を目のあたりにして、激しいショックを受けてしまった。むしろ体の深手よりもこちらの傷のほうが深いほどです。この戦場での友人の死という衝撃体験は、まるで「ゴッド・アンド・モンスター」のイアン・マッケランを思わすトラウマではありますが、思えばこの時にすでにマークには、「ゴッド(神様)」と「モンスター(化け物)」との縁が生まれていたとは言えますまいか。

 ともかく瀕死の状態で手の施しようもない状態になりながら、マークはえら〜いお坊さん(マーニット・ミーゲーオジャルン)のお寺に運ばれました。

 そんな事とはツユ知らず、夫の無事を祈るナークでしたが、やはり妊娠中の身での田んぼ仕事はキツかった。いきなり産気づいてバッタリその場に倒れたではありませんか。

 遠く離れたお寺では、マークが死神と戦っておりました。いまは悪霊と化した戦友たちがゾンビ顔して「こっちへ来いよ」とやってくる。ここでマイケル・ジャクソンの「スリラー」のミュージック・ビデオみたいに一緒に踊ったら命がありません。ここはむしろ同じマイケル・ジャクソンなら「ビリー・ジーン」の後ずさりでいかなくてはいけません。そうです、「チャーリーズ・エンジェル」でドリュー・バリモアがちょっとだけ披露しているあれです。ともかく、マークの命を救おうとエライお坊さんも一生懸命頑張ってます。

 一方、産気づいたナークは家に運ばれ、産婆が呼ばれて出産準備に入りましたが、どうもこいつがえらい難産らしい。一同にイヤ〜な予感が走ります。

 あぁ、こんな時でも愛しあう夫婦は一心同体なのでしょうか。マークもナークもほぼ同時に、死の苦しみに苛まれておりました。しかして、その結果は…。

 さすが霊験あらたかな偉いお坊さんが頑張った甲斐あって、マークは無事に生還できました。その後ゆっくり養生して、また旅立てるまでに回復。ところがこのエライ坊さん、何を血迷ったか家路を急ごうと気がせくマークに「出家しないか?」とのお誘い。まだ可愛い女房が家に待っている、ヤリたい盛りのマークにそんなこと言ってもしょーもないでしょうが。さすがのマークも、恩人の坊さんの頼みとはいえそれだけは勘弁とお断りして家路に旅立ちました。しかしこの時、このエライ坊さんには何か予感があったのでしょうか

 さて川をどこまでも行くマークは、途中何ともイヤ〜な悪寒に襲われますが、ともかく可愛いナークに会いたい気持ちがすべてに目をつぶらせるのでした。あぁ何とも一途な「初恋のきた道」、俺の女房はあんなブリッ子でカマトト、監督のお手つきのチャン・ツィイーなんかよりずっと可愛いんだゾ。

 そして、ついに帰ってきました。夢にまで見た懐かしのわが家。可愛いナークも待っていた。俺たちの赤ん坊もスヤスヤ寝てる。またあの楽しい生活が戻ってくるのだと、信じて疑わないマークなのでした。

 しかしマークには気の重い仕事が残っていました。友人の女房に夫の戦士を伝えるという憂鬱なおつとめがあったのです。しかし出かけようとしたときにナークはあわててマークを止めて、自分が伝えるから休んでいるようにと言い残して出かけました。いやぁ〜何でもやってくれて殿様気分。

 そんな時、家の前を流れる川を進むボートが一艘。見れば旧友のアム(ブラッチャー・ラーウォンファー)が乗っています。つい嬉しくなって声をかけたマークですが、向こうはマークに気づくと一目散に逃げていくではありませんか。何が何だかち〜とも分かりません。

 ところが村に帰ったアムは、あわててみんなにマークの帰郷を知らせます。みんな喜ぶどころかビビッた表情。一体どうしたことでしょう? みんなは口々につぶやきます。

 「まいったなぁ。マークの奴、女房が死んだって分かってないみたいだ」

 

 そう。あのお産の日、ナークは難産の末に亡くなっていたのでした。それ以来、成仏できずに霊としてこの世にとどまっているのです。

 

