「M:I-2/ミッション:インポッシブル2」

  M:I-2 / Mission : Impossible 2

 (2000/07/03)


 

 こういう映画にいろいろウンチクは無用だろ? 今回は前置きなしにいきなり始めるヨ〜(笑)。

 クルーズだ、ウーだ、果たしてどうなるか?

 

 今回はオーストラリアが舞台。何だか病原菌を研究している研究所からお話は始まる。これ実は薬屋さんなんだけど悪い奴で、すごい悪い菌をつくってバラまき、自分とこのワクチン売りつけようと考えてるわけ。早い話がエイズウイルスばらまいたミドリ十字みたいな会社。で、開発に携わった学者がヤバいと思ってワクチンと病原菌を持ちだそうとするが、ワクチンは培養室の安定した状態以外では、生きている人間の体内でないと死んでしまうという困りもの。そこで仕方なく学者は自分に注射して菌を持ち出すわけ。この病気、20時間以内だったらワクチンで治せるんだね。

 次のシーンでは学者は飛行機の中にいて、何とトム・クルーズと親しげに話しているではないか。そうか、学者はクルーズを信じて、この厄介な病原菌とワクチンを何とかしたいと思ったんだね。ところがこいつ本当はクルーズじゃないんだよ。顔をベロンチョしたら、別人のダグレイ・スコット。で、学者はやられちゃうし薬はとられちゃうし、悪い奴らは自分たち逃げ出したあと飛行機落っことしちゃうし、ホントひどい奴らだねぇ。

 その後になって、あの予告編でイヤというほど見せられたトム・クルーズのフリークライミング場面が登場してくるんだよ。「ファイト〜ッ、いっぱぁ〜つ!」みたいなやつ(笑)。彼、せっかくの休暇なのに無理やり任務を与えられるのは言うまでもない。おまけに「行き先を告げて出かけろ」なんて小言もちょうだいするから、ついグチも出る。「行き先を言っちまったら、そんなもん休暇とは言えないじゃねえかよぉ〜」

 ところで今度の任務というのがあいまいで、とにかく腕前のいい女泥棒サンディ・ニュートンを連れてきて仲間に引き入れろという指示だった。クルーズは彼女の「お仕事」の現場に登場してさんざオチョくったあげく、翌日アタマにきてる彼女をさらに車で追う追う追う。しっかし果たしてこんなやり方が、仲間に引き入れる最良の方法なのかよくわからないけどね。二人で二台の車を駆っての山道でのカーチェイス。一歩間違ったら谷底真っ逆さまなんだけど、そのスリルがタマラナイ。ジャレあっているうち、調子に乗って本当に落っこちそうになってしまう二人。車がクルクルクルクル…さっきまでの余裕の表情はどこへやら。九死に一生を得た二人は、この緊張解けたボ〜ッとしてる時に思わず恋に落ちてしまうんですな。何だか相手がボ〜ッと放心状態のときって、口説いたり押し倒したりするのにもってこいらしいですよ。クルーズはそうしてました(笑)。

 さて、彼女をゲットしたクルーズ。任務にゲットするはずがプライベートでもゲットして、こりゃ休暇みたいなもんだわな…とベッドで彼女を抱いてヤニ下がる。何だか本気で惚れてるみたいだぜ。

 ところが司令官のアンソニー・ホプキンス、「休暇なんて行先を言ったら休暇じゃなくなるよな」なんてクルーズの意見に同意して喜ばせるかに見えて、あんまりにもあんまりな指令を言い渡す。前述の病原菌とワクチン奪還が目的なんだが、そのために例の女泥棒ニュートンを悪党ダグレイ・スコットの元に潜入させようとのこと。というのも、ニュートンは元々スコットの女。それが、あんまりのスコットの非道ぶりに愛想尽きて逃げ出したというのが真相だった。でも、スコットはまだ未練あるみたい。そこでそれを利用しようという訳。そ、そ、そ…そんなぁ。ホプキンスはいいよ、自分で直接相手に言うんじゃないから。それに相手に惚れてもいないからね。でも、俺の立場はどうなるんだよぉ?…とボヤきまくるクルーズではありました。

 それを当のニュートンに言うクルーズは何とも情けない気分。ニュートンも怒ったが、最後はあきらめて任務にノることになった。けど、大丈夫かなぁ?

