「X-メン」

  X-Men

 (2000/09/25)


一生消えない大きな借り

 最近でこそテレビでいじめ殺人だ自殺だ恐喝だと放送されても、平気な顔して飯も食えるようになったが、以前はこうしたものを見ると血圧が上がり、まともにテレビが見れなくなったものだった。

 子供の時に嵐のようにいじめに合った経験は、いまだ自分の中から消えないんだよね。だから僕は、ここで自分の事を公表することによって、自分を少しづつ慣らしていっているんだよ。僕は他の人と比べて、より大胆に積極的にならないと帳尻が合わない。そんなことしなくていい奴には絶対に分からないけどね。だから、あえて世界中に発信(笑)する必要がある。そのくらい僕はやらないとダメなんだ。

 なぜ自分はあんな目に合ったのだろう? かなり大きくなっても、その疑問は自分の心の中から消えなかった。単純に言えば、それは1300グラムの未熟児で生まれた時から決定づけられていたのだ。人と違うから。それだけ。

 未熟児で生まれたから発育が遅かった。だから病気がちだった。運動もできなかった。病気で寝ていたから本を読んでいた。他のガキどもの知らない漢字が読めた。アルファベットが書けた。言葉を知っていた。絵を描くのが好きだった。これら全てが人と違っていた。それがみんなは気に入らなかったんだな。

 小学校高学年にいじめの嵐がウソのように去ってから僕がやったことは、いつかも書いたように、上と全く逆。運動神経は今さらよくならないけどプロ野球やスポーツを好んでテレビで見るようになった。絵を描くのをやめた。文化的、芸術的なことに興味なんかなく、下品で下世話なことが大好きな粗野な男の役柄を好んで演じた。そのうち、どっちが本当の自分だか分からなくなった。だから、僕の中には2人の僕がいる。これがそれぞれ喧嘩もするし、相手をそそのかしもする。その葛藤が自分の中で躁鬱を繰り返すのだ。

 年齢が上がっていくにしたがって、他の人がすることを自分もしなくちゃ…と思い込んだ。なぜか? 当時、僕は自分に問わなかったものの、今ならその理由を自分に対して答えることができる。なぜって…他人と違うとまた孤立してしまうからね。それは強迫観念のように自分に刷り込まれている。

 それでも自分を少しづつ変えていこうとは思ってたんだ。だから、人と同じでなくていいと無理やり発言し、行動するようにしてきた。本当のことを言えば、ここで大胆に言いたい放題するのはそのためで、実際は単なるカラ元気なのだった。それは、人と同じでいようとする自分に歯止めをかけるためにやっているのでもあり、また自分に襲いかかろうとする外敵を脅すためでもあった。俺に攻撃をかけてみろ、その2倍3倍…いや、その10倍に増やして返してやるからな、俺に怖いものなどないのだから。

 ただ、何をやっても誰といても、僕は常に居心地が悪かった。何か自分の居場所でない気がしていた。俺は一体誰なのだ。なぜこんなことをしてるのか。

 その一方で僕は、何かの集団に属することがイヤでイヤでたまらなかった。みんなが競って加わりたがるような集団に声をかけられようと、僕はちっとも嬉しくない。時にそんな態度が集団の主催者の恨みをかったりもするが、僕は人間が集団になった時のパワー、異常さを骨の髄まで知っている。だから、その一部に埋没することなど真っ平ご免なのだった。個人対個人として対等に付き合うならいいよ。でも、家来になるのはイヤだ。

 そして、あれからどれくらいの月日が経っただろうか…僕は自分と同類に思える人物と生まれて初めて出会った。

 もちろん、その人とは人間的にも性格的にも全く違ってた。一緒にしては失礼だ。あちらがずっと品のいい人物だったしね。だが、確実に何かが共通していた。この人は、俺の中に隠れた何かをきっと理解してくれるはずだ…。

