「トイ・ストーリー2」

  Toy Story 2

 (2000/03/20)


映画パンフで金儲けのあくどい奴ら

 先日、うちの映画のパンフレットやらチラシやらを少しだけ整理したんですよ。あとCDとか。こういうの昔は神保町まで行って売りに行ってたんですね。欲しがるファンもいるかと。だから捨てちゃいかにももったいなかろうと思ったわけですよ。

 だけど、そういうお店に重い思いして持っていっても、店の奴らの応対はすこぶる悪い。品の扱いもぞんざいで、しかも買い取り金額も安い。わざわざ友だちに車出してもらって行ったときなんざ、その後、酒をおごったからアシが出ちゃった。

 で、どんな値を付けて売ってるのかと思いきや、ほとんど法外な値段で取引している。それ、俺なんかがわかるようなとこでやってるんだから、バカにしていると思いませんか。もっとも、奴らに言わせれば、文句あるなら別に買わなくてもいいと言うことなんだろう。まぁ、欲しがる映画ファンがいるのに捨てちゃ悪いから…とこっちもほとんどボランティア精神。そこにつけ込んでのあくどい商売なわけ。

 でもねぇ、よーく考えてみると、僕も欲しいパンフレットなんてわざわざそういうところで買おうとしてたのは、ごくガキの頃だけ。データを知ろうとすれば本もインターネットもあるし、映画そのものもビデオやDVDがある。パンフなんて記念品でしかないんだよ。今は劇場に行くと必ず買ってはいるけど、これは単に習慣性のものなんだわな。実際、熱心な映画ファンってそういうの買うかっていうと、買ってないんじゃないか? 自分で見たときのパンフだったら記念も意味があるけど、人の持ってた中古なんて何の意味があるんだ。

 じゃあ、そういうの買っている人ってどういう人かっていうと、切手マニアとかそういうのに似てる。別に映画が好きなんじゃなくて、そういうものの収集が好きという人。そういうのがあってもいいとは思うが、俺がそんな人たちに気兼ねすることはないわな。

 というわけで、私はそれ以降、パンフは自宅前の路上に置いておく。そうすると近くにある二つの女学校の生徒たちが争うように持っていく。夕方までにはきれいになくなってるよ。欲しい人が持っていくんだ。それでいいじゃないか。

 それと同時に、全く額に汗することもなくこんなアブクみたいなもので金儲けする奴らには、天誅を下さないといけないと思っている。今後一切、チラシ・パンフレット類をこういう下らない店に流すのをみんなでやめないか。こういう店では、元々二束三文の品をまるで骨董品のように扱い、法外な値段をつけて投機的な価値を出して商売している。本当に映画を愛している人間なら、こんな唾棄すべき振る舞いはできないはずだ。こいつら映画なんてちっとも好きなはずないよ。本来こんなものなくなったって誰も困りはしないんだ。正当なことをやってお金を儲けている人たちに申し訳ないとは思わないのか。品がなくなり買いにくる人もいなくなれば、こんな店一軒だってやっていけなくなる。みんなでぶっつぶそうじゃないか。

 ひえ〜、我ながら過激な発言(笑)。でも世の中きびしいんだよ。

 テレビで「なんでも鑑定団」とかやってるのを見ると、何だか胡散臭そうな男たちがさも専門分野の権威みたいな顔をして、人の大事な思い出の品にケチつけてもっともらしく値段つけてる。あいつら全員失業させなきゃダメだな。第一、人が持ってきたものに勝手に値段つけて売るだけ。そんなの仕事と言えるのか。新潟県警だってもうちょっとは仕事してるよ。そんな奴らが金儲けして、テレビに出てきて偉そうな顔をしていい道理はない。インチキ・カリスマ美容師だって、ちゃんとハサミと手は動かしてた。なんでも鑑定団はいかにもブヨブヨ男たちがオタクづらモロ出しでエバってる。ムカつくぜ。それに少なくとも専門家だったら、人の大事な品を拝見させていただくとき、素手でベタベタ触るのはやめたらどうなんだ。こんな奴ら全員ど素人なんじゃないのか。

 やたら高い値段が付くお宝の品。それって、本当に意味があるのか。こういう風潮に真っ向からNO!を突きつける社会派映画がアメリカからやってきた。

 その名を「トイ・ストーリー2」と言います(笑)。

 

今度のお話はぐっと辛口

 前作「トイ・ストーリー」って、ちょうど日本でパソコン・ブーム(笑)吹き荒れていたとき公開されて、まぁハイテクの象徴のひとつみたいな取りざたされていたんだよね。逆に僕なんか映画ファンとしては、どうせテクノロジーはすごいんだか何だかわかんないけど、つまんねえ映画だろうなって話してた。オタクだけだろ、面白がるのは。

 ところが見たら驚き。面白い。ある男の子の子供部屋が、すごい葛藤のドラマの舞台になる。男の子の古くからのお気に入りのカウボーイ人形ウッディと、新入りの宇宙戦士バズとの対立と友情の物語が、意外にもしっかり描けていて驚いた。特に自分が宇宙戦士などでなく、ただのカラッポなオモチャだと気づくバズのキャラクターの描き込みはただものではなかった。こうして見ると、あたりまえなんだけど脚本なんだよな娯楽映画は。ハリウッドがそこんとこをおろそかにして、映画つくるわけもなかった。