 不安材料はもう一つ。スコットはかつてクルーズと一緒に働いており、そのときは変装によるクルーズの替え玉を得意技としていた。だからクルーズのことは何でも知りつくしてる。長所も弱点も! これは手強いんじゃないかい?

 そうそう、この二人は同じ顔を持つ対立する二人…っていうことは、「フェイス/オフ」じゃ〜ありませんか!

 

 はっきり言ってね、この映画前半はカッタルいんですよ。

 サンディ・ニュートンがダグレイ・スコットの隠れ家に入っていくあたりを、軍事衛星で逐一監視しながら、嫉妬心に焼けこげるクルーズ…とかの見せ場はあります。また、競馬場でニュートンを使い、病原菌の情報がつまったディスクをかっぱらってコピーするというくだりもありますが、苦心さんたん危ない橋渡って手に入れた情報はどう考えても大したもんじゃない。要はスコットは病原菌とワクチンの両方手に入れて、まず病気を撒いて広めてからワクチンで大儲け…なんてムシのいいこと考えていたんだけど、当の病原菌を体内で育てて運搬していた博士をそうとは知らず殺しちゃったので計画狂っちゃったというわけ。だから、スコットは病原菌が欲しいわけですよ。クルーズは逆にこの病原菌なくしちゃえばワクチンが無意味なものになるわけだから、薬屋の研究所にまだ保管されている菌を、スコットに取られる前にオシャカにしちゃえばオッケーということになる。

 で、警戒厳重な薬屋ビルへの潜入計画を練って実行に移すんだけど、クルーズただ一つ油断していたことがあった。スコットはクルーズに顔を似せることが出来るだけじゃない。その考え方、行動パターンを読み取ることだってできるんだよね。

 で、残りの病原菌を次々ダメにして、残りあと1個…ってとこで、スコットが仲間引き連れて襲ってくるわけ。弾丸雨あられ、追い詰められてクルーズさすがに危うし。かろうじて弾丸のドシャ降り雨がやんでクルーズ命拾いできたのは、彼のそばに病原菌の残りの1個が落ちて転がっちゃったから。これを壊したらマズいと、さすがに頭を冷やしたスコット。落ちてる病原菌のアンプルをニュートンに拾いに行かせる。…そう。サンディ・ニュートンは自分ではなくクルーズに気があるとよ〜くわかった上でのスコットの指示だったのだ。

 今のところ拾ってくるしか手はない。だが、拾ってスコットに渡した時点でクルーズは殺される。万策尽きたニュートンが打った手は?

 女は愛のために、すべてを賭けるんですよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから先は映画を見たあとで!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 にっちもさっちもいかなくなった末のサンディ・ニュートンの選択は、たった一つ残された病原菌を自分の体内に注入するというものなんだね。

 こうすれば自分もクルーズも殺せまい。宿主を殺したらパーなんだから、この病原菌は。でも、20時間以内にワクチン打たないと助からないんだよ。

 望まぬこととは言え、元のオトコとヨリを戻すこととなったニュートン。指令通りに行動したのだとは言っても、そりゃあクルーズの気持ちに揺らぎはないと言えばウソになる。彼女はそれが分かりすぎるほど分かるんだね。

 だから自分の愛をわからせるには、信じさせるにはこれしかない。女が自らを賭けた理由には、こんな思いもあったはず。クルーズも目の前で起きた出来事に唖然呆然となりながら、このへん痛いほどわかったはずだ。

 だから、ここからがウーなんですよ。それまで大味なありふれたアクション活劇になりかけてたこの映画だけど、このニュートンの女の大勝負で一気にジョン・ウー度が高まっていくわけですよ。

 待ってろ20時間以内に何とかしてやるからなと叫ぶクルーズ。見つめあう男と女。弾丸雨あられ、火花が降り注ぎスパークする中、バレエを踊るように身を踊らせるクルーズ。爆薬でビルの壁に風穴を開けて、そこからキラキラ夜景に向けて舞うクルーズ。ここから主人公たちの熱い心意気と思い入れたっぷりのアクションとスタイリッシュな映像とがスローモーションで爆発するウー・ワールドが開幕するんです。それまでちょっと疲れてたこともあってボ〜ッと見ていた僕ですが、ぐぐぐっと身を乗り出してしまったな。