 親しくなってこの人がまずやろうとしたことは、僕の中でカサブタのように固まってしまった他人への不信感を、溢れるような優しさで拭い去ることだった。それはなかなか難しかったが、何度も何度も根気よく試みてくれた。時に理由もなく激しい苛立ちをおぼえる僕は、恥ずかしい話だがこの人を深く傷つけることもあった。他人は僕を傷つけてくるはずだと思い込んでいる僕は、知らず知らずのうちに先制攻撃を加えるのだ。だがこの人は、黙って僕を見逃してくれた、今までツラい思いもしてきただろうに。

 この人は僕と違って、基本的に人間を信じようとする人なのだった。

 だから、僕に人を信じさせたい…とあえて自らを傷つけるようなこともした。僕には今でもこの人に、一生消えない大きな借りがあるのだ。

 でも、実はきっとこの人も、どこか居心地の悪さを自分の過去や周囲に感じ続けてきたんじゃないか。他者とどこか違うという違和感を。そして、僕が同類だと心のどこかで感じたんじゃないか。だから僕も分かったんだ…いや、分からないかもしれないが、分かろうとしたのだ。この人が抱える、誰とも共有できない心の痛みを。

 その時、僕らは世界にたった二人だけしかいない同類だったから。

 

偏狭で不寛容な人々に囲まれながら

 1942年、ナチスドイツ占領下の厳冬のポーランド。強制連行されてきたユダヤ人たちが、ある施設の前で二手に分けられる。今まさにある一家の運命もここで切り裂かれようとしていた。収容所へ送られる少年と、ガス室に送られる両親とに。

 生木をそがれるように両親と引き離された少年は、自分たちの運命を悟った。止めるドイツ兵を引きずりながら、両親が連れて行かれたガス室棟のほうに行こうと暴れる少年。しかしガス室棟への道は、無情にも有刺鉄線だらけの大きな扉で閉ざされてしまった。

 それでも少年は止まらなかった。ドイツ兵の制止をきかず、もがき暴れていた。

 そのうち大きな扉がガタガタと音を立てて震え出した。

 少年を抑えていたドイツ兵たちも、回りの見張りたちも目を見張った。バリバリと音を立てて扉が壊れ始まったからだ。怯えるドイツ兵たち。

 ようやく我に返った一人のドイツ兵が、銃の台座で少年を殴って気絶させたから事なきを得たものの、間の前にそびえる扉はねじ曲がり破られる寸前の状態になっていた…。

 アメコミのヒーローものの映画化と聞かされて見に来たのに、いきなりナチのホロコーストで始まったので唖然。一体これはどうなっちゃうんだと思いきや、子供部屋でのティーンカップルのイチャイチャ会話になったので、ホッとする。おや? 男の方は見たことないツラだが、お姉ちゃんのほうはオスカー取ったアンナ・パキンだぞ。卒業したらどうしようかななどと語るティーンエイジャーの頭ん中は、もちろんアレでいっぱい。だけど、ソレまだしてないのかよ?…なんてヤボは言いなさんな。共学だとかえって遅いらしいよ。俺は男女別学だったからやっぱ遅かったけど。俺の場合は関係ないみたいね(笑)。でも、女子校の人に言わせるとアレすごく早いらしくて…まぁそれはどうでもいいんダケド(笑)。二人はその時の予行演習とばかりブチュ〜ッ。そうそう、キスってアレよりいいとこあるよねぇ。

 ところが、急に男の額に血管浮きだした。おいおい、血管キリキリ痛いほど浮かせるところはソコじゃないって(笑)。あれれれ、苦しがっている? アンナ・パキンも気づいて大騒ぎ。何だか吸い取られて抜け殻みたいになった男を見て半狂乱だ。

 またまた場面変わって、議会の公聴会みたい。クールビューティーのジーン・グレイ(ファムケ・ヤンセン)博士が、最近多数発見されているミュータントについて語っている。普通人類よりも数段優れた能力を持つミュータントではあるが、無害で恐れるに足らないと力説しているところ。しかし上院議員のブルース・デイビソンは、ミュータントは力を悪用して何でもできるのだから、危険で隔離すべき存在であると主張。残念ながらこちらの方を支持する意見が圧倒的多数を占めるのであった。