 ある日マークは朽ち果てた家の中で、見る影もない姿になった例の産婆の死体を発見します。実はこの産婆もナークが襲って殺したのでした。死んだ時に取られた結婚指輪を奪い返すために…。死体を見つけてビックリしたマークに、ナークは産婆は伝染病で死んだのだと口からデマカセ並べますが、恋女房の言うことならばマークは何でも鵜呑みにしてしまうのでした。

 旧友のアムも見るに見かねて、外に出たマークを捕まえて事の真相を語ります。しかしマークは聞く耳を持たず、逆にアムを怒って殴り倒す始末。マークは家に帰ると、ナークにアムのことを話しますが、彼女表情ひとつ変えずにバンバン嘘をつき通します。

 あなたがいない間、私は村のみんなにいじめられたのよ、ヨヨヨのヨ…。それを聞いてはマークも怒り心頭で、あいつら絶交だと啖呵を切ります。まさに知らぬが仏。 仏は自分のヨメさんなんだって(笑)。

 しかしマークがそんな事バラしたばっかりに、晩になるとアムの家にはおっかない嵐が襲ってきます。きっとナークが襲ってきたんだ。女房には変なお節介焼くからだとまで言われ、亭主の立つ瀬がありません。女にバカにされるとケツまくって勇ましいところ見せようとするのが、洋の東西を問わず男の悪いところ。かかってこい、相手になってやると刀持って外に駆けだしちゃうアホな男アムでありました。案の定、返り討ちにあってお陀仏になったことは言うまでもありません。

 これじゃあやってられないぜと村の男どもは血気盛んに暴れたくてウズウズ。どうしてこうなると人間ってやつは、どいつもこいつもドイツもナチかKKKみたいになるんでしょうか? 逆らったらマークだってぶっ殺すなんて言いぐさまでナチっぽくなってきます。こりゃあマズいと遅ればせながら村のお坊さん(モントリー・ゲートゲオ)も乗り出しましたが、おめえ遅すぎるんだよ。

 マークの我が家に乗り込んで説得しようとするんですが、もうマークはナーク可愛さに目がくらんじゃって言うことなんて聞きゃあしません。見るとハッキリ言ってあばら家ユーレイ屋敷のマークの家なのに、マークにはまったく見えてない。こりゃあ説得してもムダと悟った村の坊さんは、ただ一言のアドバイスを残して、あわてて立ち去ります。

 「真実が見たければ、自分の股の間から後ろを見よ」

 股の間から? てめえのタマキンが見えるだけじゃねえか、何言ってやがるんだクソ坊主。マークがまるで納得してないのは言うまでもありません。

 しかしその晩、家の修理でも…と思い立ったマークが縁の下を覗くと、どうも様子がオカシイ。ようやく異変に気づいておそるおそる股の間から家を見てみたら、何と家は朽ち果ててボロボロではありませんか。おまけに床下にモノを落としたナークが手を伸ばして取ろうとすると…。

 「うわ〜っ」

 手がひゅる〜っと伸びるではありませんか。ば、ば、ば、化けもんだ〜っ。今頃になって事態に気づいたマークは、慌てふためいて逃げ出します。逃げて逃げて、たどり着いたのは村のお寺。

 その頃、ナークも何かオカシイと気づいた。そこに何とも間が悪いことに、村の決起した男どもが押しかけてきたのでした。ご機嫌斜めになってるところに、最悪のタイミング。

 「こんな家、焼きはらっちまえ!」と、あばら家に火を付ける男たち。

 ボロボロで乾ききったボロ家はたちまち火に包まれます。その火の中からスックと立ち上がる人影。

 「で、出た〜!」

 「私はただマークと仲良く暮らしたいだけなのに、何でみんなそんなにいじめるの?」と、もう被害者意識に凝り固まって、自分が何人も人を殺したことなどスッカリ棚に上げてるナーク。いじめぬかれたと言えば、やっぱりこの人を忘れちゃいかんでしょう。夢のプロムナイトで好きな人とダンスが出来て幸せの絶頂だったのに、頭からブタの血なんかぶっかけられて、あたしはもう許せない!