 最初この「ミッション:インポッシブル2」監督にジョン・ウーが起用されたと聞いたとき、どうも僕には間違った人選だとしか思えなかったんだよね。だって、この人の作品ってコッテコテ思い入れアクションでしょ。それに対して「ミッション:インポッシブル」って、何をどうしたって「スパイ大作戦」じゃない。クールなスパイがプロフェッショナルな腕前でカッコよく沈着冷静に作戦を遂行していく。これほどウーと合わない世界もないんだよ。

 ところがこの「2」って、主人公が女に惚れるわ嫉妬するわ熱くなるわ。主人公クルーズのキャラも全く変わってるし、元々の「スパイ大作戦」なんてどうでもよくなってるし。こりゃ別ものだわな。だからウーの出る幕もあるわけ。

 それに弾丸火花がキラキラ降り注ぐ、熱いスローモーション場面見ているうちに思ったのが、実はプロデューサーのトム・クルーズは前作「ミッション:インポッシブル」の時からこれをやりたかったんじゃないかということ。前作の監督だったブライアン・デ・パーマは、全盛期には「愛のメモリー」などをはじめとした思い入れスローモーション・アクションに冴えを見せた人だったよな。「ミッドナイトクロス」エンディングでのナンシー・アレンを抱いたトラボルタの背景に花火がド〜ン…のキラキラ度もかなりのもの。でも、出来上がった「ミッション:インポッシブル」はデ・パーマの作家性が極めて希薄で、彼はまるっきり職人監督に徹していたっけ。クルーズそれが内心不満だったんじゃないか? だからこそ、さらにコテコテ度大幅アップのジョン・ウー起用に踏み切ったのではないか。何となく僕はそう思う。でなければ、このシリーズにこうもクセの強い監督を連続起用しまい。だとすればプロデューサーのクルーズ、なかなか天晴れと言うべきではないかな?

 さぁ、ここからはお話説明しても無意味だろう。車がバイクがトム・クルーズが、みんなみんなクルックルックルックルッ…とにかく回る回る。踊っているんだよ。そして何か一回アクションするたびに、トム・クルーズのこれでもかこれでもかのキメ・ポーズ(笑)。扉が爆弾でド〜ンとすっ飛んで、立ち上るスモークと炎の向こうからすっくとクルーズが姿を見せると白い鳩がパタパタパタ〜ッ。キメすぎでんがな、普通いい歳した大人なら照れます。でも、照れないんですよクルーズは。これは偉いよね。わかってやってるということは。このクルーズはもっともっとホメなきゃいけません。バカを平気でやる奴には僕は脱帽です。天下の大スターなのに、笑われることを恐れていないんだよね。

 バイクもガンアクションもクンフーも、どれもこれもリアルから程遠くって、もう姿見の美しさだけでやっている。終盤の海岸でのスコットとの一騎討ちなんざ、ボカスカ殴り合うたびに、波がザッパ〜ンと寄せてくるショットが挿入という意味不明ぶりなんだよ。コッテコテ、濃すぎる。これは最初からリアルなアクション撮ろうという気がない。だから、これをリアルじゃないと批判する映画批評は、まるっきりピントがぼけててわかってないアホ。これは最新技術でつくった歌舞伎なんだ。様式美でトコトン押し通し、こってりした男女の情念をひっさげながら、六方を踏みトンボを切る…まさに文字通り歌舞伎の世界なんだね。

 なに? クドくってヤボっちくてヤだ? 本来のジョン・ウーがハリウッドでダラクした? トム・クルーズが偉そうだ?…やれやれ、いかにも出そうな批判だけど、まぁとにかく見てくれよ。物事何でも上手下手あるけど、映画見るにも僕らは見上手でいこうじゃないか。

 こういう映画はヤボな詮索抜き固いこと抜き。やっぱりお祭りなんだから、会社帰りとかじゃなくって休みの日に時間をたっぷりとって見たい。休暇に見るべき映画ですよ。でっかいスクリーンでポップコーンでも片手に気の置けない奴とゆったり見たいよね。君はどこで誰と見るの? あ…いやいや、お互いヤボな詮索抜きだったよな。クルーズも言ってたっけ。

 行先を言ったら、休暇が休暇じゃなくなるぜ。

 

 

 

 

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