 さて、友情が芽生えてめでたしの前作の後、どんな物語を今更やるんだって、ちょっと私、今回の作品は期待してなかった。ところがやっぱりやってくれるんですよ。

 お話はカウボーイのウッディの腕がポロリともげるところから始まる。何と残酷な! ね? 凡百のガキ向け映画と訳が違うでしょ? 今回のお話はグッと辛口なんですよ。

 見てみると、昔は子供に好かれていたペンギンも声を出す仕掛けが故障して、ホコリかぶってる。しかも不要品として路上バザーに出されてしまうから、さあ大変。義侠心に富んだウッディはこれを助けに行くが、不幸にも薄汚ねえオモチャおたくに目を付けられる。

 実はウッディって昔やってたテレビのウエスタン人形劇のキャラで、今じゃコレクターズ・アイテムで値打ちもの。オモチャおたくは元々の下劣な品性モロ出しで、ウッディを盗み出してしまう。

 こいつは町でオモチャの大型ショップを経営してて、強欲野郎でテレビにも出てくる感じ悪い野郎。そこで、前作での恩義を返すときが来たとばかり、宇宙戦士のバズはじめオモチャの一行が救出に向かうというのが筋書き。

 

大人にこそアピールする「かげり」のある映画

 で、ものすごいのが、盗んだオモチャ屋の男の描き方なんですよ。金儲けのことしか頭にないくせに、ヘンにマニアックなとこもあって、不健康にナマっちろくて太ってる。根性が卑しくってジャンク・フードが大好き…って、ここでは完全に新潟少女監禁事件の犯人みたいな奴として描かれているのが痛快。ハッキリ言ってオタク好みの映画「トイ・ストーリー2」は、完全に性格が歪んだオタクに人格はない、こんな奴に人権はないと言い切っているんですね(笑)。朝日新聞じゃ偽善のカタマリだからこんなこと言いません。

 この映画のパンフの中では、「なんでも鑑定団」にも出てくるオモチャ博物館の奴が、監督ジョン・ラセターと会ったことがあると自慢したうえで偉そうな文章書いてる。でも、ここでの悪役のオモチャおたくの扱い見てると、取引している相手が日本のオモチャ博物館だとハッキリ言われていることを含めて、この「なんでも鑑定団」野郎が監督のラセターから「気持ち悪いんだよ、寄るなこのオタク野郎!」って名指しでバカにされているのは明らか。それが全然わかってないからオタクって社会性ゼロなんだよな。映画ではもうハッキリと気持ちの悪いゲス野郎扱いで、見ててスッキリします(笑)。

 また、劇中にはバズの宿敵という設定の悪役オモチャも登場するんですが、これがダースベーダーをパクったもので、「私はおまえの父だ」って「オースティン・パワーズ・デラックス」にも使われたベタなギャグ(笑)が出てくるあたり、この「トイ・ストーリー」みたいな映画を好むような連中を逆にバカにしているみたいな意地悪な趣向も多く見受けられます。

 でも、もっと大きなテーマはオモチャの寿命問題。ウッディは今までずっと少年のご寵愛受けてきたけど、これからもそれは続くのか。

 オタク野郎がウッディとワンセットで売り飛ばそうとしてる西部劇シリーズの仲間、まるでカラミティ・ジェーンみたいなキャラのカウガール人形ジェシーが注目の新キャラとしてここで登場。サラ・マクラクランの美しい歌に乗せて語られる彼女の身の上話は、見る者の心を打ちます。かわいがってくれた女の子が成長してお化粧と男の子に夢中になったとき、ジェシーは相手にされなくなっていく…腕がとれたウッディともども、このへんは自分の人生後半戦に入ったなと思い始めてきた私には、人ごとではありません。

 併せてこのカウガールを演じる声の出演者に、ジョーン・キューザックとは何とも贅を尽くしたキャスティングではないですか! 元々コメディエンヌとして実力を認められているキューザックながら、近作「プリティ・ブライド」ではちょっと精彩を欠いていたかと思われましたが、ここでは魅力全開。ただおかしいだけでない、泣かせるキャラを演じて大人の観客をうならせる趣向です。

 でも、こんなお話がメインなんて、これ本当に子供向けの映画なんだろうか。ウッディはいっそ家に戻らず博物館へと真剣に思い始めます。この映画はガキなんかより、これからの人生に悩む大人たちのほうがよっぽどグッとくるんじゃないの?

 ラストは結局ハッピーエンドに終わるとはいえ、この映画の持つ「かげり」みたいなものは、ただ事ではありません。この映画は外見の単純でただ楽しそうなイメージと違って、かなりハードなテーマを見る者に突きつけます。人生の分岐点で人はとまどう。これは誰でも同じでしょう。がむしゃらに前進するにせよ踏みとどまるにせよ…。そこで、映画はまるで「燃えよドラゴン」のブルース・リーが示したようなメッセージを提示して終わるのです。

 「考えるな…感じろ!」

 

 

 

 

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