 それを見ていた傍聴者の一人がゆっくりと立ち去る。そしてさらに、その去っていく傍聴者を追う車イスの男。二人は建物のロビーで静かに対峙する。去って行こうとした男はマグニートー、演じるはレイトショー公開決定で話題沸騰「ゴッド・アンド・モンスター」主演のイアン・マッケラン。車イスの男はエグゼビア=プロフェッサーX、演じるは「新スター・トレック」の船長ことパトリック・スチュアート。会話の内容から二人ともいわゆるミュータントであり、なおかつかつては友人だったことが分かる。しかし、その後の年月と背景の違いとが、二人の立場を決定的に異なるものにしていた

 マッケランは、明らかに先ほどの上院議員の意見の圧倒的支持ぶりを、人類からのミュータントへの宣戦布告と見なしていた。このままではやられる。やられる前にやれ。なぜなら、我々は奴らより進化しているのだから。奴らは信用できない。なぜなら、それが奴らの本性なのだから。…そう、ナチの手で両親を殺された少年。それがこのマッケランなのだった。人類の薄汚なさ、冷酷さをイヤと言うほど味あわされた彼。そして人類の異邦の者、未知の者への偏狭で不寛容な考え方を知り尽くした彼ならではの、それは徹底的にシビアーな人生哲学なのだった。

 一方スチュアートのほうは、それでも人類を信じたい、希望を信じたいと語るのだった。だから早まったことはやめてくれ。もし何かしようと言うのなら、私が受けて立つ!

 二人の宿命の男たちは、己の全てを賭けて、もうこの時点から戦う運命だったのだ。

 その頃、アンナ・パキンちゃんは寒々としたカナダを、トラック野郎を頼ってヒッチハイク中。まるで「ジャンヌ・ダルク」でダスティン・ホフマンがかぶっていた頭巾付きガウンみたいのを着ているのは、他者の肌に直接触れて、また抜け殻みたいにしちゃうのを恐れてのことだろうね。たぶん、あの後いたたまれなくなって、家出してしまったあげくのこの状況なのだ。

 そうやって連れて行かれたトラック野郎のたまり場みたいな酒場で、あの男を見つけた!

 酒場の中には、「ブルース・ブラザース」で主人公たちのバンドが「ローハイド」を演奏していたような金網のオリがある。その中で、粗野で野蛮な賭けストリートファイトが行われようとしていたのだ。今まさに全戦全勝のヒュー・ジャックマン扮するウルヴァリンに、やたらゴツくてでかい男が挑戦するところ。ジャックマンは狼男ヘアにモミアゲがワイルド。どこか永井豪の「バイオレンス・ジャック」みたいだけどあんなに怖そうじゃない。第一、どう見たって今かかってきている男と比べても小柄だわな。ところが、何発かくらって目覚めたのか、急に強くなって男をノックアウト。またまた連勝記録を延ばしたジャックマンであった。

 だが、その後で賞金の分け前のことでモメたあげく刃物沙汰。パキンちゃんは思わずジャックマンの危機に「危ない!」と声を上げる。すると…ややっ? 手から長くて鋭利な金属製の刃物がシュワ〜ッと飛び出し、襲いかかった男たちをビビらせるではないか。

 危機を脱したジャックマンはその場を走り去る。そしてパキンちゃんは…と言うと、もう目がハートマーク(笑)。あの人は同類よ!私にはあの人しかいないんだわ。…パキンちゃん、あんたの気持はよくわかる。

 おんぼろトレーラーで出発するモミアゲ・ジャックマンだが、どうも変だなと車を止めると、パキンちゃんが潜んでいるのに気づいてつまみ出す。何よ、連れて行ってよ、ケチ!

