「スター・ウォーズ」の逆襲 !

"STAR WARS" Strikes Back !

「スター・ウォーズ/エピソード1:ファントム・メナス」

"Star Wars - Episode 1 : The Phantom Menace"


The Phantom Menace

映画館主・Fはこう見た

F's Review of "Epiode 1"

 

 どんな映画にも弱点はある

 または私は如何にして期待するのを止めて「スター・ウォーズ」を軽視するようになったか

 Every Movies Has a Weak Point...

 or : How I learned to stop expecting and slight "STAR WARS"

 (きわめて私的な「スター・ウォーズ/エピソード1」論)

 その2 - PART 2

 夫馬 信一

 by Shinichi Fuma

 

  つづき・・・です

 こういう映画って事前情報でつまんなくなったりするから難しいんだけど、できるだけ情報を入れずに見に行ったわけです。それでも見る前の印象としては、どうせダース・ベイダーになっちゃうってわかってるアナキン少年のお話じゃ気勢が上がらないとか、ジョージ・ルーカスも現場から20年以上離れてて満足に監督できるのかとか、旧三部作は名のあるスターを使わなかったのに、今回はリーアム・ニーソン、ユアン・マクレガー、ナタリー・ポートマンと一応知られた顔ぶれを使うとは、実は作品そのものに力が乏しいからではないかとか、トシとるとそんな意地悪な考えしか浮かびません。

 

 案の定、映画始まってすぐの宇宙空間がなぜか真っ暗! 星がほとんど見えない。旧三部作じゃ星が画面いっぱいにキラキラして、それがきれいだったのに…と最初から違和感が生まれてしまいました。そうすると、もういけません。各シーンの最後に変なつけたしエピソードみたいなものがくっついて、場面転換が何だかゆるんだフンドシみたいになってる切れ味の悪い演出も気になるし、ジャー・ジャーとかいう新キャラも、みんなの足を引っ張るだけの存在なので笑えない。リーアム・ニーソンが例の大まじめな顔で出てくるから、何でこんな奴といっしょにいるのかよけい理解に苦しんでしまう。このジャー・ジャーに限らずやたらにいろいろキャラクターが大サービスで登場してきて、だからCG技術の発達が不可欠だったんだろうけど、それらも出過ぎでうるさい。また、観客としては主要人物の誰に感情移入すべきかハッキリしてこないから、ドラマに入り込めない…などなど、不満たらたら。こりゃー俺この映画ダメかもと、半分あきらめが脳裏を支配し始めます。しかし、なつかしのタトゥーインに話が移って、肝心のアナキン少年が登場すると…いつの間にかドラマが弾み出してくるのです。

 そう、この砂漠の惑星が、あの「スター・ウォーズ」第1作のムードを呼び起こしてくれる。大迫力のレース場面あたりで、もうすっかり批評的に見てる自分はいなくなってる。この「ベン・ハー」の戦車競走シーンを100倍スピードアップしたみたいなレース・シーンの迫力が、我々を画面にクギづけにするのはもちろんですが、それだけじゃない。ここらあたりで、ドラマに顔が見えてくるんですね。アナキンの旅立ちが、ルークのそれと重なってくる。要は、旧三部作のルークもしかりだけど、まだ世の中を知らない無垢な人間、未熟者、つまり若い人の視点から見始めないと、このシリーズはダメなんですね。ここらでバラバラだったドラマが求心力を得て、あとは一気にラストまで。あれで、もっとアナキン少年の心の内というか、心情に映画が寄り添ったなら、もっとノレるいい映画になったんじゃないかと思います。そして、絶対に内容は知らずに見るべきです! 見た人は知らせてはダメです! だから、ここでも用心のためにこれ以上は言いません。

 サミュエル・L・ジャクソンが出てるのは知ってたけど、テレンス・スタンプの出演には驚きました。何にかしそうで何もしないんですが、あれは物語の進行を考えるとそれなりに意味あるキャスティングかもしれません。それにしても、サミュエル・L・ジャクソンも麻薬の売人やったり、カナダでバイオリンをギったり、ビルで人質とったりしてたら、今度はジェダイのお偉いさんとくるからマメな人です(笑)。

 それと、ユアン・マクレガーのキャスティングはルーカスお手柄ですね。アレック・ギネスの英国人ムードを生かしながら、我々は「トレインスポッティング」での彼を知ってますから、今でこそリーアム・ニーソンにおとなしく従ってるけど、昔はすごいワルだったんだろうなとか勝手に思ったりして、オビ・ワンの配役としては面白いと思いましたね。

 また、前述の通り今回はいろんなキャラクターがヤケクソのようにたくさん出てきます。ただ、そのデザインを見ると、旧三部作のように宇宙人・宇宙生物に見せようというこだわりもすでになく、何だかハロウィーンの仮装みたいで、おとぎ話に出てくるお化けや生き物のたぐいの域に入ってきたかのように思えます。

 それにしても共和国の議会の描写では、腐敗と無気力と退廃が横行して官僚が幅をきかすなんてわが国ではシャレにならない設定になっていて、笑うに笑えませんでしたね。結局、より強力な指導者を!ということになるんですけど、実はこういう腐敗の後に求められる強力な指導者というのが、いちばん危ないんですね。戦前のドイツしかり。それはわが国でもそうでしょうし、「スター・ウォーズ」の世界でも同じでしょう。この新シリーズを解くカギはそのへんにありそうです。

 エンディングは脳天気な終わり方ではあるのですが、我々はすでにアナキン少年の末路を知っているので、ちょっとした陰りが感じられて、これはこれで一興。…いろいろと述べてはきましたが、この作品はやっぱり見るべきだと思います。

 先ほども述べたように、アナキンとルークはほぼ同じような人生のコースを辿ろうとしています。旧三部作では、ルークはヨーダからいやというほど、親父と同じだとか、ダメだとかスカだとか言われどおしでした。ところが、なぜか決定的に運命が変わってしまう。このへんの人生の妙、親子の業みたいなものがひょっとして出せれば、娯楽映画としては空前絶後、映画史に残るシリーズになるかもしれません(もう映画史に残ってますけど)。考えてみれば、ルーカス最初から大河物語を狙ってたなんてホラ吹いてましたが、実際のところ最初の「スター・ウォーズ」撮ってたときは、これ1本で終わりと思っていたでしょう。いや、「ジェダイの復讐」のときだって、三部作でオシマイと思っていたに違いありません。だから、その頃と今回の「エピソード1」では、作品1本に対するスタンスがまるで違うと考えるべきで、これ1本だけで評価するのはフェアじゃない気がするのです。ですから、この映画に対する正当な判断を下すのは、もうちょい後のことにすべきかもしれません。

 

 

 Every saga has a beginning... 旧「三部作」世代からのメッセージ

 

 Every generation has a legend... 新世代からのコメント

 

 Every journey has a first step... 北米での反応

 

 A long time ago in a galaxy far, far away... 鑑賞の手引き

 

 May the force be with you... 撮影現場からの証言

 

 

 

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