 「お、お、お、おまえ一体何を言ってんだ?」

 「おのれ、死ね〜トラボルタ!」

 そんな事言われたってこいつら「キャリー」なんか見たことないから、自分たちが何言われてるんだか分かりません。まして、この後の展開がどうなるかもサッパリ分かってない。あの映画見てればこんなことにならなかったのに〜。

 すさまじい突風と炎に包まれて、一人またひとりとブチ殺されていきます。おそるべしキャリーの怨念。「キャリー2」でまた暴れただけでは飽きたらず、またここタイでも大暴れか! プロムナイトならぬマークのあばら家では、男どもが炎と殺戮の嵐に翻弄されたのでありました。

 その頃、お寺ではお坊さんたちが集まって、これはヤバいとお経を上げて悪霊退散を祈ってる。中にはよせばいいのに懲りないで、また悪霊退治を言い出す奴もいる始末。

 「ゴーストバスターズを呼んでくる!」

 「バカ、あんなオチャラけた野郎じゃダメだ」

 「じゃあエクソシストだ!」

 「ディレクターズカットか? なら頼んでこい!」

 坊さんがディレクターズカットだけはやめろと止めるのに、もう言うことを聞きません。

 そんなことやってるうちに、ナークはお寺に乗り込んできます。みんなでお経上げて何とか襲われるのだけは免れているものの、こんな事くらいじゃ退散させるとこまではいかない。あげく泣きの涙でマークに帰るように説得とくれば、さすがに化け物と言えどもマークも情が湧く。しかし何とかその場をしのいで、ナークも諦めたかと思ったその時…。

 「エクソシストがナークの墓暴いてるぞ〜」

 バカな、何やってるんだと慌ててお坊さんやらマークが駆けつけます。行ってみると、いかにも怪しげなエクソシストが、ナークの墓かっさばいて死体をいじくり回してるじゃありませんか。

 「何やってるんだ、やめろ〜」

 「わはは、俺は偉い偉い『エクソシスト』のフリードキン様だ。こんな悪霊なんて屁でもねえ。金のためなら捨てたフィルムだってつなぐ。日本の映画ファンの気持ちだって弄んで、わざと公開遅らせてブームをつくってやる。ざまぁみろ」

 よせばいいのに、ナークの死体の頭を石でゴツンゴツンとドツきまくる。ところが突然フリードキンの様子がおかしくなった。急に手に持った石を自分の頭めがけてゴツンゴツンとぶつけるではありませんか。

 「てめえ悪霊をナメるなよ。おまえのおかげで日本の配給会社と劇場主がどれだけ迷惑したか分かってんのか。おまけにDVDも二枚組のくせにメイキングもインタビューも入れないで、また二重に儲けようってハラだろう。おかげでコッポラまで調子に乗って『地獄の黙示録』完全版なんてつくっちまったんだぞ。おまけに去年公開の新作『英雄の条件』なんてまるでつまらねえし、こうなったら天誅をくらわせてやる〜」

 こう言われちゃうと、誰もフリードキンを助けようなんて奴はいません。君なら助けますか(笑)?

 「待ていっ!」

 ハッと驚く一同の前に現れた一人の人物。

 それは傷ついたマークを助けた、あの偉いえら〜いお坊さんでありました…。

 

 今年は日本でタイ映画が大当たりらしい。確かにここんとこ急に公開作品がポツポツとあるよね。

 「ナインティナイン」はちょっとタランティーノ風味で、明らかにこの国でも若い作家が生まれつつあるのを感じさせた。「アタック・ナンバーハーフ」なんて変わった味付けのスポーツコメディもあったっけ。もっとも、あれコメディかどうか分からないというのは、前に僕が感想文で書いた通り。どれもこういっては何だが、あまり映画先進国でない国の作品特有のビンボくささからは離れた、割とセンスのいい作りになってるのには驚いた。岩波ホールか何かが好みそうな感じでは、もうないんだね。

 そして「デッド・アウェイ/バンコク大捜査線」。これは向こうでも大ヒットしたらしく、見た感じこの国では新手の娯楽アクション大作。まぁ「ダイ・ハード」とかと同じ位置づけなんだろうね。たぶんそれまでアメリカ映画ふう娯楽大作映画としてはお寒いものしかつくれなかった国々の、最近での新たな作品群…韓国での「シュリ」とかわが国の「ホワイトアウト」なんかと同系列にある作品なんだろう。