 だが、彼女も行くあてのない一人ぼっちの身。それを見捨てられるジャックマンではなかった。イカすモミアゲ、ダテじゃない。初代「仮面ライダー」藤岡弘もモミアゲ似合う役者バカで、アホなオートレースのCMにも付き合いで出る人の良さ。

 しかし、しばしのくつろぎもすぐに破られる。いきなり車が事故る。車外に投げ出されるジャックマン。シートベルトで車に縛り付けられるパキン。そこに、ショッカーの怪人ならぬ「スター・ウォーズ」のチューバッカの出来損ないみたいなセイバートゥース(タイラー・メイン)と、カメレオン男のトード(こちらは「スター・ウォーズ/エピソード1」で、もったいつけて出てきたのに思いっきり弱っちくて観客をシラケさせたダース・モール役のレイ・パーク)が襲いかかってくる。

 ところが、またまたそこに妙なコスチュームを着てサングラスかけた男=サイクロプス(ジェームズ・マーズデン)と、真っ白の髪で時折白目もむく女=ストーム(ハル・ベリー)が現われ、こいつらと応戦。結果的にグラサン男と白目女が、モミアゲ男とパキンを助けて連れて帰るわけ。

 で、何なんだこいつらは? どうやらペプシマンじゃないらしい(笑)。

 

はぐれミュータント純情派(笑)

 ヒット曲と言えば「また逢う日まで」と「ゴッドファーザー愛のテーマ」しかない尾崎紀世彦。誰もが間違うが「およげ!たいやきくん」は彼の持ち歌ではない(笑)。そんなキヨちゃんも真っ青のモミアゲ男ジャックマンは、ふと気づくとある研究所にいて、ファムケ・ヤンセン博士に体をいじくりまわされてウヒャヒャ!おまえイチモツいじるなよ。くすぐったすぎて、ついつい博士をド突いてしまう。ここは新手のフーゾクか?ボッタクリか?ウッカリ出しちゃたら金とられるからな(笑)…と、あわてて服着て走り回っていると、いきなりスチュアート教授の声が。それに呼ばれるように教授の前にやってくるモミアゲ・ジャックマン。あれれ?と思ってると、そこにグラサン男や白目女、ファムケ先生も現われる。

 ここは一種の寄宿制の学校なのだった。ただしミュータントの子供専用。

 ジャックマンを助けた面々もここ出身。そして、人類に襲いかかるマグニートー=イアン・マッケランら悪いミュータントに対し、人類を守るミュータントとして戦っている。その名はX-メン!

 役割もそれぞれ違ってて、目が光線銃代わりのグラサン男、天候や風や雷を操る白目女、そして教授とファムケ先生が透視やテレパシーなど頭を使う仕事専門…と、まぁこんな具合。

 君も入らないか?…とスチュアート教授は自衛官募集みたいなことを言ってくるが、ジャックマンは冗談じゃねえと一蹴。元々、何かの集団に入るのはまっぴら。それに、マッケランほどじゃなくても、俺も人類にはあまりいい印象はないからな…。善玉にも悪玉にも一定の距離を置きたいジャックマンなのだった。

 ただ、ミュータントの子供たちの中に受け入れてもらって、うれしそうなパキンちゃんの姿を見て心なごますジャックマン。さらに、教授からは痛いところを突かれる。このジャックマン、体中に金属製の刃物が移植されているが、大手術を受ける前の記憶が全くない。何のためにこんな手術されたのかも分からない。知りたくないかって? それを調べてやるというのか?う〜む。ファムケ先生のフィンガー・サービスはベリー・グーだしな。もうちょっとここにいて、連中が俺の体を調べるのを待ってもいいかな。あ、そこ…気持ちいい、もっと…そこ…ソ…コ…(笑)。でも、おイタが過ぎて、彼女を自分の女だと決めているグラサン男にすっかり嫌われてしまう。

 その頃、国連の加盟国の代表が一同に会するミレニアム総会で、ミュータント問題をブチ上げようとノリノリのデイビソン上院議員が、今日も今日とてミュータントの悪口しゃベり倒してご機嫌。しかし、悪ノリが過ぎて悪ミュータントにさらわれてしまう。イアン・マッケランの秘密基地に連れて来られたデイビソン。何をされるかと戦々恐々としていると、マッケランはいきなりデイビソンにおりゃ〜っと念力かけて、白い光がボワボワ〜ッと広がる。光の輪の中に入ったデイビソンは気を失ってしまった。

 気がついてみると、デイビソンは体がグニャグニャに液状化してしまう新手のミュータントに変身していたのだった。このグニャグニャの体でマッケラン基地を逃げ出しながら、他に行く所もなくスチュアート教授の所に身を寄せるデイビソン。あんなにボロクソ言ってたのに…いまや自分がそのミュータントになってしまったのだ。ところがねぇ、一般人がいきなりミュータントになっても体が追いつかないんだよね。ジジイがバイアグラ飲んで海綿体に血が集まったはいいが、心臓が追いつかずにクタバるみたいに。デイビソンは結局破裂して、ただの水になっちゃいましたとさ。

 さて、ファムケ先生にちょっと気があるモミアゲ・ジャックマンだが、夜は昔の忌まわしい手術の記憶でうなされる。そして、ここに夜も体がほてって眠れない者約一名。モミアゲに惚れたアンナ・パキンちゃん。そりゃ〜そうだ。本来だったらヤリたい盛りだもんねぇ。というか、この時期やっとかないとダメだよ(笑)。後あと良くない影響出てきます。俺もこの年齢にはヤリたくってヤリたくってサルみたいにそれしか頭になかったのに、それが今じゃ…(笑)。

 それはともかく、早い話が彼女は夜這いをかけてきたわけだが、ちょうど彼女がジャックマンに声かけて起こそうとした時と、彼がうなされて目覚めた時がジャストミート。それでピーンと朝立ちならいいんだけど、ピーンとおっ立ったのが手に仕込まれた刃物で「シザーハンズ」状態。哀れパキンちゃんクシ刺し。あ〜ん、同じ刺すならアソコで刺してほしかった。

 でも、このままでは死んでしまうので、パキン嬢も自分の本能でジャックマンのエネルギーを吸っちゃう。パキン嬢は助かったけどジャックマンはグッタリ。どうせ吸うなら別なモノ吸ってほしかった(笑)。

 でもエネルギー吸っちゃうのは、ホントはミュータント同士のタブーなわけだよ。

 だから、教授もみんなも怒ってるはずとパキン嬢悩んだ。そこに、ここから出ていけとか余計なこと言うクラスメートも。この一言が引き金になって、パキン嬢は学園を出て行く。妙なこと言うクラスメートだなぁ…と思ってたら、こいつ悪漢が化けていたんだよね。で、彼女はまんまと罠にはまって出ていくんだよ。

 で、教授はじめX-メンの面々(ダジャレじゃないよ)とモミアゲは、彼女の安否を気づかう。悪い奴らの手に落ちるのでは…と心配するわけね。で、現在の居場所を透視するからと、教授は一人きりになって変なヘルメットをハゲ頭にかぶる。これで、今パキンちゃんがどこにいるのか見つけようという訳なんだね。

 で、彼女が駅にいるらしいと分かって、グラサン男と白目女が駆けつけるわけ。モミアゲは行けと言われていないんだけど、彼女の危機に勝手に出かけていくんだね。こいつはとことんスタンドプレーが好きな奴。「ホワイトアウト」の織田裕二みたいなマメ男だね。というか、パキンちゃんにいいとこ見せたいんじゃない? おまえ、ファムケ先生とパキンちゃんとどっちが好きなんだよ! 二人とも…はダメだぜ、資源が枯渇するから。若い頃はエエカッコしてた奴がやたらモテたから、俺は乱獲されっぱなしで迷惑したよ。40過ぎたらちょっとは状況変わってほしいものだね。若い奴の漁場を荒したい(笑)。

 さて、列車に乗り込んで去ろうとするパキンちゃんの横に現われ、優しいお兄さんっぽく語りかけるモミアゲ。けっこう言ってることクサいけど女はこれにダマされる。どんな男の目から見ても「ヤラセロ」って言ってるのミエミエなのに、どうして女はどいつもこいつもこういう甘い言葉に「純粋な人」とかバカなことを…いいか、俺の言ってること以外、男の言うことなんか信用できねえんだぞ(笑)。