 だが「シュリ」や「ホワイトアウト」が、非欧米映画界では苦手だったハリウッド・タイプの娯楽大作を何とかかんとかビンボくささから脱してつくり得たのに対して、申し訳ないけど「デッド・アウェイ」はまだまだだいぶビンボくささ残したものになってしまった。狙いは分かるんだけどねぇ。

 だから、大衆娯楽大作映画を本格的につくるのはまだまだ難しいのかなぁ…と思ってたところにこの作品だ。これは「デッド・アウェイ」に先だってつくられ、やはり大ヒットを記録した作品。

 ちなみに、この作品についてはうちのサイトでもかなり前から取り上げてる。タイ在住の原田いそよさんのこの2つのレポート(「世界映画紀行」第4回「タイの最新映画情報、ならびに「Silent Night, Horror Night..../『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』特集」内「世界ホラー映画紀行参照)を読んでみてもらえば、本国での受け方が分かるはず。そして一昨年の東京国際映画祭でも評判になったのは、みんな記憶に新しいのではないか。

 開巻まもなく純朴な新婚夫婦の愛情豊かな描写が登場。やたらめったらヒロインのナークが「マーク、マーク」とメソメソしてるのを見て、こりゃ〜映画がまだまだ洗練されていない国ならではの、素朴さ誠実さだけが取り柄の作品かしらと思い始めたがさにあらず。そこに続くタイトルバックには、ボロボロになった家の映像に荒れたタッチのタイプライター風書体でクレジット・タイトルが映し出され、ヤボくさい映画かと思ったらちょっとエッジが立った感じが出てきたではないか。クレジットが終わると凄惨な戦場描写だ。こりゃあちょっと予想と違うぞ。

 このお話、タイでは何度も映画化されたおなじみものらしいが、それを今風につくったとこがミソらしい。そして悲劇のロマンスを前面に出してるのだが、幽霊のナークが暴れる部分だけは明らかにアメリカ製ホラー映画のショッカー描写をお手本にしてる。明らかにこいつ映画をかなり見ているね。

 監督のノンスィー・ニミブットって人はそれまでCFとかミュージック・ビデオ手がけた人らしく、だから演出にはビンボくさいところもないし、あかぬけててドライだ。そしてドッシリ腰を落ち着けて演出してる感じもする。危なげないんだよ。これが第二作とのことだが、「デッド・アウェイ」とは違って娯楽大作として見て恥ずかしくないレベルまで、堂々とつくってる。 鋭い感覚とかとは無縁だが、大衆映画をつくる手つきは慣れたものだ。さっきも言ったけど、映画が好きで映画をよく見てて、映画を知ってる人がつくってるんだね。

 そして従来の映画化と比べても、たぶんヒロイン像なんてかなりフレッシュなんだろう。ナークを演じるインティラー・ジャルンプラって向こうじゃ長くアイドルだったらしい。何とアメリカ映画「ブロークダウン・パレス」が映画デビュー作だとか。つまりは、この作品はそういう人たちによってつくられた映画なんだね。この国にも明らかに新しい波が押し寄せてる。

 しかも背骨の部分に、タイ伝統のおなじみ悲恋怪奇ドラマを持ってきてるのが、確信犯的作戦ではないか。このへんが、アメリカ映画ふう娯楽映画をつくっても足が地に着いてるゆえんなのかも。 でも語り口はあくまで今風娯楽大作映画なんだよね。そして、あんな映画こんな映画のイイトコ取り。でも、単なるパクりやパロディやオマージュと自称する単なる自己満足からは脱している。そこは結構買えると思うんだね。

 

 というわけでみなさん、充分骨の髄まで冷えましたか? なに? 感想文の中に入ってるギャグのほうが寒いって(笑)? いやこりゃ悪しからず。

 ではまたこの時間に、「世界怪談アワー」でお会いしましょう。ご機嫌よう、さようなら〜。

 

 

 

 

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