 その頃、駅の構内でパキンちゃん探してた二人は、突然、敵のチューバッカの出来損ないとカメレオン男に襲われ、やりたい放題な目にあっていた。おかげで駅の建物はメチャクチャ。みんなも大ケガ。

 でも、モミアゲはパキンちゃんにオイシイこと言ってて気づかない。そんなことしてるから、悪の大親分イアン・マッケランが現われても気づかないんだよ。ヤバいとなった時には、マッケランのパワーでモミアゲまったく身動きできなくなった。ここでモミアゲ、カッコよくタンカを切るんだね。

 「俺はどうなっても構わないから、この子は放してくれ」

 ところがマッケランはこんなハッタリまるっきり相手にしない。バ〜カ、最初っからおまえなんかお呼びでないんだよ。ヘッ?お呼びでない?こりゃまた失礼…と、ここでは往年の「シャボン玉ホリデー」での植木等とクレージーキャッツのギャグを忠実に再現。マッケランはモミアゲをやっつけて、パキンちゃんをさらっていくんだね。イアン・マッケランは結構バラエティもイケると思います(笑)。

 さて、マッケランはパキンちゃんさらって何やろうってんだ? まさかセーラー服着せてコスプレって訳ないだろうし。でも、自分の女にセーラー着せてって、男なら誰でもちょっとは考えたことあるかもね。俺もある時恥ずかしながらチラッとそんな事思っちゃった(笑)。自分がそんな年齢の女と付き合えた頃にはいいことなかったしねぇ、あぁあの日に帰りたい。…違う違う、どんな悪事を企んでいるかだ! エプロンプレーかナースかスッチーか、それとも「うる星やつら」のラムちゃんか(笑)?

 下ネタからまったく発展しないX-メンの連中のアホ話に付き合いきれなくなったスチュアート教授は、俺が自分で調べるとばかりに例のハゲ・ヘルメットをかぶる。ところがこのハゲヘル、悪者の仕掛けがしてあった。ヨボヨボのくせに金だけは持ってるジジイが、若い愛人と組んずほぐれつしているうちクモ膜下出血起こしたみたいに、教授はヨダレたらしたボケ老人になっちゃった。きっとシモの方もモレちゃってるね(笑)。

 そんなこんなでテンヤワンヤの果てに、どうやらマッケランはパキンちゃんを使って、ニューヨークの自由の女神が建っている島で開催される、世界中の国家元首を集めた国連のミレニアムイベントで何かやらかすらしいと分かる。

 さぁ、どうするX-メン! 国連のイベントはどうなる、ハゲヘル・ショックでボケた教授は、モミアゲ・ジャックマンの過去は…そして、パキンちゃんの運命は?

 

「絶望」の果てに「希望」を探るブライアン・シンガー

 まず白状するけど、虐げられ苦しめられてきた人を取り上げたお話には、僕はどうしても弱いんだよね。逆に「トップガン」みたいに、俺ヒコーキの天才でさ軍のトップメンバーにも選ばれて教官の美人の肉体も難なくゲットして事故ったけど死んだのはドジな相棒だからちょっと落ち込んだふりしてソ連のミグ撃ち落としてヒーローだぜイェ〜イ!みたいな映画には、正直言ってまったく反応できないんだよ。死ね!としか思えない。だから「キャリー」も「バットマン・リターンズ」も「25年目のキス」も「リプリー」も、僕には人ごとに思えないんだよ。ああいう映画ケナせる人は幸せ。よっぽどイヤな目にあってないんだね。

 この「X-メン」見る前は、アメリカン・コミックの映画化としか聞いてなかった。それを、あのブライアン・シンガーがなぜ?とずっと思っていたよ。それもイアン・マッケランなんて名優まで駆り出してね。

 でも見てみたら疑問はあっと言う間に氷解。ナチ占領下のポーランドから話をスタートさせる(これ、原作のコミックではどうなんだろう?)あたり、ブライアン・シンガーの意図はハッキリしてる。大ヒットした出世作「ユージャル・サスペクツ」はちょっと違うけど、その前の「パブリック・アクセス」や前作「ゴールデン・ボーイ」で打ち出していたテーマ、人間の心の奥底に隠されている悪意、偏狭さと不寛容さについての映画なんだよね、これは。

 だから、ずっと踏みつけにされてきた男マグニートー=マッケランの気持ちはすごく分かるんだよ。僕も時々、何もかもメチャクチャにしてしまえ!と思ってしまうし、実際にやってしまったこともあるから。でも、それをやってはいけないとたしなめる人の声によって、ようやく心の均衡を保ってきた…。

 そういう意味では、今までそんな人間の中にある悪の存在について語り続けてきたブライアン・シンガーが、ここへきてついに…パトリック・スチュアート演じる教授が主張する「希望」に託して、何かを語ろうとし始めたのはとても興味深い。その「希望」を疑いなく一点の曇りなく描きたいがために、彼はアメリカン・コミックという土台を必要としたのかもしれない。現実はなかなか「希望」が見い出せないからね。

 コミックのファンに目配せしたような趣向が所々にあって、元のコミックを知らない日本人には十分楽しめないなんて言ってる人もいるみたいだけど(こういう映画が出ると必ずこういう興ザメなこと言う連中が出てくる)、実はブライアン・シンガー自身このコミックには門外漢だったらしいから、そんなこと気にする必要ないんじゃないかな。

 もちろん、コミックのヒーローものの映画化としての面白さ、見せ場はちゃんと満載しているあたり、エンターテイナーとしてのシンガーはさすがに抜かりがない。それも、終盤での自由の女神上での大立ち回りにヒッチコックの名作「逃走迷路」までチラつかせるあたり、さらに虫の息のパキンにエネルギーを分け与えようとジャックマンが彼女を抱きしめると、カメラが二人を見つめてぐるりと回り出すあたりの悲痛で美しいヒッチコック=ブライアン・デ・パーマ・テイストの再現など、映画ファンならうれしくなる趣向まで取りそろえての堂々たる芸人ぶり。立派なもんですよ。決して雇われ仕事のやっつけ作業ってはずないね。文句なく面白いですよこの映画。

 ただ、どこをどう切っても単なるヒーローもののSFアクション、SFX&CG超大作ってノリに収まりきらなくなるところが、さすがにブライアン・シンガーなんだよね。そして、そここそが僕のこの映画を最大限に評価する点。どこのバカが何言ってきても、僕はこの映画を評価するよ、何か言いたい奴いたら出てこい!

 出演者も、芸達者を集めてある意味ですごく贅沢なんだよね。それなのに、中心人物となるウルヴァリン役にヒュー・ジャックマンなんて世界的には無名な役者を連れてきたあたりは面白い。本国オーストラリアじゃ知られてるらしいけどね。おやっ?またオーストラリア! それと、アンナ・パキンは間違いなく第二のドリュー・バリモア(復活前)化すると予想していたし、実際に「シーズ・オール・ザット」あたり見てたら危なかっただけに、今回の好演で予想がはずれて僕はとってもうれしいよ。

 そんな中でも、やっぱり全編を支配する圧倒的な存在感の二人、イアン・マッケランとパトリック・スチュアートには大拍手したい。特にマッケランは「ゴールデン・ボーイ」に次いでのブライアン・シンガー作品登板だけど、今回の悪役の哀しみにじむカッコよさったらないよ、まったく。正直言って僕は何とかしてマッケランを勝たせたくなった(笑)。

 映画はハッキリ露骨に続編つくるつもりだよ…と言ってるがごとき終わり方。普通だったら何だこれは?とムカッと来そうなもんだけど、この作品に限っては続編がすぐに待ち遠しくなった。あのイアン・マッケランにまた会いたくなったからね。それに、善悪に分かれ、どんなに対立しながらも友人であり続ける二人…マッケランの抱く「絶望」とスチュアートが夢見る「希望」…この勝負の決着もぜひ見てみたい。

 あの頃、僕も信じる人の助けを借りて、その両者の狭間で綱渡りしていたのだから。

 

 

 

 

 

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